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プランター野菜栽培家
安藤 康夫自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。 現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中! ■関連サイト:Facebook「Hanna-papaの菜園日記」、 2019年5月以前のブログ「Hanna-papaの菜園日記 2」 ■著書:『プランターで有機栽培1』(農文協)、『プランターで有機栽培2』(農文協)…続きを読む
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間引きと害虫対策がポイント!プランターで育てるカブ栽培のポイント
- カブは4月と9月に種まきからスタート。適温は15~20℃
- 小カブ栽培なら、幅65×奥行20×高さ20cmの65型プランターで10株
- 大カブ栽培なら、直径も深さも30cm以上ある丸型プランターで1株
- 種まき後は、防虫ネット必須!
- 間引きは3回。最終株間は、小カブ10cm、中カブ15cm、大なら20cm
種まきは春と秋の年2回|カブをプランターで栽培する時期や温度
品種によって違いはありますが、種まきから収穫までの期間が2カ月程度と比較的短いのが特徴です。カブを栽培する時期はちょうど虫が発生しやすい季節なので、防虫ネットが必須です。プランターでのカブの栽培時期
・種まき(育苗):春まき/4月、秋まき/9月・収穫:春まき/6月中旬、秋まき/11月中旬
※年間平均気温が12~15℃の温暖(中間)地基準
秋まきは、種まき時期を厳守!
冬の寒さに向かって栽培する秋まきでは、「種まきが1日遅れると収穫が1週間遅れ、種まきが1週間遅れると収穫が1カ月遅れる」といわれるくらい、種をまく時期がシビア。9月の種まき時期を逃さないようにしましょう。栽培適温
15~20℃カブのプランター栽培に最適な場所
日当たりや風通しが良く、エアコンの室外機による風が当たらない場所で栽培しましょう。また、台風や梅雨時など長雨が続くとプランター内が過湿になり、病気にかかりやすくなります。プランターに雨が直接当たらないように、軒下などに移動させてくださいね。
安藤さんおすすめ!プランター栽培向きのカブの品種
カブとして食べている部分は、根ではなく茎と根の間にある「胚軸(はいじく)」といわれる部分で、一般的に「実」や「玉」と呼ばれています。カブを胚軸の大きさで分類すると、直径が5cmほどの小カブ、10cmほどの中カブ、15cmほどの大カブなどに分けられます。京都の聖護院かぶなど伝統野菜としてその土地ならではの在来種が数多く存在し、日本でも古くから栽培されている野菜です。胚軸の形が丸いものや細長いもの、色が白いものや赤いものなど、さまざまな種類があるのも魅力。
ここでは安藤さんがおすすめする、プランターで栽培しやすい2つの品種を紹介します。
おいしさで選ぶなら!みやま早生小カブ
日本種苗協会主催の全国原種審査会で農林大臣賞を連続受賞したこともある品種。種採りができる固定種で、柔らかくておいしいと評判です。胚軸の外皮が赤い!温海(あつみ)かぶ
山形県鶴岡市の伝統野菜で、主に甘酢漬けにして食べられている品種です。秋に種をまいて栽培します。家庭菜園におすすめのカブの種類をもっと見る!
カブ栽培に最適なプランターの大きさや深さは?おすすめの土・肥料・防虫ネットなど
育てるカブがどのくらいの大きさに生長するかによって、必要なプランターのサイズも変わります。また、アブラナ科のカブは害虫による被害を受けやすいので、プランターで育てるなら害虫対策が必須!防虫ネットを張るため、U字支柱が立てやすいものが便利です。小カブや中カブ8〜10株の栽培が可能なプランターのサイズ
幅65×奥行40×深さ25cm程度の65型ワイドプランターがおすすめです。最終的な株間が10cmになるように栽培すれば、8~10株ほどのカブができます。小カブや中カブの栽培におすすめのプランター
大カブ2株の栽培が可能なプランターのサイズ
カブの直径が15cm以上に生長する大カブは、最終的な株間が20cmほど必要になります。奥行も深さも30cm以上ある深型のプランターなら2株育てられます。大カブの栽培におすすめのプランター
プランターでのカブ栽培に最適な防虫ネット・支柱
防虫ネットは、目合いが0.5~0.8mm程度のものがおすすめです。防虫ネットを張るために、U字支柱も準備しておきましょう。おすすめの防虫ネット・支柱
カブのプランター栽培に最適な土
カブ栽培は害虫の食害に遭いやすいので、できるだけ殺菌されていて元肥もバランス良く含まれている野菜用培養土を使いましょう。カブ栽培におすすめの培養土
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水はけや根腐れ防止のために、鉢底石も準備しよう!
プランターでのカブ栽培に最適な肥料
肥料の与え過ぎは害虫を呼び寄せる原因になります。野菜用培養土を使うのであれば、元肥はいりませんが、追肥用として油かすを用意しておきましょう。カブ栽培におすすめの肥料
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プランターでのカブの育て方|種まき・水やり・収穫のタイミングなど
プランターに直接種をまいて栽培するカブは、間引きをしっかりと行わないと、うまく生長しません。間引き以外にも、水やりや収穫のタイミングなど育て方を確認しましょう。虫よけネットを張って、害虫による食害を予防するのも大切です。Step1. プランターと土の準備
プランターの底に5〜6cmほどの高さまで鉢底石を敷き、その上から土を入れます。土を入れる目安はプランターの8分目まで。土を入れ過ぎると、水やりの際に土が流れてプランター内の土が減ってしまうので、ウォータースペースを残しておきましょう。Step2. プランターへのカブの種まき
カブの種をまく方法は2つあります。間引きの回数も種の数も少なくて済む「点まき」、種を多めにまいて間引き葉(ベビーリーフ)も収穫できる「すじまき」です。どちらの方法でも同じ株数が育つので、自分に合った方法を選んでくださいね。点まきでの種のまき方
- ラップの芯などを土に押し付けて、10cm間隔で丸い印をつけます。
- 丸い印の中に種を5粒ほど重ならないようにまき、土を厚さ5mmほどかぶせ、手で軽く押すように鎮圧します。
すじまきでの種のまき方
- 65型サイズのプランターなら、深さ1cmほどの溝を2列作ります。溝と溝との間は10cmほどあけましょう。
- 作った溝に種が重ならないようにまきます。
- 溝の上から土を5mmほどかぶせ、手で軽く鎮圧します。
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カブの苗の植え付けはNG
カブなどの根菜類は、根が地中に向かってまっすぐ伸びて生長していきます。苗を植え付けると、根が曲がってしまうことも多く、うまく育ちません。プランター栽培では、直接種をまきましょう。同様に、間引きした苗を植え替えるのもおすすめしません。
Step3. プランターへの水やり
種をまいた直後も、その後の水やりも、土が乾いていたらプランターの底から水が流れるまでたっぷりと与えます。カブの苗が小さいうちは水流が強いと倒れやすいので、ホースを使用するならシャワーヘッドをミストにして水を与えます。Step4. 防虫ネットは種をまいたらすぐに張る
カブは幼苗のころから害虫の被害を受けやすいので、栽培期間中は常に防虫ネットをかけておきます。- プランターにU字支柱を取り付けます。
- 支柱の上から防虫ネットをかけます。プランターと防虫ネットの裾の間が少しでもあいていると害虫が侵入します。プランターの下に巻き込むなどして、隙間なく設置しておきましょう。
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Step5. カブの間引きは3回!
間引きするときは、株間を考えながら、生長の悪い芽を抜き取ります。根が土の中に残っているとまた芽が伸びてくるので、指で根ごと引き抜くようにしましょう。間引いた苗は、サラダや浅漬けにして食べるのがおすすめ!1回目の間引きのポイント|本葉が出始めたころ
双葉が完全に開いて、本葉が出始めたころが1回目のタイミングです。株間が3cmになるように間引きましょう。2回目の間引きのポイント|本葉が3〜4枚のころ
本葉が3~4枚になったころに、株間が6cmになるように間引きましょう。間引いた苗はベビーリーフとして生でも食べられます。3回目の間引きのポイント|本葉が5〜6枚のころ
本葉が5~6枚になったら最後の間引きをします。株間は、小カブなら10cm、中カブなら15cm、大カブなら20cmあくようにします。土寄せは間引いたら行う
間引いた後は苗が倒れやすいので、苗を支えるように指で土を根元に寄せます。
Step6. 追肥は1回!
カブへの追肥は1回のみ。カブの玉が土の中から見え始めたら、油かすを根元にひとつまみ与えます。肥料を与え過ぎると、カブの味にえぐみが出てしまうので注意しましょう。Step7. 時期を逃さず収穫しよう!
カブの種類によって収穫時期も変わりますが、土の上から出たカブの直径が小カブで5cm、中カブで10cm、大カブで15cmほどの大きさに生長したら収穫のタイミングです。カブの葉も捨てずに食べよう♪
カブの葉はくせがなく、栄養たっぷり!カブと一緒に浅漬けにしたり、スープやいため物にしたりとさまざまな使い道があります。収穫した後は日持ちがしないので、新鮮なうちに食べましょう。カブのプランター栽培で種採りにもチャレンジ!
固定種のカブであれば、種採りもできます。栽培中のカブの中から一番形が良く、おいしそうなカブを選んで、種採り用の株として残すようにしましょう。カブの種採りの方法
- プランターで栽培中の生育の良いカブを3~4株選び、別のプランターに植え替えます。そのまま収穫せずに育成させます。
- 冬の間も屋外で育てると、春には花が咲き、サヤの中に種ができます。
- サヤが太ったら株ごと抜いて、軒下などにつるして乾燥させましょう。
- サヤがカラっと乾いたら種を採り出します。
- 採った種は天日で乾燥させた後、密閉袋に入れて次の種まきまで冷暗所で保存しましょう。
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カブが割れる、害虫が付く…カブのプランター栽培で発生しやすいトラブル
せっかく栽培しても、虫に食べられてしまったり、生長不良を起こしてしまったりするのは残念ですよね。カブのプランター栽培で起こりやすいトラブルとその対策を知って、生育不良を未然に防ぎましょう。カブに亀裂や「スが入る」のは、収穫時期を逃したから
収穫時期が遅れたり、収穫適期に長雨に当たったりすると、実割れやカブの内部に穴や隙間があく、スが入りやすくなります。丸くてきれいな形のカブを採るためには、早めに収穫するのがポイントです。カブが大きくならないのは間引き不足
野菜培養土で栽培していれば、肥料不足でカブが大きくならないということはありませんが、株同士が隣接していると、双方のカブが生長しづらく、大きくならないことも。まずは間引きをしっかりして、株間をあけることを心がけましょう。カブのプランター栽培で発生しやすい害虫と予防方法
アブラナ科のカブは害虫が付きやすいので、栽培期間中は必ず目合いが細かい防虫ネットをかけておきましょう。カブをプランターで無農薬で育てる場合の害虫対策は、防虫ネットしかありません。害虫を見つけたらすぐに捕殺するようにします。しかし、プランターに入れた土の中に、元々害虫や害虫の卵が入っていると、防虫ネットをかけても防ぎようがありません。カブのプランター栽培は、できるだけ殺菌された新しい培養土で始めるようにしましょう。
植物の汁を吸うアブラムシ
アブラムシは新芽や葉、茎などの汁を吸うだけでなく、ウイルス病を引き起こすこともある害虫です。カブ栽培では、肥料の量が適切であってもアブラムシが付きやすく、一度発生すると急速に増殖します。▼アブラムシについての関連記事はこちら
アブラナ科の植物を好んで食害するコナガ
主に真夏を除く、春~秋にかけて発生しやすい害虫で、カブの葉の裏に卵を産み付けます。卵が孵化(ふか)すると、葉脈だけを残すように葉を食べてしまいます。▼コナガについての関連記事はこちら
幼虫にも成虫にも注意!キスジノミハムシ
葉や胚軸に丸い小さな穴があいているなら、キスジノミハムシが発生しているかも。キスジノミハムシは、幼虫がカブを、成虫が葉を食い荒らします。特に6~7月で雨の少ない日が続くと発生しやすくなるので気をつけましょう。▼キスジノミハムシについての関連記事はこちら
カブのプランター栽培で発生しやすい病気
プランター栽培では土の中が加湿になりやすく、病気が発生して、うまくカブが生長しないことも。特に常にネットに覆われているカブの栽培では、風通しも悪くなり、雨が続くとさらに栽培環境が悪化します。風通しの良い場所にプランターをおき、水はけの良い土を使って過湿を防ぎましょう。カブ栽培を終えたプランター内の土の再生方法
カブを育てた後のプランター内の土は、次の野菜栽培に使えます。ただし、栄養分が少なくなったり、土が硬くなって水はけが悪くなったりしていることも…。カブの栽培が終わったタイミングで、栄養分の補給・水はけ・酸度調整など、土の状態を良くしておきましょう。- カブ栽培後のプランター内の土は、ふるいにかけて古い根や鉢底石を取り除きます。
- 65型のプランターの土12〜13L程度の土であれば、腐葉土か堆肥を1割、カキ殻石灰・油かす・もみ殻くん炭をそれぞれ一握りずつ加えてよく混ぜれば、リセット完了!