カブ | 基本の育て方と本格的な栽培のコツ

農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいカブの育て方を紹介!カブ作りに欠かせない土づくりや病害虫、生育障害の原因、カブの収穫適期の見分け方などを説明します。


カブ栽培

出典:写真AC
農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいカブの育て方を紹介します。カブ栽培に欠かせない土づくりや病害虫、生理障害の原因について、種まき時期や間引き、水やり、追肥、収穫適期の見分け方など詳しく説明します。

カブについて

カブ栽培
出典:写真AC
カブは日本書紀(日本の歴史書)にも記録されているほど、古くから日本で栽培されている野菜です。伝統野菜として各地方独特の品種も多く栽培されています。
丸くて白いカブの形が鈴と似ていることから、カブの葉は「すずな」(漢字で書くと、鈴菜または菘)と呼ばれています。「すずな」は春の七草の一つとして、新年の1月7日に「七草がゆ」として食べる風習があります。
植物名  カブ(蕪)
学名  Brassica campestris
英名  Turnip
科名  アブラナ科
属名  アブラナ属
原産地  中央アジアおよびヨーロッパ西南部
土壌pH  pH5.5〜7.0
生育適温  15〜25℃
発芽適温  20〜25℃

特徴

カブの品種には、洋種系(ヨーロッパ系)や中間系、和種系(アジア系)があります。
区分 根形 代表品種
和種系  聖護院  天王寺
 伊予緋  大藪
 日野菜  津田
 万木(ゆるぎ)  大野
 彦根
洋種
中間系
 金町小カブ  佐波賀(さほか)
 遠野  長カブ
 温海(あつみ)  長崎赤
 鳴沢(なるさわ)  南部長
 河内  飛騨紅
 南部赤  次年子(じねんご)
出典:タキイ種苗

洋種系(ヨーロッパ系)

日本の東側は、寒さに強い洋種系のカブが栽培されています。洋種系の特徴として、葉の切れ込みが深く、細かい毛があり、横に広がる形をしています。

和種系

西側は主に和種系が多く栽培されています。葉が立ち上がり、切れ込みが少なく、細かい毛もないため葉が食べやすいのが特徴です。

中間系

中間系は洋種系、和種系両方の特徴を持ち合わせた小カブで、代表的な品種として東京の金町で誕生した「金町小カブ」があります。

栽培時期

新規就農レッスン 栽培カレンダー カブ
Illustration:rie
育てる地域や栽培する品種によってまきどきが異なりますので、種を購入するときに確認しましょう。
※主に露地栽培の栽培時期です。野菜の栽培は、屋外の畑で作物を栽培する「露地栽培」のほかに、「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する方法があります。

カブの栽培準備

カブ栽培
出典:写真AC
栽培の準備を始めましょう。

▼ビニールハウスなど設備関係のことならこちらをご覧ください。

収量

1a(100平方メートル)で270kgほど収穫することができます。
出典:作物統計調査 平成29年産野菜生産出荷統計
都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量」(農林水産省)

種の用意

地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。
主な品種 主要産地
 玉里(極早生・小カブ)  青森、北海道など
 京千舞(大カブ)  京都 、北海道など
 白涼(極晩抽性・小カブ)  千葉など

1aあたりの種の量

1a(100平方メートル)あたり100mlほどです。

土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態がよければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材などの散布を心がけましょう。

▼土壌消毒や土づくり、土壌診断のことならこちらをご覧ください。

土壌pH

酸性に強いため、pH5.5〜7.0の範囲で生育することができます。

適した土壌

排水性が良く、保水性の高い土を好みます。土を深く耕し、良質な堆肥を施して土の改良を行いましょう。
水がたまりやすい場所は明渠(めいきょ)か暗渠(あんきょ)などを設置したり、畑に傾斜をつけたり、畝を高くするような工夫が必要です。

肥料

小カブや中カブは生育期間が短いため全肥料を元肥に、大カブは元肥(肥料全量の2/3)のほかに追肥(肥料全量の1/3)をして、胚軸を肥大させます。

10平方メートルあたりの肥料

【小〜中カブ】窒素150〜180g、リン酸150〜200g、カリ110〜150gほど
【大カブ】窒素、リン酸、カリを各300gほど
※大カブが元肥で使用するのは肥料全量の2/3です。

畝立て

小カブ、中カブ、大カブそれぞれに合わせた畝幅で畝立てをします。

畝幅

【小カブ】120〜130cm
【中カブ】120〜130cm
【大カブ】130〜150cm

カブの育て方

カブ栽培
出典:写真AC
畝や種の準備が整ったら、栽培のスタートです。

種まき

発芽するまでの種子が乾燥すると発芽率が下がりますので、適度な土壌水分を保つことが重要です。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えることです。

温度

発芽適温は20〜25℃で、発芽適温時に種をまくと2〜3日で発芽します。最低でも4℃、最高だと30℃以下でも発芽しますが、30℃を超えると発芽は難しいようです。

種のまき方

【小カブ】条間15cmくらいのすじまき
【中カブ】条間20〜25cmくらいのすじまき
【大カブ】株間は40〜50cmくらいで、1箇所3〜5粒の点まき

間引き

間引きが遅れると茎葉に生育が優先してしまい肥大が遅れてしまうので、発芽の段階で間引きを開始します。

間引きのタイミングと株間

【小カブ】
・子葉:株間2〜3cm
・本葉1〜2枚:株間4〜5cm
・本葉3〜4枚:最終株間12〜15cm
【中カブ】
・子葉:株間2〜3cm
・本葉1〜2枚:株間4〜5cm
・本葉3〜4枚:最終株間15〜20cm
【大カブ】
・本葉2〜3枚:弱そうなものを間引く
・本葉4〜5枚:丈夫そうなもので生育が均等なものを残して1本立ち

水やり

基本的にほかの野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝か夕方に行わないと根を傷めてしまいます。

▼灌水チューブのことならこちらをご覧ください。

生育初期と後期で水やりの加減を変える

比較的乾燥に強い作物ですが、発芽時に水分が不足すると発芽にムラが出てしまいます。生育初期には水分肥料ともに十分に育てて、生育後期には水分肥料ともに少し抑え気味に与えることで、急激な肥大を抑え、胚軸の裂根を防ぎます。

▼土壌水分計のことならこちらをご覧ください。

追肥・中耕

小〜中カブは、栽培期間が短いので追肥は行わず、全量元肥でまかなうことが多いです。

大カブの追肥・中耕

肥料全量の1/3を3回に分けて追肥します。追肥を与える際に中耕して土寄せを行いましょう。
※中耕とは、作物を育てている期間に土壌の通気性を高め、作物の根の発育を促すために浅めに耕すことです。
【1回目】定植して2週間後、中耕を兼ねて追肥
【2回目】本葉4〜5枚のころの最終間引きで1本立ちにしたころ
【3回目】種まきから40〜45日後ごろ

カブの収穫

マルチで栽培された収穫間際のカブ
出典:写真AC
収穫したカブの表面に土がついたまま乾かしてしまうと、土が落ちにくくなり、せっかくの白いカブの表面が汚れてしまいます。カブの収穫作業は日中よりもできるだけ早朝に行ないましょう。

収穫のサイズ

品種にもよりますが、小カブは5〜8cm、中カブは8〜10cm、大カブは12cm以上が収穫の目安です。
カブの生育状態を均一に揃えることで、一斉に収穫することができます。種まき当初から、発芽ムラを抑え、均一に育てましょう。

カブの病害虫

モザイク病におかされたカブの葉
出典:Flickr(Photo by :Scot Nelson)
栽培する上で、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。

▼ハウス栽培での病害虫対策にはこちらをご覧ください。

▼病害虫対策に欠かせない農薬のまとめ

かかりやすい病気

水はけが悪い土壌では、病気になりやすい傾向があります。

▼植物全体の病気のことならこちらをご覧ください。

▼台風後の病気を防ぐ対策についてはこちらをご覧ください。

根こぶ病

アブラナ科植物にのみ発生し、根の表層で感染する土壌病害です。感染が広がると作物の生育を阻害し、萎れて枯れてしまいます。

軟腐病

細菌が作物に侵入することで感染し、黒く腐敗して異臭を放ちます。比較的高温多雨の多湿条件下で発生します。

モザイク病

葉がモザイク状に黄化するアブラムシを媒介に発病するウィルス性の病気(種子伝搬の可能性も有)です。

べと病

地ぎわの外葉に不整形な淡黄色の病斑が生じて、株全体に広がる糸状菌(カビ)が要因の病気です。多湿環境で発生しやすいので注意しましょう。

黒腐病

アブラナ科野菜に発生する細菌による病気です。外葉の縁側から褐色になり、やがて枯れてしまいます。

食害する害虫

同じアブラナ科でも、ダイコンよりもカブの胚軸の食害が多いので注意しましょう。

アブラムシ類

主に新芽や茎、蕾に発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にして、モザイク病やすす病を引き起こすため、発生したら病気の発症に注意が必要です。

コナガ

アブラナ科の植物を好んで食害する、世界各地に分布するチョウ目スガ科の幼虫です。幼虫を刺激すると、体をくねくねさせながら後退りして、糸を吐きぶら下がるという行動をとります。

カブラハバチ

アブラナ科の柔らかい葉の部分を好んで食害するハチ目ハバチ科の黒色の幼虫です。

ヨトウムシ

「夜盗虫」の名の通り夜に活動し、日中は葉裏や株元の浅い土中に潜んでいるヨトウガの幼虫です。

ハイマダラノメイガ

チョウ目メイガ科の幼虫で、幼苗期の生長点を狙って食害する。別名ダイコンシンクイムシ。

▼そのほかの病害虫対策のまとめ

カブの生理障害

肥料や水分吸収のバランスが崩れても、カブが割れる生理障害を引き起こします。

裂根

被害状況  カブにヒビ割れが生じる。
原因  周皮(篩部)と内部(木部)の肥大の不均衡。ホウ素欠乏など。
▼ホウ素欠乏のことならこちらをご覧ください。

▼そのほかの生理障害のまとめ

カブの栽培のまとめ

カブ栽培
出典:写真AC
カブは千葉県、埼玉県、青森県の出荷量上位3県で全国の半数を占めている作物ですが、日本で最も古くに伝わった作物として、日本全体の野菜の歴史に欠かせない存在です。
伝統野菜の品種として日本各地で受け継がれるカブは、北から北海道の函館赤カブ、岩手県の暮坪カブ、山形県の藤沢カブや温海カブ、東京の金町小カブ、長野の王滝カブ、滋賀の日野菜カブ、京都の聖護院カブ、大阪の天王寺カブ、島根の津田カブ、高知の田村カブ、福岡の博多据わりカブ、長崎の長崎赤カブと日本各地で今も大事に栽培されています。

▼家庭菜園のカブの育て方ならこちらをご覧ください。


カブの経営指標

カブ栽培
出典:写真AC
新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。というのも、新規就農者の多くが悩まされる農地の確保は、農地法や農業経営基盤強化促進法の要件をクリアしないと購入したり借りたりできないようになっているからです。

新規就農までの流れ

相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設等の準備
参考:全国新規就農相談センター
▼新規就農が必要な情報についてはこちらをご覧ください。

▼後継者がいない農家から農地や施設とともに経営を引き継ぐ第三者農業経営継承のことならこちらをご覧ください。

▼農業の課題と将来の展望についてはこちらをご覧ください。

カブの農業経営指標

新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営指標を考えましょう。

日本政策金融公庫の農林水産事業が、2020年1月に編集・発行した情報戦略レポート「平成30年農業経営動向分析結果」を参考に農業経営の動向について紹介します。
※農業経営動向分析は、農業を営む日本政策金融公庫の融資先を対象に、売上高が最も高い部門で区分し、3カ年(2016~2018年)の決算データを集計して損益の動向や財務指標などを分析したもの。

参考:日本政策金融公庫 農林水産事業 「平成30年農業経営動向分析結果

2018年農業者決算「露地栽培の動向」

北海道は天候不順による不作のため減収減益。
そのほかの地域では、秋からの好天に恵まれたことで回復して増収となったものの、労務費・人件費・燃料動力費などが増加したため、結果的に減益になりました。

この傾向は法人経営も同様で、売上高は前年と同水準となっていますが、材料費や燃料動力費等の増加によって減益となっています。

露地栽培においては、北海道のような大規模栽培においては、農業機械を導入することで人件費を抑えることができますが、小規模栽培ではいかに作業を効率化し、人件費などを削減できるように工夫することが増収の決め手になってきます。

▼ICTやロボット、AIなどを活用した次世代型のスマート農業についてはこちら

▼農作業マッチングサービスのことならこちらをご覧ください。

▼シェアリングサービスのことならこちらをご覧ください。

▼露地栽培での農薬散布の効率を上げるヒントならこちらをご覧ください。

2018年農業者決算「施設栽培の動向」

栽培施設の面積拡大により、作物全般増収となったものの、人件費などの費用が増加したため、結果的に減益となっています。

近年、生産規模の拡大に向けた設備投資が活発になっている「施設トマト」の個人経営に着目すると、規模拡大などを背景に若干の増収となったものの、施設面積あたりの売上高は減少しています。というのも、ほかの野菜の施設栽培の経営と比較すると、労務費や燃料動力費の増加率が高いことから、減益幅が大きくなったことが原因のようです。

施設栽培においては温度・湿度などの環境制御が収量・品質向上の要になります。作物の生育の特徴や光合成の仕組み、最適な飽差を知って栽培にいかすことが大切です。

▼ハウス栽培の環境制御のことならこちらをご覧ください。

▼ハウス栽培など施設栽培での農薬散布の効率を上げるヒントならこちらをご覧ください。

カブの作付面積

平成25年度の全国の作付面積は4,750ヘクタール、作付面積第1位の千葉県が996ヘクタール、続いて埼玉県が481ヘクタールとなっています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

カブの出荷量

平成25年度の全国の出荷量は10万8,500トン。作付面積の順位同様第1位の千葉県が3万3,300トン、2位の埼玉県が1万5,000トンです。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

カブの卸価格

市場に並ぶカブ
出典:Flickr(Photo by :Tim Sackton)
栽培する季節や品種によっても価格の差が出ますが、平成25年度の調べで、卸価格は1kgあたり107~177円、平均で138円で取引されています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

10aあたりのカブの経営収支

千葉県の経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
地域 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
千葉(小カブ・露地) 12,312 1,172,500 537,500 635,000 712
出典:千葉県庁

カブの経営の見通し

栽培する圃場の規模から予想される収量と収益、受けられる補助金について把握しておくことは重要です。また、栽培にかかる農業資材や農業機械、それらを保管する倉庫の設置など支出する項目についても予算をしっかり立てておきましょう。

▼農業の補助金や収入など就農の基礎知識

▼新型コロナウイルス対応策のことならこちら

カブの販路

カブの栽培の見通しの前に、販路を設定することが大切です。販売先のニーズに合った栽培・出荷スタイルを考えましょう。

▼新規就農者必見!「タケイファームから学ぶ時短と収益UPを目指すヒント」のことならこちらをご覧ください。

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sana
sana

農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。

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