葉面散布剤は、不足している養分(液状)を植物体に直に吸収させることで、作物の生長促進や品質を向上させるために有効な肥料です。そんな葉面散布剤について、栽培初心者にもわかりやすく説明します。
葉面散布剤とは
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葉面散布剤の使用目的
葉面散布剤は作物の生育を良くし、品質を向上させますが、具体的にどんなときに使用すると効果があるのでしょうか。1. 不足しがちな元素の欠乏対策
植物の生育に必要な元素の中には、植物内で「移動しやすいもの」と「移動しにくいもの」、その「中間のもの」があります。移動しにくいカルシウムやマグネシウムは、葉で欠乏症が発生することが多く、そんなときに葉面散布剤が活用されます。植物内での移動 | 成分名 |
移動しやすい | リン、カリ、イオウ、塩素 |
移動が中位 | マンガン、亜鉛、銅、鉄、モリブデン |
移動しにくい | カルシウム、マグネシウム |
2. 生育をコントロール
花芽分化や徒長抑制など、植物の生育ステージに合わせて、葉面散布剤の肥料の成分を変えることで、生育をコントロールすることができます。※花芽分化とは、植物が実や種をつける前段階の花を咲かせる生長に移行すること。
※徒長とは植物の葉厚や葉の色が薄くなり、葉や葉柄および葉身が弱々しく間延びした状態。
新しい葉面散布剤〜亜リン酸、ポリリン酸
亜リン酸やポリリン酸は、通常のリン酸と形状が異なる根や葉から吸収されやすいリン酸です。
これを葉面散布剤で、花芽分化時や着果時期などのリン酸要求量が多い時期に施用することで、より効果的に植物にリン酸を効かせることができます。また、亜リン酸を葉面散布することで、疫病やべと病などの病気に対して、抵抗力を高めるという効果もあります。
3. 新しい根の発根を促す
また、定植時に葉面散布剤を施用することで、より発根を促す効果も期待できます。
4. 生育不良を防ぐ
5. 光合成を促進する
曇雨天や日射量が少ない冬に散布することで品質を向上させ、収量を増やすことができます。
新しい葉面散布剤〜有機物(アミノ酸)
アミノ酸は「光合成」に重要な成分で、アミノ酸を与えることで植物の光合成を活発にさせて生育を良くします。アミノ酸を主成分としているものと、窒素などの肥料分に追加でアミノ酸が入っているものがあります。
使用のタイミングとおすすめ葉面散布剤
1. 植物の調子がおかしい
葉の色が悪い、葉に斑点ができている、芽先や葉先が枯れている、花が落ちる、そんな場合は肥料や微量要素不足の可能性があります。追肥をして根から肥料を与える方法も良いですが、効果が出るのに時間がかかるため、応急的に葉面散布を使用することもおすすめです。
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植物の調子がおかしいときに使用する葉面散布剤
肥料分(窒素、リン酸、カリなどの多量要素や、カルシウム、マグネシウム、鉄、モリブデンなど)を含む葉面散布剤2. 花芽分化、着果、収穫時期
根からの肥料供給が追いつかない場合は、補足的に葉面散布剤を使用すると効果があります。
また、収穫時期は肥料切れが発生しやすい時期なので、葉面散布剤で補うと草勢を上げる効果があります。
花芽分化、着果、収穫時期に使用する葉面散布剤
花芽分化、着果時期では、リン酸、カリを含むもの3. 天気が悪い日が続く
天気が悪い日が続くときに使用する葉面散布剤
アミノ酸を含むものペンタキープ Hyper 5000
ペンタキープは、植物の光合成を高める“5-アミノレブリン酸”を世界で初めて配合した液状肥料です。
“5-アミノレブリン酸”は、植物や動物の体内にある大切なアミノ酸で、植物体内ではクロロフィル(葉緑素)の前駆体となる物質です。
バランス型の肥料にアルギニンを加え、不良環境時の窒素の代謝とALAの効果を増強しました。
・内容量:800ml
・肥料成分:窒素(8%)、水溶性リン酸(6.0%)、水溶性カリ(4.0%)、水溶性苦土(4.0%)、水溶性マンガン(0.11%)、水溶性ホウ素(0.170%)、尿素、L-アルギニン、5-アミノレブリン酸塩酸塩
“5-アミノレブリン酸”は、植物や動物の体内にある大切なアミノ酸で、植物体内ではクロロフィル(葉緑素)の前駆体となる物質です。
バランス型の肥料にアルギニンを加え、不良環境時の窒素の代謝とALAの効果を増強しました。
・内容量:800ml
・肥料成分:窒素(8%)、水溶性リン酸(6.0%)、水溶性カリ(4.0%)、水溶性苦土(4.0%)、水溶性マンガン(0.11%)、水溶性ホウ素(0.170%)、尿素、L-アルギニン、5-アミノレブリン酸塩酸塩
4. 自然災害に遭遇したとき
また、霜などの低温や、夏場の高温、乾燥による障害を和らげる葉面散布剤もあります。
自然災害に遭遇したときに使用する葉面散布剤
【台風や大雨、冠水による根傷み】発根促進効果があるもの(ファイトオーツー、ペンタキープHyper など)
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【霜などの低温や夏場の高温、乾燥】
トレハロースを含むもの(トレエース、ファイトカル、鉄力トレプラス など)
▼低温障害や高温障害のことならこちらをご覧ください。
作業効率を考えた農薬混用の散布術
しかし、間違った葉面散布剤の使い方で、薬害が発生する場合もあるので注意が必要です。
▼効果的な肥料の施用のことならこちらをご覧ください。
葉面散布剤を使用する前にすること
葉面散布をして植物が健全になり、新しい根が出た後に、土壌中に肥料分がなければ継続的に生育をよくすることができません。葉面散布を使用する前には、土壌中の肥料分が不足していないかを必ず確認し、不足している場合は追肥をします。
▼追肥のことならこちらをご覧ください。
葉面散布剤と農薬の混用の注意点
誤った使用方法で、薬害を起こしてしまうため、農薬との混用は慎重に行います。
使用する葉面散布剤の表示内容について確認しましょう。また、初めて農薬と混用する際は、作物に薬害が発生しないか部分的にテスト確認してから散布しましょう。
葉面散布剤に展着剤は必要?それとも不要?
多くの葉面散布剤には、葉に吸着し浸透しやすい成分が入っているため、展着剤は不要のものが多いです。葉面散布剤を展着剤の代わりに農薬と混ぜて使用できるものもあります。詳しくは葉面散布剤の使用上の注意に書かれている内容を確認してみましょう。
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