コマツナ(小松菜) | 基本の育て方と本格的な栽培のコツ

農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいコマツナ(小松菜)の育て方を紹介!コマツナ作りに欠かせない土づくりや病害虫、コマツナの収穫適期の見分け方などを説明します。


コマツナ

撮影:AGRI PICK編集部
野菜を育てた経験がある方なら「育てた野菜を食べる」ことは、何物にも代え難い格別のおいしさと感動を与えてくれます。あの採れたてのおいしさを求めて「もっと野菜のこと、栽培のことを知りたい!」そんな家庭菜園で本格的に野菜作りに励みたい方や野菜作りのプロを目指した「新規就農」を視野に入れている方に、基本的なコマツナの育て方と本格的な栽培のコツを紹介します。

コマツナ(小松菜)について

コマツナ
撮影:AGRI PICK編集部
現在の東京都江戸川区小松村付近で栽培され始めたことから、地名である小松村が名前の由来といわれ、関東地方のお正月のお雑煮の具材としても親しまれています。コマツナはアクがほとんどなく下茹で不要なので、料理にも使いやすいという特徴があります。
1年を通して市場で出回っていますが、コマツナの旬は寒さで甘みを増す「冬」が一番おいしい時期です。
一般的なコマツナの特徴として、低温期での栽培は葉柄、葉肉とも厚くしっかりしていて葉の色も濃くなり、反対に高温期での栽培は、葉柄が細くなり、葉の色も薄くなります。
植物名  コマツナ(小松菜)
学名  Brassica campestris(syn. rapa)
英名  Spinach Mustard
科名  アブラナ科
属名  アブラナ属
原産地  中国、日本
生育適温  15~25℃
発芽適温  20~25℃

コマツナの特徴

コマツナはほかの作物と比べても露地で種をまける期間が長く、さらにハウス栽培などにより周年栽培が可能な作物です。非常に育てやすい野菜のため、家庭菜園でも定番の作物です。
コマツナの生育適温は15~25℃ほどで、耐寒性に優れていることから、秋に種をまいて育てた方が大株に育ちます(品種にもよります)。
コマツナの品種は大きく分けて3タイプに分けられます。1つ目は、葉が葉柄の部分まで長く発達している有袴型。2つ目は、葉と葉柄がはっきり別れている無袴型。3つ目は、その中間的な形の中間型です。有袴型は収量、食味ともにほかの品種に比べて良いといわれていますが、コマツナの袴の部分が収穫後の荷作りなどで、束を動かす度に痛むことから、日持ちにおいては無袴型や中間型に比べてやや劣るようです。
有袴型 中間型 無袴型
収量
食味
出荷後の日持ち  ◎

コマツナの栽培時期

育てる地域や栽培する品種によってコマツナの種まきの時期が異なりますので、種を購入するときに確認しましょう。
コマツナ 種まき 収穫
寒冷地 4~9月 5~10月
中間地・暖地 3~10月 5~12月
※主に露地栽培の栽培時期。「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する場合、コマツナは周年栽培が可能です。

▼家庭菜園でコマツナを育てるならこちらもご覧ください。

コマツナ(小松菜)の栽培準備

小松菜、栽培
撮影:AGRI PICK編集部
作付け計画を立て、コマツナの種を注文したら、播種に向けて畑の準備を済ませましょう。
※播種(はしゅ)とは、作物の種をまくことです。

▼ビニールハウスなど設備関係のことならこちらをご覧ください。

コマツナの収量

小松菜、栽培
出典:写真AC
1a(100平方メートル)で160kgほど収穫することができます。
参考HP:農林水産省「平成29年産都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量 」

コマツナの種・苗の用意

地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。コマツナはビニールハウスなどで周年育てられる作物なので、栽培時期に合った品種を選ぶことも重要なポイントです。
主な産地で多く作付けされている品種は、早生種の「春のセンバツ」、中晩生種の「いなむら」などがありますが、最も労働時間を必要とするコマツナの収穫作業の負担を軽減するために、極早生種から晩生種などの品種の選定や種をまく時期をずらすなど工夫して栽培しましょう。
コマツナ品種 主な品種
早生種  春のセンバツ、なかまちなど
中生・晩生種  いなむら、夏の甲子園など

♦1a(100平方メートル)あたりのコマツナの使用種子量

(例)晩生品種:夏の甲子園(トキタ種苗)の場合
1a(100平方メートル)あたりの使用種子量は50~60mlが目安です。
参考HP:小林種苗

コマツナの土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態が良ければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材等の散布を心がけましょう。
▼土壌消毒のことならこちらをご覧ください
▼土づくりのことならこちらをご覧ください

▼土壌診断のことならこちらをご覧ください

◆コマツナの土壌pH

pH6.0~6.5が適しています。

◆コマツナに適した土壌

コマツナは土壌の水分が過剰になると、病気の原因となりますので、通気性の良い環境を作ることが大切です。水がたまりやすい場所は、畝を高くするなどの工夫をしましょう。

コマツナの肥料

コマツナを栽培するときに使用される肥料は、目安として10平方メートルあたり窒素150~200g、リン酸100~150g、カリ100~150g位です。前作で消費されずに残った肥料があると、その後の栽培に影響を及ぼすので、土壌診断を忘れずに行いましょう。

▼肥料のことならこちらをご覧ください。

畝立て

畝幅は75~150cm、条間は15cm位にします。播種機を使う場合は、使用する機械の仕様に合わせた畝の向きや高さ、幅にする必要があります。

▼耕運機、鍬のことならこちらをご覧ください。


▼マルチ栽培のことならこちらをご覧ください。



コマツナ(小松菜)の育て方

小松菜、栽培
撮影:AGRI PICK編集部
畝や種の準備が整ったら、コマツナ栽培のスタートです。

種まき

小松菜、種まき
出典:写真AC
コマツナの発芽適温は20~25℃ですが、5~35℃の環境下でも発芽します。発芽適温時に種をまくと2~3日で発芽しますが、それ以外の環境下では、2~3倍の日数が掛かります。

◆種まき前は十分な灌水(かんすい)

発芽するまでの種子が乾燥すると発芽率が下がりますので、適度な土壌水分を保つことが重要です。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えることです。灌水ホース、灌水装置など農業でよく使用する言葉なので覚えましょう。


◆すじまきのポイント

深さ1cm位の溝を付けてすじまきで種をまき、5mmほど覆土して土を軽く押さえますが、コマツナの種は好光性種子のため、土を被せ過ぎないようにすることがポイントです。
コマツナの種はとても小さいので、ペレット加工された種子やシーダーテープ種子を使用してもいいでしょう。
※ペレット加工種子とは、不整形種子や偏平種子、微細種子を取り扱いしやすいように加工した種子です。
※シーダーテープ種子とは、ひも状の溶ける素材の中に1粒ずつ種子が入った、種まきの作業効率を高める製品です。

▼播種機のことならこちらをご覧ください。

間引き

1回目は本葉1~2枚のころに3~4cm間隔で、2回目は本葉が3~4枚になったら5~6cm間隔にします。

水やり

基本的にほかの野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝に行わないと根を傷めてしまいますので注意しましょう。

◆生育後期の多湿に注意

コマツナは多湿状態で軟弱徒長したり、病害虫が発生しやすくなるため、生育後期の土壌は乾き気味に管理します。
灌水に部分的なムラが生じると、コマツナの生育ムラに繋がるので注意しましょう。
※軟弱徒長とは、植物の葉厚や葉の色が薄くなり、茎や葉柄および葉身が弱々しく間延びした状態。

▼土壌水分計のことならこちらをご覧ください。

追肥

コマツナの肥料は基本的に元肥のみで、生育不良な場合は液肥などを使用して対応します。

▼液肥のことならこちらをご覧ください。


コマツナ(小松菜)の収穫

一般的にコマツナの草丈が25~28cm位になったら収穫適期です。それ以上大きくなると、繊維質が硬くなり食味が落ちるので、取り遅れには注意しましょう。
収穫する際は根ごと抜き取り、その後包丁でコマツナの根の部分を切り取ります。
家庭菜園でのコマツナ収穫はお好みの草丈で構いません。また、外葉から順次収穫することで長い間収穫することも可能です。

▼収穫時のおすすめグッズはこちらをご覧ください。

コマツナ(小松菜)の病害虫

コマツナを栽培する上で、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。
▼ハウス栽培での病害虫対策にはこちらをご覧ください

コマツナがかかりやすい病気

コマツナは多湿状態で病気になりやすい傾向があります。

▼植物全体の病気のことならこちらをご覧ください

◆萎黄病

糸状菌(カビ)による病気で、下葉の片側「葉基部」から黄変し、後に葉全体に広がります。また、株の片側で発症していた黄変は、次第に株全体に広がり枯れていきます。

◆モザイク病

葉がモザイク状に黄化したり、淡黄色の斑入りで葉が萎縮、または葉の中心を境に両側が巻き上がったようになる、アブラムシを媒介にして発病するウィルス性の病気です。

◆根こぶ病

アブラナ科植物にのみ発生し、根の表層で感染する土壌病害です。感染が広がると作物の生育を阻害し、萎れて枯れてしまいます。

◆べと病

葉脈で区切られた淡黄色の多角形の病斑が特徴的で、多湿環境で発生しやすい糸状菌(カビ)による病気です。病変の葉の裏側に灰白色のカビが生じます。

◆白さび病

最初葉の裏面に淡緑色の斑点ができ、次第に少し隆起したような乳白色の斑点ができる糸状菌(カビ)による病気です。

コマツナを食害する害虫

コマツナはアブラナ科の作物を好むコナガなどに注意が必要です。

◆キスジノミハムシ

黒褐色の成虫は葉を、乳白色の幼虫は根の部分を食害する、コウチュウ目ハムシ科の虫です。

◆コナガ

アブラナ科の植物を好んで食害する、世界各地に分布するチョウ目スガ科の幼虫です。幼虫を刺激すると、体をくねくねさせながら後退りして、糸を吐きぶら下がるという行動をとります。

◆カブラハバチ

アブラナ科の柔らかい葉の部分を好んで食害するハチ目ハバチ科の黒色の幼虫です。

◆ヨトウムシ

「夜盗虫」の名の通り夜に活動し、日中は葉裏や株元の浅い土中に潜んでいるヨトウガの幼虫です。

◆アブラムシ類

主に新芽や茎、蕾に発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にしてモザイク病やすす病などが発症しやすいので、アブラムシ発生後は病気が発症していないか注意が必要です。

▼防虫、防獣ネットならこちらをご覧ください。

コマツナ(小松菜)の生理障害

続いてコマツナの生理障害を紹介します。

カッピング

被害状況  葉の縁が内側に向かって折れ曲り、カップ状になる。
原因  気温が高く、乾燥状態下で発生しやすい。
▼高温障害についてはこちらをご覧ください

コマツナ(小松菜)栽培のまとめ

小松菜、栽培
出典:Pixabay
ハウス・トンネル栽培の技術、資材開発の向上や品種改良が進んだおかげで、コマツナの専作農家ではハウス栽培で年間6~7回、露地で3~4回も作付けが可能になっています。
ほかの葉物野菜の生産が減少するなかでコマツナの栽培は増加傾向にあります。これは周年供給が可能になったことにより農業経営が安定しやすいこと、近年の健康志向によりコマツナのもつカルシウム、鉄分などの栄養価に注目が集まっていることが要因となっています。
家庭菜園においては、外葉から順次必要分を収穫できる手軽さがコマツナ栽培のおすすめポイントです。お味噌汁やお浸しなど家庭料理の材料として使いやすい作物なので、ぜひ育ててみてください。


コマツナ(小松菜)の経営指標

新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

需要動向を調べる

コマツナの栽培及び市場の流通は秋冬時期の東京周辺に限られていたため、関東地方の雑煮に使用されるなど江戸時代以降庶民に親しまれてきた冬野菜でした。
1965年以降消費が全国に拡大したことから、コマツナは周年栽培されるようになり、需要も大きく成長し平成26年以降の供給量は11万tを上回っています。
参考HP:農林水産省「平成28年産野菜出荷統計」

卸価格を調べる

コマツナは、周年栽培が可能なので1年中市場で流通しています。そのため、季節や品種によっても価格の差が出ますが、卸価格は1kgあたり188~584円、平均で331円で取引されています。
参考HP:農畜産業振興機構「ベジ探

販売価格を調べる

卸価格同様にコマツナの販売価格も季節や天候などの影響で前後しますが、1kgあたり標準品で771円ほどです。
参考HP:農林水産省「生鮮野菜価格動向調査(平成28年4月~6月分)」

10aあたりのコマツナの経営収支

コマツナ栽培の産地である広島県の経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
広島 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
 周年栽培 11,300 3,854,576 2,802,318 1,052,258 1,000
→参考HP:広島県庁

◆経営費

小松菜、栽培
出典:写真AC
コマツナ栽培における経営費とはコマツナを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

◆農業所得

農業所得は粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということがいえます。

◆労働時間

労働所得を労働時間で割ると、コマツナ栽培の時給計算ができます。広島県の例でいうと、農業所得1,052,258円÷労働1,000時間=1,052,3円。つまり時給1,052円として換算します。

◆経営の状態を大まかに捉える

コマツナの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、コマツナのほかに育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設等の準備。
参考HP:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

関連する記事

コマツナ
このまとめが気に入ったら
「いいね!」をしよう

この記事のキーワード

sana
sana

農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務、エディブルフラワー事務局を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。