レタス | 基本の育て方と本格的な栽培のコツ

新規就農を目指す方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者にもわかりやすい、レタス作りに欠かせない土づくりや肥料、水やりなどの栽培のコツや病害虫、生育障害の原因、レタスの収穫適期の見分け方などを紹介します。


結球レタス

撮影:写真AC
野菜を育てた経験がある方なら「育てた野菜を食べる」ことは、何物にも代え難い格別のおいしさと感動を与えてくれます。あの採れたてのおいしさを求めて、「もっと野菜のこと、栽培のことを知りたい!」そんな家庭菜園で本格的に野菜作りに励みたい方や、野菜作りのプロを目指した「新規就農」を視野に入れている方に、基本的なレタスの育て方と本格的な栽培のコツを紹介します。

レタスについて

レタス、半結球レタス
撮影:AGRI PICK編集部【半結球レタス】
鮮やかな緑や薄い緑色の大きな葉がいくつも重なり、結球を作っている「玉レタス」は、アブラナ科の代表のキャベツのような形をしていますが、じつはキク科の野菜です。先端が赤っぽくフリルになっている「サニーレタス」、長い茎を食すアスパラガスレタスとも呼ばれる「ステムレタス」、結球が緩くしんなりした食感の「サラダ菜」、アジア圏で食べられている「サンチュ」、楕円で緩い結球の「ロメインレタス」など種類が豊富で味もそれぞれの特徴があります。
植物名  レタス
学名  Lactuca satica
英名  Lettuce
科名  キク科
属名  アキノノゲシ属
原産地  中近東、地中海沿岸
生育適温  20℃前後
発芽の適温  18~20℃

レタスの特徴

レタス
撮影:AGRI PICK編集部【半結球レタス】
レタスには結球型のものと、結球しないもの、そしてその中間の種類があります。
分類 特徴
結球チシャ 玉レタス  大型でキャベツのように結球した形、薄い緑色。甘みのある、みずみずしい食味。
サラダ菜  ふんわりと結球、葉肉が薄く、玉レタスよりも小型で、色が濃い。
半結球チシャ ロメインレタス  タケノコ型の半結球レタス。別名コスレタス。
不結球チシャ チリメンチシャ  サニーレタスなど。非結球型のリーフレタス。
カキチシャ  下葉をかきながら収穫するレタス。チマサンチュなど。
茎チシャ  主に茎の部分を食べるが葉の部分も食用可。別名ステムレタス。

レタスの栽培時期

育てる地域や栽培する品種によってレタスの植え付け時期が異なりますので、苗を購入する時に確認しましょう。
植え付け 収穫
結球レタス 寒冷地 5~8月 6~10月
中間地 4月、9月 5~6月、11~12月
暖地 9月 10~12月
リーフレタス 寒冷地 4~8月 6~10月
中間地 4~5月、8~10月 5~7月、10~12月
暖地 3~4月、9~10月 4~6月、10~12月
※主に露地栽培の栽培時期。野菜の栽培は、屋外の畑で作物を栽培する「露地栽培」の他に、「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する方法があります。
▼家庭菜園のリーフレタスのことならこちらをご覧ください。

レタスの栽培準備

レタス畑
出典:Pixabay
作付け計画をたて、レタスの苗を注文したら、定植に向けて畑の準備を済ませましょう。
▼ビニールハウスなど設備関係のことならこちらをご覧ください。

レタスの作付け計画

1a(100平方メートル)で268kgほどレタスを収穫することができます。
参考HP:農林水産省「平成29年産都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量 」

レタスの苗の用意

レタス苗
出典:Flickr(Photo by :my_southborough)
地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。栽培する地域や環境に合った品種を選びましょう。育てる品種によって株間が異なるため、用意する苗の数や畝の幅も違ってきます。
結球レタス 主要産地
ウィザード  長野、群馬など
スターレイ  茨城、群馬など
ラプトル  茨城、長崎など

♦1a(100平方メートル)あたりのレタス苗の本数

(例1)一般レタス品種の苗の場合
1a(100平方メートル)あたり苗630~820本が目安です。
(例2)一般レタス品種の育苗(種)の場合
1a(100平方メートル)あたり種4~6mlが目安です。
参考HP:(株)三重興農社

レタスの土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態が良ければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材等の散布を心掛けましょう。
▼土づくりのことならこちらをご覧ください。

▼土壌診断のことならこちらをご覧ください。

♦レタスの土壌pH

レタスはpH5.5~8.0の範囲でも育ちますが、最適値は6.6~7.2です。

♦レタスに適した土壌

湿害に弱いため特に排水性の高い土が求められます。

♦レタスの連作障害

レタスは連作によりセンチュウ類の発生が目立つようになりますので、2年位の輪作が良いといわれています。

レタスの肥料

レタスを栽培する時に使用される肥料は育てる季節や品種によって異なりますが、目安として10平方メートルあたり窒素、リン酸、カリそれぞれ100~350g位を使用します。追肥は生育に合わせて液肥などを使用することが多いようです。
▼肥料のことならこちらをご覧ください。

畝立て

レタス、耕運機
出典:PAKUTASO
移植機や収穫機を使う場合は、使用する機械の仕様に合わせた畝の向きや高さ、幅にする必要があります。
レタスの畝幅は80~150cm、畝の高さは圃場の排水性に合わせて調整します。特にレタスの根は浅根性のため、乾燥時期の水分不足や気温の変化に影響を受けやすい傾向があるため、マルチ栽培がおすすめです。マルチ栽培をすることで、雨による泥はねや除草の手間も省ける利点があります。
▼マルチ栽培のことならこちらをご覧ください。

▼耕運機、鍬のことならこちらをご覧ください。



レタスの育て方

レタス栽培
出典:Pixabay
畝や苗の準備が整ったら、レタス栽培のスタートです。

植え付け

レタスの苗を植え付ける際には以下のポイントに注意しましょう。

♦植え付け前は十分な灌水(かんすい)

レタスを植付けする前は、十分灌水を行い土に水分を与えます。レタスの苗にも水分をしっかり吸収させます。畝にマルチを貼る場合にも、あらかじめ水分が十分にあるか確認しましょう。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えることです。灌水ホース、灌水装置など農業でよく使用する言葉なので覚えましょう。


♦植え付けは天気のいい日に!

暑すぎたり気温が低過ぎる環境での植え付けは避け、天候の良い日に行いましょう。風の強い日や悪天候時の植付けは、レタスの苗の活着が遅れ、初期生育が悪くなります。

♦株間は30~40cm

株間は育てるレタスの品種にもよりますが、30~40cmほど間隔をあけて浅めに植え付けます。根が曲がった状態で植え付けると、レタスも曲がって生育します。この植え付け作業が今後のレタスの品質を左右するので、ポイントをしっかりおさえて作業を進めましょう。
特にレタスの苗を植付けた後、根が活着するまでの約1週間は、土が乾燥状態にならないように管理します。

水やり

基本的に他の野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝に行わないと根を痛めてしまいますので注意しましょう。

♦レタスは湿害に弱い

レタスは湿害に弱いので、大雨が降ったときなどは土壌の排水に注意しましょう。結球するタイプのレタスは、結球開始前から結球期にかけて水分を必要としているため、土壌が乾かないように注意して灌水の管理をしましょう。
▼土壌水分計のことならこちらをご覧ください。

追肥・中耕

レタスを栽培するときに使用される肥料は育てる季節や品種によって異なります。追肥は生育に合わせて液肥などを使用することが多いようです。
▼液肥のことならこちらをご覧ください。

レタスの収穫

レタス収穫
出典:PAKUTASO
レタスは品種、作型で収穫時期は異なります。

結球型レタスの収穫

結球型のレタスは、完全結球する前の8割程度結球したころが収穫適期です。採り遅れると食味が落ちますので注意しましょう。手で押さえてみて弾力があり、球が締まっていたら、球の下の方を包丁などを使って収穫しましょう。このとき使用する包丁は、鉄製を使用すると切り口が酸化して変色しやすいので、ステンレス製を使用すると良いでしょう。
また、レタスは切り方や切り口の洗浄によって、鮮度の持ちが半日以上違ってくるといわれている野菜です。レタスを株ごと収穫するときは包丁の先を使い、畝に対して斜めに差し込むように切ります。次に、外葉を2~3枚残し茎を削ぎ落とします。このときの包丁は真ん中を使いましょう。
収穫後カットした茎に一つずつ丁寧に水流を0.5秒ずつ掛けて、レタスの切断面から染み出るポリフェノールを洗い流しましょう。その他に、レタスの切り口を食塩水(水1L に食塩100g)を含ませた布で拭きとると切り口が褐変しにくいといわれています。

不結球型レタスの収穫

レタス
撮影:AGRI PICK編集部
不結球のレタスは、品種にもよりますが、中の葉が内側に巻き始めたころ、草丈が25cm位で芯葉が草丈の7~8割くらい盛り上がったところが収穫の目安です。株ごと収穫する方法と、外葉から少しずつかき取る方法があります。
▼収穫時のおすすめグッズはこちらをご覧ください。

レタスの病害虫

レタスを栽培する上で、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。

レタスがかかりやすい病気

レタスは湿害を受けると病気になりやすい傾向があります。

◆軟腐病

細菌が作物に侵入することで感染し、黒く腐敗して異臭を放ちます。比較的高温多雨の多湿条件下で発生します。

◆灰色かび病

糸状菌(カビ)による病気で、初期は地ぎわの葉や茎から、次第に全体へと広がり灰色のカビが生じます。


◆斑点細菌病

細菌により感染する病気で、丸い斑点が外葉から生じるます。生育後半にかかりやすい病気です。

◆べと病

地ぎわの外葉に不整形な淡黄色の病斑が生じ、株全体に広がる糸状菌(カビ)による病気です。多湿環境で発生しやすい傾向があります。


◆モザイク病

葉がモザイク状に黄化するアブラムシを媒介に発病するウィルス性の病気(種子伝搬の可能性も有)です。


レタスを食害する害虫

特に幼苗期のネキリムシには注意が必要です。

◆ハモグリバエ類

孵化した幼虫が、葉の内部をトンネルを掘るように進んでいって食害する、別名エカキムシと呼ばれる害虫です。

◆ネキリムシ

幼苗の地ぎわの茎や葉柄を夜間に切り倒して食害する害虫で、チョウ目ヤガ科幼虫の総称です。

♦ヨトウムシ

「夜盗虫」の名の通り夜に活動し、日中は葉裏や株元の浅い土中に潜んでいるヨトウガの幼虫です。

◆ナメクジ

新芽や葉を食害します。夜や雨が降った後などの湿った状態で活動が盛んになり、昼間は落ち葉や鉢底などに潜んでいます。通った道筋が光沢するので、ナメクジの食害だとすぐにわかります。

◆アブラムシ類

主に新芽や茎、蕾(つぼみ)に発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にしてモザイク病やすす病などが発症しやすいので、アブラムシ発生後は病気が発症していないか注意が必要です。

▼防虫、防獣ネットならこちらをご覧ください。

レタスの生理障害

レタスの生理障害は主に結球異常を引き起こします。

分球

被害状況  球頭が複数に分かれて結球するため、一つ一つが小さい球になる。
原因  夏にタネを早くまき過ぎると、結球期の高温や干ばつにより、とうがレタスの球の中で変形するため。

不結球

被害状況  葉が伸び上がり、結球しない。
原因  干ばつ、高温や低温による生育不良のため。

タケノコ球

被害状況  内部の葉がよじれながらタケノコ状に生育する。
原因  結球前期の過剰な生育、外葉の生育不良のため。

チャボ玉

被害状況  早く葉が巻いてしまい、結球部分が小さいもの。
原因  低日照、低温、乾燥、外葉形成時の肥料不足。

レタス栽培のまとめ

レタス栽培
出典:Pixabay
レタスは最近の食生活に欠かせない「サラダ」の主要品目です。家庭での需要が多い結球レタス、外食産業でよく使用されるロメインレタスなどの半結球タイプからリーフレタス(不結球レタス)など栽培品種も多いため、バラエティに富んだレタス栽培が可能です。栽培するときには、多湿状態によって病気にかかりやすいのですが、反対に結球期の過度の乾燥は生理障害につながります。レタス栽培の際には、適度な水分量を心掛けましょう。

レタスの経営指標

レタス経営
出典:Pixabay
新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

需要動向を調べる

レタスの1人当たりの年間購入量は、平成27年度の調べで、2000g前後で、主に結球レタスは家庭での需要が高く、リーフレタスは外食産業や加工製品に使われることが多い安定した消費量のある野菜です。近年では海外への輸出も行われています。
参考HP:農畜産業振興機構「ベジ探」総務省「家計調査年報」

卸価格を調べる

レタスを栽培する季節や品種によっても価格の差が出ますが、平成27年度の調べで、卸価格は1kgあたり結球レタスで102~294円、平均で198円、リーフレタスで180~607円、平均で352円で取引されています。
参考HP:農畜産業振興機構「ベジ探

販売価格を調べる

卸価格同様にレタスの販売価格も天候などの影響で前後しますが、1kgあたり標準品で245円程です。
参考HP:農林水産省「生鮮野菜価格動向調査(平成28年4月~6月分)

10aあたりのレタスの経営収支

レタス栽培の主要産地である長野、群馬の経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
地域 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
 長野(レタス) 4,000 580,000 472,013 107,987 103.1
 長野(リーフレタス) 2,400 698,400 530,028 168,372 104.4
 群馬(春夏まき) 4,000 416,000 364,926 51,074 73.4
参考HP:長野県庁ぐんまアグリネット

♦経営費

レタス栽培における経営費とは、レタスを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると、肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

♦農業所得

農業所得は、粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということが言えます。

♦労働時間

労働所得を労働時間で割ると、レタス栽培の時給計算ができます。長野(レタス)の例でいうと、農業所得107,987円÷労働103.1時間=1,047円。つまり時給1,047円として換算します。

♦経営の状態を大まかに捉える

レタスの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、レタスの他に育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  その他の住居や農機具、農業施設等の準備。
参考HP:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

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sana

農業研究センターで大豆と稲の研究作物栽培及び実験業務に従事。屋上ガーデン・屋上菜園スタッフ勤務後、野菜をはじめとする植物の記事を執筆中。