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ライター - AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む

出典:写真AC
料理のアクセントにはもちろん、ハーブティーや虫除けなど、さまざまな楽しみ方ができるハーブ。自分で育てれば、葉や花を使いたいときに、好きな分だけ収穫することができます。何より、採れたてのハーブは香りもフレッシュ!
この記事では、そんなハーブの育て方や初心者におすすめの種類を紹介。家庭菜園のプロに、栽培ポイントなど詳しく教えてもらいました。
初心者におすすめのハーブの種類

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一見繊細そうにも見えるハーブですが、実は丈夫で育てやすい種類が多くあります。虫が嫌いな香りを持つ種類もあり、農薬いらずで栽培できるのもうれしいところ。なにより香りや花を楽しめるのも良いですよね!
そんなハーブの中で、特に育てやすい種類を菜園のプロ・福田先生に教えてもらいました。
バジル

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イタリア料理でお馴染みの「バジル」。独特の香りで、料理のアクセントに大活躍するハーブです。バジルには多くの種類がありますが、最もメジャーなのが「スイートバジル」。ピザやパスタなどのトマト料理に
よく合います。栽培のポイント
バジルは寒さに弱いので、苗は気温が上がる4月に植え付けます。また、水切れや乾燥にも注意が必要。プランター栽培の場合は、土の乾き具合を確認しながら、こまめに水やりをするようにしましょう。
詳しい育て方や保存方法などについては、こちらをチェック!
ローズマリー

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すっきりとしたさわやかな香りが楽しめる「ローズマリー」。肉料理や魚料理の香り付けなど、料理を引き立てる人気のハーブです。秋~初夏にかけ、薄紫のかわいらしい花も楽しめます。
栽培のポイント
カラリとした気候の地中海沿岸を原産とするため、過湿の環境を嫌います。水はけの良い土に植え、よく日の当たる場所で育てましょう。苗を植え付けるときは、根鉢を崩さないように注意してください。
詳しい育て方は、こちらの記事で!
ラベンダー

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鮮やかな紫色の花が美しい「ラベンダー」。香りには鎮静効果があるとされ、ポプリやアロマオイルなどに利用されています。ラベンダーには、寒冷地向きや暖地向きなどの系統があるため、育てる環境によって種類を選ぶのがおすすめです。
栽培のポイント
日当たりが良く、風通しの良い場所で育てましょう。水やりは、土が乾いてからたっぷりと。花が咲き終わったら、草丈の半分程度に刈り込むようにします。
レモンバーム

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その名の通り、レモンに似たさわやかな香りが魅力のハーブです。ハーブティーにしたり、お菓子のトッピングにしたりと、幅広い楽しみ方ができるのもうれしいポイント。あまり手間がかからず育てやすいので、初心者にもおすすめのハーブです。
栽培のポイント
育てる場所は、明るい日陰が適しています。真夏の直射日光で葉焼けを起こすことがあるので、注意しましょう。レモンバームはこぼれ種でよく増えますが、株分けや挿し木で増やすこともできます。
ミント

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スーッと清涼感のある香りで、古くから親しまれているハーブの定番。ミントには、「ペパーミント」や「アップルミント」など、多くの種類があります。ハーブティーやお菓子の香り付け、アロマオイルなどに活用することができます。
ミントは非常に丈夫で、地下茎を伸ばしてどんどん繁殖します。
栽培のポイント
ミントは多年生の種類が多く、冬に地上部が枯れても、春になるとまた芽吹いてきます。生育旺盛なミントは、鉢植えでは根詰まりしやすくなるので、定期的な植え替えが必要です。夏は水切れしないように注意しましょう。
イタリアンパセリ

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肉や魚料理の臭み消しや、サラダのトッピングなどによく使われる「イタリアンパセリ」。葉は平らで細かな切れ込みが入っているのが特徴です。食味は、ちぢれ葉のパセリよりえぐみが少なく、ほんのりと甘みも感じられます。ほぼ一年中収穫ができるのも魅力!
イタリアンパセリは、野菜としてもプランターなどで手軽に栽培できます。室内でも育てることができますよ!
栽培のポイント
日当たり・風通しの良い場所で育てます。暑さにはやや弱いため、プランター栽培の場合、夏場は半日陰に移動させると良いでしょう。室内では、日照不足になりがちなので、よく日の当たる場所で管理してください。
詳しい育て方はこちらの記事で!
レモングラス

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タイ料理のトムヤムクンなどでお馴染みの「レモングラス」。イネ科のハーブで、料理に使われるほか、香りの高いハーブティーとしても人気のハーブです。レモングラスの精油は、虫避けに利用されることもあります。
栽培のポイント
日照不足になると間延びしてしまい、根元から倒れやすくなるので注意が必要です。できるだけ日当たりの良い場所で育てましょう。レモングラスは多年草ですが、耐寒性がないため5℃以上の気温がないと冬越しは難しいといえます。
カモミール

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初夏になると、小菊のような愛らしい花が咲くハーブ。いくつか種類がありますが、最も代表的なのが「ジャーマンカモミール」です。青リンゴのような甘い香りが魅力で、ハーブティーや化粧品、入浴剤など幅広い用途で活用されています。収穫は、花の中心の黄色い部分がふくらんできたらタイミング。採り遅れると花の香りが弱くなってしまうので注意しましょう。
栽培のポイント
ジャーマンカモミールは、やや水気を好みます。乾燥し過ぎるとトウ立ちが早まる原因になるため、水切れしないように管理してください。
カモミールの詳しい育て方は、こちらの記事で!
青シソ(大葉)

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日本で古くから親しまれてきたハーブといえば、やはり「青シソ」!丈夫でよく育つので、初心者でも簡単に育てることができます。1株あれば、料理の薬味天ぷらなどいろいろ活用できるので便利です。葉だけでなく、花や実も楽しめるのも魅力。
栽培のポイント
日当たりの良い場所で育てましょう。シソは大きく育ち、風通しを好むため、株間は十分あけることが大切。葉の収穫を兼ねて、茎葉を間引きするのもおすすめです。
詳しい育て方や保存方法などについては、こちらをチェック!
ミツバ(三つ葉)

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親子丼のトッピングにはこれ!ミツバは、古くから日本の産地でも自生しているハーブです。独特の香りはリラックス効果や食欲増進効果もあるとされています。たくさん収穫できたらおひたしにするのも良いですね!
栽培のポイント
耐陰性はありますが、寒さ暑さには弱く、霜が当たると枯れてしまうので注意しましょう。ミツバは水耕栽培もできるので
、キッチンなどで育てるのもおすすめです。チャイブ

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ネギの仲間で、アサツキによく似た細長い葉が特徴です。ヨーロッパでは、昔からスープや卵料理などによく使われてきました。食味は通常のネギよりもマイルド。初夏には、ピンク色のかわいらしい花(ネギ坊主)をつけます。
栽培のポイント
高温と乾燥に弱いため、夏は半日陰で育てるようにしましょう。冬は地上部が枯れてなくなりますが、春になると再び芽吹きます。地際から5cmほどで切り取るようにすると、繰り返し収穫することができます。
ナスタチウム

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オレンジ色や黄色い花が咲き、ハスに似た丸い葉が茂ることから、「金蓮花(キンレンカ)」という別名でも呼ばれます。ナスタチウムは葉だけでなく、花や茎も食べることができるハーブで、さわやかな辛みが楽しめます。つぼみや種は、ケイパーの代わりにも!
栽培のポイント
日当たりと水はけの良い環境を好みます。春まきにすると、冬には枯れる一年草ですが、秋に種まきし、翌春に花を楽しむこともできます。
詳しい育て方は、こちらの記事で!
ルッコラ

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ゴマに似た香りと、ほろ苦さが特徴のアブラナ科のハーブです。「ロケット」や「オデッセイ」とも呼ばれ、ピザやパスタ、サラダなどのアクセントによく使われます。
栽培のポイント
日当たりの良い場所で育てると、失敗しにくくなります。アブラナ科のルッコラは、害虫がつきやすいため、種まきをしたらすぐに防虫ネットを設置して対策しましょう。
詳しい育て方は、こちらの記事で!
防虫ネットの選び方や、防虫網トンネルの設置方法はこちら!
ディル

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柑橘類のようなさわやかな香りが特徴の「ディル」。魚料理の臭み消しとしてよく使われるハーブですが、ビネガーとの相性も良く、ピクルスの香り付けにも活躍します。
栽培のポイント
日当たりの良い場所が適しています。過湿に弱いので、土は水はけに優れたものを使いましょう。ディルは摘芯しなくても、大株に生長します。
センテッドゼラニウム(ニオイゼラニウム)

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「センテッドゼラニウム」は、葉に香りがあるハーブ。通常の花を観賞する「ゼラニウム」と同じぺラルゴニウム属の植物になります。数ある種類の中でも、バラに似た華やかな香りの「ローズゼラニウム」がよく知られており、アロマオイルなどに利用されます。
栽培のポイント
日のよく当たる、風通しの良い場所で管理します。高温多湿に弱いため、葉が茂っている場合は、梅雨入り前に切り戻しをして蒸れを防ぎましょう。
花を楽しむゼラニウムの種類や詳しい育て方は、こちらの記事で!
ハーブの種類については、こちらの記事でも紹介しています!
ハーブの楽しみ方はいろいろ!こちらの記事をチェック
ハーブの育て方のポイント

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ハーブは、地植えはもちろん、プランターでも育てることができます。ここでは、それぞれの方法で栽培する場合のポイントを紹介します!
地植えの場合
- ハーブは、ミツバなど水を好む種類以外は、基本的に過湿を嫌います。日当たりと水はけの良い場所で栽培しましょう。
- 枝葉が混み合ってきたら適度に剪定し、株が蒸れるのを防ぎます。
- ハーブの種類は、耐寒性や耐暑性をチェック!育てる環境に合ったものを選びましょう。
- 周囲に雑草が生えてきたら、ねじり鎌などで除去します。
プランターの場合
- よく日の当たる場所で管理しましょう。
- 種類にもよりますが、排水性の良い土を使うと失敗しにくくなります。鉢底石で通気性を確保するのも忘れずに。
- 地植えと異なり、水切れしやすいので注意が必要。夏場は毎日水やりするようにします。
- 梅雨など雨が続く時期は、軒下に移動させて過湿を防ぎます。
- プランターのサイズは、野菜用など60cm以上あるものを使いましょう。
プランター選びについては、こちらの記事をチェック!
ハーブの栽培方法

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育てたいハーブが決まったら、さっそく栽培をスタートさせましょう!家庭菜園のプロ・福田先生に、ハーブをじょうずに育てるためのコツを聞きました。
ハーブの苗を購入するときは、葉が黄色くちぢれていたりせず、いきいきと元気なものを選びましょう!
土づくり
地植えの場合は、堆肥とぼかし肥料、草木灰を漉き入れてふかふかの土にします。プランターは、市販の野菜・草花用培養土でOKですが、できるだけ排水性を重視したものにしましょう。自分で配合するのであれば、赤玉土(小粒)と腐葉土を半々に混ぜ、ぼかし肥料または油粕を少々振ります。元肥は土中に入れず、地表に振る程度で十分です。
ハーブも野菜と同様、微生物がいっぱいの土が理想です!
ハイポネックス培養土 鉢・プランター用
元肥として緩効性肥料マグァンプKを配合した、プランター栽培に最適な培養土。適度な排水性と通気性、保水性があり、保肥性にも優れています。
・内容量:14L
土づくりに関してはこちらの記事をチェック!
植え付け
苗を植え付ける際は、根鉢を崩さずに植えたほうがベター。あまりにもガチガチに根詰まりしていたら、底の根鉢を軽くほぐしましょう。
地表と根鉢の高さがそろうように植え付けてください。
水やり
気温の上がる初夏~初秋は、雨の日以外毎日水やりします。秋が深くなると、冬越しする多年草ハーブしか残らなくなるので、水やりは3〜4日に1回ぐらいの頻度でOKです。
水やりに便利なアイテムは、こちらの記事をチェック!
肥料
ぼかし肥料、または油粕を株元に振って与えます。市販のものであれば、ペレット状の肥料を置き肥にすると簡単です。
置き肥が溶けて土に浸透し、見えなくなったら追肥しましょう。
サンアンドホープ ぼかし完熟有機100%肥料
完全醗酵で、肥料焼けもしにくいぼかし肥料です。ペレット状で使いやすいのも魅力。野菜のほかにも、草花や観葉植物などマルチに使えます。
・内容量: 1.2kg
病害虫
ハーブは虫がつきにくい種類が多いですが、中にはアブラナ科のルッコラなど害虫対策をしたほうが良いものも。特にミツバはアブラムシがつきやすいので注意が必要です。日ごろから葉裏などもよく観察し、見つけ次第捕殺するようにしましょう。
以前育てていたミツバに、アブラムシがいっぱいついたことがあります。そのままにしていたら、テントウムシが来て産卵し、孵化(ふか)した幼虫が全部アブラムシを食べてくれました。このように、害虫の天敵利用も有効です!
詳しいアブラムシ対策はこちらの記事で!
収穫
手で好きな量を摘み取ります。レモングラスのように葉が硬いハーブは、はさみでカットして収穫しましょう。
ハーブが適度に育ってきたら、どんどん収穫してください。シソなどは放っておくと、大木になってしまいますよ!
おすすめの剪定ばさみはこちらをチェック!
ハーブ栽培に関するQ&A

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ハーブを育てているとよくある疑問や質問を、菜園のプロ・福田先生に聞きました!
Q. 種類の違うハーブを混植しても大丈夫?
はい、問題ありません。単植よりも、混植したほうが楽しいですよ。ただ、どんどん摘んで収穫しないと性質の強いハーブが勝ってしまい、寄せ植えのバランスが悪くなることがあるので注意してくださいね。
Q. 何度も繰り返し収穫できるハーブは?
レモンバームやレモングラス、ローズマリーなどは繰り返し収穫が楽しめます。
Q. 寒い季節に外で栽培することは可能?
ローズマリーは耐寒性が強く、冬の寒さでも枯れません。室外でそのまま越冬可能です。また、低温で枯れてしまうハーブでも、室内に取り込めば越冬させることができます。
家庭菜園でハーブを育てよう!

出典:写真AC
料理やスイーツに少量加えるだけで、ワンランク上の味わいにしてくれるハーブ。家庭菜園で育てれば、いつでもフレッシュな香りを楽しめます。たくさん収穫できたら、乾燥させてハーブティにしたり、サシェなどにしたりするのもおすすめ。ハーブは丈夫で育てやすい種類が多いので、初心者にも挑戦しやすいですよ!