キスジノミハムシを防除する方法

アブラナ科作物の中でも特にダイコンに多大な被害を及ぼすキスジノミハムシの発見のポイントや防除対策、効果的な予防方法、使用する薬剤について詳しく説明します。


キスジノミハムシ

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育てているアブラナ科の野菜の葉に穴があいていたり、根部に丸い小さな穴があいている場合は、キスジノミハムシが発生しているかもしれません。本記事では、ダイコンやカブ、コマツナ、チンゲンサイなどのアブラナ科野菜を食害するキスジノミハムシの発見のポイントや予防と対策、使用する薬剤について初心者の方にもわかりやすく紹介します。

キスジノミハムシとは

作物を食害するキスジノミハムシの成虫
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キスジノミハムシは体長2〜3mmほどの黒い甲虫で、背中に黄色い模様が入っているのが特徴です。ノミのように飛び跳ねることからノミハムシとも呼ばれています。
名前  キスジノミハムシ
学名  Phyllotreta striolata
分類  コウチュウ目ハムシ科
多発時期  6~8月
加害部  葉、根

キスジノミハムシの生態

全国に分布し、年数回(3〜5回)発生します。暖地の方が発生数は多く、山間高冷地の発生回数は少ない傾向があります。

卵の特徴

卵は地際部に近い土壌表面や根部に産卵されます。
産卵数は雌1匹あたり150~200個ですが、多い個体だと600個以上産むこともあります。
大きさ  長径約0.3mm
 白
期間  3~5日

幼虫の特徴

幼虫はうじ虫状で、深さ10cm以内の土中に生息します。根を食害し、期間10~20日で3齢を経て地表近くに移動し、土まゆを作って蛹になります。
大きさ  体長約4mm
 頭部:褐色 胴部:淡黄〜乳白色
特徴  全体に粗毛
期間  10〜20日

成虫の特徴

成虫は葉に丸い穴をあけながら食害し、幼虫は根部に小さな丸い窪みをつけて食害し、生育を弱らせます。またダイコンの根部が被害に合うと著しく商品価値が低下してしまいます。
キスジノミハムシの成虫は、落ち葉や枯れ草の下や雑草の根元などで越冬します。越冬した成虫は春まきのハクサイ、ダイコンなどアブラナ科植物を摂食して平坦地で3月、高冷地で4月ごろより活動を始めて、4月下旬〜5月に産卵が行われます。
大きさ  体長約2〜3mm
 黒褐色、左右の翅に黄色の縦すじ
特徴  後脚は発達し、ノミのように高く跳ねる

キスジノミハムシが発生しやすい条件

春から秋(3〜10月)にかけて、特に6〜8月に多発するキスジノミハムシが好む条件について説明します。

天候

6~7月に雨が少ない状況下で多発しやすい傾向があります。

気温

夏の高温期で気温の高い状態を好みます。
暖冬の場合、越冬成虫の生存率が高くなり、翌春の発生量が多くなります。

連作

アブラナ科野菜を連作すると多発します。

キスジノミハムシの被害が多いアブラナ科の作物

キスジノミハムシが被害を与えるアブラナ科作物
出典:Flickr(photo by JIRCAS Library)
キスジノミハムシはダイコン、ミズナ、カブ、コマツナ、チンゲンサイ、キャベツなどのアブラナ科野菜を好んで食害します。

成虫による被害

キスジノミハムシの成虫による食害
出典:wikimedia
成虫は直径約1mmの円形の食害痕を残します。食害痕は葉の生長とともに穴が広がり、不規則な裂孔となります。
ハクサイ、ダイコン、カブでは幼苗期の被害で枯死することもあります。

▼ハクサイの害虫のことならこちらをご覧ください。

幼虫による被害

ダイコン、カブなどの根部表面を食害します。軽微な場合は1mm程度の小さな穴が点々とあきます。
ダイコンでは被害が進むと幼虫がうろうろと歩き回ったような「なめり状」や、ザラザラとした「サメ肌状」になって品質が低下します。
これらの傷口から軟腐病菌が入り病気が発生することもあります。

▼ダイコンの害虫のことならこちらをご覧ください。

▼軟腐病のことならこちらをご覧ください。


キスジノミハムシに有効な5つの対策

キスジノミハムシの被害が拡大する前に行う対策について説明します。

1. 圃場周辺の環境整備

圃場にアブラナ科の作物が無い場合は、周囲のナズナやキレハイヌガラシなどのアブラナ科雑草に寄生して発生源となっているので、圃場周辺の雑草管理を徹底します。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

▼雑草管理に使用する除草剤のことならこちらをご覧ください。

2. 土壌消毒

夏まきダイコンなどを植える前には、土壌消毒をすると殺虫効果が期待できます。

▼土壌消毒についてはこちらをご覧ください。

3. 被覆資材

キスジノミハムシの成虫の飛来を防ぐ被覆資材が防除に有効です。

防虫ネット

ネットの目合いは0.6mm以下で銀糸入りの防虫ネットがおすすめです。

ITEM
防虫ネット
格子状になっているので、適度な透光性・通気性・強風暖和に優れ、育成促進効果も期待できます。
5cm間隔で入っている縦縞のシルバーラインが、太陽光に反射し害虫を寄せ付けにくくする効果があります。
農薬の使用量を減らし、安全安心な野菜を栽培するとともに、コストも削減にもつながり一石二鳥です。

・サイズ:幅1.8×長さ20m
・目合い:約0.6mm

シルバーマルチ

キスジノミハムシは光反射を嫌がる習性があるため、シルバーマルチによる光反射で飛来を軽減することができます。
地表面との間に隙間ができないように、被覆資材の端は土中に埋め込んでおきましょう。
ITEM
シルバーマルチ
春、夏、秋栽培の葉菜・根菜果菜の栽培に使用するマルチングフィルムです。
光の反射効果により、キスジノミハムシ 、アブラムシ類への忌避効果、反射光線の確保にも使われます。
一般的なマルチング栽培の効用として地中水分の確保、肥料の流亡を抑える、土が固くならない、病気の発生が少なくなるなどがあります。

・サイズ:厚さ0.02mm×幅95cm×長さ200m

4. 農薬(殺虫剤)

キスジノミハムシの農薬による対策は、は種や定植時の粒剤処理と、生育期の成虫に対する農薬散布で行います。
特に夏期は、成虫が1頭あたり多くの卵を産み卵から成虫になるサイクルが早いため、散布剤による早めの成虫対策も必要です。

▼安全に農薬を使用するためにこちらをご覧ください。

は種時や定植時に施用して予防

夏季の栽培はキスジノミハムシの密度が高くなり、作物の生育初期から加害するので、は種時の粒剤処理が効果的です。
ITEM
プリロッソ粒剤
オオタバコガ、コナガなどのチョウ目害虫および、キスジノミハムシ、カブラハバチ、コナジラミ、 アブラムシ、アザミウマ、ナモグリバエの広範囲な害虫に卓効を示します。
主に害虫の摂食により薬剤が虫体に取り込まれ、速やかに摂食活動を停止させます(処理後約3~4週間の残効)。
また、これにより害虫が媒介するある種の病害の伝播を減少させるなどの効果も期待できます。

・容量:1kg
・有効成分:シアントラニリプロール(0.50%)

生育期にはコレを散布!

成虫を見かけたら、散布して防除します。
ITEM
アルバリン顆粒水溶剤
広範囲の害虫(コナカイガラムシ類・コナジラミ類・ハモグリガ・アブラムシ類・アザミウマ類など)に優れた効果があります。
高い浸透移行性があり、速効性、残効性に優れます。
魚類・鳥類・天敵に安全性が高く使いやすい薬剤です。

・容量:100g
・有効成分:ジノテフラン(20.0%)

5. 緑肥・エンバクのすき込み

緑肥作物であるエンバクを圃場で栽培しすき込んでおくと、キスジノミハムシの忌避効果がありますが、これはエンバクに「ヘキサコサノール」という忌避物質を豊富に含んでいるためと考えられています。
エンバクのすき込みは十分に腐熟させるため、植え付けや、は種の約20日以上前に行ないます。
エンバクはネグサレセンチュウ類の予防にも効果があり、同時防除が可能です。

▼緑肥のことならこちらをご覧ください。

▼センチュウ類のことならこちらをご覧ください。

キスジノミハムシから作物を守るために

キスジノミハムシは成虫が葉を幼虫が根を食害して生育を悪くしたり、作物の商品価値を失わせたりします。防虫ネットやシルバーマルチなどで成虫の飛来を防ぐほか、栽培初期から農薬の粒剤を使用して効果的に予防しましょう。

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シルバーマルチ
プリロッソ粒剤
アルバリン顆粒水溶剤

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。

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