コナガを効率よく駆除・防除する方法

キャベツなどのアブラナ科作物を食害する害虫「コナガ」の生態や卵・幼虫・成虫の特徴、早期発見するためのポイントを紹介します。農作物に多大な被害を及ぼさないために、天敵や有効な農薬などの駆除対策、未然に防ぐ予防方法をしっかりおさえましょう!


コナガ、幼虫

撮影:AGRIPICK編集部
キャベツなどのアブラナ科作物を食害する害虫「コナガ」の生態や卵・幼虫・成虫の特徴、早期発見するためのポイントを紹介します。農作物に多大な被害を及ぼさないために、天敵や有効な農薬などの駆除対策、未然に防ぐ予防方法をしっかりおさえましょう。

コナガとは

コナガ
出典:Wikimedia
名前  コナガ(小菜蛾)
学名  Plutella xylostella
英名  Diamondback moth
分類  チョウ目スガ科
活動時期  春から秋
成虫の体長、特徴  体長10mm前後、灰褐色、背面の模様は淡黄色のひし形
幼虫の体長、特徴  老齢幼虫10mm位、淡黄色(1齢)〜緑色(2〜4齢)
被害作物  アブラナ科作物
生育サイクル、発生回数  16日前後(生育は温度の影響を受ける)、10〜12回/年
天敵  クモ類、ハサミムシ類、鳥類、寄生蜂など

コナガの生態

コナガの原産地は地中海沿岸地から西アジアで、現在では世界中に分布しています。
コナガは卵から羽化するまでに16日前後を有しますが、温度の違いで日数は10日ほど前後し、年間10〜12世代の驚異の発生回数を誇る世界的に被害を与えている害虫です。

コナガの卵の特徴

コナガ、卵
撮影:AGRIPICK編集部
 楕円形、小判形
 淡黄色
大きさ  直径0.4〜0.5mm、短径0.2mm
産卵場所  葉裏の葉脈や食害痕
産卵個数  単独、数個

コナガの幼虫の特徴

 体の先端がとがり気味
 淡黄色〜緑色
体長  老齢幼虫約10mm
動き  触れると葉の上で飛び跳ねる、後退り、糸を吐いてぶら下がる

コナガの蛹(さなぎ)の特徴

場所  外葉や下葉の葉裏
 淡緑色〜淡褐色
 紡錘形(ぼうすいけい)の荒い目の繭

コナガの成虫の特徴

コナガ
出典:Flickr(Photo by :Ben Sale)
模様  羽を閉じた背面に淡黄色のひし形の模様
 灰褐色
体長  約10mm

被害と発見のポイント

コナガ
出典:Flickr(Photo by :Forest and Kim Starr)
コナガは昭和30年代ごろまで作物の害虫として注目度の低い害虫でしたが、近年アブラナ科作物を好んで食害する要注意害虫としてクローズアップされています。

コナガによるアブラナ科作物の葉の被害

アブラナ科作物を好んで食害するコナガですが、アブラナ科に含まれるカラシ油の成分に引き寄せられて食害しているのではないかといわれています。
大発生するとハクサイやキャベツの葉を商品価値がなくなるほどまで食害します。

葉の裏

葉裏に産み付けられたコナガの卵が孵化(ふか)すると、1齢幼虫はまず葉肉内の組織を食害します。2〜4齢幼虫になると葉裏や新芽に生息して、葉裏から葉の表皮と葉脈を残して食害します。

葉全体

被害が拡大すると葉脈を残して全体を食害します。

アオムシやウワバ類、ヨトウムシ類との見分け方

コナガのほかにも、アブラナ科作物を好んで食害する害虫にアオムシ、ウワバ類、ヨトウムシ類がいます。
同じアブラナ科作物の害虫ですが、比べてみると老齢幼虫の体長に大きな違いがあり、コナガがほかの害虫に比べて小型であることがわかります。
コナガ アオムシ ウワバ類 ヨトウムシ類
老齢幼虫体長  10mm  30mm  30〜40mm  30〜40mm
幼虫の色  淡黄色〜緑色  緑色  主に緑色  主に茶褐色(変異あり)
行動  触れると葉の上で飛び跳ねる、後退り、糸を吐いてぶら下がる  あまり動かない  2対の腹脚で体を支えシャクトリムシのように歩く  昼間は土中、夜間に活動
卵の形  楕円形、小判形  米粒、徳利形  まんじゅう形  卵塊のように産み付けられる

コナガが多発する時期

関東より西の地域では、真夏を除く春から初夏、秋に発生が多くみられます。
積雪が多い地域では越冬できないため(野外で)、暖かくなってから越冬可能な地域から飛来して活動を開始します。

コナガが好む植物

害虫被害
出典:写真AC
コナガはアブラナ科植物を好む害虫ですので、野菜も草花も種類がアブラナ科なら要注意です。

アブラナ科野菜

ハクサイ、キャベツ、カリフラワー、カブ、ダイコンなどアブラナ科野菜を多く食害します。なかでもハクサイやキャベツの被害は甚大です。

アブラナ科草花

ストック、葉牡丹、イヌガラシなど、やはりアブラナ科の植物を食害します。


有効な3つの駆除対策

コナガを駆除するにあたって「抵抗性の発達」というのがキーポイントになります。
当初、コナガの駆除で使用されていた薬剤は有機リン系を使用していましたが、コナガの薬剤の抵抗性が高まったため、合成ピレスロイド系を使用するようになり、さらにBT剤、IGR剤が使用されるようになっています。
コナガの薬剤への順応の高さは驚くばかりです。

1. 1〜2齢幼虫にはミスト状の水も効果あり

雨の多い時期にコナガの発生が少なくなることからも、水とコナガには何か関係があるようです。
生産者の体験談として、1〜2齢の若齢コナガにミスト状の水をかけると駆除できたという報告もあるようです。

2. 3〜4齢幼虫に効果的な農薬(殺虫剤)

概ね発生初期の頃でなければ殺虫の効果がでにくいため、コナガの早期発見、早期駆除が農薬使用の重要なポイントです。
※生産者の方は地域の防除指導機関やJAなどが推奨する効果の高い薬剤を選定し使用基準を守り、作物にあった薬剤を使用。
※家庭菜園の方には駆除したい虫を把握し、必ず作物にあった薬剤を使用。

◆スピノシン系:スピノエース

有機農産物にも使用できる天然成分由来の殺虫剤で、散布後は太陽光線や微生物の働きにより、水や炭酸ガスなどに分解されるため、環境への負荷が比較的少ない農薬です。コナガの各ステージに優れた防除効果を発揮します。

ITEM
スピノエース顆粒水和剤
バージン諸島で発見された土壌放線菌(サッカロポリスポラ スピノサ) から生まれた新しい殺虫剤です。従来の殺虫剤とは全く異なる作用機作を持つため、薬剤抵抗性の発達により既存薬剤では防除が困難なコナガをはじめアオムシなどに優れた防除効果を発揮します。
効果の発現は速効的で、散布翌日から高い効果が認められます。残効性にも優れ、通常の条件下では 7〜10日以上の効果を示します。
 
内容量 :100g
有効成分 :スピノサド(25.0%)

◆IGR系:アタブロン

昆虫の表皮に含まれる成分を作らせないようにする殺虫剤なので、新しい表皮が作られず脱皮ができなくなり死に至ります。

ITEM
アタブロン乳剤
抵抗性を示す難防除害虫に対しても有効です。
低濃度で残効性に優れており、薬剤を散布した茎葉では比較的長期間効果が持続します。
植物体内への浸透または移行性は、ほとんどありません。
ミツバチ、マメコバチ、捕食性のダニ等の有用生物および天敵に影響がほとんどなく、害虫の総合防除に適した薬剤です。

内容量 500ml
有効成分:クロルフルアズロン(5.0%)

◆カバーメイト系:オンコル

株元や植穴に散布することで、土壌から植物全体に薬剤が速やかに浸透します。その植物を食べたコナガなどの害虫が食毒を起こします。
※カバーメイト系薬剤の連続散布は、コナガの抵抗性を高めやすいため、逆に被害が増加することもあります。

ITEM
オンコル粒剤5
植物全体に速やかに浸透移行するので、生長の盛んな部分を含め植物全体を害虫から守ります。
残効が長く、水稲の育苗箱散布でイネミズゾウムシに対する効果は40〜50日間期待できます。
また野菜類のコナガやミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマに対しても、定植直前の処理で20〜25日間効果が期待できます。
広い殺虫スペクトルをもち、広範囲の害虫に有効で、安定した殺虫力をもち、抵抗性害虫に対しても効果が期待できます。

容量:3kg
有効成分:ベンフラカルブ(5.0%)

◆農薬を散布して被害が増加することも!

コナガは害虫のなかでも、薬剤への抵抗性の発達が早いため、同一の薬剤を使用し続けることで逆に被害が増加することがあります。
さまざまな薬剤を組み合わせて使用する「ローテーション散布」がおすすめです。
<コナガの被害が増加する理由>
・農薬の刺激によりコナガの出生率が増加。
・競争するそのほかの害虫が減ることで逆にコナガが増加。
・農薬の影響でコナガの天敵も一緒に減少。
※農薬の使用でコナガの天敵まで駆除しないように注意しましょう。

3. コナガの天敵を味方につけて駆除

農薬以外にコナガを駆除してくれるのは「天敵」の存在です。さまざまなタイプの天敵がいるので紹介します。

◆捕食性天敵

主に3〜4齢のコナガを捕食してくれるクモ類、ゴミムシ類、ハサミムシ類、鳥類。

◆寄生性天敵(蜂)

<卵寄生蜂>
・メアカタマゴバチ
<幼虫寄生蜂>
・コナガサムライコマユバチ
・コナガコマユバチ
<蛹寄生蜂>
・セイヨウコナガチビアメバチ
・ナガチビヒメバチ

◆天敵微生物(BT生菌)水和剤タイプ:ゼンターリ

マルハナバチ、ミツバチ、天敵などへの影響が少なく、環境優しい薬剤で、JAS(日本農林規格)で定める有機農産物生産に使用することができます。 特別栽培農産物生産に使用しても化学合成農薬としてカウントされません。

ITEM
ゼンターリ顆粒水和剤
アイザワイ系統の菌が持つ結晶性タンパク毒素により、他剤抵抗性の発達したコナガに対しても安定した高い効果を発揮します。
散布液調整時の粉立ちがなく、溶けやすくなっています。

容量:100g
有効成分:バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞および産生結晶毒素(10.0%)

◆天敵微生物(BT生菌)フロアブルタイプ:サブリナ

使用時に調整しやすい展着性に優れた油性フロアブル製剤で、散布後も作物の汚れが少ないタイプです。

ITEM
サブリナフロアブル
幅広い鱗翅目害虫(コナガ、チャノコカクモンハマキなど)に高い効果を発揮します。

内容量:500ml
有効成分:バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞および産生結晶毒素 (力価として1,000B.m.m単位/mg 10.0% )

◆家庭菜園サイズの天敵微生物(BT生菌):STゼンターリ顆粒水和剤

天然成分由来の殺虫水和剤なので、収穫前日まで使用できるので家庭菜園でも安心です。

ITEM
STゼンターリ顆粒水和剤
自然界にいる天然微生物(B.t.菌)が作る有効成分が、アオムシ、ヨトウムシ、ハマキムシなどチョウ目害虫に効果をあらわします。 ほかの殺虫剤に抵抗性のついたコナガに高い効果を発揮します。

・容量:20g
・有効成分:バチルス チューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素

未然に防ぐ2つの予防方法

ほかのアブラナ科の害虫より小さな体長のコナガですので、1匹の被害はさほど心配する必要はありませんが、大発生すると手が付けられないくらい被害が増加します。

1. 寒冷紗でコナガの成虫の産卵を防ぐ

寒冷紗をかけていても、ネットに作物の葉がついた状態では、なんとか葉に卵を産み付けようと、隙間からコナガの成虫が産卵してきます。そのため、葉にネットがつかないように、作物の生長に応じたネットのかけ方が必須です。

◆防虫ネット 1mm目

縦縞のシルバーが太陽光線の反射で大切な農作物を害虫から守る効果があります。
オオタバコガ 、ハイマダラノメイガ 、アワノメイガ 、カブラハバチ 、コナガ 、アオムシ 、ヨトウムシ類 などの害虫の侵入を防止します。

ITEM
防虫ネット 1mm目
減農薬栽培のための害虫侵入防止の防虫ネット。
ネットの上から水やりOK! トンネル用やべたかけ用にも最適な極細(1mm目)ネットで害虫をよせつけません。

・材質:ポリエチレン製
・サイズ:幅180cm×長さ10m

2. 性フェロモン剤でコナガを防ぐ

コナガなど昆虫の成虫が交尾のために雌(メス)の居場所を知らせて呼び寄せる匂いを性フェロモンといいます。この性フェロモンの化学構造が解明されたことにより製造されたのが性フェロモン剤です。
この性フェロモン剤の良いところは、天敵を駆除することなく、毒性も低いことから、安心して使用できます。

◆性フェロモン剤「コナガン」

コナガに効く性フェロモン剤「コナガン」を圃場の周りに張り巡らすことで、至る所からコナガの雌のフェロモンが漂い、コナガの雄(オス)は本当の雌を見つけられないまま交尾することなく死んでいきます。
※3〜5ha以上の栽培面積でなければ、コナガの性フェロモン剤は効かないという特徴があります

コナガから作物を守るために

コナガは温度の影響で卵から羽化するまでの生育期間に変動があり、降雨によっても影響を受けやすいようです。
雨が少なくポカポカ陽気の季節は、コナガの成長も活動も活発になりますので、アブラナ科作物のコナガの発生には注意しましょう。

 

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sana

農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務、エディブルフラワー事務局を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。