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プランター野菜栽培家
安藤 康夫自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。 現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中! ■関連サイト:Facebook「Hanna-papaの菜園日記」、 2019年5月以前のブログ「Hanna-papaの菜園日記 2」 ■著書:『プランターで有機栽培1』(農文協)、『プランターで有機栽培2』(農文協)…続きを読む
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プランターでのバジル栽培の特徴と種まきの時期
肥料もほとんどいらず、病気にもなりにくいバジル。冬を除いた春から秋にかけて、時期を選ばずに種まき&栽培ができます。植え付けてから1カ月後〜11月まで長く収穫できるのも魅力!バジルの栽培時期
・種まき(育苗):4~8月・植え付け:4月中旬~9月中旬
・収穫:5~11月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
バジルのプランター栽培に適した温度や場所
バジルの栽培適温は約20℃。日当たりと風通しが良い場所にプランターを置きましょう。しかし、盛夏になると日差しが強く葉が硬くなりやすいので、半日陰で育てます。長雨には要注意!
梅雨時期などの長雨に当たると、バジルの葉は黒く変色してしまいます。プランターを屋根の下など、雨のあたらない場所に移動させましょう。バジルのプランター栽培は室内でもOK!
室内でバジルをプランター栽培する場合は、日が差す南向きの窓辺に置きましょう。失敗しないコツは、水やり後にプランターの受け皿にたまった水を捨てること。水をそのままにしておくと、根腐れを起こします。安藤さんおすすめ!プランターで栽培しやすいバジルの品種
プランターで育てやすい品種として安藤さんがおすすめするのは、「スイートバジル」。イタリア料理に使われる代表的な品種で、ほのかな甘みと爽やかないい香りが特徴です。料理に使うならこれ!スイートバジル
バジル栽培に最適なプランターのサイズは?必要な土や肥料なども紹介
土の量が限られるプランター栽培では、育てる植物にあったプランターの大きさが重要です。バジル栽培に適したプランターのサイズを確認しましょう。バジルは支柱がなくても自立し、肥料もほとんど必要ないので、準備が楽ですね!バジル栽培に適したプランターの大きさや深さ
・A:直径/15cm程度・B:深さ/16cm程度
プランターは、直径が15cmある5号鉢が最適。このサイズのプランター1つにつき、1株育てるのが理想です。1つのプランターで2~3株育てたい場合は、株間を15cm程度開けられるサイズが必要です。直径24cm、8号以上のプランターを準備しましょう。
おすすめのプランター
バジルのプランター栽培に適した土
一般的な野菜用培養土を使用しましょう。はじめから肥料がバランス良く含まれているため、肥料を別に準備する必要がありません。おすすめの土
バジルのプランター栽培には追肥が必要?
再利用した土など、まったく肥料が入っていない土を使用する場合は、5Lの土に対し油粕を半握りほど与えましょう。安藤康夫さん
バジルは葉を収穫するため、ほかの野菜と比べ肥料は少なめで大丈夫。肥料を与え過ぎると、味にえぐみが出たり、根が肥料焼けして枯れたりします。
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プランターでのバジルの育て方|種まき・育苗・収穫のコツなど
Step1. バジルの種まきと育苗
バジルの種をプランターに直まきすると、元気な苗が育つ場所をプランター内で決められないデメリットがあります。まずはビニールポットに種まきをして、育苗をしてからプランターに植え付けるのがおすすめ!
ビニールポットへの種まきと育苗
- 直径7.5cm程度のビニールポットに土を入れ、種を土の上に3~5粒ほどまき、土をかぶせずそのままにしておきます。バジルは双葉が大きくなるので、蒸れ防止やわき芽の生長を促すために、あまり種をまき過ぎないように注意しましょう。
- 水は毎日のようにこまめに与え、日当たりと風通しが良い場所で育てましょう。
- 弱い芽を間引きして、強い芽を残し、本葉が見え始めるまで育苗します。
もしプランターに直接まくなら
プランターへの直まきに挑戦したい場合は、- 土の上に種が重ならないようにパラパラとまき、手で押さえて鎮圧します。
- 双葉が育ってきたら、5号のプランターなら1株、8号なら3株になるように双葉が大きいものを残し、ほかは間引きます。
安藤康夫さん
間引いた苗を鉢上げして、ほかのプランターに植え付けても元気に育ちますよ!
育苗が難しい場合は、購入しよう!元気な苗を選ぶポイント
バジルの苗を購入する場合は、虫食いがなく、葉に艶があって縮れていないものを選びましょう。葉が縮れている場合は、ウイルス病に感染している可能性があります。Step2. バジルの苗を植え付ける
苗の植え付けのタイミング
双葉の間から本葉が出てきたら、苗をプランターに植え付けます。プランターと土の準備
プランターの高さの1割程度まで鉢底石を敷き、その上からプランターの高さの8割程度まで培養土を入れます。安藤康夫さん
培養土や水がプランターから流出しないための、ウォータースペースを確保するのは基本です。
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苗の植え付け方
- プランターの真ん中に、苗の根がちょうど収まるくらいの穴を1つ作って、苗の根の土を崩さないようにその中に植え付けます。
- 苗が倒れないように気をつけながら、しっかりと水やりしましょう。
購入した苗の植え付け方のポイント
ホームセンターなどで売っている苗は、ビニールポットに5~6本程度が植え付けられていることも。そのままの状態で植え付けるとうまく育たないので、1本ずつそっと根をほぐしてから植え替えましょう。
真夏のプランター置き場に注意!
真夏に苗を植え付ける場合、土にしっかり根付くまでの2〜3日は直射日光で葉焼けしないように、日陰にプランターを置きましょう。Step3. 水やりの頻度
春と夏は土が乾いたら、プランターの底から水が出てくるくらい、たっぷりと水やりします。真夏は水枯れを起こしやすいので、朝夕の2回行いましょう。Step4. どんどん採れる!収穫と摘芯のコツ
バジルの葉の下の2つのわき芽が、艶のある緑色になったら食べごろです。清潔な園芸用のはさみを使って、先端から3〜4段目ぐらいまでを摘芯するように収穫しましょう。また、摘芯をすることで、すぐにわき芽が出て株がこんもりとし、葉の収穫量が増えます!わき芽かきは必要ありませんよ。
バジルは摘芯した枝で増やせる
バジルは挿し木で増やすことができる植物。摘芯した枝を水に挿しておくと、1週間程度で発根します。発根した枝をプランターに植え付けると、簡単に株を増やせます。安藤康夫さん
挿し木での苗作りを繰り返すと、収穫時期をずらすことができて長い期間バジルを栽培できます!
Step5. 花穂ができたら
バジルの葉をたくさん収穫したい場合
やわらかくておいしいバジルの葉をたくさん収穫したい場合は、花穂ができたら早めに切り取りましょう。花穂ができると種をつくる生殖生長に切り替わり、花ばかりに栄養がいくため葉が固くなってしまいます。種にしたい場合
花穂をいくつか残しておくと、枯れた花穂から種が自然に落ち、株下から次々に発芽します。・春からバジルを育てて、8月ごろに落ちた種:自然に発芽した苗を、ポットで育苗してから別のプランターに植え付ければ、11月ごろまで収穫が可能。
・11月ごろに花穂から落ちた種:冬の間は休眠し、暖かくなる3月ごろにまた発芽します。
Step6. 目安は寒くなってから!バジル栽培後の片付け
12月ごろになると、寒さでバジルの株が枯れるので片付けましょう。使用した培養土はふるいを使って、古根や底土を取り除き再利用します。ふるいにかけた土は、落ち葉堆肥や牡蠣殻を混ぜることで、春野菜用の土としても利用できます。バジルはトマトやミニトマトの虫除けに!プランターを並べて育てよう
バジルの独特の強い香りは、近くで栽培する植物につく害虫を寄せ付けない効果があり、コンパニオンプランツとして使われることも。コンパニオンプランツとは、違う種類の野菜を混植することによって生長を促したり、病害虫を付きにくくしたりと、相乗効果が得られる組み合わせのことです。一緒に育てると相性のいい野菜|トマト・ミニトマト・ラディッシュ
バジルと相性のいい野菜は、トマトやミニトマト。アブラムシなどの害虫を忌避し、さらにはお互いの味も良くするといわれています。また、シソ科のバジルとアブラナ科のラディッシュでは集まる害虫が違うので、お互いを避けるようにして虫がつくのを少なくできます。安藤康夫さん
ただし、プランターで育てる場合は土の量が限られており、混植すると栄養の取り合いになります。1つのプランターに植えるのは1種類の野菜のみにし、プランターを隣に並べて育てましょう。
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バジルはペットボトルでも育つ!室内での水耕栽培のコツ
特別な容器がなくても、ペットボトルなどで簡単に、摘芯したバジルを室内で水耕栽培することもできます。
- ペットボトルの上をカットして、下半分の水を入れたペットボトルに飲み口が下にくるように差し込みます。
- 上部分にカットしたスポンジやハイドロボールなどを入れて、枝の先端が水に触れるように苗を固定させましょう。
- 日当たりの良い場所で、毎日水を取り替えるのが元気に育てるコツ!生長が気になるようであれば、水耕栽培用の液体肥料を与えましょう。冬場は室温が10℃以上になるよう調整します。
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バジルのプランター栽培で気をつけたい害虫対策
シソ科のバジルは基本的に病気なりにくく、害虫も少ないので防虫ネットはかけなくてもいいでしょう。ただし、水や肥料の与え過ぎなどで枯れたり、ハダニやヨトウムシなどがつくことも。日々の生育状態はよく観察しましょう。バジルのプランター栽培で発生しやすい害虫
ハダニは見つけたらすぐに退治
ハダニは風通しや通気性が悪いと発生しやすく、樹液を吸って株の生長を妨げます。見つけたらガムテープにくっつけるか、手でつまむなどして取り除きましょう。▼ハダニの関連記事はこちら
夜に葉を食べる蛾の幼虫!ヨトウムシ
ヨトウムシは、新しい培養土であれば発生しにくいですが、使いまわした培養土には潜んでいる恐れがあります。昼間は土の中に隠れているので、葉が食べられているのに害虫が見つからない場合は、ヨトウムシの発生を疑いましょう。土の浅い場所に潜んでいるので、土を掘り起こしてつまんで取り除きます。▼ヨトウムシの関連記事はこちら