ミズナ(水菜) | 基本の育て方と本格的な栽培のコツ

農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいミズナの育て方を紹介!ミズナ作りに欠かせない土づくりや病害虫、ミズナの収穫適期の見分け方などを説明します。


ミズナ、栽培

出典:写真AC
野菜を育てた経験がある方なら「育てた野菜を食べる」ことは、何物にも代え難い格別のおいしさと感動を与えてくれます。あの採れたてのおいしさを求めて、「もっと野菜のこと、栽培のことを知りたい!」そんな家庭菜園で本格的に野菜作りに励みたい方や、野菜作りのプロを目指した「新規就農」を視野に入れている方に、基本的なミズナ(水菜)の育て方と本格的な栽培のコツを紹介します。

ミズナ(水菜)について

ミズナ
撮影:AGRI PICK編集部
ミズナは日本原産のアブラナ科アブラナ属漬菜類の野菜で、別名「京菜」とも呼ばれています。
和名類聚抄(935年ごろ)に記載されるほど、古くから京都で栽培されていた京都の伝統野菜の一つです。
名前の由来は、畝の間に水を貯めて栽培する「水入り菜」から「水菜」となったようです。
植物名  ミズナ(水菜)
学名  Brassica rapa var. laciniifolia
英名  Mizuna
科名  アブラナ科
属名  アブラナ属
原産地  日本
発芽適温  20〜25℃
生育適温  20℃前後

ミズナの特徴

昔から栽培されていた中生・晩生種のミズナは、1株から数百本の葉軸が分けつして大株になるものがほとんどでしたが、近年ではミズナの小株採りに適した早生種を多く栽培するようになったため、需要に合わせて年間5〜6回のミズナの作付けで周年市場に出荷されています。
本来冬が旬の時期を迎えるミズナは、冷涼な気候を好みます。生育適温が20℃前後なので、25℃以上の暑さでは軟弱徒長する性質があります。反対に15℃以下の寒さでは、葉の生長が緩慢(かんまん)になる傾向があります。
※軟弱徒長とは、植物の葉厚や葉の色が薄くなり、茎や葉柄および葉身が弱々しく間延びした状態。

ミズナの栽培時期

育てる地域や栽培する品種によってミズナの種まきの時期が異なりますので、種を購入するときに確認しましょう。
ミズナ 種まき 収穫
寒冷地 4〜9月 6〜13月
中間地・暖地 3〜10月 5〜翌3月
※主に露地栽培の栽培時期。「温室」や「ビニールハウス」「トンネル栽培」などで周年栽培が可能。

ミズナ(水菜)の栽培準備

ミズナ、栽培
出典:写真AC
作付け計画をたて、ミズナの種を注文したら、播種(はしゅ)に向けて畑の準備を済ませましょう。
※播種とは作物の種をまくことです。
▼ビニールハウスなど設備関係のことならこちらをご覧ください。

ミズナの収量

1a(100平方メートル)で171kgほど収穫することができます。
参考HP:農林水産省「平成29年産都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量 」

ミズナの種・苗の用意

ミズナはビニールハウスなどで周年育てられる作物なので、栽培時期に合った品種を選ぶことが重要です。
現在育てられているミズナは、サラダなどの生食に向いている早生種が主流で、地域の種苗会社やホームセンターで購入することができます。
ミズナの原産地である京都では、個々の生産者が持っている江戸時代から続く在来種を多く栽培しています。
ミズナ品種 主な品種
早生種  京みぞれ、京かなで、京しぐれ、早生千筋京水菜など
中生・晩生種  千筋京水菜など
▼家庭菜園でおすすめしたいミズナの品種のことならこちらもご覧ください。

◆1a(100平方メートル)あたりのミズナの株数、使用種子量

<早生品種(京かなで・早生千筋京水菜)の直播栽培>
条間20cm、株間8cmの場合
〜1a(100平方メートル)あたり6,250株ほど。

<早生品種(京かなで・早生千筋京水菜)の移植栽培>
条間15cm、株間15cmの場合
〜1a(100平方メートル)あたり4,444株ほど。

<中株の直播栽培>
畝幅120cm、6条植えの場合
〜1a(100平方メートル)あたり種は350ml位。

<大株の直播栽培>
畝幅100cm、2条植えの場合
〜1a(100平方メートル)あたり種は100ml位。
参考HP:旭川青果物生産出荷協議会 みずな部会「ミズナの直播栽培試験」
参考資料:『新 野菜つくりの実際 葉菜 』編者 川城 英夫

ミズナの土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態がよければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材などの散布を心がけましょう。

▼土づくりのことならこちらをご覧ください。

▼土壌診断のことならこちらをご覧ください。

◆ミズナの土壌pH

pH6.0〜6.5が適しています。

◆ミズナに適した土壌

生育初期のミズナは土壌水分が不可欠ですが、栽培後半は土壌水分が過剰になると、病気の原因となりますので、通気性の良い環境を作ることが大切です。水がたまりやすい場所は畝を高くするなどの工夫をしましょう。

ミズナの肥料

ミズナを栽培するときに使用される肥料は、目安として10平方メートルあたり窒素100〜150g、リン酸100〜150g、カリ100〜150g位。
旬である冬の時期に栽培するミズナは、窒素・リン酸・カリ共に少し多めの150gを目安に、軟弱徒長しやすい夏の時期は減肥傾向の100g位に調整します。
前作で消費されずに残った肥料があると、その後のミズナの栽培に影響を及ぼすので、土壌診断は忘れずに行いましょう。
▼肥料のことならこちらをご覧ください。

畝立て

畝幅は80〜120cm、条間は収穫する大きさによって15〜30cm位、最終的な株間は5〜30cm位にします。
小株採り 中株採り 大株採り
条間 15〜20cm 15〜20cm 30cm
株間 5〜7cm 15cm  20〜30cm
播種機を使う場合は、使用する機械の仕様に合わせた畝の向きや高さ、幅にする必要があります。
▼耕運機、鍬のことならこちらをご覧ください。


▼マルチ栽培のことならこちらをご覧ください。



ミズナ(水菜)の育て方

水菜、育て方
出典:写真AC
畝や種の準備が整ったら、ミズナ栽培のスタートです。

種まき

ミズナの発芽適温は20〜25℃。5〜35℃の環境下でも発芽します。
発芽適温時に種をまくと2〜3日で発芽しますが、それ以外の環境下では、2〜3倍の日数がかかります。
ミズナを大株まで栽培する際、生育が鈍る低温期は、直播せず育苗してから畝に移植します。

◆種まき前は十分な灌水(かんすい)

発芽するまでの種子が乾燥すると発芽率が下がりますので、適度な土壌水分を保つことが重要です。
※灌水とは、水を注ぐこと、植物に水を与えることです。灌水ホース、灌水装置など農業でよく使用する言葉なので覚えましょう。


◆すじまきのポイント

深さ1cm位の溝を付けてすじまきで種をまき、5mmほど覆土して土を軽く押さえます。
ミズナの種は発芽しやすいので、1cm間隔で種をまくと間引きの手間も少なくなります。
さらに作業を省略化するために、シーダーテープ種子もおすすめです。
※シーダーテープ種子とは、ひも状の溶ける素材の中に1粒ずつ種子が入った、種まきの作業効率を高める製品です。
▼播種機のことならこちらをご覧ください。

◆点まきのポイント

最初から子株・中株・大株など、目指すミズナの大きさに合わせた株間をとります。
深さ1cm、直径2〜3cmの凹みにミズナの種を3〜5粒ほどまき、5mmほど覆土して土を軽く押さえます。

間引き

ミズナ、栽培
出典:写真AC
1回目は本葉1〜2枚のころに2〜3cm間隔で、2回目は本葉が3〜4枚になったら5〜7cm間隔(小株の株間)にします。
最終的な中株の株間は15cm、大株の株間は20〜30cmになるまで、順次間引いていきます。
今後、育てる株間や条間の大きさがミズナの草丈の生育に影響を与えます。

水やり

基本的にほかの野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝に行わないと根を痛めてしまいますので注意しましょう。

◆初期生育の水やりが大切

「水菜」という名前からも、ミズナ栽培では水の加減が重要です。ミズナの初期生育時は十分な水やりを心がけます。反対に生育後期の土の過湿は、特に高温期において軟腐病などの病気が発生しやすくなるので注意が必要です。
灌水に部分的なムラが生じると、ミズナの生育ムラにも繋がるので気を付けましょう。
▼土壌水分計のことならこちらをご覧ください。

追肥

ミズナの追肥は株の生育の状態をみながら1〜2回行います。1回目は本葉5〜6枚のころ、中株から大株は草丈が20cmころが追肥のタイミングです。

ミズナ(水菜)の収穫

ミズナ、栽培
出典:写真AC
草丈や重量を目安に収穫適期を判断します。
収穫する際は根ごと抜き取り、その後刃物でミズナの根の部分を切り取ります。
小株採り 中株採り 大株採り
草丈 15〜20cm 20〜30cm 30cm以上
重量 25〜75g 500g  800g以上
▼収穫時のおすすめグッズはこちらをご覧ください。

家庭菜園のミズナの収穫

家庭菜園で育てたミズナは自由に好みの大きさで収穫することができますが、小株採りの方が葉が柔らかいためサラダなどに適しています。
また、根ごと抜き取らず、外葉から順次切り採ることで長い間収穫することも可能です。

ミズナ(水菜)の病害虫

ミズナを栽培する上で、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。

ミズナがかかりやすい病気

ミズナは土壌に存在するカビの影響で病気になりやすい傾向があります。

◆軟腐病

細菌が作物に侵入することで感染し、黒く腐敗して異臭を放ちます。比較的高温多雨の多湿条件下で発生します。

◆根こぶ病

アブラナ科植物にのみ発生し、根の表層で感染する土壌病害です。感染が広がると作物の生育を阻害し、萎(しお)れて枯れてしまいます。

◆苗立枯病

生育初期の幼苗期に発生しやすく、地ぎわの茎がくびれて枯死する糸状菌(カビ)による病気です。

◆立枯病

浅い土壌部分の未分解の微生物を栄養にして生存している糸状菌(カビ)の影響で、種が芽を出す前に腐敗したり、発芽した後胚軸部分が褐変してくびれたように枯れる病気です。

◆白さび病

最初葉の裏面に淡緑色の斑点ができ、次第に少し隆起したような乳白色の斑点ができる糸状菌(カビ)による病気です。

ミズナを食害する害虫

ミズナはアブラナ科の作物を好むコナガなどに注意が必要です。

◆キスジノミハムシ

黒褐色の成虫は葉を、乳白色の幼虫は根の部分を食害する、コウチュウ目ハムシ科の虫です。

◆コナガ

アブラナ科の植物を好んで食害する、世界各地に分布するチョウ目スガ科の幼虫です。幼虫を刺激すると、体をくねくねさせながら後退りして、糸を吐きぶら下がるという行動をとります。

◆ハモグリバエ類

孵化した幼虫が、葉の内部をトンネルを掘るように進んでいって食害する、別名エカキムシと呼ばれる害虫です。

◆ヨトウムシ

「夜盗虫」の名の通り夜に活動し、日中は葉裏や株元の浅い土中に潜んでいるヨトウガの幼虫です。

◆アブラムシ類

主に新芽や茎、蕾に発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にしてモザイク病やすす病などが発症しやすいので、アブラムシ発生後は病気が発症していないか注意が必要です。
▼防虫、防獣ネットならこちらをご覧ください。

ミズナ(水菜)の生理障害

続いて、ミズナの生理障害を紹介します。

白化症状

被害状況  葉先が白くかすれたような状態
原因  石灰資材の不足及び土壌の酸性化により、マンガンの過剰吸収によって発生

ミズナ(水菜)栽培のまとめ

ミズナ、栽培
出典:写真AC
ミズナは日本原産の数少ない野菜の一つです。京都の伝統野菜としても知られている由緒正しい昔ながらの作物であるとともに、最近ではサラダの食材で食卓に定着してきた新しい野菜としての一面もあります。
また、特定野菜35品目の一つでもあり、重要な野菜として位置付けられています。


ミズナ(水菜)の経営指標

新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

需要動向を調べる

以前は主に鍋料理に使用するため大株のミズナが需要の主流でしたが、核家族や食生活の変化により小株のミズナが求められています。サラダの食材にも使われるため、カット野菜として需要が増加しスーパーなどで販売されています。

卸価格を調べる

ミズナは、周年栽培が可能なので1年中市場で流通しています。そのため、季節や品種によっても価格の差が出ますが、卸価格は1kgあたり220〜723円、平均で379円で取引されています。
参考HP:農畜産業振興機構

販売価格を調べる

卸価格同様にミズナの販売価格も季節や天候などの影響で前後しますが、1kgあたり標準品で865円ほどです。
参考HP:農林水産省「生鮮野菜価格動向調査(平成28年4〜6月分)」

10aあたりのミズナの経営収支

ミズナ栽培の産地である群馬県、埼玉県などの経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
地域 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
 群馬(春秋雨よけ栽培) 1,500 787,500 300,339 487,161 387.2
 埼玉(露地栽培) 1,200 600,000 123,348 476,652 686.7
 神奈川(露地栽培) 1,406 1,054,500 95,081 959,419 653
 高知(露地栽培) 1,146 751,300 234,800 516,500 1,235
参考HP:NPO法人有機農業参入促進協議会

◆経営費

ミズナ栽培における経営費とは、ミズナを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

◆農業所得

農業所得は粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということがいえます。

◆労働時間

労働所得を労働時間で割ると、ミズナ栽培の時給計算ができます。群馬県の例でいうと、農業所得487,161円÷労働387.2時間=1,258.2円。つまり時給1,258円として換算します。

◆経営の状態を大まかに捉える

ミズナの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、ミズナのほかに育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設などの準備。
参考HP:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

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sana

農業研究センターで大豆と稲の研究作物栽培及び実験業務に従事。屋上ガーデン・屋上菜園スタッフ勤務後、野菜をはじめとする植物の記事を執筆中。