菜園家・ブルーベリー研究家
福田 俊東京農工大学農学部農学科卒。「どうすればおいしい野菜がたくさん採れるか」「いかにラクで楽しい野菜づくりができるか」を追求し、「フクダ流」自然農的有機栽培を実践。16平米という限られたスペースの市民農園で、年間50品目以上の野菜を有機・無農薬で栽培しています。監修を務めた家庭菜園誌や著書も多数。 ■関連サイト HP:http://www.fukuberry.com/ Youtube:https://www.youtube.com/user/f104ryo Instagram:https://www.instagram.com/fukuberry104/?hl=ja Twitter:https://twitter.com/29da104 facebook:https://www.facebook.com/toshi.fukuda.73 ■著書:『市民農園1区画で年間50品目の野菜を育てる本』(学研プラス)、『フクダ流家庭菜園術』(誠文堂新光社)、『福田さんのラクラク大収穫!野菜づくり』(学研パブリッシング)…続きを読む
カボチャの収穫時期
カボチャの収穫までの日数
カボチャの収穫時期は一般的に開花後から40~50日といわれています。関東圏では7月から8月にかけてが収穫シーズン。しかし、坊ちゃんカボチャや栗っプチなどのミニカボチャの場合は開花後30~40日と比較的短めです。実際は、その年の天気や梅雨明けのタイミングなどにより生育が変わってくるので、カボチャの生育状況を観て判断します。収穫のベストタイミングは、収穫シーズン中の4、5日。その前後では早過ぎたり遅過ぎたりして品質が変わってきてしまうと感じるほど、見極めが難しいのです。
カボチャの地域ごとの収穫時期
カボチャの栽培地ごとの収穫時期は以下の表の通りです。栽培地(露地) | 収穫時期 |
冷涼地 | 8月〜9月上旬 |
中間地 | 7月下旬〜8月上旬 |
暖地 | 6月下旬〜7月上旬 |
暖地(南部) | 11月〜12月上旬 |
カボチャの早採り・採り遅れは禁物
見た目では食べごろのカボチャに見えても、じつは収穫のベストタイミングでない場合も。早採りのカボチャは外皮が薄く、傷付きやすいので保存性が低くなり品質が落ちてしまいす。また、食味に関しても水っぽくなってしまったり、甘味が落ちてしまうといった傾向があります。また、採り遅れてしまうと夏の暑さにさらされて果皮が褐色に変色したり、熟し過ぎて腐ってしまうなんてことも…。収穫時期の天気チェックは必須
カボチャの収穫適期が近づいてきたら、乾燥した晴れの日を天気予報でチェックしましょう。梅雨明け前の7月初旬から中旬には長雨が続くことがあり、そのころに収穫すると腐りやすくなってしまいます。また、晴れた日であっても朝露が乾く9時ごろから作業するとより乾燥した良い状態で収穫できますよ。カボチャを収穫する目安
実際に収穫のタイミングの目安になるのはカボチャに出るサインです。ヘタとヘタ周辺の果皮に注目しましょう。1. コルク化しているかチェック
第一のカボチャの収穫の目安はヘタのコルク化の進み具合です。上の写真のように緑色の部分が多い場合はまだコルク化したとはいえません。上の写真のように果皮に近いヘタの周辺がコルクのように硬くなり、それより上のヘタの部分もコルク色である状態が収穫のベストタイミングです。
2. 果皮の色と硬さをチェック
果皮の色と硬さも収穫の目安となります。果皮の色につやがなく緑色が濃いこと、果皮に爪を立てても傷が付かないことが収穫のサインです。カボチャの収穫と保存方法
うまく時期を見極めて収穫できたカボチャは、できるだけ長く保存しておいしく楽しみたいですよね。ここからは、収穫したカボチャの追熟や保存方法について解説します。長期保存できるカボチャの品種も紹介するので、自分で育てたカボチャを長く味わいたい人は要チェックです。収穫後はキュアリング(追熟)をしよう
収穫直後のカボチャは水っぽくて甘みも弱いので、2~3週間ほど日陰で風通しの良い保管場所に置いて追熟させましょう。これをキュアリングといいます。保管している間にでんぷんが糖分に変わり、甘味が増していきますよ。カボチャの保管方法
カボチャの保管場所の温度は10~15℃が理想ですが、夏の間のみ20℃前後の場所でも長期保存ができます。収穫後に30℃以上の高温が続くと、キュアリングの期間でも腐敗が進んでしまうことがあるので、その場合、夏の間は冷蔵保存で暑さに当てないようにできると良いでしょう。農家では遮光ハウスで扇風機を回しながら乾燥・保管することも。カボチャ同士が接触しないように置いて、腐った物は早めに廃棄するといった対策をとれば、一般的なカボチャでも11月ごろまで持たせることができます。
長期保存に向く品種
えびすカボチャや栗カボチャなど一般的なカボチャに比べ、保存性の高い品種を栽培することも長くカボチャを楽しむポイントの一つです。基本的には白い色をしたカボチャは保存性が高く、上手に保存すれば4〜5カ月ほど楽しめます。糖度が高くないスープ用の品種は使い方が限られますが、変色などがなく保存管理が楽なのでおすすめ。
カボチャの収穫にまつわる失敗例と対策方法
生育旺盛なカボチャゆえに、採り遅れると畑で腐ってしまったり、地面についていた部分だけが熟してしまったりとトラブルが発生することも。その中でもよく起こりやすい失敗と対策をご紹介します。1. 黄色く日焼けしたところが熟して腐ってしまった
梅雨明け後の高温や強い日差しにさらされると、カボチャの表面が褐色から茶色に変色し、さらにそこから腐敗してしまうことがあります。収穫の前になるとカボチャを覆っていた葉がうどん粉病などになり枯れてしまい、直射日光が直接表面に当たることが大きな原因です。このような直射日光による変質を防ぐ対策として、新聞紙を被せたり、わらで覆ったりといったことが行われていますが、風に飛ばされてしまったり、雨で劣化してしまったりして管理に手間がかかるのがネックです。おすすめはクラフトテープの利用です。
2. 表面が白く腐ってしまった
カボチャは元々排水の良い土地を好む野菜ですが、排水の悪い土地での栽培や梅雨の長雨によりカボチャ綿腐病にかかりやすいことが知られています。白色・綿状のカビが密生した状態になり、果肉が軟腐化してしまう病気です。露地栽培で、果実の地面に接する部分からよく発生します。カボチャ綿腐病への対策としてはカボチャを地面に接触させないことが一番。農家ではフルーツマットとグリーンマルチによる方法が一般的です。
フルーツマットを使った栽培
収穫の2週間ほど前から、カボチャの下に白いマットを敷いて土が直接つかないようにする栽培方法です。マットにはくぼみがあり、空気が通るようになっているのでカビの発生を防いでくれます。ダンゴムシやミミズなどによる食害からも守ることができますよ。
グリーンマルチを使った栽培
畑が広くフルーツマットをカボチャ1玉1玉に対して敷いていくのが大変という場合は、カボチャの定植の時期の少し前にグリーンマルチを畝間にまき、ツルが畝間に伸び始めたころに刈り倒して、敷きわらとして活用するという方法もあります。3. 地面についているところだけ黄色い
カボチャの変色は熟成していることの現れでもあり、褐色の部分は甘味があります。ただ、そこから腐敗が進んでしまったり、見た目にも影響があったりもします。もし、色むらなくきれいに栽培したい場合は、玉直しという作業を行う必要があります。果皮の色がある程度濃くなってきたら、実の位置を変えて裏面にも日を当て、色をしっかりのせるようにしましょう。
玉直しには相当な手間がかかるので、放任でも色むらなく育てられる支柱を使った空中栽培もおすすめです。