高温障害の原因と対策|予防方法とおすすめ資材

高温障害とは、春から夏の高温期に葉物野菜や果実の表面が褐色になるなどの障害が起こる生理障害のひとつです。高温障害で作物が被害を受けないために、肥料と葉面散布を使用した防除方法やハウス栽培での遮光対策を紹介します。


トマト 夏

出典:写真AC
高温障害とは、春から夏に植物の葉や果実に高温や強日射が原因で起こる障害のことです。真夏の最高気温が年々上がっており、高温障害で被害を受ける作物が多くなっています。そんな高温障害のポイントを押さえて対策を行いましょう。
※生理障害とは、育てる植物に適さない温度、光、土壌の状態によって生長が阻害されること。

高温障害の症状は葉の焼け、萎れ

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撮影:AGRIPICK編集部
春から夏の日差しが強い時期に「葉の表面が褐色になっている」「果実の表面が茶色くなり硬くなっている」「株が萎(しお)れている」などの症状が現れたときは高温障害を疑いましょう。
高温による症状はさまざまで、葉では焼けたように退色し、株が萎れ枯死することもあります。
花は特に影響を受けやすく、花粉が出ない、着果しない、花が落ちるなどの症状が出ます。
果実も葉と同様に日焼けによる退色や高温による軟化のため収穫、出荷できない状態になります。

高温障害の発症原因

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出典:写真AC
作物は生育適温を超えると「光合成がうまくできない」「水分を吸収できない」「植物ホルモンの異常」などのさまざまな理由で障害が起こると考えられます。
※植物ホルモンとは、植物が自ら作り出す生育の調節機能に必要な成分のこと。特に開花、着果に大きく関わります。

高温障害が発生しやすい条件とは

高温と強い日差しが原因で以下のようなことが圃場(ほじょう)に起こり、障害を引き起こします。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

◆発生時期、気温

梅雨から夏の気温が高い時期に発生します。
生育適温より5~10℃高い温度や極端な高温になることで発生が助長されます。
特にハウス栽培は温度が上がりやすく、高温障害が発生しやすい環境です。

◆強日射

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葉や果実に強い日差しが当たると、その部分の温度が上がり、光合成や呼吸、代謝異常が起こります。
上部の葉や芽、果実で発生しますが、地面からの照り返しによって下部の果実にも被害が及ぶことがあります。

◆湿潤、乾燥土壌

土壌の過剰な湿潤状態や、反対に乾燥状態で発生が多くなります。
気温の高温状態に加えて、土壌の過剰な湿潤で「根腐り」、乾燥状態では「水分不足」が要因となって、植物が萎れていきます。

高温障害が発生しやすい植物

高温障害は、夏に栽培を行う作物で注意が必要です。
イチゴ、トマト、ナスなどの果菜類は、果実や花に被害が及ぶと収穫が困難になり、収入にも多大な影響が出ます。
また、レタスやホウレンソウなどの葉菜類は、葉焼けを起こすため、収穫できない状態になるため注意が必要です。

イチゴ

葉では日焼けやチップバーンが起こるほか、水分不足のため萎れます。
果実は奇形が発生し、軟化しやすくなります。
▼チップバーンなどイチゴの生理障害についてはこちらをご覧ください

トマト

葉では日焼けのため、黄緑色〜灰白色に変色するほか、芽や葉が水分不足のため萎れます。
果実は日焼け部分が変色し、硬化、もしくは軟化します。裂果も激しく起こります。
また、水分不足にともなうカルシウム不足のため、尻腐れ果が多発します。
植物ホルモンの異常で花粉が減少し着果が悪くなるほか、花が落ちることもあります。
▼裂果や尻腐れ果などトマト・ミニトマトの生理障害についてはこちらをご覧ください

レタス

葉では葉先が褐色になるチップバーンが発生します。
結球期に高温にあたると結球異常や外葉が青くなる、外葉が増加するなどの症状が出ます。
▼不結球などレタスの生理障害についてはこちらをご覧ください


高温障害の予防方法

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出典:Pixabay
高温障害の予防は圃場の管理で行う方法(耕種的防除方法)と「葉面散布剤」の使用で行います。

高温障害を発症させない管理方法

圃場で行う高温障害の予防方法について説明します。

1. 直射日光を防ぐ

春から夏に強日射が予想される場合は、遮光を行います。
遮光には、寒冷紗(かんれいしゃ)などの遮光ネットを使用します。特に苗は日差しに弱いため、苗の時期に使用すると効果的です。
ハウス栽培では、遮光カーテンや遮光材を使用します。カーテンを展張する時間帯は季節や作物によって異なります。
▼遮光ネットや寒冷紗のことならこちらをご覧ください。

葉を増やして遮光する

真夏の高温時期は、あえてわき芽とりを控えたり、通常取り去る葉を摘葉せずに、わざと残して果実などを守る日陰を作ることも高温障害を防ぐ効果があります。
葉が増えることで植物の蒸散量も増えるため、ハウス栽培では施設内の温度を下げる効果もあります。

2. 保水性を向上する

高温時は土壌水分が蒸発しやすいため、乾燥しやすい土にはポリマルチを使用することがおすすめです。
反対に、土壌の水分が多すぎる場合は畝を高くしたり、腐植土、パーライト、バーミキュライト、ヤシガラなどの土壌改良材を投入します。

▼マルチのことならこちらをご覧ください。
▼土壌改良のことならこちらをご覧ください。

3. ミスト、クーラーの使用

ハウス栽培では、細霧冷房(ミスト)やクーラーを使用して「温度」を下げることができます。
※ミストを使用すると「湿度」が上がるため、病気の発生には気をつけましょう。

高温障害対策におすすめ肥料と葉面散布剤

肥料や葉面散布で高温障害を予防することもできます。

◆チップバーン対策には、カルシウム

チップバーンは、葉のカルシウムが不足することで起こりますが、高温時は根からの吸水が追い付かず、葉先までカルシウムが行き渡らないことが原因です。土壌中のカルシウムは、水と一緒に根から吸い上げられるので、土壌の水分を切らさないことが大切です(カルシウム剤の葉面散布も効果的)。
ITEM
ファイトカル
高温や低温、乾燥時の花芽保護に効果的。浸透剤の力により葉からすばやく吸収され植物体の隅々まで移動します。
[トマト・ピーマン]尻腐れ防止
[イチゴ]チップバーン、軟弱果防止
[葉菜類]縁枯れ・葉先枯れ防止、葉ボケ防止
[植物全般]濡れ性(保湿性の向上)

・内容量 1L
・有効成分 硝酸性窒素(5%) 有機キレートカルシウム(10.5%(CaOとして))保湿浸透剤トレハロース

◆トレハロースが水分を保持する

高温時の萎れには、食品にも使われるトレハロース(糖)が効果的です。
トレハロースは細胞内に水を保持して、蒸散を抑制させるなどして、萎れを軽減することができます。
特に高温期、ホウレンソウやコマツナなどの葉物類の萎れ軽減に効果的で、作物の増収、品質の向上などが期待できます。
ITEM
トレエース
各種栽培ストレスを軽減し、健全な生育を促します。
野菜、花、果樹、お茶を始め、幅広い品目、用途で利用できます。
植物体に健全な生育を促し、栽培面においては寒害対策、高温期のしおれ軽減、鮮度保持などが期待できます。

・内容量 500g
・有効成分 トレハロース(50%) 有機酸、カルシウム、微量要素など


高温障害に何より大事なのは遮光

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出典:写真AC
高温障害は強い日差しと、温度上昇によって起こる生理障害です。
遮光ネットや遮光カーテンなどを使用して、植物に届く日差しを和らげます。
また、圃場の温度を下げることで、水分不足やホルモン障害なども防ぐことができます。
日差しが十分に降り注ぐ厳しい真夏の高温時期に、高温障害対策を行い、作物の収量アップを目指しましょう。

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rinko

農協、農業資材メーカーで農業技術指導をしていました。 現場目線の記事作成を心がけていきます。