シュンギク(春菊)|基本の育て方と本格的な栽培のコツ

農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいシュンギク(春菊)の育て方を紹介!シュンギク作りに欠かせない土づくりや病害虫、シュンギクの収穫適期の見分け方などを説明します。


シュンギク、栽培

出典:写真AC
野菜を育てた経験がある方なら「育てた野菜を食べる」ことは、何物にも代え難い格別のおいしさと感動を与えてくれます。あの採れたてのおいしさを求めて「もっと野菜のこと、栽培のことを知りたい!」そんな家庭菜園で本格的に野菜作りに励みたい方や野菜作りのプロを目指した「新規就農」を視野に入れている方に、基本的なシュンギクの育て方と本格的な栽培のコツを紹介します。

シュンギク(春菊)について

シュンギク、花
出典:写真AC
地中海沿岸原産の「ハナゾノシュンギク」が東アジアに伝わり、野菜用として改良、栽培されるようになったのが現在のシュンギクのルーツといわれています。
関西ではシュンギクという名前よりも「キクナ」として親しまれています。
シュンギクの花の色は黄色や白。ときには一つの花で黄色の濃淡が混ざり合ったり、黄色と白のバイカラーなど、花色の変異を楽しむことができます。欧米では食用ではなく、主に観賞用として栽培されています。
日本には室町時代に伝わり、江戸時代以降は西日本で栽培されてきました。シュンギクが関東でも栽培されるようになったのは、昭和20年代以降のことです。
植物名  シュンギク(春菊)
学名  Chrysanthemum coronarium
英名  garland chrysanthemum
科名  キク科
属名  キク属
原産地  地中海沿岸
生育適温  15~20℃
発芽適温  15~20℃

シュンギクの特徴

シュンギクの種類を大きく分けると、大葉種、中葉種、小葉種の3つに分けられます。

大葉種

節間が短く、大きくて切れ込みが浅い、厚みのある葉が特徴です。
ほかの種類に比べて、耐寒性、耐暑性が弱く、主に関西から九州にかけての西日本で多く栽培されています。

中葉種

日本で一番多く栽培されているのが中葉種で、関東地方で多く生産されています。
耐寒性、耐暑性に優れているので、ハウス栽培で周年栽培することができます。
この中葉種には、側枝の発生が旺盛で根元から株が張る「株張り種」と、主枝と側枝を継続的に摘みとっていく「摘みとり種」があります(両者の性質をもつ中間型もある)。

小葉種

葉が小さくて切れ込みの深い種類です。
耐寒性、耐暑性に優れていますが、ゆっくり生育し、収量もほかの種類に比べて少ないため、生産は減少しているようです。

シュンギクの栽培時期

シュンギクの種まき、収穫時期を紹介します。
育てる地域や栽培する品種によってまきどきが異なりますので、種を購入するときに確認しましょう。
シュンギク 種まき 収穫
寒冷地 4月中旬~5月下旬、8月 5月下旬~7月下旬、9月中旬~10月中旬
中間地 3月中旬~5月中旬、8月中旬~10月下旬 4月下旬~7月中旬、9月下旬~12月中旬
暖地 3~4月、9~10月下旬 4月中旬~7月中旬、10~12月中旬
※主に露地栽培の栽培時期。「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する場合、シュンギクは周年栽培が可能です。

シュンギク(春菊)の栽培準備

シュンギク、栽培
出典:写真AC
作付け計画や種の注文、播種(はしゅ)に向けてシュンギク栽培の準備を始めましょう。
※播種とは、作物の種をまくことです。

▼ビニールハウスなど設備関係のことならこちらをご覧ください。

シュンギクの収量

シュンギク、栽培
出典:写真AC
1a(100平方メートル)で150kgほど収穫することができます。
出典:作物統計調査 平成29年産野菜生産出荷統計
「都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量」(農林水産省)
(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500215&tstat=000001013427&cycle=7&year=20170&month=0&tclass1=000001032286&tclass2=000001032933&tclass3=000001121095)(2019年10月2日に利用)

シュンギクの種・苗の用意

地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。
シュンギクはビニールハウスなどで周年育てられる作物なので、栽培時期に合ったとう立ちしづらい品種を選ぶことも重要なポイントです。
品種 主な産地
さとゆたか
(中葉・摘みとり種)
 千葉、茨城、福岡、群馬
冬の精
(中葉・株張り種)
 大阪など
おたふく
(大葉種)
 茨城など

◆1aあたりのシュンギクの使用種子量

1a(100平方メートル)あたりの使用種子量は、摘みとり種で250ml位、株張り種で650ml位です。

シュンギクの土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態が良ければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材等の散布を心がけましょう。
▼土壌消毒や土づくり、土壌診断のことならこちらをご覧ください。

◆シュンギクの土壌pH

pH6.0位が適しています。

◆シュンギクに適した土壌

シュンギクは酸性土壌に弱いので、栽培前は必ず酸度調整を行います。
また、乾燥にも弱い性質があるので、堆肥などを投入して土壌改良を行い、保水性の高い土壌づくりを心がけます。

シュンギクの肥料

シュンギクは側枝を順次収穫する摘みとり種と、株ごと収穫する株張り種とで施す肥料の量が異なります。
元肥(10平方メートル) 窒素 リン酸 カリウム
摘みとり種  150〜200g  150g  150g
株張り種  200g  150〜200g  150〜200g
▼肥料のことならこちらをご覧ください。

畝立て

畝幅は120~150cm、条間は18〜20cm位にします。播種機を使う場合は、使用する機械の仕様に合わせた畝の向きや高さ、幅にする必要があります。

▼耕運機、鍬のことならこちらをご覧ください。

▼マルチ栽培のことならこちらをご覧ください。


シュンギク(春菊)の育て方

シュンギク、栽培
出典:写真AC
畝や種の準備が整ったら、シュンギク栽培のスタートです。

種まき

シュンギク、栽培、発芽
出典:写真AC
シュンギクの発芽適温は15~20℃、3~5日で発芽します。
35℃以上の高温環境下、反対に10℃以下の低温では発芽しづらい傾向があります。
発芽率も概ね50〜60%なので、ほかの作物と比べて種は多めにまいた方が安全です。

◆種まき前は十分な灌水

シュンギクの種は乾燥すると発芽率が下がるので、土壌水分を保つことが重要です。
※灌水(かんすい)とは水を注ぐこと、植物に水を与えること。

▼灌水チューブのことならこちらをご覧ください。

◆種まきのポイント

発芽率が悪いので、種の量は多めのすじまき。
シュンギクの種は好光性種子のため、土を被せ過ぎないことがポイントです。
種まき後、乾燥するとさらに発芽率が落ちるので、寒冷紗や防虫ネットなどを使用して、種や土の乾燥を防ぎましょう。

摘みとり種
長い間収穫する摘みとり種は、株間を広めにとって点まきにするか、セルトレイで本葉4〜5枚くらいまで育苗してから定植すると管理がしやすいです。

株張り種
株張り種の収穫は、株ごと抜き取るので発芽のそろいをよくして、生育のムラが出ないように管理します。

▼播種機のことならこちらをご覧ください。

間引き

シュンギク、栽培、発芽
出典:写真AC
1回目は本葉2枚のころに2~3cm間隔で、2回目は本葉が4~5枚になったら5~6cm間隔と順次間引き、最終株間は摘みとり種で15~20cm、株張り種で10cm間隔にします。

水やり

基本的にほかの野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝に行わないと根を傷めてしまいますので注意しましょう。
シュンギクは乾燥に弱いので、適宜灌水を行いましょう。

▼土壌水分計のことならこちらをご覧ください。


▼ハウス栽培での湿度や温度の管理についてはこちらをご覧ください。

追肥

シュンギク、栽培
出典:写真AC
順次収穫する摘みとり種の追肥は、窒素成分で10平方メートルあたり30〜40gを1回目の収穫後に施します。それ以降は、葉色が薄くなった場合など、必要なときに追肥するか、液肥などで補います。
基本的に、株張り種の肥料は元肥のみで、葉色が薄くなった場合のみ液肥などで対応します。

▼液肥のことならこちらをご覧ください。

シュンギク(春菊)の収穫

シュンギク、栽培
出典:写真AC
順次収穫する摘みとり種と一発収穫の株張り種の収穫適期の見分け方を紹介します。

摘みとり種の収穫

1回目の収穫
・適期:草丈20〜25cm位で、本葉9〜10枚のころ
・摘みとり部位:本葉4枚残して主枝をカット
・追肥:窒素成分で10平方メートルあたり30〜40g

2回目の収穫
・適期:側枝が20〜25cm位のころ
・摘みとり部位:下葉2枚残して側枝をカット
・追肥:生育の状態を見て判断

3回目以降の収穫
・適期:生育の良い側枝が20〜25cm位に伸びたころ
・摘みとり部位:伸びた側枝だけを下葉2枚残してカット
・追肥:生育の状態を見て判断


株張り種の収穫

側枝がたくさん出てくる株張り種の収穫は、草丈が20cm位まで生長したものを、根ごと抜いてからはさみでカットします。

▼収穫時のおすすめグッズはこちらをご覧ください。

シュンギク(春菊)の病害虫

シュンギクを栽培する上で、かかりやすい病気や気をつけたい害虫について紹介します。

▼ハウス栽培での病害虫対策にはこちらをご覧ください。

▼病害虫対策に欠かせない農薬のまとめ

シュンギクがかかりやすい病気

シュンギクは多湿環境下の糸状菌(カビ)による病気に注意が必要です。

▼植物全体の病気のことならこちらをご覧ください。

▼台風後の病気を防ぐ対策についてはこちらをご覧ください。

◆炭疽病

雨や曇天が続く時期など、湿度が高くやや気温が高い環境で発生しやすい糸状菌(カビ)による病気です。

◆さび病

葉で盛り上がった鉄のさびのような色(黄色~赤褐色)をした小斑点を生じます。その後、斑点の表皮が破れて黄色~赤褐色の粉末が飛び散ります。発病が激しいと葉の全体をさび病の粉が覆います。

◆菌核病

糸状菌(カビ)が原因となる病気で、下葉や茎が褐変し、後に白色の綿毛状の菌糸に覆われます。

◆べと病

葉脈で区切られた淡黄色の多角形の病斑が特徴的で、多湿環境で発生しやすい糸状菌(カビ)による病気です。病変の葉の裏側に灰白色のカビが生じます。

◆黒斑病

下葉から小さな黒色〜暗褐色の、円形もしくは不整形の病斑が生じる糸状菌(カビ)が原因の病気です。

シュンギクを食害する害虫

シュンギクは春と秋に発生しやすい害虫に注意しましょう。

◆ハモグリバエ類

孵化した幼虫が、葉の内部をトンネルを掘るように進んでいって食害する、別名エカキムシと呼ばれる害虫です。

◆ネキリムシ

幼苗の地ぎわの茎や葉柄を夜間に切り倒して食害する害虫で、チョウ目ヤガ科幼虫の総称です。

◆ヨトウムシ

「夜盗虫」の名の通り夜に活動し、日中は葉裏や株元の浅い土中に潜んでいるヨトウガの幼虫です。

◆アザミウマ

植物の汁を吸い、食害を受けた葉は褐色化し、最終的には枯死します。別名スリップスと呼ばれる、さまざまな病気のウイルスを媒介してしまう害虫です。

◆アブラムシ類

主に新芽や茎、蕾(つぼみ)に発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にしてモザイク病やすす病などが発症しやすいので、アブラムシ発生後は病気が発症していないか注意が必要です。

▼防虫、防獣ネットならこちらをご覧ください。


▼そのほかの病害虫対策のまとめ

シュンギク(春菊)の生理障害

続いてシュンギクの生理障害を紹介します。

芯枯症

被害状況  芯から出ている葉の色が褐色または黒色になる。
原因  窒素やリン酸などが多量の場合、カルシウム不足、または気温が高く、乾燥状態下で発生しやすい。
▼要素障害やカルシウム不足、高温障害についてはこちらをご覧ください。

▼そのほかの生理障害のまとめ

シュンギク(春菊)栽培のまとめ

シュンギク、栽培
出典:写真AC
シュンギクは品種によって収穫の方法が異なります。主枝と側枝を順次収穫する摘みとり種、株ごと一気に収穫する株張り種、どちらの品種を育てるかの選択が必要です。
シュンギクは、収穫してから店頭に並ぶまでの運送状況の影響を受けやすい野菜です。収穫後は低温で管理し、鮮度を保つことを心がけましょう。


シュンギク(春菊)の経営指標

新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

需要動向を調べる

シュンギクは12〜1月の冬の鍋需要で卸価格が上昇するほか、全国的に入荷量の少ない8〜9月に高値で取引されます。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

卸価格を調べる

シュンギクは、周年栽培が可能なので1年中市場で流通しています。そのため、季節や品種によっても価格の差が出ますが、卸価格は2016年の調べで1kgあたり501〜1,749円、平均で679円で取引されています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

出荷量を調べる

2016年の全国の出荷量は2万4,200トンで、第1位は千葉の3,430トン、第2位は大阪の3,390トン、第3位は茨城と福岡の2,010トン、第5位は群馬の1,740トンです。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

10aあたりのシュンギクの経営収支

シュンギク栽培の産地である広島県の経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
広島 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
 周年栽培 11,300 3,854,576 2,802,318 1,052,258 1,000
出典:広島県庁

◆経営費

シュンギク栽培における経営費とはシュンギクを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

◆農業所得

農業所得は粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということがいえます。

◆労働時間

労働所得を労働時間で割ると、シュンギク栽培の時給計算ができます。広島県の例でいうと、農業所得1,052,258円÷労働1,000時間=1,052.3円。つまり時給1,052円として換算します。

◆経営の状態を大まかに捉える

シュンギクの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、シュンギクのほかに育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

▼農業の補助金や収入など就農の基礎知識

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設等の準備。
参考:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

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農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務、エディブルフラワー事務局を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。