症状からわかるエダマメの害虫

エダマメ(ダイズ)の葉や子実を食害して収量を減少させる害虫。加害部位とそこに現れる被害症状から、害虫そのものは見えなくても原因を判別できるよう、現れる部位ごとのエダマメの被害・症状を説明します。


エダマメ

出典:Flickr (Photo by United Soybean Board)
エダマメは大豆の未成熟な莢(さや)を収穫する作物です。生育初期の茎葉や、生長した莢、子実部分にいたるまで、さまざまな部位が害虫によって食害を受けます。特に生育初期と、子実が膨らむ前後の食害に注意して適切な予防と対策を行いましょう。ここでは注意すべき害虫をその被害部位の特徴と合わせて説明します。
▼エダマメの育て方ならこちらをご覧ください。

種子に被害を及ぼす害虫

エダマメ栽培では圃場に直に種をまくため、ハトやカラスなどの鳥害に遭いやすい傾向があります。そのため、初生葉が出るまでの間、不織布や寒冷紗などをかけて種を守る手法がよく知られています。しかし、注意しなければならないのは鳥だけではありません。じつはエダマメの種子は、害虫にも狙われています。

ハエ類

タマバエに食害されたエダマメの子実
出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集

【害虫名】
タネバエなど
【食害の様子】
幼虫が出芽前~出芽中の種子を食害します。加害された種子はそのまま腐敗したり、出芽できたとしても幼苗のまま枯れてしまったりします。また出芽直後の幼苗を食害することもあり、葉に傷を残して生長を妨げます。
出芽しない場合には、土中の種子を調べると、白いウジ虫による食害を確認することができます。
【予防と対策】
鶏ふんなどの臭いの強い有機質肥料などは、成虫を誘引してしまうので使用を控えましょう。


葉・茎に被害を及ぼす害虫

葉・茎を食害する害虫の種類が多いので、被害が広まらないようにしっかり防除しましょう。

カメムシ類

メダカナガカメムシの加害を受けたエダマメの葉

【害虫名】
メダカナガカメムシなど
【食害の様子】
吸汁痕は色素が抜けて白っぽい斑点のようになります。 新芽や幼苗期の葉茎が加害されると、茎が曲がったり、葉が奇形したりします。
【予防と対策】
カメムシ類の駆除と防除


アブラムシ

アブラムシの被害を受けたエダマメ

【害虫名】
ジャガイモヒゲナガアブラムシ、ダイズアブラムシ、マメアブラムシなど
【食害の様子】
体色が黄色いジャガイモヒゲナガアブラムシに吸汁されると、被害部分は黄色~褐色になります。
ダイズアブラムシの体色は黄緑色で、マメアブラムシは黒色をしており、いずれも葉に寄生して吸汁するため、新葉が奇形して株全体の生長が妨げられます。
アブラムシ類はすす病を発生させたり、モザイク病のウイルスを媒介したりするので、病気の発症についても注意が必要です。
【予防と対策】
春~秋にかけて発生回数が多く、急激に増殖するので予防および早期発見が重要です。
アブラムシ類の駆除と防除

▼すす病やモザイク病のことならこちらをご覧ください。

ヨトウムシ類

ハスモンヨトウによって食害されたエダマメ

【害虫名】
ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウなど
【食害の様子】
ハスモンヨトウの卵は数十〜数千個の毛で覆われた黄土色の塊です。ふ化した若齢幼虫は主に葉裏に寄生し、表皮を残して食害するので、葉が白く透けたように見えます。中齢以降は葉脈を残して網目状に食害し、老齢幼虫は葉だけでなく若い莢も食い荒らします。幼虫の特徴として、頭部の後ろに黒い斑紋があります。
シロイチモジヨトウの卵塊も同じように毛で覆われていますが、卵の色は黄白〜灰白色です。葉の狭い隙間にもぐり込んで内部から食害します。
【予防と対策】
ハスモンヨトウとシロイチモジヨトウは夏~秋に多発します。
ヨトウムシ類の駆除と防除


コガネムシ類

マメコガネによって食害されたエダマメの葉

【害虫名】
マメコガネ、ヒメコガネ、ドウガネブイブイなど
【食害の様子】
圃場外から飛来して葉を食い荒らします。葉脈を残して食害し、葉を網目状にしてしまいます。食害量はヨトウムシ類に次いで多いことが知られており、多発すると大部分の葉が食べられて収量に大きな被害を与えることがあります。
【予防と対策】
主に7、8月に発生が多くなります。
コガネムシ類の駆除と防除


サヤムシガ類

ダイズサヤムシガに加害されたエダマメの葉

【害虫名】
ダイズサヤムシガ、マメヒメサヤガムシ、アズキサヤガムシなど
【食害の様子】
幼虫が若い葉や茎をつづり合せて、内部に潜んで食害します。特に生長点付近を好み、被害を受けた葉は展開せず縮んだままになります。幼虫は成長するにしたがい、茎内に食入することもあります。
【予防と対策】
侵入を防ぐために防虫ネットなどを使用します。
幼虫が茎内などに食入してしまうと防除効果が劣るので、農薬は食入開始前のタイミングで散布しましょう。


フタスジヒメハムシ

フタスジヒメハムシによって食害されたエダマメの葉

【害虫名】
フタスジヒメハムシ
【食害の様子】
成虫に食害されると葉に不整形の穴が多数できます。幼苗期に加害されると生長が妨げられたり、莢が食害されると食害痕から菌が侵入して黒斑粒や腐敗粒が発生したりして収量・品質低下の原因となります。
【予防と対策】
成虫は落葉や雑草の下で越冬するので、圃場周辺の落葉を除去するなどの管理を行いましょう。


ハダニ類

カンザワハダニの被害を受けたエダマメ

【害虫名】
ナミハダニ、カンザワハダニなど
【食害の様子】
主に葉裏に寄生して吸汁します。被害を受けた葉や茎は葉緑素が抜けて白色〜褐色に変化して枯れてしまいます。
【予防と対策】
増殖速度が非常に早いので、早期発見・対策が重要です。
ハダニ類の駆除と防除


葉・茎を食害するほかの注意すべき害虫

メイガ類

【害虫名】
ウコンノメイガなど
【食害の様子】
幼虫が内側から葉縁を巻き込んでつづり合わせて潜み、転々と移動しながら食害していきます。莢や子実は食害しませんが、多発すると株全体の生長を妨げます。
【予防と対策】
莢や子実は食害しないという特徴から、一般的に発生が少ないようなら特別な防除をしないようですが、幼虫による葉巻の被害が多発しそうな場合は農薬散布を行いましょう。


果実に被害を及ぼす害虫

エダマメの収穫部位である子実への食害は、直接商品価値の低下につながります。ここでは子実に被害を与える害虫を紹介します。

カメムシ類

ホソヘリカメムシによる被害を受けたエダマメの子実

【害虫名】
ホソヘリカメムシ、イチモンジカメムシ、アオクサカメムシ、ブチヒゲカメムシなど
【食害の様子】
莢や子実を吸汁して被害をもたらします。肥大する前の若い莢が加害されると、生長が止まったり落下したりすることもあります。成熟した子実が吸汁されると凸凹とした変色豆になります。
【予防と対策】
カメムシ類の駆除と防除


ハエ類

ダイズサヤタマバエの食害を受けたエダマメの莢

【害虫名】
ダイズサヤタマバエなど
【食害の様子】
幼虫が若い莢内部に寄生して蛹(さなぎ)になります。被害を受けた莢はそれ以上生長せず、変形した1〜2粒の莢になったり、落莢したりします。被害莢を割ると白いカビの菌糸が確認できます。また羽化時に蛹の抜け殻が莢から半分出た状態で残されているので、ダイズサヤタマバエ被害だと断定することができます。
【予防と対策】
発生は6月以降で、開花から若莢の生育時期に成虫が飛来して莢に産卵します。開花終期ごろに薬剤散布して防除するか、早生種を選んで早まきするかの対策を行います。


メイガ類

シロイチモジマダラメイガに被害を受けたエダマメ

【害虫名】
シロイチモジマダラメイガなど
【食害の様子】
莢上に1粒ずつ産卵された卵からふ化した幼虫が莢内に潜り、子実を食害します。子実を食べつくすとほかの莢に移動して食害するため、被害が拡大します。成熟した幼虫は、地表近くの土中で繭を作って蛹になります。
莢内に侵入して子実を食害する点では、ほかのチョウ目の幼虫と被害の様子が似ていますが、莢にあけられた脱出のための孔がほぼ円形であることからシロイチモジマダラメイガの被害だと判断することができます。
【予防と対策】
莢への食入が多い子実の肥大期に、薬剤散布すると有効です。幼虫が薬剤に触れるように、特に莢部分には丁寧に散布しましょう。


ダイズサヤムシガ

ダイズサヤムシガに加害されたエダマメの子実

【害虫名】
ダイズサヤムシガ
【食害の様子】
幼虫は葉茎のみでなく、莢や莢内部の子実も加害したり、いくつかの莢をまとめてつづり合わせて食い荒らしたりします。食害した部分に雨水が流入することによって子実は黒く腐敗してしまいます。子実の加害という点では、シロイチモジマダラメイガやマメシンクイガと被害の様子が似ていますが、ダイズサヤムシガでは食入や脱出のための孔が不正形であることで判断できます。
【予防と対策】
防虫ネットを利用して成虫の侵入を防ぎましょう。


果実を食害するほかの注意すべき害虫

マメシンクイガ

【害虫名】
マメシンクイガ
【食害の様子】
莢上に産卵され、ふ化した幼虫が莢内に食入し、子実を食害して、莢内に糞がたまります。またごく若い莢が食害を受けると不稔莢になってしまいます。
莢の表面が食害されないので外部から被害状況が判断しづらいのですが、莢の縫合部近くにある脱出孔が半円形なので、マメシンクイガの食害と判断することができます。
※不稔莢とは、種子が作られなかった莢のこと。
【予防と対策】
圃場周辺から飛来して、発生した圃場で繁殖し越冬するので、連作によって被害が大きくなることがあります。


根に被害を及ぼす害虫

エダマメの根は、水分や栄養分の吸収以外に、根粒菌との共生による窒素固定など、地上部への栄養供給において重要な役割を担っています。ここでは根に寄生する害虫を紹介します。

センチュウ類

ネコブセンチュウの被害によって葉が黄化した株ネコブセンチュウに寄生されたエダマメの根

【害虫名】
ダイズシストセンチュウ
【食害の様子】
ダイズシストセンチュウが寄生すると根にシストと呼ばれる粒が着生し、根の機能が侵されるとともに、根粒菌の着生が妨げられて生長に必要な栄養分の供給が著しく妨げられます。その結果、被害株の地上部では葉が黄色化して生育が停滞し、着莢数も減少してしまいます。
【予防と対策】
同じ土壌で続けて栽培を行うと、センチュウ類の増殖により連作障害が発生することもあります。土壌消毒を行うなどの対策も重要なポイントとなります。
センチュウ類の駆除と防除

▼土壌消毒のことならこちらをご覧ください。

生育初期と子実が膨らむ前後の食害に注意

エダマメ栽培
出典:Flickr (Photo by University of Delaware Carvel REC)
エダマメにおける害虫被害では、葉の食害により生育が衰えることで収量が減ったり、直接子実への食害によって商品価値が低下したりします。特にシロイチモジマダラメイガやダイズサヤムシガなどチョウ目の幼虫による被害が大きいので、被害が拡大しないよう早期の防除対策が重要です。有色粘着板を設置するなどして害虫の発生状況を把握し、前年の農薬使用記録や、各都道府県に設置された病害虫防除所から出される発生予報などを参考にして防除を行いましょう。

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y.murata
y.murata

大阪府茨木市出身。大学院農学研究科で農業害虫を扱った研究に取り組み、博士号を取得。国際学会・ワークショップや応用研究プロジェクトなどに積極的に参加。 幼少期から持つ生物への興味とこれまでの経験を活かして、栽培・農薬・害虫などの記事編集を担当。 好きなことは音楽で遊ぶこと。

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