カブラハバチ類を駆除・防除する方法

老齢幼虫の姿が黒く、主にアブラナ科野菜の葉を食害することから、別名ナノクロムシ(菜の黒虫)と呼ばれるカブラハバチ類の幼虫の生態や早期発見するためのポイント、未然に防ぐ予防方法や有効な農薬などの駆除対策を紹介します。


カブラハバチ

出典:Flickr(photo by gailhampshire)
育てているアブラナ科の野菜の葉に穴があいていたり、葉脈を残して激しく食害されている場合は、カブラハバチ類の幼虫が発生しているかもしれません。
ダイコン、ミズナ、カブなどのアブラナ科野菜を食害するカブラハバチ類の発見のポイントや予防と対策、使用する薬剤について初心者の方にもわかりやすく紹介します。

カブラハバチ類とは

カブラハバチ
出典:wikimedia
カブラハバチ類の中でも、主にカブラハバチ、ニホンカブラハバチ、セグロカブラハバチの幼虫が、アブラナ科野菜の葉の太い葉脈だけを残して食害します。集団で発生すると、ほぼ丸裸になるほど食べ尽くされることもあります。
比較的農薬に弱いので、農薬を使用していない家庭菜園や有機栽培でよく発生します。
カブラハバチ類の幼虫の体は、黒色〜黒藍色をしているので「ナノクロムシ」とも呼ばれています。
名前
(学名)
・カブラハバチ(Athalia rosae ruficornis
・ニホンカブラハバチ(Athalia japonica
・セグロカブラハバチ(Athalia infumata
分類  ハチ目(膜翅目)ハバチ科
多発時期  5~6月、10~11月
発生適温  15~25℃
加害部  葉

カブラハバチ類の生態

カブラハバチは年に5~6回、ニホンカブラハバチは年に2回、セグロカブラハバチは年に5回以上発生を繰り返します。

カブラハバチ類の越冬

成長した幼虫は土中に入って繭(まゆ)を作りその中で越冬します。 4月下旬ごろから蛹化して5月には成虫が出現します。

卵の特徴

葉の縁の葉肉中に1卵ずつ産み込みます。

幼虫の特徴

セグロカブラハバチ、幼虫
出典:Flickr(photo by janet graham
幼虫は体長2cm以下でイモムシの形態をしています。手で触れたり、刺激を与えると体をまるめてすぐに落下します。
1〜2齢幼虫は灰色をしており、3齢以降は灰藍色をしています。また3齢以降の幼虫には以下のような特徴があります。
名前 特徴
カブラハバチ  黒い斑点や小突起が無い
セグロ
カブラハバチ
 体側に13個の黒紋
ニホン
カブラハバチ
・多数の横縞
・背面に小突起

成虫の特徴

カブラハバチ
出典:wikimedia
3種類の成虫の頭部、触角、翅は黒色で、腹部は橙黄色。
胸部と脚の橙黄色と黒色の形態の違いで、カブラハバチ、セグロカブラハバチ、ニホンカブラハバチを見分けることができます。

カブラハバチ類が発生しやすい条件

カブラハバチ
出典:wikimedia
カブラハバチ類が好む条件について説明します。

発生時期

5〜11月に発生し、特に春(5~6月)と秋(10~11月)に多く発生します。
高冷地では、カブラハバチとセグロカブラハバチは夏(7〜9月)に発生が多い傾向にあります。

通風不良

風通しが悪いと、カブラハバチ類が発生しやすい傾向があります。

カブラハバチ類の幼虫の被害が多いアブラナ科の作物

カブラハバチ類はダイコン、ミズナ、カブ、コマツナ、チンゲンサイ、キャベツ、ハクサイ、野沢菜などのアブラナ科野菜を好んで食害します。ダイコン、カブでは地際部の根部を食害されることもあります。

カブラハバチ類の幼虫と間違いやすい害虫

はじめは葉にアオムシやヨトウムシのように穴をあけて食害しますが、幼虫が成長すると太い葉脈だけを残して葉の縁から食害するようになります。
▼間違いやすいアオムシとヨトウムシのことならこちらをご覧ください。


カブラハバチ類に有効な5つの対策

カブラハバチ類の被害が拡大する前に行う対策について説明します。

1. 圃場周辺の環境整備

イヌガラシやナズナなどアブラナ科の雑草が発生源となっているので、圃場周辺の雑草管理を徹底します。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

2. 防虫ネット、寒冷紗の利用

防虫ネットや寒冷紗などでカブラハバチ類の成虫の飛来を防ぐことで、幼虫の発生を抑えることができます。
目合いは2mm以下のものをおすすめします。
ITEM
防虫ネット 1mm目 180cm×10m
縞のシルバーが太陽光線を反射して、大切な農作物を害虫から守る効果があります。
ネットの上から水やりOK、トンネル用やべたかけ用にも最適です。

・サイズ:幅180cm×長さ10m
・目合い:1mm

3. 風通しを良くする

風通しが悪い場所で発生しやすい傾向があるため、密植は避けて古い葉はなるべく取り去り、風通しを良くしましょう。

4. 人の手で捕獲

幼虫を発見したら、割り箸などで捕獲しましょう。突いたり葉を揺すると簡単に落下して丸くなる習性があるので、下に容器などを添えて確実に捕獲します。

5. 農薬(殺虫剤)で駆除

カブラハバチ類は農薬には弱く効果が出やすい害虫です。ほかの害虫防除とあわせて、予防的に農薬を散布しましょう。
※生産者の方は、地域の防除指導機関やJAなどが推奨する効果の高い薬剤を選定し使用基準を守って作物にあった薬剤を使用しましょう。
※家庭菜園の方は、駆除したい虫をしっかり把握したあと、必ず作物にあった薬剤を選びましょう。

苗の時期から散布して予防

浸透移行性があり、長期間よく効きます。
ITEM
プレバソンフロアブル5
チョウ目をはじめ、ハエ目など幅広い害虫に高い効果があります。
新しい作用性で、既存の薬剤抵抗性害虫にも高い効果を示します。
吸収移行性に優れるので、省力的な灌注処理が可能です。茎葉処理で約2週間、灌注処理では約4週間もの長期間にわたり、効果が期待出来ます。

・容量:250ml
・有効成分:クロラントラニリプロール(5.0%) 

ほかの害虫も同時防除

アブラムシなどの害虫も同時に防除しましょう。
ITEM
マラソン乳剤
速効性を有する有機リン系の殺虫剤で、適用作物が広く使いやすい薬剤です。
植物に浸透移行性があり、吸汁性害虫に効果があります。 

・容量:500ml
・有効成分:マラソン(50.0%)

カブラハバチ類から作物を守るために

カブラハバチ類は幼虫が葉を激しく食害して生育を悪くしたり、作物の商品価値を失わせてしまいます。防虫ネットなどで成虫の飛来を防ぐほか、比較的農薬が効きやすいので、ほかの害虫の対策と合わせて、農薬で効果的に予防しましょう。

関連する記事

カブラハバチ
このまとめが気に入ったら
「いいね!」をしよう

この記事のキーワード

rinko
rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。