スイカ | 基本の育て方と本格的な栽培のコツ

農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいスイカの育て方を紹介!スイカ作りに欠かせない土づくりや病害虫、スイカの収穫適期の見分け方などを説明します。


スイカ

出典:写真AC
野菜を育てた経験がある方なら「育てた野菜を食べる」ことは、何にも代え難い格別のおいしさと感動を与えてくれます。あの採れたてのおいしさを求めて、「もっと野菜のこと、栽培のことを知りたい!」そんな家庭菜園で本格的に野菜作りに励みたい方や、野菜作りのプロを目指した「新規就農」を視野に入れている方に、基本的なスイカの育て方と本格的な栽培のコツを紹介します。

スイカについて

スイカ
出典:写真AC
スイカは夏を代表する甘くてみずみずしいウリ科の野菜です。
原産地は、アフリカ中部の砂漠地方といわれており、日本へは17世紀に中国から渡来したと考えられています。現在日本で栽培されているものは、在来種と掛け合わせて品種改良されたものです。
植物名  スイカ
学名  Citrullus lanatus(Thunb.)Matsum. et Nakai
英名  Watermelon
科名  ウリ科
属名  スイカ属
原産地  南アフリカ
生育適温
(昼間)
 25~30℃
生育適温
(夜間)
 12~18℃

スイカの特徴

スイカは光と高温を好み、夏の畑でよく育ちます。また、アフリカの砂漠地帯原産であることから乾燥を好むため、排水性の良い土壌で栽培します。
連作でつる割病が発生しやすくなるため、5年程度輪作をするか、接ぎ木苗を植え付けます。

スイカの栽培時期

新規就農レッスン 栽培カレンダー スイカ
Illustration:rie
育てる地域や栽培する品種によって植え付け時期が異なりますので、種や苗を購入するときに確認しましょう。
※主に露地栽培の栽培時期です。野菜の栽培は、屋外の畑で作物を栽培する「露地栽培」のほかに、「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する方法があります。

スイカの栽培準備

スイカ栽培の準備を始めましょう。

スイカの作付け計画

1a(100平方メートル)で325kgほど収穫することができます。
資料:農林水産省「作物統計調査 / 作況調査(野菜) 確報 平成29年産野菜生産出荷統計 」

苗、種の準備

地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。
スイカの根は傷みやすいため、種から育てる場合は直播きするか、ポット育苗する際は根を傷めないよう慎重に植え付けます。
また、つる割病などの土壌病害にかかりやすいため特に初心者の方は接ぎ木苗の購入をおすすめします。

スイカの品種

スイカ 黄色
出典:写真AC
国内市場で出回っているのは20種類ほどあり、果実の形や大きさによって、大玉、小玉、ラグビーボールのような楕円形、俵形などに分類され、皮の色には緑に黒縞、黒色、黄色の品種もみられます。果肉の色も、赤色、黄色、クリーム色、オレンジとさまざまな品種があります。
たねなしスイカ品種もありますが栽培が難しく市場にはあまり出回っていません。
種類 品種      主な産地
大玉

 祭ばやし777

 山形、長野

 春のだんらん

 熊本、千葉、鳥取

 紅大

 千葉

小玉  紅こだまGH  茨城、熊本、群馬
 マダーボール(楕円形)  熊本、鳥取

♦1a(100平方メートル)あたりのスイカの苗の本数

(例1)一般的なスイカ品種の育苗の場合
1a(100平方メートル)あたり種5~6mlが目安です。(20mlあたり250粒)

(例2)一般的なスイカ品種の苗(株数)の場合
1a(100平方メートル)あたり苗40~50本が目安です。
参考HP:タキイ種苗

スイカの土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態が良ければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材などの散布を心掛けましょう。
▼土づくりのことならこちらをご覧ください。

▼土壌診断のことならこちらをご覧ください。

♦スイカの土壌pH

pH5.5~6.5が最適値です。

♦スイカに適した土壌

スイカは乾燥には強いですが過湿に弱いため、耕土が深く排水性の良い圃場を選びます。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

スイカの肥料

定植の1週間前に元肥を10平方メートルあたり窒素100~150g、リン酸150~200g、カリ100~150gを施します。
窒素が多いと茎葉ばかりが大きくなる「つるぼけ」が起こるため、元肥の窒素は少なめとし、追肥で補います。
土質や品種によって必要とする肥料量は異なるので注意してください。
※数値参考:農林水産省「農作物施肥基準
▼肥料のことならこちらをご覧ください。

畝立て

品種にもよりますが大玉スイカで露地栽培の場合、畝幅250~300cm、株間70~100cmで、植え付け部分は直径30cm、高さ10cmに土を盛り上げます。
春先の定植では土壌温度を保つために黒マルチの使用がおすすめです。マルチなどを使用することで雨による泥はねや除草の手間も省ける利点があります。またトンネルを設置することも雨よけと温度を保つために効果的です。

▼マルチ栽培のことならこちらをご覧ください。

▼耕運機、鍬のことならこちらをご覧ください。



スイカの育て方

スイカ
出典:写真AC
畝や苗の準備が整ったら、スイカ栽培のスタートです。

植え付け

植え付け時に注意することについて説明します。

♦植え付け前は十分な灌水(かんすい)

スイカを植え付ける前はしっかりと灌水を行い、土に水分を与えます。スイカの苗にも水分をしっかり吸収させます。畝にマルチを貼る場合にも、あらかじめ水分が十分含まれているか確認しましょう。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えることです。灌水ホース、灌水装置など農業でよく使用する言葉なので覚えましょう。


♦植え付けは天気のいい日に!

風除け スイカ
出典:写真AC
スイカは十分に気温が高くなってから、関東などの中間地では5月以降が望ましい時期です。気温が低過ぎる環境での植え付けは避け、天候の良い日に行いましょう。
根が活着し気温が上昇するまでは風よけをします。肥料袋で手作りするか、ホットキャップやビニールテントを使用しましょう。
ITEM
苗ドーム
植物の成長に合わせ、支柱保持穴(天井部)に支柱を設置することができます。
簡単に持ち上げることができ、追肥もラクラク。
換気穴付きで、適度な温度を保ち、強風からも苗を守ります。

・サイズ:35×24cm
・容量:5枚入り

♦株間は70~100cm前後

栽培方法や品種によって異なりますが、露地でトンネル栽培の場合はスイカの株間は70~100cmとします。

水やり

スイカの根は多湿に弱く乾燥を好むため、基本的に露地栽培で降雨がある場合は水を与えません。
梅雨が明けて晴れた日が続き、土を掘ってみて握ってもパラパラとこぼれるくらい乾燥していれば水をあげます。
▼土壌水分計のことならこちらをご覧ください。

追肥

追肥は草勢をみながら10平方メートルあたり窒素40g、カリ40gを1回目は1番果の着果が確認できるころ、2回目は果実が鶏卵大になったころに行います。

敷わら

スイカ 敷き藁
出典:写真AC
つるや花が地面に触れないために、また土壌表面の乾燥を防止するために十分な敷わらをします。
わらがない場合はよしず、すだれなどでも代用可能です。
ポリマルチをしている場合も、表面がツルツルしていてつるが動くのを防ぐために、軽く敷きわらをします。

整枝(子づる4本整枝2果採りの場合)

本葉6枚になったころに親づるを摘心します。
生育のそろった子づる4本を伸ばして重ならないように配置して、そのほかの子づるはとり除きます。
孫づるは着果節位まで取り除き、その後は放任します。
※つるの生長点から出るホルモンで根も伸びることから、ある程度つるを放任することも、収穫期まで株を保つために重要です。

人工授粉

スイカ 人工授粉
出典:写真AC
スイカは人工的に受粉する方法で、確実に着果させます。
人工授粉は当日に咲いている雄花を摘み取り、花粉を当日の咲いた雌花の柱頭に付けます。
午後になると花粉の受精能力が低下するため、早朝から午前9時ころまでに受粉させます。雨や夜露などで濡れている場合は受粉しにくいため、なるべく晴れた日に行いましょう。
16~22節に咲く3番花に着果させるため、それ以下の花は受粉させず取り除いておきます。
人工授粉をした花には日付けがわかるように、ラベルを付けるなど目印を残しておきましょう。

摘果

スイカ 鶏卵大
出典:写真AC
果実が鶏卵大になったら肥大が良いスイカを1株に対し2果残して、ほかは摘果します。

玉直し

交配後30日ごろに果実の日陰側を日に当たるようにスイカの玉を置き直します。玉直しをすることで、着色むらをなくし形を整えることができます。
急な直射日光により果実が日焼けしてしまうおそれがあるので、玉直しの作業は曇天時か夕方に行いましょう。

収穫

収穫 スイカ
出典:写真AC
スイカの収穫適期は、見た目で判断することは大変難しいので、人工交配から大玉では開花後45~50日、小玉では35~40日経過したものを収穫します。
収穫予定日付近で、果実を試し割りし、糖度や食味を確認してから収穫すると確実です。

スイカの病害虫

スイカ うどん粉病
出典:Flickr(photo by Scot Nelson)
スイカを栽培する上で、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。

スイカがかかりやすい病気

スイカは土壌病害に注意が必要です。以前病気が発生した圃場では、土壌消毒も効果的です。

◆つる割病

下葉から黄化して症状が進むと株が萎(しお)れて枯死し、地面に近い茎が裂けるように割れて、割れた部分からカビが生えたり茶褐色のヤニが出ることがある土壌からの病気です。

◆炭疽病

葉、茎、果実に発生し葉では暗褐色で同心輪紋状の病斑となります。果実でも黒い病斑ができます。多湿条件が続くとサーモンピンク色の粘質物(胞子の塊)を生じます。

◆つる枯病

葉、茎、果実に発生します。茎では地際に発生し、初め節の部分が水に浸したようになり、ヤニを出してややくぼみ、やがで病斑は灰白色になり、裂け目ができます。病葉では褐色の大型病斑を生じ、茎や葉の病斑上には小黒点を多数形成します。果実では小斑点を生じて乾くと裂け目ができるような病斑を作ります。

◆うどんこ病

葉に白いうどん粉をまぶしたような白カビが発生する糸状菌(カビ)による病気です。

◆疫病

葉に暗緑色で水に浸したような病斑を生じ腐ります。果実にも同様の病斑を生じて、多湿時には白色綿毛状の菌糸が見られます。

スイカを食害する害虫

アブラムシやアザミウマは植物の汁を吸うだけでなく、病気の伝染源にもなるので注意が必要です。

◆アザミウマ類

植物の汁を吸い、食害を受けた葉は褐色化し、最終的には枯死します。別名スリップスと呼ばれる、さまざまな病気のウイルスを媒介してしまう害虫です。

◆アブラムシ類

主に新芽や茎、つぼみに発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にしてモザイク病やすす病などが発症しやすいので、アブラムシ発生後は病気が発症していないか注意が必要です。

◆ウリハムシ

ウリハムシ
出典:Flickr(photo by Ishikawa Ken)
ウリ科野菜の葉や果実を食害する茶色く光沢のある害虫です。葉の表面を浅く輪状に食害するため、多発すると葉が網目状となります。

◆ハダニ類

葉裏に潜み、植物の汁を吸うダニ目ハダニ科の害虫です。食害する植物によって、葉の色が抜けたような白や黄色のカスリ状になります。

◆センチュウ類

センチュウ類のなかのネコブセンチュウ類が、スイカの根にこぶをつくり作物の生育を阻害します。

スイカの生理障害

可食部の果実に影響のある生理障害には十分気を付けましょう。

空洞果

被害状況  果実内部にすが入る。
原因  窒素不足、発育不足
▼植物の発育を高めるヒントについてはこちらをご覧ください。

黄帯果

被害状況  果実中央部の維管束が黄色い筋となる
原因  高温、乾燥、窒素過多のためカルシウムやホウ素の吸収が阻害されると発生
▼高温障害についてはこちらの記事をご覧ください。

変形果

被害状況  果実の形が異常となる
原因  窒素不足、発育不足
そのほかカルシウム欠乏、鉄欠乏、カリ欠乏などの微量要素障害も発生します。

スイカ栽培のまとめ

スイカの根は、他の作物に比べて多湿に弱く乾燥を好むため、水はけには十分注意します。
人工受粉や摘果を行い、確実に収穫できるようにしましょう。スイカは土壌病害に注意が必要なので、連作はなるべく行わないように心がけます。
スイカは、暑い夏を乗り切る日本の夏に欠かせない作物です。品種改良によりハウスでも栽培が可能になり、周年購入が可能な品目になっています。
栽培のコツをつかめば比較的放任しても、甘くておいしい果実ができる育てやすい作物なのでぜひ育ててみてください。

スイカの経営指標

スイカ 出荷
出典:写真AC
新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

需要動向を調べる

大玉スイカの需要は、果物消費の多様化や核家族化の影響により減少傾向にあります(核家族化向けに小玉スイカの需要は増加)。
また、気温や天気の影響を受け、冷夏や長雨、曇りの日が続くと需要が伸び悩み、気温が30℃付近になると一気に需要が増えます。
カットスイカのパック詰めやジュース、ゼリー、アイスなどの加工品の販売は増えており、依然として夏の代名詞として消費者に親しまれています。

卸価格を調べる

スイカを栽培する季節や品種によっても価格の差が出ますが、平成30年5月~令和1年5月全国の市場の調べで、スイカの卸価格は1kgあたり182円(8月)~336円(3月)、平均で231円で取引されています。
参考HP:東京都中央卸売市場

販売価格を調べる

卸価格同様にスイカの販売価格も天候などの影響で前後し、品種によって販売価格にかなり差が出ます。

作付け面積

スイカの作付け面積は現象傾向にあり、栽培面積はここ30年で半減しています。

平成28年の作付面積は1万400ヘクタールでした。1位は熊本県の1,420ヘクタールで、2位は千葉県1,060ヘクタール、3位は山形県850ヘクタールです。


10aあたりのスイカの経営収支

スイカの栽培地である鳥取の経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
地域 収量(kg) 粗収益(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
 長野 7,200 1,008,000 810,945  197,055 299.0
 鳥取(小型トンネル栽培) 5,600 672,000 560,981 111,019 157.9
 鹿児島 5,250 598,500 414,954 183,546 182.2
参考HP:鳥取県、 長野県、鹿児島県

♦経営費

スイカ栽培における経営費とは、スイカを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると、肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

♦農業所得

農業所得は、粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということがいえます。

♦労働時間

労働所得を労働時間で割ると、スイカ栽培の時給計算ができます。鳥取の例でいうと、農業所得111,019円÷労働157,9時間=703,09円。つまり時給703円として換算します。

♦経営の状態を大まかに捉える

スイカの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、スイカのほかに育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設などの準備。
参考HP:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

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農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。