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フローリスト
猪飼 牧子アロマ・ハーブ・生花・エディブルフラワーなど、植物の活用に関する多種多様な知識を持つ。東京都下北沢のアトリエ「NEROLIDOL」では、花束やハーブティー、アクセサリー販売のほかに教室を定期開催。「生活に寄り添う、植物のある暮らしと装い」を伝えている。夏場には虫よけスプレーをその場で作れるミニワークショップを行うことも! Instagram:https://www.instagram.com/makiko_nerolidol Facebook:https://www.facebook.com/nerolidolflower Blog:http://nerolidol-m.jugem.jp/…続きを読む
- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
この記事ではフローリストの猪飼牧子さんに監修いただき、ハーブによる虫よけを徹底解説いたします!!
専門家にハーブの虫よけについて聞きました!
ハーブで虫よけできる理由は、ハーブが虫の嫌がる忌避効果を持っているためです。つまり、植物が生きていくために必要な忌避成分を使わせてもらっています。そのためハーブを庭に植えたり、玄関やベランダに置いたりすることで、虫やゴキブリを寄せつけにくい環境をつくることができるのです。今回は、アロマやハーブなどの植物の活用に関して、多様な知識を持つフローリストの猪飼牧子さんに、詳しくお話をうかがいました。
猪飼牧子(いかい まきこ)
フローリスト。アロマ・ハーブ・生花・エディブルフラワーなど、植物の活用に関する多種多様な知識を持つ。東京都下北沢のアトリエ「NEROLIDOL」では、花束やハーブティー、アクセサリー販売のほかに教室を定期開催。「生活に寄り添う、植物のある暮らしと装い」を伝えている。夏場には虫よけスプレーをその場で作れるミニワークショップを行うことも!
Instagram:https://www.instagram.com/makiko_nerolidol/
Facebook:https://www.facebook.com/nerolidolflower/
Blog:http://nerolidol-m.jugem.jp/
NEROLIDOLインタビュー記事
牧子さんの連載「季節のフラワーアレンジメント」
ハーブによる虫よけは「栽培・ドライ・精油」の3つの方法がある
ハーブを使った虫よけには、庭や玄関先で栽培する方法、育てたハーブをドライにする方法、精油を用いる方法の3つの方法があります。牧子さんのひと言アドバイス
精油は大量の生花から成分を抽出して作られているため、少量で忌避作用が期待できるのは精油ですが濃度によって異なります。ただ、どの方法も完全に虫が来ないようにすることはできないので、その点は注意が必要です。
栽培する方法
メリット
ハーブが元気に育っているうちは忌避効果が継続して続くのが良い点です。ガーデニング植物としても楽しめるほか、剪定し自分でドライハーブを作れることも魅力です。デメリット
部分的にアロマスプレーなどをした場合に比べると穏やかになります。また、ハーブによっての栽培条件が異なるので、育てられるものがおのずと限られてしまいます。牧子さんのひと言アドバイス
育てる楽しみを感じながら、虫よけもできるという二重のメリットがありますよ。
ドライにする方法
メリット
栽培したり買ったりしたハーブを乾燥させて飾る方法。花瓶に挿すだけでなく、サシェやスワッグ、リースなどインテリアグッズとしても楽しめます。デメリット
時間が経つにつれて忌避効果のある成分が揮発して無くなるため、効果はだんだんと無くなっていく。牧子さんのひと言アドバイス
時間とともに成分は揮発しますので、定期的に交換することが重要になってきます。
精油を使う方法
メリット
精油(エッセンシャルオイル)は植物の成分を凝縮し抽出したもの。栽培やドライに比べると、一滴に凝縮された植物の量は多いですが必ず希釈して使います。アロマディフューザーで楽しむだけでなく、スプレーやバームにするなどアレンジの幅が広いのも魅力のひとつです。
デメリット
生花やドライよりも成分が凝縮されているため、取り扱いに注意が必要。こちらもドライ同様に、時間が経つにつれて揮発していくので、クラフトの場合は作り直す必要があります。牧子さんのひと言アドバイス
スプレーやバームなどクラフトにしやすいので、日常的に使いやすいです。ただし、濃度と使用方法をきちんと理解しておく必要があります。
虫よけにおすすめのハーブ10選!
ここからは虫よけにおすすめのハーブの品種を厳選して紹介します!レモンユーカリ
オーストラリア原産の植物。精油としての需要が高いですが、近年は「虫よけの木」としても話題です。その名の通り、レモンと似た香りを持ち、常緑なので1年中楽しめるのも特徴です。牧子さんのひと言アドバイス
ほかのユーカリと同じように、抗菌・抗ウイルス等の作用を持ち合わせています。少し甘さを含んだレモンのような香りは頭をスッキリさせてくれます。
特に効果のある害虫
蚊、ダニおすすめの精油・苗木
シトロネラ
イネ科の植物でレモングラスと非常に似ています。こちらもレモンユーカリと同様に忌避効果の高い植物として親しまれ、古くから蚊帳に編みこんで使用していたという記録もあるほど。ただし、猫に対しては中毒性があるということが確認されているため、飼っている人は使用を控えましょう。牧子さんのひと言アドバイス
重くてダルい気分を払拭し、集中力を高めてくれます。体を活性化してくれるような香りが魅力です。抗菌作用にも優れます。
特に効果のある害虫
蚊、ダニおすすめの精油
レモングラス
シトロネラよりは忌避効果は劣るものの、レモングラスも虫よけできる植物として有名です。栽培して育てれば、タイ料理などのアジア系の料理に使えますし、ドライにしてハーブティーとして楽しむことも可能!牧子さんのひと言アドバイス
リフレッシュ作用に優れ、抗菌・抗真菌作用(※)があります。胃腸のはたらきを助けるとして、ハーブティーや料理にもよく使われます。
特に効果のある害虫
蚊おすすめの精油や苗
ペパーミント
ペパーミントはヨーロッパ原産のハーブ。忌避作用のあるといわれるL‐メントールの成分が、衣類への虫よけに適しています。プランターや鉢を使って室内で育てるのも簡単で、料理に使われることが多いハーブです。ただし、L-メントールは刺激の強い物質でもあるので使用量などには注意が必要です。牧子さんのひと言アドバイス
ほかには身体を一度元気にしたあと、リラックスさせる強壮・鎮静の作用を兼ね備えていますよ。
特に効果のある害虫
衣類につく虫おすすめの精油や苗
ペパー ミント 苗
・ポットサイズ:8×8cm
ハッカ
ハッカも虫よけに効果があるハーブとして有名です。ゴキブリに対しての忌避効果が期待できます。また、ハッカはシソ科の多年草植物で夏から秋にかけて花が咲き、水はけの良い土を好みます。夏は木陰になるような場所が栽培に適しています。牧子さんのひと言アドバイス
ペパーミントもハッカも同じシソ科のハッカ属。けれど、日本の和ハッカはLメントール量が多く刺激も強いので注意が必要です。香りの差も歴然です。
特に効果のある害虫
衣類につく虫、蚊、ゴキブリ、ダニなどおすすめの精油や苗
ニホンハッカ 苗
・ポットサイズ︓3号(直径9cm)
クローブ
ゴキブリが嫌うオイゲノールの成分を含む植物。主に乾燥させてスパイスとして料理に活用されますが、アロマテラピーや煙草の香りづけなど多岐にわたって使用されています。牧子さんのひと言アドバイス
古くから鎮痛作用のあるハーブとして使われてきました。オレンジとの相性もよく、料理にも使われます。
特に効果のある害虫
ゴキブリおすすめの精油
ラベンダー
紫のかわいい花を咲かせてくれるラベンダーですが、ダニなどに対する忌避作用があるとされています。生花・ドライ・精油どんな方法でも楽しむことができ、万能なハーブとして非常に人気が高いです。虫刺されにも効果があるのでクリームなどで取り入れるのも◎牧子さんのひと言アドバイス
鎮静、鎮痙、抗菌作用に優れていますので、それらの効果と合わせて虫よけも期待したいという場合の利用におすすめです。
特に効果のある害虫
ダニおすすめの精油や苗
ゼラニウム
ヨーロッパで古くから愛されているゼラニウム。シトロネラ―ルの成分を持っているので忌避作用はありますが、レモンユーカリやシトロネラほどの効果はありません。ほかにも、抗菌、鎮静作用がありリフレッシュ効果が期待できます。牧子さんのひと言アドバイス
ゼラニウムは全体的なバランスをとる作用が高く、心身を整えてくれるハーブです。品種は一般的に園芸用に出回っている鑑賞花のものではなく、ハーブやアロマに使われる香りのある品種はセンテットゼラニウム、もしくはローズゼラニウムという名で販売されています。
特に効果のある害虫
蚊おすすめの精油
エンハーブ ゼラニウム
・内容量:5ml
栽培方法はこちらの記事でチェック!
好みのハーブを使った「手作り虫よけスプレー」の作り方
じつは、忌避効果の高い「精油」を使って虫よけスプレーが作れるんです!牧子さんに作り方を教えていただきました。少ない材料で作れるのでぜひチャレンジしてみてくださいね。材料
1. スプレー瓶(今回は50ml容器を使用)2. 精製水 45ml ※水道水の浄水でも可
3. 無水エタノール 5ml
4. 精油 10滴(全体の1%濃度) ※今回は蚊の忌避効果の高いシトロネラ・レモンユーカリを使用
牧子さんのひと言アドバイス
精油を選ぶ際のポイントは、しっかりとした価格設定で信頼できるメーカーから販売されているものを選ぶこと。安過ぎたり各種精油の価格が同じだったりするメーカーの製品は、香料が使われている可能性が高く、ハーブの効能が弱くなってしまっている可能性もあります。
作り方
1. 容器に無水エタノールを入れる牧子さんのひと言アドバイス
精油は水に溶けないので、先にエタノールから混ぜるようにしてください。
3. 精製水を入れて混ぜる
手作り虫よけスプレーを使うときのポイント
・アルコールを使用しているので、使用前にパッチテストを行う・肌の上からの揮発速度が速いので、一定時間経過したらつけ直すようにする
効果を持続させたい場合は虫よけバームも有効!
スプレーよりも長く肌の上でとどめたい場合はミツロウなどを使ったバームの方が有効です!作り方は下記の材料を火にかけてまぜるだけです。こちらもぜひ試してみてください!
牧子さんのひと言アドバイス
バームは肌に塗布するものなので、精油の濃度は上げないようにしましょう。量を多く作りたい場合は比率だけ同じにすれば多めに作ることも可能です。
材料
1. 植物油 20ml2. ミツロウ 4g
3. シアバター 2g
4. 精油 6滴
ハーブの虫よけ効果に関するQ&A
ここではハーブの虫よけ効果について、よくある疑問や質問にお答えします!室内におすすめの虫よけ効果のあるハーブは?
室内栽培にするのであれば、半日陰でも育つ種類のハーブがおすすめです。特にペパーミントは耐陰性があり、とても丈夫。忌避作用のありL-メントール成分が含まれているので、虫よけ効果が期待できます。鉢植えにしてキッチンの窓辺などで育てると良いですね。乾燥には弱いので、水切れには注意しましょう。
ハーブで虫よけするのは効果がない?
虫が嫌がるシトラールやL-メントール、カンファーなどの香り成分のあるハーブであれば、虫よけ効果は期待できます。特に成分を凝縮させた精油は、利き目も高くなりますよ。防除したい虫の種類によって適したハーブも変わるので、賢く使い分けましょう。
置くだけでOKなハーブを使用した虫よけはある?
市販の虫よけアイテムには、ハーブ成分を配合した置き型タイプがあります。虫が気になる玄関やキッチン、窓辺などにおすすめです。