台風対策の心得!農作物を病気や生育不良から守る方法

年々大型化する台風の影響で露地栽培では農作物を傷めてしまい、泥はねによって病気を蔓延させることで、農家に大損害を与えてしまいます。台風の被害を最小限に抑え、農作物を病気や生育不良から守るために、圃場や施設内でできる対策について説明します。


台風

出典:写真AC
農家にとって年々大型化する台風の影響は深刻です。露地栽培では農作物を傷め、泥はねによって病気を蔓延させたり、施設栽培ではハウスが破損するなど、農家に大損害を与えています。
台風の被害をできる限り最小限に抑え、農作物を病気や生育不良から守るために、圃場や施設内でできる対策について説明します。

台風前に行う雨・風対策と忘れがちな病気対策

台風対策
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まずは台風の進路、規模を知っておくことが重要です。

台風の規模を知る

台風はヘクトパスカル(hPa)で表され、台風時のヘクトパスカル(hPa)の数値が低いほど台風の勢力が強いといえます。
また、進路を確認して台風の中心から逸れていても、台風の東側に位置する場合、最も風が強く、被害が発生しやすいので注意が必要です。

台風前に行う対策

台風対策、倒れたトウモロコシ
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台風で農作物に被害が出るのは、強い風にあおられて農作物が傷むこと、雨によって病気が蔓延することです。
特に植え付けたばかりの秋冬栽培の野菜苗は強風で折れやすく、その折れた傷口から病原菌が入り、傷みやすいのが特徴です。
また、局地的な大雨や低い場所の圃場は冠浸水しやすく、根が酸欠状態になり苗が全滅してしまうこともありますので、台風の到来が予見されたら必ず対策を行いましょう。

露地栽培での台風前対策

露地栽培は雨と風、両方の対策が不可欠ですが、さらに泥はねによって引き起こす病気を未然に防ぐ対策も忘れずに行います。
台風通過前に農薬を散布して病原菌を少なくすることで、台風通過後の病気の発生リスクを抑えることができます。
※使用する薬剤に作物の登録があるか必ず確認し、地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

風対策
・草丈の低い作物は風害、海に近い地域では海水による塩害を防ぐために、通気性のある被覆資材などで全面を覆う。
・草丈の高い作物は支柱を立てて補強する。

雨対策
・圃場からの排水をスムーズにするために、排水路のゴミは取り除く。

病気対策
・風雨によってできた傷口から雑菌が入りこみやすくなるので台風の通過前にも農薬を散布する。
※台風の時期に栽培されるアブラナ科野菜苗では、黒腐病、黒斑細菌病も蔓延しやすくなる。

◆軟腐病、黒腐病対策におすすめ!

ITEM
Zボルドー銅水和剤
多くの野菜・果樹に適用があり、幅広い病害の予防効果に優れた効果を発揮する使いやすい銅殺菌剤です。
銅剤の中でも非常に効果の安定した塩基性硫酸銅を主成分としております。
銅の他に亜鉛、マグネシウムを特殊製法で配剤し、微量要素欠乏に役立ちます。

・容量:500g
・有効成分:塩基性硫酸銅(58.0%(銅32.0%))  塩基性硫酸亜鉛(15.0%)  塩基性炭酸マグネシウム(6.0%)


ITEM
バリダシン液剤5
散布後茎葉に吸収され、導管内の細菌の増殖をユニークな作用機構(糖代謝系酸素阻害)で抑制します。
液剤タイプなので作物への汚れの心配がありません。
結球後期までの防除が可能です。ハクサイ・タマネギ防除では、収穫3日前まで使用できます。
高温時の散布でも薬害の心配がほとんどありません。

・容量:500ml
・有効成分:バリダマイシンA(5.0%)

施設栽培での台風前対策

ビニールハウスなどの施設が破損すると、その後の栽培にも影響し、重大な損害となります。入念な台風対策の準備をしましょう。

風対策
・飛来物によってビニールやガラスが破損することがあるので、ハウス周辺に放置しているものを片付ける。
・施設内に破損箇所が無いか確認し補修する。
・ビニールハウスを固定するマイカー線や鉄筋をしめ直す。
・作物が植え付けられていない場合は、ビニールを外して骨組みのみにして被害を最小限に抑える。
・ハウス内にも風が入り込み、作物が絡み合うことがあるので、草丈の長い作物は芽先に近い部分までしっかりと支柱やひもに固定する。
・風雨を防ぐため、天窓や入り口などの開口部は閉める(天窓は少しでも開いていると風であおられて故障、破損することが多い)。

▼台風の対策ならこちらの記事もご覧ください。


台風後の復旧と病気や生育不良から作物を守る方法

台風
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台風が過ぎ去った後は速やかな復旧作業を行い、風雨で傷ついた作物のケアをします。

台風後の復旧作業

台風
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まずは圃場を元に戻す作業に取り掛かりましょう。

露地栽培での復旧作業

1. 速やかな排水
速やかに圃場から排水されるように、排水路にある台風で運ばれたゴミを取り除く。
2. 資材の片付け
被覆資材や支柱を片付ける。
3. 潮水の洗い流し
海岸近くの圃場では海水が降り注いだ可能性があるため、ただちに散水して茎葉に付いた塩分を洗い流す。


施設栽培での復旧作業

台風が過ぎた後は、作物とハウスに被害が及んでいないか確認します。
台風シーズンには次々と台風が発生するので、修理が間に合わない場合、次の台風でさらに大きな被害となるため速やかな修理が必要です。周辺の農家も同じように被害を受けていることも多いので、なるべく早く修理の依頼をかけましょう。

1. ハウスの開放
・台風が過ぎ、晴れて温度が急激に上がる前に開口部を開け空気を入れ替える。
・急に強日射にさらされると作物に萎れや傷みが発生するため、遮光ネットなどをかける。
2. 被害の確認
・ハウスに破れ、破損などの被害が無いか速やかに確認する。
・ガラスが割れている場合は、破片が作物に付着している恐れもあるため入念に掃除をする。

▼ハウス栽培の高温・直射日光を防ぐことならこちらの記事をご覧ください。

台風によって発生しやすい病気と生育不良の対策

特に露地栽培は、台風の風雨の影響を直に受けます。台風後病気が発症していないか確認するとともに、発生する前の予防対策として農薬の使用も有効です。
※使用する薬剤に作物の登録があるか必ず確認し、地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

台風発生後発生しやすい病気と使用する薬剤(農薬)

細菌による病害
軟腐病、黒腐病、黒斑細菌病など


◆使用する薬剤(農薬)は台風前に行う対策「軟腐病、黒腐病対策におすすめの薬剤(農薬)」を参照ください。

 

カビが原因の病気
べと病、炭疽病など



◆カビ病の発生前に予防的に散布!

ITEM
ジマンダイセン水和剤
保護殺菌剤で、 植物体上に付着して主として胞子発芽を強く抑制する事により、 病原菌の侵入を阻害し殺菌効果を発揮します。
薬剤耐性が発達しにくく、 他剤の耐性菌対策としても効果が期待できます。
多くの作物の病害対策にもっとも広く利用されている殺菌剤のひとつで、 国内では39作物の100種類を越える病害、また柑橘には害虫 (チャノキイロアザミウマ、ミカンサビダニ)に使用できます。

・容量:500g
・有効成分:マンゼブ(80.0%)   

台風の影響による生育不良を防ぐ方法

台風、農作物、被害
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雨が多く冠浸水してしまった圃場では、酸欠による根傷みの可能性があります。

根痛み
・速やかな排水。
・新たな発根を促すための薬剤を土壌や葉面などに灌注または散布。

◆作物の光合成を助け、発根を促す!

ITEM
ペンタキープ ハイパー
ペンタキープは、植物の光合成を高める“5-アミノレブリン酸”を世界で初めて配合した液状肥料です。
5-アミノレブリン酸”は、植物や動物の体内にある大切なアミノ酸で、植物体内ではクロロフィル(葉緑素)の前駆体となる物質です。
バランス型の肥料にアルギニンを加え不良環境時の窒素の代謝とALAの効果を増強しました。

・容量:800ml
・有効成分:5-アミノレブリン酸


◆酸欠状態の土壌に、酸素を供給して根張りをよくする!!

ITEM
酸素供給剤
土壌に酸素を供給し、酸欠による生育不良を改善し、土壌中に酸素を速やかに供給して土壌環境を改善する液剤です。
灌水することで、根の呼吸を助け、根の張りを旺盛にします。
即効性の酵素をM.O.X 10kgから約200リットル放出します。
土の中で分解しますので、土の中を好気性にし、土自体をやわらかくします。

・容量:10kg


▼ハウス栽培での作物の生育をUPする方法はこちらをご覧ください。

台風対策は準備を入念に行い被害を最小限に抑える

台風対策、倒れた稲
出典:写真AC
台風の対策は雨や風以外にも、病気の発生を防ぐ事前の農薬散布などの準備を入念に行うことで、作物や施設の被害を最小限に抑えることが重要です。
次々とやってくる台風シーズンは、速やかに次の台風に備えることを忘れずに、台風通過後も油断することなく病気の発生を未然に防ぎ、作物の生育が悪くならないように葉面散布などのケアをしましょう。

 

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rinko
rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。