白さび病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)

葉の裏面が少し隆起したような乳白色の斑点ができる、糸状菌(カビ)による「白さび病」の発見ポイントや感染しやすい時期や環境、植物について紹介します。さらに、白さび病の防除や対策方法について、おすすめの薬剤(農薬)など詳しく説明します。


白さび病

撮影:AGRI PICK編集部
白さび病とは、葉裏に白色の突起状の斑点ができる糸状菌(カビ)による病気です。主にカブ、コマツナ、ミズナ、ダイコンなどのアブラナ科類に感染します。葉、葉柄、茎、花に拡大することもある白さび病の症状と発見のポイントを押さえて、予防と早期発見、防除を心がけましょう。

白さび病の症状は白く盛り上がった斑点

ポツポツと白色の立体的な斑点があれば、白さび病を疑いましょう。
最初は葉の表面に淡緑色から淡黄色の小斑が多数生じ、病斑の裏(葉裏)が乳白色にやや盛り上がります。その後、盛り上がった病斑の表皮が破れ、白い粉状の分生子が現れて飛び散り、葉の裏面が真っ白になることもあります。
※分生子(ぶんせいし)とは、菌糸(きんし)の一部が伸びて、その先がくびれてできる胞子(分生胞子)。

▼植物の病気の症状についてはこちらの記事もご覧ください

白さび病の原因

白さび病
撮影:AGRI PICK編集部
白さび病は糸状菌(カビ)が原因の病気です。生きた細胞だけに寄生する「絶対寄生菌」で、病斑内部に形成された卵胞子が第一次伝染源となります。病気の名前に「さび」と付いていますが、ネギ類に発生する褐色の病斑の「さび病」とは菌の種類が異なります。
名前  白さび病
学名 White rust
菌名 Albugo macrospora
分類 糸状菌/鞭毛菌類
発生時期 3~5月、10~11月
胞子発芽  0~25℃
発芽適温  10℃前後

白さび病は「水分」で感染する

白さび病菌は鞭毛(べんもう)菌類の一種で、第一次伝染源となる卵胞子が水分で発芽し、「遊走子」という水分を泳ぐことができる鞭毛を持つ病原体を放出し、気孔から侵入、そして感染に至ります。そして、この菌糸が細胞内に、はびこり広がることで、表皮下に分生子(遊走子のう)が多数形成され、その盛り上がった病斑の表皮が破れて白い粉状の分生子がまた降雨や湿気による「水分」で発芽し、水分を泳ぐ遊走子が作物に到着し、第二次伝染を引き起こします。
つまり、白さび病は「水分」によって第一次感染源が発生し、さらに「水分」によって感染が広がる病気です。

白さび病は「冷涼」で「多湿」な環境で広がりやすい

白さび病の分生子(または卵胞子)の発芽は0~25℃で行われ、適温は10℃前後です。また、感染源となる作物や残渣(ざんさ)に雨が当たり、跳ね上がることで感染が広がることが多いため、春(3~5月)や秋(10~11月)の気温がやや低く雨が多い時期は、特に気を付ける必要があります。
※残渣とは、圃場などに残った生育(栽培)を終え枯れた植物体。

白さび病発見後の頭上水やりはNG

雨が降った後は、白さび病の兆候がないか、葉をめくり葉裏を確認しましょう。白さび病の潜伏期間は5~7日なので雨上がり1週間は注意が必要です。また、白さび病に感染した作物への頭上からの水やりは、感染を広げることになるので、潅水は株元が鉄則です。

栽培環境の改善

水はけの悪く、多湿な栽培環境は、白さび病の病原菌が生存、蔓延しやすい環境となりますので、土壌の改良が必要です。

白さび病が発生するアブラナ科作物

白さび病は、アブラナ科の野菜に多く発生します。しかし、どのアブラナ科野菜にも発生するわけではなく、白さび病の病原菌には主に3つの生態種が確認されています。

3つの系統の異なる白さび病

白さび病は、主に「カブ、ハクサイ、コマツナ、タイサイ、ミズナ、キョウナなどを侵す」系統と、「ナタネ、カラシナ、ミズナ、ヨウシュナタネ、タカナなどを侵す」系統、「ダイコンだけを侵す」系統の3つが知られています。つまり、名前が同じ「白さび病」といえども系統の異なる生態種のため、ダイコンに感染した白さび病は、コマツナには感染しないのです。

▼カブやハクサイ、コマツナ、ミズナの育て方ならこちらをご覧ください。

ダイコンの白さび病(わっか症)とは

ほとんどの白さび病は、根以外の部分に発生しますが、ダイコンを侵す白さび病が根に発症すると、「わっか症」といわれる症状が発生することがあります。葉に白さび病が発生した際、ダイコンの収穫期近くになって発生することが多く、青首部に5~10mm程度の円形の淡い黒色の斑紋を生じることがあります。

▼ダイコンの育て方ならこちらをご覧ください。


白さび病に有効な予防方法

白さび病に有効な予防は、「農薬を使わず」に圃場の管理で行う方法(耕種的防除方法)と、「農薬の使用」で行います。さまざまな方法を組み合わせて、適切な白さび病の予防を行いましょう。
※圃場(ほじょう)とは、田や畑のような農作物を育てる場所のことです。

白さび病を発症させない「農薬を使わない」管理方法

農薬を使わずに行う白さび病の予防方法についてご説明します。

1. 前作の残渣の処理

白さび病は生きた植物上で生き残り越冬、越夏し感染源となります。前作の残りの植物体に生き残っている可能性もあるので、残渣はなるべく圃場外に持ち出して処理します。

2. 連作の防止

病原菌が好むアブラナ科植物の連作を控えましょう。違う系統の野菜を輪作してください。

▼連作のことならこちらをご覧ください。

3. 施肥の見直し

窒素過多が病気発生の原因の一つなので、元肥、追肥は適切に行いましょう。植え付けときに土壌分析を行い施肥量を確認することも効果的です。

4. 水はけの良い圃場づくり

土壌中に水分が多いと、白さび病の胞子が発芽してしまいます。圃場の湿度が上がらないように、水はけの良い土づくりを目指します。
畝を高くしたり、腐植土、パーライト、バーミキュライト、ヤシガラなどの土壌改良材を投入して、効果的な土質改善を行いましょう。

▼土壌改良のことならこちらをご覧ください。

5. 風通しを良くして、湿度を低く保つ

植え付け後は、過繁茂に気を付けましょう。適度に風通しを良くすることで、植物の周りの空気を入れ替え、湿度を下げる効果があります。古い葉や傷んでいる葉は取り去ります。

6. 灌水方法の見直し

白さび病は水の跳ね上がりで感染する場合が多いので、頭上からの潅水は要注意です。株元潅水を心がけてください。またポリマルチで泥はねを予防することも効果的です。

白さび病の予防に効果的な「農薬」

農薬を使用して、より効果的に白さび病を予防しましょう。特に降雨の後は、集中的に散布することがおすすめです。耐性菌の発生を予防するためにも、薬剤を組み合わせてローテーションで散布することをおすすめします。また、使用する薬剤に作物の登録があるか、必ずご確認ください。
※耐性菌とは、薬剤(農薬)に含まれる抗菌薬(抗生物質)が効かない菌のことです。
※農薬は地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

病気対策に欠かせない農薬散布のタイミングや、選び方・使い方のことならこちらをご覧ください。

ユニフォーム粒剤

ITEM
ユニフォーム粒剤
前年病気が発生した圃場や、雨が多く気温が低そうな時期に植え付ける場合には、ユニフォーム粒剤の使用がおすすめです。優れた浸透移行性があり、作付け前に土壌混和で病害を抑えることができます。アミスター20の成分も含むため、より効果が期待できます。

・容量:3kg
・有効成分:メタラキシルM(1.0%)、アゾキシストロビン(2.0%)

ジーファイン水和剤

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ジーファイン水和剤
有効成分である炭酸水素ナトリウム、無水硫酸銅は食品添加物にも認可されており、有機農産物の日本農林規格に適合した薬剤です。

・容量:250g
・有効成分:炭酸水素ナトリウム(46.0%)、無水硫酸銅 (30.0%銅として 12.0%)

ダコニール水和剤

ITEM
ダコニール1000
有効成分TPNが、ダイコンわっか症に効果的です。(ハクサイにも登録があります。)

・容量:30ml
・有効成分:テトラクロロインソフタロニトリルTPN(40.0%)


▼農薬を安全に使用するためにまずはこちらをご覧ください。

▼希釈方法や散布後の処理方法などそのほかの農薬のことなら農薬まとめをご覧ください。

白さび病発見後の効果的な対策

白さび病を発見してしまった際にはどうすれば良いのか、その効果的な対策をご紹介します。

白さび病発症後の被害部分の「除去」

白さび病の発生が確認された場合は、ただちに取り去りましょう。除去したものは胞子が飛ばないように、ビニール袋に入れて圃場外に持ち去ります。
また、発生が広がらないように圃場の環境を見直しましょう。古い葉が残っている場合は、さらなる伝染源となる可能性があるので、ただちに取り去りましょう。

白さび病の治療に効果的な「農薬」

効果的な農薬を使用して、早期に白さび病を治療しましょう。病気の発生が見られたら、短期間で数回散布することがおすすめです。
※使用回数は農薬登録を遵守してください。

アミスター20フロアブル

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アミスター20フロアブル
浸透移行性があり、治療効果の高い殺菌剤です。

・容量:250ml
・有効成分:アゾキシストロビン(20.0%)

ランマンフロアブル

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ランマンフロアブル
卵菌類病害に優れた効果を示します。

・容量:100ml
・有効成分:シアゾファミド(9.4%)

キク(菊)の白さび病とは

キクに発生する白さび病は、発病するとキクの品質が著しく低下し、被害が一晩で広がってしまうほど拡大スピードが早い重要な病害の一つです。全国のキク生産地で発生し、被害の大きい病気の一つとなっています。
キクに発生する白さび病も、葉裏に白色突起状の病斑ができる症状ですが、アブラナ科類を侵す白さび病とは分類が異なる「担子菌類」(ネギ類のさび病等と同じ分類)です。キク白さび病は、栽培キクと野生キクにのみ感染し、キク以外には感染しない病気です。
霧が出る、夜露がつく時期に被害が拡大します。夜間、葉の表面が一定時間以上濡れていると発病するので、湿度対策を心がけましょう。

白さび病対策に何より大事なのは育てる環境

白さび病は多湿を好みますので、水はけの良い土壌を目指しましょう。降雨が多く、気温が低い時期(春、秋)は、白さび病の兆候がないか圃場を注意して観察してください。感染した植物体が圃場に残っていたらすぐに取り去り、アブラナ科の輪作を避け、病原菌の土壌蔓延を防ぎましょう。

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ユニフォーム粒剤
ジーファイン水和剤
アミスター20フロアブル
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農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。

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