キャベツ | 基本の育て方と本格的な栽培のコツ

新規就農を目指す方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者にもわかりやすい、キャベツ作りに欠かせない土づくりや肥料、水やりなどの栽培のコツや病害虫、生育障害の原因、キャベツの収穫適期の見分け方などを紹介します。


キャベツ

撮影:AGRI PICK編集部
野菜を育てた経験がある方なら「育てた野菜を食べる」ことは、何にも代えがたい格別のおいしさと感動を与えてくれます。あの採れたてのおいしさを求めて、「もっと野菜のこと、栽培のことを知りたい!」そんな家庭菜園で本格的に野菜作りに励みたい方や、野菜作りのプロを目指した「新規就農」を視野に入れている方に、基本的なキャベツの育て方と本格的な栽培のコツを紹介します。

キャベツについて

撮影:AGRI PICK編集部
一般的に春キャベツは、葉が柔らかくサラダなどの料理に適したみずみずしい風味が特徴です。夏、秋キャベツも春キャベツ同様に柔らかく甘い味ですが、形は春キャベツよりも結球しています。冬キャベツはさらに固くしまっており、キャベツを切ってみると断面もまっすぐになっています。
植物名  キャベツ
学名  Brassica oleracea
英名  Cabbage
科名  アブラナ科
属名  アブラナ属
原産地  ヨーロッパ 地中海沿岸地方
生育適温  15~20℃
 結球適温  13~20℃

キャベツの特徴

キャベツは品種と作型を組み合わせることにより、年間を通して栽培が可能な作物です。
種類 特徴 収穫時期
冬キャベツ
(寒玉)
 結球がしまり、キャベツをカットすると切り口が平ら。 11~4月
春キャベツ
(春玉)
 柔らかい葉なので、サラダでも食べやすいキャベツ。 4~7月
夏秋キャベツ
(高原キャベツ)
 高冷地で栽培される、冬キャベツと春キャベツの中間的な特徴を持つ。  8~10月

キャベツの栽培時期

育てる地域や栽培する品種によってキャベツの植え付け時期が異なりますので、苗を購入するときに確認しましょう。
植え付け 収穫
キャベツ
(春まき栽培)
寒冷地 4~5月 7~8月
中間地 4月 6~7月
暖地 3月 5~6月
キャベツ
(夏まき栽培)
 寒冷地 7月 9~10月
 中間地 8月 10~1月
暖地 8~10月 11~3月
キャベツ
(秋まき栽培)
寒冷地 11~4月

5~7月

中間地  11~3月  4~7月
暖地 11~2月 3~5月
※主に露地栽培の栽培時期。野菜の栽培は、屋外の畑で作物を栽培する「露地栽培」のほかに、「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する方法があります。

キャベツの栽培準備

キャベツ栽培
出典:写真AC
作付け計画をたて、キャベツの苗を注文したら、定植に向けて畑の準備を済ませましょう。
▼ビニールハウスなど設備関係のことならこちらをご覧ください。

キャベツの収量

1a(100平方メートル)で410kgほど収穫することができます。
出典:作物統計調査 平成29年産野菜生産出荷統計
「都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量」(農林水産省)
(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500215&tstat=000001013427&cycle=7&year=20170&month=0&tclass1=000001032286&tclass2=000001032933&tclass3=000001121095)(2019年10月2日に利用)

キャベツの苗の用意

キャベツ苗 地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。
※育てる品種によって株間が異なるため、用意する苗の数も違ってきます。
種類 主な品種 主要産地
冬キャベツ
(寒玉)
 冬くぐり、冬のぼりなど  愛知、神奈川、千葉、茨城など
春キャベツ
(春玉)
 春系305号、金系201など  千葉、神奈川など
夏秋キャベツ
(高原キャベツ)
 初恋、愛輝など  群馬、長野、北海道、岩手など
▼家庭菜園でおすすめしたいキャベツの品種のことならこちらをご覧ください。

♦1aあたりのキャベツ苗の本数

1a(100平方メートル)あたり苗500本ほどです。

キャベツの土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態が良ければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材等の散布を心がけましょう。
▼土壌消毒や土づくり、土壌診断のことならこちらをご覧ください。

♦キャベツの土壌pH

キャベツはpH6.0~7.0が適しています。

♦キャベツに適した土壌

元々の土壌に根こぶ病が発生している場合は、より畑が中性になるよう多めに石灰資材を散布する必要があります。水がたまりやすい場所は明渠か暗渠などを設置したり、畑に傾斜をつけたり、畝を高くするなど排水性を高める工夫が必要です。
また、結球期に乾燥してしまうと、生育が鈍り収穫期が遅れ、上手に結球せず小球になってしまうため、キャベツを栽培する土には適度な保水性も求められます。

♦キャベツの連作障害

一般的にキャベツは1~2年土地を休ませると良いとされています。キャベツを栽培した後に、とうもろこしやそば、水稲など他品目の作物を取り入れることで連作障害を防ぐことができるようです。
▼土壌消毒のことならこちらをご覧ください

キャベツの肥料

キャベツを栽培するときに使用される肥料は、目安として10平方メートルあたり窒素250~300g、リン酸200~250g、カリ250~300g位を使用します。長い期間の作付けの際は適宜肥料を増やします。
元肥
春まき栽培  肥料全量の2/3~全量
夏まき栽培  肥料全量の2/3
秋まき栽培  肥料全量の1/3
元肥の窒素を控え、
年内の生育をコントロールする。
▼肥料のことならこちらをご覧ください。

畝立て

キャベツのうね立ては2通りの方法があります。整地した後畝を立て、定植する方法と、整地後定植した後キャベツが大きくなり過ぎる前に、中耕を兼ねてから畝を立てる方法であります。
畝を立てるときは、排水性が悪い土壌ほど高く作りましょう。移植機や収穫機を使う場合は、使用する機械の仕様に合わせた畝の向きや高さ、幅にする必要があります。一般的なキャベツ栽培では、1条栽培時の畝幅は45~60cmで、2条栽培時の畝幅は120cmほどです。
▼耕運機、鍬(くわ)のことならこちらをご覧ください。

▼マルチ栽培のことならこちらをご覧ください。

キャベツの育て方

キャベツ育て方
出典:Flickr(Photo by :Marie in NC)
畝や苗の準備が整ったら、キャベツ栽培のスタートです。

植え付け

キャベツ植え付け キャベツの苗を植え付ける際には以下のポイントに注意しましょう。

◆植え付け前は十分な灌水(かんすい)

キャベツを植付けする前は、十分灌水を行い土に水分を与えます。キャベツの苗にも水分をしっかり吸収させます。畝にマルチを貼る場合にも、あらかじめ水分が十分にあるか確認しましょう。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えることです。灌水ホース、灌水装置など農業でよく使用する言葉なので覚えましょう。

▼灌水チューブのことならこちらをご覧ください。

◆植え付けは天気のいい日に!

暑過ぎたり気温が低過ぎる環境での植え付けは避け、天候の良い日に行いましょう。風の強い日や悪天候時の植付けは、キャベツの苗の活着が遅れ、初期生育が悪くなります。

◆株間は30~45cm

株間は育てるキャベツの品種にもよりますが、30~45cmほど間隔を空けて植え付けます。キャベツの苗を植付け後、根が活着するまでの約1週間は、土が乾燥状態にならないように管理します。

水やり

基本的にほかの野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝に行わないと根を傷めてしまいますので注意しましょう。

◆キャベツが結球する時期の水やりは特に気を付ける!

結球の時期に乾燥させてしまうと、上手に結球しません。降雨量が少なく、土壌が乾燥した場合には灌水が必要です。
▼土壌水分計のことならこちらをご覧ください。

追肥・中耕

追肥は育てる時期や品種によって違いがあります。
追肥を与える際、除草を兼ねて中耕を行いましょう。
追肥
春まき栽培  追肥のタイミングは早めに。速効性肥料を使用する。
夏まき栽培  肥料全量の1/3
追肥の回数は2回に分ける。
1回目:定植して1週間~10日ごろ。
2回目:定植して2週間~20日の芯葉が立ち上がるころ。
秋まき栽培  肥料全量の2/3
追肥の回数は夏まき栽培と同様に2回に分ける。
根の生育を高めるためにリン酸肥料を少し多めにし、
早春の気温上昇期に速効性肥料を与える。
※中耕とは、作物を育てている期間に土壌の通気性を高め、作物の根の発育を促すために浅めに耕すことです。

キャベツの収穫

キャベツ育て方
出典:写真AC
キャベツは品種、作型で収穫時期は異なります。一般的に、手で押さえてみて固く締まっていたら収穫適期です。
手で収穫する際は、包丁などを使って切るため、キャベツを少し斜めに傾けます。機械でキャベツを収穫する際には、機械がキャベツを収穫する一斉収穫用とキャベツの収穫は人間が行う選択収穫用があります。
▼収穫時のおすすめグッズはこちらをご覧ください。

キャベツの病害虫

キャベツ病害虫
出典:写真AC
キャベツを栽培する上で、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。

▼病害虫対策に欠かせない農薬のまとめ

キャベツがかかりやすい病気

キャベツは湿害を受けると病気になりやすい傾向があります。

▼植物全体の病気のことならこちらをご覧ください。

▼台風後の病気を防ぐ対策についてはこちらをご覧ください。

◆軟腐病

細菌が作物に侵入することで感染し、黒く腐敗して異臭を放ちます。比較的高温多雨の多湿条件下で発生します。

◆黒腐病

アブラナ科野菜に発生する細菌による病気です。外葉の縁側から褐色になり、やがて枯れてしまいます。

◆根こぶ病

アブラナ科植物にのみ発生し、根の表層で感染する土壌病害です。感染が広がると作物の生育を阻害し、萎れて枯れてしまいます。

◆べと病

地ぎわの外葉に不整形な淡黄色の病斑が生じて、株全体に広がる糸状菌(カビ)が要因の病気です。多湿環境で発生しやすいので注意しましょう。

◆菌核病

下葉から灰褐色の病斑が広がります。キャベツの結球期以降に発症する糸状菌(カビ)による病気です。

キャベツを食害する害虫

アブラナ科を好むアオムシやコナガには特に注意が必要です。

◆アオムシ

アブラナ科の植物、特にキャベツを好んで食害します。体は緑色で、細かな毛があるチョウ目シロチョウ科の幼虫です。

◆コナガ

アブラナ科の植物を好んで食害する、世界各地に分布するチョウ目スガ科の幼虫です。幼虫を刺激すると、体をくねくねさせながら後退りして、糸を吐きぶら下がるという行動を取ります。

◆ネキリムシ

幼苗の地ぎわの茎や葉柄を夜間に切り倒して食害する害虫で、チョウ目ヤガ科幼虫の総称です。

◆ヨトウムシ

「夜盗虫」の名の通り夜に活動し、日中は葉裏や株元の浅い土中に潜んでいるヨトウガの幼虫です。

◆ハイマダラノメイガ(芯食い虫)

チョウ目メイガ科の幼虫で、幼苗期の生長点を狙って食害する別名「ダイコンシンクイムシ」といわれています。

▼そのほかの病害虫対策のまとめ

キャベツの生理障害

キャベツ生理現象
出典:Pixabay
キャベツの生理障害は主に結球異常を引き起こします。

裂球

被害状況  結球したものが裂ける。
原因  収穫遅れ、収穫期の降雨、肥料の効き過ぎ。

分球

被害状況  生長点が2つに分かれ、それぞれ生長したもの。
原因  高温乾燥や多肥によるホウ素の吸収不良
▼高温障害についてはこちらをご覧ください

チャボ球

被害状況  球が小型になるもの
原因  低温、乾燥、肥料不足で発育したもの。
春どり栽培で大苗を早植えした場合、老化苗。

心腐れ

被害状況  生長点部の黄化 葉縁の葉焼け、腐れの発生。
原因  高温乾燥、低温多湿、多窒素多カリによる石灰吸収阻害。
▼そのほかの生理障害のまとめ

キャベツ栽培のまとめ

キャベツ栽培
出典:PAKUTASU
食用としてキャベツが日本に伝えられたのは江戸時代の末期ですが、こんなにも日本人にキャベツが食べられるようになったきっかけは、明治末から大正時代にかけての「とんかつ」ブームが普及を支えています。栄養価に優れ、加熱しても、生でもおいしく食べられるキャベツの需要はとても安定していますので、その土地にあった栽培時期、品種を選んで栽培してみましょう。

キャベツの経営指標

キャベツ栽培
出典:Pixabay
新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

需要動向を調べる

キャベツは、野菜の中で最も消費者の購入量が多いといわれている野菜です。平成28年度調べで、キャベツの購入は、年間1人当たり6000gの購入量で前年比103%でした。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

卸価格を調べる

キャベツは、年間を通して生産地をリレー栽培することにより周年市場で流通しています。そのため、季節や品種によっても価格の差が出ますが、卸価格は1kgあたり59~172円、平均で101円で取引されています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

販売価格を調べる

卸価格同様にキャベツの販売価格も天候などの影響で前後しますが、平成27年以降1kgあたり200円前後で安定しています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

10aあたりのキャベツの経営収支

キャベツ栽培の主要産地である群馬の経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
群馬 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
 夏まき栽培  5,000  350,000  269,246  80,754  87.5
 春まき栽培  7,000  546,000  438,683  107,317  49.6
出典:ぐんまアグリネット

♦経営費

キャベツ栽培における経営費とは、キャベツを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると、肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

♦農業所得

農業所得は、粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということが言えます。

♦労働時間

労働所得を労働時間で割ると、キャベツ栽培の時給計算ができます。群馬県の夏まき栽培の例でいうと、農業所得80,754円÷労働 87.5時間=922.9円。およそ時給923円として換算します。

♦経営の状態を大まかに捉える

キャベツの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、キャベツのほかに育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

▼農業の補助金や収入など就農の基礎知識

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップをふみながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設等の準備。
参考:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

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農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務、エディブルフラワー事務局を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。