失敗を未然に防いで収益アップ!季節に合わせたハウス栽培管理

ハウス栽培は管理の良し悪しや、四季の移り変わりによる気温や湿度の影響も受けやすく、季節に合わせた環境制御が必要不可欠になります。ハウス栽培の利点を生かした季節に合った管理方法で、作物の生育を促進して収益をアップをさせるコツを紹介します。


ガラス温室

出典:写真AC
閉鎖された環境の中で作物を育てるハウス栽培は、自然な状態とは異なり、管理の良し悪しで作物の生育に大きな影響を与えます。それに加えて、四季の移り変わりによる気温や湿度の影響も受けやすく、季節に合わせた環境制御が必要不可欠になります。
ハウス栽培の利点を生かした季節に合った管理方法で、作物の生育を促進して収益をアップをさせるコツを紹介します。

こんな管理が作物の生育を抑制している!?

季節ごとのハウス栽培の失敗事例について紹介します。

間違いだらけ!?冬の管理〜失敗事例

CO2
出典:写真AC
冬は日射量や温度が低いため、ただでさえ作物の生育が衰えますが、間違った管理によってさらに作物を弱らせている場合があります。

1. 炭酸ガス不足

冬は外気の温度が低いことからハウスを密閉することが多いため、炭酸ガスが不足している場合があります。
炭酸ガスが不足すると光合成量も不足して、作物の生育が悪くなります。

2. 低温

「冬でもハウス栽培ならば日中の加温は必要ない」と思いこみ、昼間に暖房機の設定を切り、ハウス内を加温しないことがよくあります。
厳寒期は夜間だけでなく、日中でもハウス内の温度が下がりやすいので、作物の生育限界温度を下回ることが多々あります。

間違いだらけ!?春の管理〜失敗事例

水やり
出典:写真AC
1月末ごろから日射量の増加とともに気温がどんどん上昇します。
ハウス内は外(露地)よりも季節が早く進むため、冬から春にかけての温度変化に気付くことができず、作物を萎(しお)れさせてしまうことがあります。

1.  灌水量不足

日射量が多くなり、ハウス内の気温が高くなると、作物が要求する水分量も多くなります。
※灌水(かんすい)とは水を注ぐこと、植物に水を与えること。

2.  換気不足

温度が上昇してくるとハウスの換気が必要です。特に朝の換気が遅れがちになります。

間違いだらけ!?夏の管理〜失敗事例

太陽
出典:写真AC
夏の暑さによる高温障害が発生しやすい季節です。
▼高温障害のことならこちらをご覧ください。

1.  遮光の遅れ、かけ過ぎ

夏の晴れた日に遮光カーテンを閉めるのが遅れると、直射日光が当たりハウス内の作物に高温障害が起こります。
反対に曇りや雨の日に遮光カーテンを閉めっぱなしにした過度な遮光は、日射量が不足して作物を弱らせてしまいます。

2. 植え付け時期の失敗(西日本)

7月後半〜8月中旬は一年で最も気温が高く、作物にとっては過酷な時期です。この時期に苗を植え付けしてしまうと順調に育たないことが多いです。

3. 害虫被害

コナジラミ、ハダニなど害虫の侵入、発生が多くなる時期です。害虫対策を怠るとあっという間にハウス内の作物に被害が広がります。

間違いだらけ!?秋の管理〜失敗事例

秋
出典:写真AC
冬に向かい急に寒さが増してくる秋は暖房機の準備が必要です。

1. 暖房機準備の遅れ

暖房機の点検やダクトの敷設が遅れて、気温低下の対応に間に合わない場合があります。

2. 多湿による病気

昼夜の温度差で、夜間に葉露(結露)が発生しやすい時期なので病気が多発します。


収益アップを目指す!季節に合わせたハウス栽培管理のポイント

トマト
出典:写真AC
季節に合わせた管理のポイントについて説明します。

冬の管理のポイント

温度
出典:写真AC
寒さと日射量不足に負けない管理が収益アップのポイントです。

1. 炭酸ガス施用

冬のハウス内で不足しがちな炭酸ガスを施用します。光合成量をあげて品質や収量を向上させましょう。

▼ハウス栽培での炭酸ガス施用のことならこちらをご覧ください。

ランクアップ!
冬場はハウスを閉めっぱなしにして栽培を行う時期なので、環境制御が行いやすい時期でもあります。
いつもより炭酸ガス濃度を高めに設定してみたり、温度は作物の光合成適温に近付けるために高めに設定してみるなど、生育を促進する管理を行ってみましょう。
ただし日射量が少ないため、作物が弱らないように気を付けます。


2. 十分な加温

作物の生育限界温度を下回らないように設定するのはもちろんのことですが、生育に適した温度に近付けることで、冬場でも良好に保つことができます。
夜間だけでなく、昼間も暖房機の設定をして寒さによる根傷みなどを防ぐことで、春先暖かくなってからの生育促進に繋がります。
生育限界温度を下回らないように温度を設定にしていても、施設のサイドや入り口付近などでは温度が低いことがあります。実際のハウス内温度を計測しながら、どの場所でも最低気温を下回らないように暖房機を設定しましょう。
また、ダクトの敷設方法を工夫するなどしてハウス内に温度のムラが起こらないようにします。

▼ハウス内の温度管理や作物の生育限界温度のことならこちらをご覧ください。

3. 光合成を助ける資材の使用

日射量が少ない冬は、どうしても光合成量が落ちてしまいます。
光合成を助けるアミノ酸などを含む肥料などを使用するのも効果的です。

ITEM
ペンタキープ ハイパー Hyper 5000
ペンタキープは、植物の光合成を高める“5-アミノレブリン酸”を世界で初めて配合した液状肥料です。
“5-アミノレブリン酸”は、植物や動物の体内にある大切なアミノ酸で、植物体内ではクロロフィル(葉緑素)の前駆体となる物質です。
バランス型の肥料にアルギニンを加え、不良環境時の窒素の代謝とALAの効果を増強しました。

・内容量:800ml
・肥料成分:窒素(8%)、水溶性リン酸(6.0%)、水溶性カリ(4.0%)、水溶性苦土(4.0%)、水溶性マンガン(0.110%)、水溶性ホウ素(0.170%)、尿素、L-アルギニン、5-アミノレブリン酸塩酸塩

ランクアップ!
日射量に比例して葉の枚数を管理することで、季節に合わせた管理を行うことができます。
日射量が少ない秋や冬は葉の枚数を少なくしてエネルギー消耗を抑えます。

▼植物の光合成についてはこちらをご覧ください。

春の管理のポイント

温度上昇
出典:写真AC
温度と日射量が上昇してくる冬から春の管理のポイントです。

1. 灌水量の増加

日射量や温度の上昇に合わせて、作物が必要とする灌水量も増加します。
冬場の誤った管理方法で根傷みしている場合は、うまく根から吸水できない可能性があります。その際は、発根を促す資材を使用して根の働きを復活させましょう。

ITEM
酸素供給剤 MOX
土壌中に酸素を速やかに供給して土壌環境を改善する液剤です。
灌水することで根の呼吸を助け、根の張りを旺盛にします。
土壌中で分解して、土の中を好気性にします。

・内容量:10kg

ランクアップ!
冬から春先にかけて作物に合った十分な灌水を行うと、春からの収穫量がバツグンに増加します。
冬場の温度の下げ過ぎによる根傷みと灌水量の増やし方に気を付けて、春からの収穫量アップを目指しましょう。


2. 温度の上昇に合わせた換気

遅れがちな朝の換気に注意!ハウス内の温度を正しく計測して換気を行いましょう。

夏の管理のポイント

遮光
出典:写真AC
夏の暑さを防ぐ遮光対策と害虫防除を行います。

1.  適切な遮光

直射日光が入る時間帯は遮光カーテンを閉めてハウスの温度上昇を防ぎ、朝夕や曇雨天時はカーテンを開けて日射量を取り込むようにします。
遮光剤を屋根に塗布する場合は、梅雨明けと同時に遮光が開始できるように準備しておきます。

ランクアップ!
葉の枚数を増やすことで日陰を作り、果実を守る遮光方法もあります。葉を増やすことで根から吸水する力も増すので果実の生長も促進されます。
また、蒸散量が増加することで、高温時に乾燥しがちなハウス内の湿度が上がり「細霧冷房」の代わりになるような効果も期待できます。


2. 苗の植え付けは暑い時期を避ける(西日本)

植え付けをする場合は、一年で最も暑い7月末〜8月中旬ごろは避けます。
西日本より南では、苗の植え付けは8月下旬以降がおすすめです。

3. 害虫対策

コナジラミやハダニなど、害虫による被害を未然に防ぐために、入り口や天窓の防虫ネットの破れを補修するなどの対策を行います。
▼コナジラミやハダニの詳しい防除対策はこちらをご覧ください。

秋の管理のポイント

農薬
出典:写真AC
秋は寒い冬になる前の早めの準備や点検が大切です。

1. 早めの暖房機準備

冷え込むと一気に業者が混み合うため、暖房機の点検や準備は早めに手配をしておきましょう。

2. 病気の予防

秋の長雨の時期はあらかじめ病気予防の農薬散布を行い、昼夜の温度差で夜間に葉露が発生する時期は夜間に暖房機や循環扇を回すなど対策を行いましょう。

ランクアップ!
ハウス内湿度が90%を越えると葉が結露する可能性が高くなります。夜間の葉の結露は病原菌を活発にし、病気多発の原因となります。
日中の換気をしっかりと行い、夜間は断続的に暖房機が稼働する設定にして、温度を上げて湿度を下げ、葉に結露させない管理を心がけます。

▼病気と農薬についてはこちらもご覧ください。


▼湿度対策についてはこちらもご覧ください。

失敗しない!季節に合わせた素早い対応で収益アップを!!

ハウス栽培で収益をアップするためには、季節に合わせた管理を行うことはもちろん、炭酸ガスや温度・湿度といった栽培環境の管理の基本を押さえることがポイントになります。
環境の変化に合わせた素早い対応で栽培作物の生育を良好にして、攻めの姿勢でハウス栽培の管理を行い、品質・収量アップを目指しましょう。

▼栽培管理の基本を抑えるならハウス栽培のまとめ

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ペンタキープ ハイパー Hyper 50…

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。

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