チンゲンサイ | 基本の育て方と本格的な栽培のコツ

農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいチンゲンサイの育て方を紹介!チンゲンサイ作りに欠かせない土づくりや病害虫、チンゲンサイの収穫適期の見分け方などを説明します。


チンゲンサイ、栽培

出典:写真AC
野菜を育てた経験がある方なら「育てた野菜を食べる」ことは、何物にも代え難い格別のおいしさと感動を与えてくれます。あの採れたてのおいしさを求めて「もっと野菜のこと、栽培のことを知りたい!」そんな家庭菜園で本格的に野菜作りに励みたい方や野菜作りのプロを目指した「新規就農」を視野に入れている方に、基本的なチンゲンサイの育て方と本格的な栽培のコツを紹介します。

チンゲンサイについて

チンゲンサイ、栽培
出典:Pixabay
チンゲンサイは、原産地である中国から昭和47年日中国交回復の際に導入された中国野菜の一つです。導入された当初は、葉柄が緑色のものを「青茎パクチョイ」「青軸パクチョイ」と呼び、白色のものを「白茎パクチョイ」「白軸パクチョイ」と呼んでいました。
その後、中国野菜ブームも高まり、昭和58年に新野菜について名称を統一させる目的から、葉柄が緑色を帯びたものを「チンゲンサイ(青梗菜)」、白色のものを「パクチョイ」と呼ぶようになりました。
植物名  チンゲンサイ(青梗菜)
学名  Brassica rapa var. chinensis
英名  Pak-choi、Chinese mustard
科名  アブラナ科
属名  アブラナ属
原産地  中国
土壌pH  pH6.0〜6.5
生育適温  15〜20℃
発芽適温  20〜25℃

チンゲンサイの特徴

チンゲンサイは、アブラナ科のハクサイ(白菜)などと同じように、低温に当たることで花芽を分化し、長日条件下でとう立ち(抽台)するため、栽培時期に合う品種(早生や晩生など)の選定が求められます。
チンゲンサイは秋に種をまいて育てるのが栽培時期として適していますが、日本人の食卓に定着した今、周年安定供給することが求められているため、露地栽培以外にもハウスなどの施設で栽培されることが多いようです。

チンゲンサイの栽培時期

新規就農レッスン 栽培カレンダー チンゲンサイ
Illustration:rie
育てる地域や栽培する品種によって植え付け時期が異なりますので、種を購入するときに確認しましょう。
※主に露地栽培の栽培時期です。「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する場合、チンゲンサイは周年栽培が可能です。

◆チンゲンサイの春まき栽培の注意点

チンゲンサイ、花、抽台、とう立ち
出典:Pixabay
・チンゲンサイの発芽適温である20〜25℃を下回る時期の種まきは、栽培環境をハウスにするなど温度をあげる工夫が必要。
・チンゲンサイの生育適温である15〜20℃を上回るようなときには、高温になり過ぎないようにするための換気が不可欠。
・虫の活動(4月以降)が激しくなるため、害虫予防が必須。
・長日条件下のため、とう立ち(抽台)が早い。

◆チンゲンサイの夏まき栽培の注意点

・梅雨時期はマルチや雨よけなど湿害対策が不可欠。
・高温期には乾燥に注意し、地温を下げなければならないため、ハウスなど栽培環境を整えるなどの工夫が必要。
・引き続き害虫対策が必須。

◆チンゲンサイの秋まき栽培の注意点

・チンゲンサイの生育に最も適した栽培時期。
・秋前半と後半では温度条件が異なり、その後の生育日数にも大きな違いが出るため、栽培後半はトンネルやハウス栽培が必要になることもある。
・露地栽培として、秋は種まきの限界になるが、地域やその年の気温により栽培日程は前後する。
・霜が降り始めるような寒さにおいて、チンゲンサイは外葉から黄化し始めるが、一方で寒さはチンゲンサイの旨味向上にも繋がる。

◆チンゲンサイの冬まき栽培の注意点

・生育全般において、ハウスなどの施設で栽培しなければならない。

チンゲンサイの栽培準備

チンゲンサイ栽培の準備を始めましょう。

チンゲンサイの収量

1a(100平方メートル)で196kgほど収穫することができます。
参考HP:農林水産省「平成29年産都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量 」

チンゲンサイの種・苗の用意

地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。チンゲンサイはビニールハウスなどで周年育てられる作物なので、栽培時期に合った品種を選ぶことも重要です。
主な品種 主要産地
ニイハオ114  茨城、静岡、群馬、愛知など
夏賞味  群馬、愛知、埼玉など
冬賞味  茨城、群馬など

◆1a(100平方メートル)あたりのチンゲンサイの使用種子量

(例)品種:夏賞味(武蔵野交配)の場合
1a(100平方メートル)あたりの株数は1600〜3000株、使用種子量は60~80mlが目安です。
参考HP:太田種苗

チンゲンサイの土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態がよければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材などの散布を心がけましょう。
▼土壌消毒のことならこちらをご覧ください
▼土づくりのことならこちらをご覧ください

▼土壌診断のことならこちらをご覧ください

◆チンゲンサイの土壌pH

土壌はpH6.0〜6.5。

◆チンゲンサイに適した土壌

チンゲンサイは特に乾燥土壌で生育が悪くなるため、マルチ栽培が適しているようです。マルチ栽培は乾燥防止以外にも、低温期の地温を上昇させたり(透明・黒マルチ使用)、高温期には地温を下げる目的で(白黒ダブル・シルバーマルチ使用)、そのほかにも雑草を抑制し、降雨による泥のはね上がりを防ぎ、害虫防除(シルバーマルチ使用)に対しても効果が期待できます。

▼マルチ栽培のことならこちらをご覧ください。

チンゲンサイの肥料

チンゲンサイを栽培するときに使用される肥料は、目安として10平方メートルあたり窒素100〜200g、リン酸100〜200g、カリ100〜200g位です。栽培する時期によって肥料の量が違ってきます。

▼肥料のことならこちらをご覧ください。

畝立て

畝幅は80〜120cm、条間は15〜20cm位にします。播種機を使う場合は、使用する機械の仕様に合わせた畝の向きや高さ、幅にする必要があります。また、排水性が悪い場合は、畝を高く作りましょう。

▼耕運機、鍬のことならこちらをご覧ください。



チンゲンサイの育て方

チンゲンサイ、栽培
出典:写真AC
畝や種の準備が整ったら、チンゲンサイ栽培のスタートです。

種まき

チンゲンサイの発芽適温は20〜25℃です。

◆種まき前は十分な灌水(かんすい)

発芽するまでの種子が乾燥すると発芽率が下がりますので、適度な土壌水分を保つことが重要です。
※灌水とは、水を注ぐこと、植物に水を与えることです。灌水ホース、灌水装置など農業でよく使用する言葉なので覚えましょう。


◆点まきのポイント

点まきの際は株間5〜15cmをとり、1箇所に4〜5粒ずつチンゲンサイの種をまきます。

◆すじまきのポイント

すじまきは、深さ1cm位の溝を付けて2〜3cm間隔で種をまき、5mmほど覆土して土を軽く押さえます。
チンゲンサイの種はとても小さいので、ペレット加工された種子やシーダーテープ種子を使用してもいいでしょう。
※ペレット加工種子とは、不整形種子や偏平種子、微細種子を取り扱いしやすいように加工した種子です。
※シーダーテープ種子とは、ひも状の溶ける素材の中に1粒ずつ種子が入った、種まきの作業効率を高める製品です。

▼播種機のことならこちらをご覧ください。

間引き

1回目の間引きはチンゲンサイの本葉が2〜3枚のころ、点まきは2株に、すじまきは株間5cm間隔にします。
2回目の間引きは本葉が4〜5枚になったら、点まきは1株に、すじまきは10〜15cm間隔にしましょう。

水やり

基本的にほかの野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝か夕方に行わないと根を痛めてしまいます。

◆高温乾燥期の水不足に注意

高温乾燥期の水不足は、チンゲンサイが萎(しお)れたり枯れたりする恐れがあります。

◆生育むら(斑)に注意

灌水量に部分的なむらが生じると、チンゲンサイの生育むらに繋がるので注意しましょう。

追肥

チンゲンサイは元肥が肥料の中心となりますが、生育不良な場合は液肥などを使用して対応しましょう。

▼液肥のことならこちらをご覧ください。


チンゲンサイの収穫

チンゲンサイの草丈が20〜25cm(ミニチンゲンサイは10〜15cm)位、株元の直径が4〜6cmほどになったら収穫適期です。それ以上大きくなると、繊維質が硬くなり食味が落ちるので、取り遅れには注意しましょう。
チンゲンサイの栽培期間の目安として品種にもよりますが、高温期で30〜50日、低温期で70〜90日程度かかります。
収穫する際は根ごと抜き取り、その後包丁でチンゲンサイの根の部分を切り取ります。

▼収穫時のおすすめグッズはこちらをご覧ください。

チンゲンサイの病害虫

チンゲンサイ、病害虫
出典:写真AC
チンゲンサイを栽培するうえで、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。
▼ハウス栽培での病害虫対策にはこちらをご覧ください

チンゲンサイがかかりやすい病気

アブラナ科野菜の大敵「根こぶ病」は酸性土壌で発生しやすいので、作付け前の土づくりが重要です。
▼植物全体の病気のことならこちらをご覧ください

◆根こぶ病

アブラナ科植物にのみ発生し、根の表層で感染する土壌病害です。感染が広がると作物の生育を阻害し、萎れて枯れてしまいます。

◆軟腐病

細菌が作物に侵入することで感染し、黒く腐敗して異臭を放ちます。比較的高温多雨の多湿条件下で発生します。

◆白斑病

葉の表面に火であぶったような灰褐色の病斑が出る糸状菌(カビ)による病気です。

◆べと病

下葉から不整形な淡黄色の病斑が生じ株全体に広がる、多湿環境で発生しやすい糸状菌(カビ)による病気です。病変の葉の裏側に灰白色のカビが生じます。

◆白さび病

最初葉の裏面に淡緑色の斑点ができ、次第に少し隆起したような乳白色の斑点ができる糸状菌(カビ)による病気です。

チンゲンサイを食害する害虫

チンゲンサイはアブラナ科の作物を好むコナガなどに注意が必要です。

◆コナガ

アブラナ科の植物を好んで食害する、世界各地に分布するチョウ目スガ科の幼虫です。幼虫を刺激すると、体をくねくねさせながら後退りして、糸を吐きぶら下がるという行動をとります。

◆キスジノミハムシ

黒褐色の成虫は葉を、乳白色の幼虫は根の部分を食害する、コウチュウ目ハムシ科の虫です。

◆ハモグリバエ類

孵化した幼虫が、葉の内部をトンネルを掘るように進んでいって食害する、別名エカキムシと呼ばれる害虫です。

◆ヨトウムシ

「夜盗虫」の名の通り夜に活動し、日中は葉裏や株元の浅い土中に潜んでいるヨトウガの幼虫です。

◆アブラムシ類

主に新芽や茎、蕾に発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にしてモザイク病やすす病などが発症しやすいので、アブラムシ発生後は病気が発症していないか注意が必要です。

▼防虫、防獣ネットならこちらをご覧ください。

チンゲンサイの生理障害

チンゲンサイの生理障害を引き起こす原因として、灌水管理が重要なポイントとなります。

カッピング

被害状況 葉の縁が内側に向かって折れ曲り、カップ状になる。
原因  気温が高く、乾燥状態下で発生しやすい。
▼高温障害についてはこちらをご覧ください

チンゲンサイ栽培のまとめ

チンゲンサイはアブラナ科作物特有の根こぶ病の連作障害が問題となるため、アブラナ科以外の作物との輪作体系の確立や病害を起こさない土づくりが収量確保のポイントとなっています。
チンゲンサイの作付け面積、出荷量共に日本一を誇る茨城県では、土壌検査を年に数回行うことで適正施肥を心がけ収量を上げています。
家庭菜園ではコマツナやシュンギクなどのほかの葉物野菜と同じように、種まきの時期が半年以上もあるので、気軽に栽培を始められる作物です。


チンゲンサイの経営指標

新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

作付け面積を調べる

平成24年度の全国のチンゲンサイの作付面積は2,450ヘクタールでしたが、平成29年度では2,200ヘクタールと減少傾向にあります。平成29年度の作付面積第1位の茨城県が496ヘクタール、続いて静岡県が321ヘクタールとなっています。
参考HP:農畜産業振興機構「ベジ探」、農林水産省「平成29年産都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量 」

出荷量を調べる

平成24年度の全国のチンゲンサイの出荷量は4万2,300トンでしたが、平成29年度では3万8,000トンと作付け面積同様に減少傾向にあります。平成29年度の作付面積第1位の茨城県が10,700トン、続いて静岡県が7,310トンとなっています。
参考HP:農畜産業振興機構「ベジ探」、農林水産省「平成29年産都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量 」

卸価格を調べる

チンゲンサイは周年栽培が可能なので1年中市場で流通しています。そのため、季節や品種によっても価格の差が出ますが、卸価格は平成24年度調べで1kgあたり176~380円、平均で261円で取引されています。
参考HP:農畜産業振興機構「ベジ探

10aあたりのチンゲンサイの経営収支

チンゲンサイ栽培の産地である鳥取県の経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
地域 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
鳥取(ハウス栽培) 5,000 1,212,000 980,315 231,685 294.5
参考HP:鳥取県庁

◆経営費

チンゲンサイ栽培における経営費とはチンゲンサイを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

◆農業所得

農業所得は粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということがいえます。

◆労働時間

労働所得を労働時間で割ると、チンゲンサイ栽培の時給計算ができます。鳥取県の例でいうと、農業所得231,685円÷労働294.5時間=786.7円。つまり時給787円として換算します。

◆経営の状態を大まかに捉える

チンゲンサイの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、チンゲンサイのほかに育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設などの準備。
参考HP:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

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sana

農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務、エディブルフラワー事務局を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。