本記事では、ウリハムシ発見のポイントや予防対策、防除に使用する薬剤(殺虫剤)について初心者の方にもわかりやすく紹介します。
ウリハムシとは
名前 | ウリハムシ | |
学名 | Aulacophora femoralis | |
分類 | コウチュウ目ハムシ科 | |
多発時期 | 成虫 | 5月末~6月中旬、7月中旬~8月中旬 |
幼虫 | 6月中旬から7月下旬 |
ウリハムシの生態
ウリハムシの幼虫は、同様の被害をもたらすチビクロバネキノコバエより体長が大きいのが特徴です。成虫の越冬
ウリハムシの成虫は、9月下旬ごろから日当たりの良い越冬場所へと移動します。枯れ草の下や作物の株元、家や石垣の隙間などに潜みます。成虫の産卵
4月以降だんだん暖かくなってくると、ウリハムシの成虫はウリ科などの作物の株元に飛来します。そして、1か所当たり数十個の卵を産みます。ウリハムシの雌1匹当たりの産卵数は100~500個で、4月下旬〜7月上旬にかけて産卵が行なわれ、6月上旬ごろに産卵の最盛期を迎えます。
幼虫から蛹
卵からふ化したうじ状の幼虫は、作物の根や株元の茎にもぐり込んで、作物の主根内部を食害します。幼虫期間は3~5週間。その後土中の比較的浅いところに土まゆをつくって蛹(さなぎ)になります。
大きさ | 体長約10mm(老齢幼虫) |
色 | 黄白色 |
新成虫の出現
新成虫は7~8月圃場に現われます。成虫は葉に半円形~円形の特徴的な形、もしくは網の目状に食害します。ウリ科作物では果実の表面を浅く不規則に食害します。
大きさ | 体長7~9mm | |
色 | 頭部 | 光沢のある橙黄色 |
はね | くすんだ黄褐色 |
ウリハムシに似た昆虫
ウリハムシによく似た昆虫に「クロウリハムシ」「ヒメクロウリハムシ」「ウリハムシモドキ」などがいます。クロウリハムシ・ヒメクロウリハムシ
ウリハムシと同じようにウリ類を好み、葉や根を食害しますが、ウリハムシほど数は多くありません。
ウリハムシモドキ
ウリハムシモドキの幼虫と成虫が、主にマメ科の牧草や大豆などの葉を食害します。背中が黄褐色〜黒色をしているためウリハムシにとてもよく似ています。ウリハムシが好む作物
ウリハムシの被害状況
成虫が葉を円形に食害します。食害痕は枯れて抜け落ち、丸い穴が開いてしまいます。幼虫が根を食害するとスポンジ状になり、株の生長を抑制してしまいます。
ウリハムシが好む野菜類
成虫が越冬から目覚める春になると、近くにあるソラマメやインゲン、ダイコン、ハクサイなどの葉を食害しだします。▼ソラマメやインゲン、ダイコン、ハクサイの育て方ならこちらをご覧ください。
ウリ科作物
5月ごろにメロン、キュウリ、スイカ、カボチャ、マクワウリなどウリ科の作物が植え付けられると、飛来して食害し、株元に産卵するようになります。▼ウリ科作物の育て方ならこちらをご覧ください。
ウリハムシが好む花き類
特にアスターを好み、成虫が花びらを食い荒らします。ウリハムシに有効な4つの対策
1. 成虫の飛来を防ぐ被覆資材
銀糸入りの防虫ネットや寒冷紗などでウリハムシの成虫の飛来を防ぎます。ネットの目合いが1mm以下を使用すると、アザミウマなどの侵入も同時に防ぐことができます。地表面との間の隙間から成虫が侵入しないように、被覆資材の端は土中にしっかりと埋め込んでおきましょう。
苗を植え付けたばかりの幼苗期は、苗を覆うドームの利用も効果的です。
防虫ネット
透光性・雨通し・強風暖和に優れています。
縦縞のシルバーが太陽光線の反射で大切な農作物を害虫から守る効果があります。
・規格:幅1.5m×長さ10m、網目サイズ:1mm
縦縞のシルバーが太陽光線の反射で大切な農作物を害虫から守る効果があります。
・規格:幅1.5m×長さ10m、網目サイズ:1mm
苗ドーム
ドーム上部に換気用の穴が開いているので、急激な温度上昇を防止します。
植物の生長に合わせて支柱用保持穴に支柱を設置することが可能です。
再生樹脂PET製なので丈夫で長持ち。繰り返し使用可能です。
・セット内容:苗ドーム×5枚セット
・規格:直径35cm×高さ24cm(大)
植物の生長に合わせて支柱用保持穴に支柱を設置することが可能です。
再生樹脂PET製なので丈夫で長持ち。繰り返し使用可能です。
・セット内容:苗ドーム×5枚セット
・規格:直径35cm×高さ24cm(大)
2. シルバーマルチ
ウリハムシは光反射を嫌がる習性があるため、シルバーマルチによる光反射で飛来を軽減することができます。3. 成虫の捕獲
ウリハムシの成虫の姿を見つけたら捕獲します。晴天時よりも曇天時の早朝や夕方は成虫の動きが遅いため、比較的簡単に捕まえることができます。葉にいる成虫は叩くと葉から落ちるので、下に容器などを置いて地面に落ちないように駆除しましょう。4. 農薬(殺虫剤)
ウリハムシの農薬による対策は、播種や定植時に発生する幼虫への粒剤処理と、植物の生育期に発生する成虫に対する農薬散布で行います。ウリハムシは比較的農薬に弱い虫で、薬剤がかかると防除効果は高いので、成虫の飛来最盛期となる5月下旬~6月中旬は、忘れずに農薬の散布を行いましょう。※生産者の方は、地域の防除指導機関やJAなどが推奨する効果の高い薬剤を選定し使用基準を守って作物に合う薬剤を使用しましょう。
※家庭菜園の方は、防除したい虫をしっかり把握した後、必ず作物に合った薬剤を選びましょう。
▼粒剤など農薬の剤型についてはこちらをご覧ください。
▼殺虫剤についてはこちらをご覧ください。
土壌にいる幼虫対策
作物の生育期の成虫対策
アルバリン顆粒水溶剤
植物体内に浸透移行して速やかに効果を発揮します。
ウリハムシ成虫のほか、野菜のコナジラミ類、果樹のコナカイガラムシ、カメムシ類に高い効果を示します。
・内容量:100g
・有効成分:ジノテフラン(20.0%)
ウリハムシ成虫のほか、野菜のコナジラミ類、果樹のコナカイガラムシ、カメムシ類に高い効果を示します。
・内容量:100g
・有効成分:ジノテフラン(20.0%)
ウリハムシから作物を守るために
作物の生育期に比べて、幼苗期に食害されるとダメージが大きいので、粒剤タイプの農薬を使用して土壌にいる幼虫の防除も心がけましょう。
紹介されたアイテム
防虫ネット
苗ドーム
シルバーマルチ
ダイアジノン粒剤3
マラソン乳剤
アルバリン顆粒水溶剤