モザイク病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)

アブラムシなど害虫を媒介にして感染する「モザイク病」が発生しやすい時期や環境、トマトやジャガイモなど感染しやすい植物についてもご紹介します。さらに、モザイク病の防除や対策方法について、媒介害虫へのおすすめ薬剤(農薬)など詳しくご説明します。


キュウリ、モザイク病

出典:Flickr(Photo by :Scot Nelson)
モザイク病とは、葉の緑が濃淡のモザイク症状となる、ウイルスによる病気です。このウイルスは主にアブラムシによって媒介されます。一度発病してからの治療方法は無く、アブラムシの防除が必須です。そんなモザイク病の症状と発見のポイントを押さえて、予防と早期発見、防除を心がけましょう。

モザイク病の症状は葉が濃淡のモザイク状

かぶ、モザイク病
出典:Flickr(Photo by :Scot Nelson)
「葉が濃淡のモザイク状になる」などの症状が現れた場合は、モザイク病を疑いましょう。最初、葉の緑色がまだらに色抜けし、モザイク状になります(花弁が色抜けすることもあります)。やがて葉が矮化(わいか)する、新芽がねじれる、株の生長が抑制されるなどの症状が現れます。
※矮化とは植物が正常に伸びていかず抑制された状態となり、草丈が正常時に比べて低くなって小型化すること。
▼植物の病気の症状についてはこちらの記事もご覧ください

モザイク病の発症原因

オクラ、モザイク病
出典:Flickr(Photo by :JIRCAS Library)
モザイク病はウイルスが原因の病気で、主にアブラムシによって媒介されます。
アブラムシは、4〜10月ごろ晴天が続き降雨が少ない環境で多数発生します。このアブラムシの発生がモザイク病に感染するリスクを高めています。
名前  モザイク病
分類  ウイルス
発生時期  4~10月
発病適温  25~30℃

モザイク病の原因は「ウイルス」

モザイク病の感染原因となるウイルスの伝搬は虫によるものと、人間の管理作業(汁液伝染)によるものがあります。

1. 虫による伝搬

植物がモザイク病に感染すると植物内で増殖し、その植物を虫が吸汁することで、ウイルスも一緒に虫の体内へ移動します。そして、体内にウィルスをもつ保毒虫が次の植物を吸汁することで、ウイルスは虫の口針を通って伝染します。このようにモザイク病は、虫の伝搬によって感染が広がっていきます。
モザイク病を媒介するのは主にアブラムシです。アブラムシの発生が多いと、病気が発病する株も多くなります。
モザイク病には病気自体を治療する方法は無いため、アブラムシなどの害虫対策を行い予防することが重要です。

2. 人間による伝搬

モザイク病のウイルスは、日々の管理作業によっても伝搬します。摘葉(葉かき、芽かき)、収穫などの管理作業で、人の手やはさみ、ナイフについた汁液によって植物から植物へとウイルスが感染します。

モザイク病に感染する主な植物

モザイク病
出典:Flickr(Photo by :Scot Nelson)
モザイク病は野菜類、花卉(かき)類、ほぼどんな植物でも感染する病気です。ここでは、モザイク病が問題となっている主要な作物とその症状を紹介します。

野菜類

野菜類ではキュウリ、トマト、ジャガイモ、ピーマン、ナスなどに発生します。
作物名 症状
キュウリ ・葉が緑の濃淡のモザイク症状となり、被害が進むと縮れなどがみられる。
・茶褐色の斑点が出ることもあり、果実にもモザイク症状や奇形が生じる。
トマト ・ウイルスは数種類あり、複合して感染することもある。
・主に葉や茎が緑の濃淡のモザイク症状になり、果実がまだらに色抜けするえそ症状となる場合もある。
・トマトモザイクウイルス(Tomato mosaic virus;ToMV)は土壌伝染する。
ジャガイモ ・ウイルスは数種類あり、病原体によって症状が異なる。
・主に葉がモザイク症状になり、黒いえそ斑点が出ることもある。
・病気に感染した種イモは伝染源となる。

草花

モザイク病
出典:Flickr(Photo by :Scot Nelson)
草花ではチューリップ、バラ、シンビジウム、パンジー、ジニアなどに発生します。
モザイク病に感染した株の球根を植える、接ぎ木、挿し木をすると必ず発病するため控えましょう。

果樹・樹木

桑、モザイク病
出典:Flickr(Photo by :JIRCAS Library)
果樹、樹木ではミカン、りんご、アジサイ、クワ(桑)などに発生します。
モザイク病に感染した株の挿し木、苗木、穂木の使用、株分けなどは必ず発病するため控えましょう。

モザイク病とほかの病害の見分け方

葉が色抜けする、芽先が縮れる、萎れるなどの症状が現れた場合、微量要素障害や根腐萎凋病などの病気も疑われます。
モザイク病などのウイルス病の場合、一畝、1ラインがまるごと萎れていることがありますが、これは人の手によって行われる管理作業でウイルスが伝染したからです。このような感染の仕方をしている場合は、ウイルス病であることが濃厚です。


モザイク病予防に有効な対策

モザイク病の予防は、主にアブラムシ対策です。また圃場内でウイルス病の蔓延を防ぐための方法も紹介します。

圃場で行う「農薬を使わない」対策

農薬を使わない圃場で行う対策です。

1. 圃場や菜園周りの除草

アブラムシは圃場や菜園の外の雑草から飛来します。圃場や菜園周辺の除草を徹底して、伝染源を根絶しましょう。

2. シルバーマルチや防虫ネットの利用

苗床では防虫ネットを使用し、アブラムシの侵入を防ぎましょう。アブラムシは下から光が当たると、上下の感覚が分からなくなり性質があります。日光を反射させることで集団飛来を抑制するシルバーマルチを利用することがおすすめです。

ITEM
シルバーマルチ 厚さ0.02mmX幅95cmX長さ200m
春、夏、秋栽培の葉菜・根菜果菜の栽培に使用するマルチングフィルムです。
光の反射効果により、アブラムシ類への忌避効果、反射光線の確保にも使われます。
一般的なマルチング栽培の効用として地中水分の確保、肥料の流亡を抑える。 土が固くならない、病気の発生が少なくなる等々があります。


▼マルチについてはこちらもご覧ください。



▼防虫ネットについてはこちらもご覧ください。



▼アブラムシの対策は下記の記事もご覧ください。

3. モザイク病に強い品種の利用

モザイク病に強い品種を利用することが最も効果的です。トマトでは、ほとんどの品種で抵抗性が導入されています。
※品種の例…キュウリ:Vアーチ、Vロード(タキイ種苗)など

4. 剪定ばさみ、ナイフ、手指の消毒

ウイルス病は汁液で感染します。作物の管理(剪定、収穫など)に使うはさみやナイフ、手指は定期的に消毒してください。1ライン進んだら消毒、など決まりを作っておくと忘れにくく、被害を最小限に抑えられます。病気の発生が見られた場合は、一株毎に消毒してください。
◆はさみやナイフは第三リン酸ナトリウムの飽和液での消毒がおすすめです。

ITEM
ビストロン10
植え替え、株分け、花や葉を切るときなどに使用する器具類の消毒にお使いください。器具類に付着するウイルスを不活性化し、器具類からのウイルス感染をおさえます。
器具類は一株使用するごとに消毒してください。

・内容量:1L
・有効成分:第三リン酸ナトリウム(10%)

◆手指の消毒はレンテミンがおすすめです。

ITEM
レンテミン液剤
シイタケ菌糸体培養物より抽出した抗ウイルス剤で、有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能です。
また、株分けや管理作業時に手指、はさみなどの器具の消毒にも使用できます。

・内容量:100ml
・有効成分:シイタケ菌糸体抽出物

トマトモザイク病には土壌消毒

アブラムシによって媒介されるモザイク病は、土壌中に菌が残ることは無いので、通常土壌消毒の必要はありません。
しかし、トマトモザイク病に特異的な「Tomato mosaic virus;ToMV(トマトモザイクウィルス)」という菌は種子によって伝染し、被害残渣(ざんさ)とともに土中に残って土壌伝染します。
トマトモザイク病が疑われた際の土壌は、薬剤を使った消毒を行うか、なるべく入れ替えましょう(太陽熱消毒では、ほとんど効果はみられません)。
現在では抵抗性品種が多く販売されていますので、抵抗性品種の導入が効果的です。
※残渣とは、圃場などに残った生育(栽培)を終え枯れた植物体。

アブラムシに効果的な「農薬」

農薬を使用してアブラムシを防除しましょう。作物ごとに使用する農薬にアブラムシの登録があるか必ず確認してください。また、散布は1回だけではなく、定期的に農薬の種類を組み合わせてローテーション散布することがおすすめです。
※農薬は地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

◆モスピラン・トップジンMスプレー

農薬が効きにくくなっているアブラムシにも高い効果があります。1カ月持続効果があります。うどん粉病、炭そ病など病害も同時防除可能です。
ITEM
モスピラン・トップジンMスプレー
薄めずそのまま散布できます。
野菜や花の害虫と病気を同時に防除します。
害虫には接触及び持続効果、病気には予防と治療効果があります。
浸透移行性の殺虫成分で、コナジラミなど葉裏にいる害虫にも有効です。

・内容量:420ml
・有効成分:アセタミプリド・チオファネートメチル

◆ウララDF

アブラムシに高い効果があり、作物によっては4000倍でも使用可能なので経済的です。

ITEM
ウララ DF
アブラムシ類、コナジラミ類などの半翅目害虫や、アザミウマ類に対して殺虫効果があります。
高い浸透移行性を持っているので新梢の被害が問題となる果樹のアブラムシ防除にも適しています。
概ね2~3週間の残効性があります。

・内容量:250g
・有効成分:フロニカミド(10.0%)

◆粘着くん液剤

有効成分に食品であるでんぶんを使用しています。粘着成分が、アブラムシの呼吸の穴(気門)を封鎖して、窒息させます。コナジラミやハダニにも効果があります。

ITEM
粘着くん液剤
本剤は有効成分として食用デンプンの一種を使用しております。 このため、農作物生産者および消費者に対する安全性はきわめて高い防除資材です。
本剤の殺虫効果は薬液が虫を被覆することによる『虫体の捕捉』と『呼吸阻害』の物理的作用によるもので、比較的短時間で効果を発揮します。

・内容量: 1L
・有効成分:ヒドロキシプロピルデンプン(5.0%)


▼農薬についてはこちらをご覧ください。

モザイク病の人体への影響は?

モザイク病は植物の病気なので、触ったり食べたりして人に感染することはありません。一方、モザイク病に激しく侵された農作物は、植物自体が病気に対抗して毒素を生成している可能性があるので(ファイトアレキシン、アレルギー原因タンパク質など)、人体に影響が無いとは言えず、食べるのはあまりおすすめしません。

モザイク病対策に何より大事なのはアブラムシ対策

モザイク病は発生から主にアブラムシによって媒介されるウイルス病です。まずはアブラムシの対策を行いましょう。
圃場回りの除草、予防的な農薬散布が効果的です。モザイク病は管理作業によっても伝染するので、日頃からはさみ、ナイフなどの消毒を心がけてください。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。