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ライター - AGRI PICK 編集部
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画像提供:福田俊
気温が上がってくると、悩まされるのが害虫被害。気が付いたときには、大切に育てていた野菜が虫に食べられて無残な姿に…などということも。そんなことがないように、必ず準備したいのが防虫ネットです。
この記事では、防虫ネットの種類や選び方、設置方法を紹介します。家庭菜園のプロ・福田先生に、防虫網トンネルのじょうずな張り方のコツも教えてもらいました!
防虫ネットの効果

画像提供:福田俊
野菜の害虫被害で多いのが、幼虫による食害です。何も対策していないと、作物が丸坊主にされてしまうことにもなりかねません。そこで有効な対策となるのが、防虫ネットです。ネットですき間なくカバーすることで、成虫が飛来して卵を産み付けるのを防ぐことができます。
親が飛来して産卵する害虫に対しては、100%の効果がありますよ。
防虫ネットの種類と選び方

出典:写真AC
防虫ネットにはさまざまな種類があります。育てる野菜には、どのような害虫がつきやすいかを確認し、その虫が侵入するのを防ぐのに有効な目合い(ネットの目の細かさ)を選ぶのが大切です。そこでここでは、野菜の種類別におすすめの防虫ネットを紹介します!
育てる野菜によって必要なネットは変わる!
防虫ネットの種類
防虫ネットは、編み目が細かいほど小さな虫を防ぐことができます。この編み目の細かさを「目合い(めあい)」といいますが、家庭菜園向けに販売されているものでは、0.4~1mm程度が一般的です。
また、編み目の細かさ以外にも、キラキラした光を嫌う虫の習性を利用した銀糸入りタイプや、アザミウマ類への忌避効果があるとされる赤色の防虫ネットもあります。
防虫ネットの選び方
防虫ネットを選ぶときは、目合いを基準に選びます。目合いは、防ぎたい虫の大きさによって変わってくるので、育てる野菜がどのような害虫被害に遭いやすいのかを知っておく必要があります。
例えば、ウイルス病が感染しやすいキュウリやキク等なら、アザミウマ類への効果の高い0.4mmを選ぶというように、防御したい害虫を基準に選ぶと良いでしょう。このあと、野菜の種類ごとに適した防虫ネットの目合いを紹介していきますので、参考にしてみてください。
果菜類は、植え付け後から支柱を立てるまでの間、防虫ネットをかけます。そのほか、草丈が高くならないものは収穫までかけておきましょう。害虫の種類は作物にもよりますが、アブラムシとヨトウムシは何にでもつきます。アオムシ、コナガ、カブラハバチなどはアブラナ科、カメムシは枝豆、ウリハムシはウリ科などにつきやすい害虫です。
トマト

出典:写真AC
トマトは、気温が十分に上がった4月中旬~5月に苗を植え付けます。この時期は虫の活動も活発になるので、苗の定植と同時に防虫ネットを設置しましょう。
トマトの苗が生長し、5月に支柱を立てるタイミングになったらネットを外します。
注意すべき害虫
アブラムシ、ヨトウムシ、タバコガ
おすすめの防虫ネットの目合い
0.4mm以下
トマトの種類や詳しい育て方は、こちらの記事をチェック!
ブロッコリー

出典:写真AC
アブラナ科のブロッコリーは害虫に狙われやすいので、防虫ネットは必須です。植え付けたらすぐに設置するようにしましょう。外す時期は、害虫が少なくなる11月ごろ。ただし、厳寒期はヒヨドリの食害に遭うことがあります。防虫ネットはヒヨドリ対策にもなるので、寒い時期になってもそのまま設置しておくのがおすすめです。
注意すべき害虫
アブラムシ、ヨトウムシ、アオムシ、コナガ
おすすめの防虫ネットの目合い
0.4mm以下
ブロッコリーの種類や詳しい育て方は、こちらの記事をチェック!
ハクサイ(白菜)

出典:写真AC
ハクサイも、害虫の食害被害が起きやすい野菜です。防虫ネットは植え付け後すぐに設置し、収穫までそのままかぶせておくのが安全。もし外す場合は、気温が下がる11月まで待ちましょう。
注意すべき害虫
アブラムシ、ヨトウムシ、ナメクジ、シジミチョウの幼虫
おすすめの防虫ネットの目合い
0.4mm以下
ハクサイの詳しい育て方は、こちらの記事をチェック!
枝豆

出典:写真AC
エダマメの栽培は、虫以外にも鳥害への注意が必要。せっかくまいた豆(種)が、鳥に食べられてしまうことがあるためです。種まき後すぐに防虫ネットをかけることで、虫と鳥両方の対策ができます。ネットはそのまま収穫まで外さないようにしましょう。
注意すべき害虫
カメムシ、アブラムシ
おすすめの防虫ネットの目合い
0.4mm以下
エダマメの詳しい育て方は、こちらの記事をチェック!
トウモロコシ

出典:写真AC
トウモロコシは虫だけでなく、鳥やハクビシンなどによる食害被害も多くあります。対策としては、種まきと同時に防虫ネットを設置することが重要です。その後苗が生長し、防虫トンネルの天井に頭がぶつかるようになったら外します。
注意すべき害虫
アブラムシ、アワノメイガ
おすすめの防虫ネットの目合い
0.4mm以下
トウモロコシの種類や詳しい育て方は、こちらの記事をチェック!
キュウリ

出典:写真AC
キュウリの定植のタイミングは、4~8月と虫が多い時期になります。そのため、苗の植え付け直後に防虫ネットで害虫対策をする必要があります。苗のつるが伸びてきたら支柱を立てますが、ネットはその際に外してOKです。
注意すべき害虫
ウリハムシ、アブラムシ、ウリキンウワバ
おすすめの防虫ネットの目合い
0.4mm以下
キュウリの種類や詳しい育て方は、こちらの記事をチェック!
おすすめの地植え用防虫ネット5選
畑や庭栽培用におすすめの防虫ネットを集めました。目の細かいものや銀糸入りのものなら、防虫効果がさらに高まりますよ!
0.4mmの細かさながら通気性も確保!
コナジラミやアザミウマも防げる、目合い0.4mmの防虫ネット。目が細かいと風通しが悪くなりがちですが、こちらのネットはポリエチレン製の細糸を使用することで、優れた通気性を実現しています。はさみでカットする際に便利な格子ライン入り。
サンサンネット ソフライト SL4200
・目合い:0.4mm
・サイズ:幅0.75×長さ100m
・材質:ポリエチレン
・透光率:82%
光を反射する銀糸入りの防虫ネット
日光を反射することで、キラキラした光を嫌うアブラムシなどに効果を発揮する銀糸入り。トンネル・べたがけどちらにも使えます。
マルソル 防虫メッシュ きらり
・目合い:1mm
・サイズ:1.8×10m
・材質:ポリエチレン、アルミ蒸着テープ
・透光率:90%
赤色の色彩効果で害虫をシャットアウト!
赤色を黒く認識するアザミウマに、高い効果を発揮する防虫ネットです。極細のポリエチレン糸を使用することで、高い通気性を確保。夏場の温度上昇による蒸れを軽減します。
サンサンネットレッド
・目合い:0.8mm
・サイズ:幅1.8×長さ5m
・材質:ポリエチレン
ファスナー付きで管理しやすい防虫ネット
追肥や摘芯する際などに、とっても便利なファスナー付きの防虫ネット。大きく開くので、作物の管理も楽にできます。トンネル栽培に最適!
防虫ネット ファスナー付き
・目合い:1mm
・サイズ:幅1.8×3.4m、設置時/間口0.85×奥行1.8m
・材質:ポリエチレン、ポリエステル、ステンレス
極細の目合いで微細害虫も完全防御!
極細の目合いで微小な害虫を徹底ガード。ポリエステル製の柔らかなネットなので、葉を傷めることもありません。
AJメッシュシート
・目合い:約0.25mm
・サイズ:2.1×50m
・材質:ポリエステル
・透光性:80%以上
おすすめのプランター用防虫ネット5選
次に紹介するのが、プランターにかぶせて使う防虫ネットです。支柱付きのものやファスナー付きのものなど、人気の商品をピックアップしました!
プランターがすっぽり入る簡単カバーネット
プランターにかぶるだけで使える、手軽な防虫ネットです。プランターの重さを利用して固定するので、強風の日も安心!
第一ビニール すっぽり虫よけカバー 大
・目合い:0.6mm
・サイズ:幅75×奥行き40×高さ60cm、適合プランターサイズ/幅73×奥行き39×高さ32cm
・材質:スチール、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン
・透光性:約30%
付属の支柱を立ててかぶせるだけでOK!
専用支柱がセットになった、便利なプランター用防虫ネットです。使い方は、土に支柱を挿してネットを上からかぶせるだけと簡単。さらにゴムやひもで下部を押さえれば、虫が侵入するすき間もできません。
森下 プランター菜園防虫ネット
・目合い:1mm
・サイズ:幅30×奥行55×高さ35cm
・材質:ポリエチレン、スチール
ミニトマトなどの果菜類に最適!
トマトやキュウリなど、背が高くなる野菜にぴったりな防虫ネット。ファスナーが2箇所についているので、収穫する際もネットをいちいち外す必要がなく便利です。防虫効果を高める銀糸入り。
実のり野菜の虫よけカバー
・目合い:1mm
・サイズ: 直径205×175cm
・材質:ポリエチレン
・透光率:90%
65cm幅まで対応!光を反射するラメ入りネット
大型のプランターもカバーできる防虫ネットです。設置は付属されている支柱を土に挿し、上からネットをかぶせるだけでOK!ネットには光を反射するラメが入っています。
防虫ネット プランター用 支柱付き
・サイズ:幅65×奥行25×高さ55cm、対応プランター/幅50~65cm×奥行24cm
・材質:ポリエチレン、スチール
好きな長さにカットしてカスタマイズ!
育てている植物の高さに合わせて、長さをカットできるチューブ状ネット。両端は切りっぱなしになっているので、端を結んだり、洗濯ばさみなどで留めたりして使用します。全長3mのたっぷりサイズで、高さのある果樹に使うことも可能です。
虫よけちゅ~ぶ
・目合い:1mm
・サイズ: 直径1.3×長さ3m
・材質:ポリエチレン
防虫ネットの張り方

画像提供:福田俊
ここからは、畑に防虫網トンネルを設置する方法を手順ごとに紹介します。
必要なもの
防虫ネット
ネットは、ひと畝分として、幅210cm×長さ4.5m程度のサイズがあると良いでしょう。ネットの両サイドに、ポールをパッカーで装着しておくと重しになり、風にあおられないので、ネットもかけやすくなります。
支柱
トンネル状に曲げて使うため、グラスファーバー製など、弾力があって曲げやすい支柱を使います。2.4mの長さのものを6~7本用意しましょう。
被覆ポール
・サイズ: 直径5.5×2400mm
・材質:FRP
・内容:100本
ヘアピン杭
風で飛ばされないように、ネットの前後左右の部分をヘアピン杭で土に挿して固定します。
U型シート押えピン
・内容:長さ30cm×10
・材質:スチール
Step1. 支柱を土に挿す

画像提供:福田俊
畝に70cm〜1m間隔で、支柱を曲げながら挿していきます。支柱の先端が15cmくらい埋まるように、しっかりと挿し込みましょう。両端の支柱にはさらにもう1本、クロスするように斜めに挿します。
Step2. 防虫ネットをかぶせる

画像提供:福田俊
支柱の上からネットをかぶせます。ネットの両サイドに重しのポールを装着しておけば、向こう側に投げるだけで楽々かけることができます。
Step3. ネットの両端を固定する

画像提供:福田俊

画像提供:福田俊
防虫ネットの両端は、ねじるように絞り込み、ヘアピン杭を上から挿して土に固定します。ネットの端は固結びにしましょう。
Step4. トンネルの側面を固定する

画像提供:福田俊
風で飛ばされないように、トンネルの側面も3カ所ほどヘアピン杭で固定しておくと安心です。あらかじめネットのサイドにポールを装着している場合は、ポールの上から杭で留めることができます。最後に、ネットにすき間ができていないか、よくチェックしたら完成です!
ネットの風対策はいろいろあります。一般的なのは、ひもでジグザグに固定する方法や、側面に園芸支柱をパッカーで留め、ピンで土に固定する方法です。洗濯ばさみで留めるのは、強風のとき簡単に吹き飛んでしまうのでおすすめできません。
防虫トンネルの張り方を動画でチェック!
防虫ネットの張り方は、こちらの記事でも解説しています!
防虫ネットに関するQ&A

画像提供:福田俊
家庭菜園のプロ・福田先生に、防虫ネットに関する疑問や質問を聞きました!
Q. 防虫ネットは使い回し可能?
はい、可能です。ネットと支柱をひとまとめにしてしまっておくと、また使うときにすぐ設置ができて便利ですよ。ネットを使い回すためにも、強風のあとは、防虫ネットがやぶれていたり、風で飛ばされたりしていないか必ず見回りましょう。
Q.寒冷紗のような防寒性はある?
霜を防ぐ効果はありますが、防寒性に関してはポリエチレンには敵いません。
Q.ネットの上から水やりはできる?
防虫ネットをかけたままでも水やりできますよ。いちいち外していると、せっかくの防虫効果が無駄になってしまうので注意しましょう!
防虫ネットで野菜を害虫から守ろう!

画像提供:福田俊
農薬を使わなくても害虫を防ぐことができる防虫ネットは、家庭菜園の強い味方!暖かい季節に苗を植えるときは、間をあけずにすぐネットを設置しましょう。防虫網トンネルの設置も、何度か組み立てるうちに簡単にできるようになりますよ。ぜひマスターして、野菜をたくさん収穫してくださいね!