ダイコン | 基本の育て方と本格的な栽培のコツ

農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいダイコンの育て方を紹介!ダイコン作りに欠かせない土づくりや病害虫、生育障害の原因、ダイコンの収穫適期の見分け方などを説明します。


撮影:AGRI PICK編集部
農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいダイコンの育て方を紹介します。ダイコン栽培に欠かせない土づくりや病害虫、生理障害の原因について、種まきの時期やコツ、水やり、追肥、収穫適期の見分け方など詳しく説明します。

ダイコン(大根)について

撮影:AGRI PICK編集部
地中海地方原産のダイコンは、エジプトでは5000年も前から食べられていたようです。原産地から西へと伝わったダイコンは根が小さいタイプのもので、主に薬草として広がっていき、東に伝来したダイコンは中国(華南系・華北系)で主に根や葉を食べる野菜として広まりました。
日本には中国から華南系のダイコン、続いて華北系が伝わり、さらに江戸時代の参勤交代で一緒に旅をした各地のダイコンが育てられ多くの新品種が生まれました。今日でも日本人の生活に欠かすことのできない重要な作物のひとつです。
ダイコンの品種には大カブのような聖護院大根から、世界で一番大きい桜島大根、世界一長い守口大根などの伝統野菜や、スーパーでよく見かける青首大根、ラディッシュなど小型のタイプまでさまざまな種類があります。
植物名  ダイコン(大根)
学名  Raphanus sativus var.Longipinnatus
英名  Japanese radish / Daikon
科名  アブラナ科
属名  アブラナ属
原産地  地中海地方
土壌pH  pH6.0〜7.5
生育適温  20℃前後
発芽適温  25℃前後

栽培時期

ダイコン 新規就農レッスン 栽培カレンダー
育てる地域や栽培する品種によってまきどきが異なりますので、種を購入するときに確認しましょう(育てる季節に応じた品種を選ぶことで、1年を通して栽培することが可能です)。
※主に露地栽培の栽培時期。野菜の栽培は、屋外の畑で作物を栽培する「露地栽培」のほかに、「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する方法があります。

栽培準備

大根マルチがけ 栽培の準備を始めましょう。

収量

1a(100平方メートル)で414kgほど収穫することができます。
出典:作物統計調査 平成29年産野菜生産出荷統計
「都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量」(農林水産省)
(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500215&tstat=000001013427&cycle=7&year=20170&month=0&tclass1=000001032286&tclass2=000001032933&tclass3=000001121095)(2019年10月2日に利用)

種の用意

地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。
※育てる品種によって株間が異なるため、用意する種の量も異なります。
  ダイコン 主な品種 主要産地
青首系  夏つかさ旬(晩抽性)  北海道、青森など
 夏の守(晩抽性・小葉品種)  青森、鹿児島など
 春宴(極晩抽性)  千葉、神奈川など
 福誉(小葉品種)  千葉、神奈川など

1aあたりの使用種子量

1a(100平方メートル)あたりあたり100mlほどです。

土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態がよければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材などの散布を心がけましょう。
▼土壌消毒や土づくり、土壌診断のことならこちらをご覧ください。

土壌pH

pH6.0〜7.5の範囲で生育することができます。

適した土壌

ダイコン栽培は土づくりが一番大切だといわれています。完熟堆肥を使用し、十分な深さ(50cm程度)まで土を耕しましょう。
土壌が乾燥から湿った状態へ、反対に多湿から乾燥へと急激に変化することで、裂根になりやすい性質があるので排水性、保水性の高い土づくりを心がけましょう。

肥料

栽培に使用される全肥料は、目安として10平方メートルあたり窒素100〜200g、リン酸150〜200g、カリ100〜200g位です。

▼肥料のことならこちらをご覧ください。

畝立て

畝幅は品種によって異なります。一般的な品種は一条植えで畝幅50〜60cm、二条植えで畝幅は90〜135cm位の畝を作ります。

▼耕運機、鍬(くわ)のことならこちらをご覧ください。
▼マルチ栽培のことならこちらをご覧ください。


育て方

大根栽培
出典:写真AC
畝や種の準備が整ったら栽培のスタートです。

種まき

発芽するまでの種が乾燥すると発芽率が下がりますので、適度な土壌水分を保つ必要があります。

発芽適温

発芽に適した温度は25℃前後です。発芽適温時に種をまくと2〜3日で発芽します。最低でも4℃、最高だと35℃以下でも発芽しますが、36℃を超えると発芽は難しいようです。

株間

ダイコンの株間は20〜30cm位です。

種のまき方

1箇所5〜6粒の点まきにします。

間引き

大根間引き ダイコンは子葉の形が美しいと根の形も美しくなるため、間引くときの葉の観察が大切です。
子葉が完全に開いたら3本立て、本葉2〜3枚で2本立ち、本葉6〜7枚のころ、丈夫そうなものを残して1本立ちにします。間引くときには残すダイコンの根を傷めないように、はさみで間引く株元をカットします。
間引き終わったら、残す株元に土寄せをしましょう。

水やり

基本的にほかの野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝か夕方に行わないと根を傷めてしまいます。

▼灌水チューブのことならこちらをご覧ください。

極端な乾燥状態はNG

比較的乾燥に強い作物ですが、極端な乾燥状態にならないように管理します。特に生育後期の急激な土壌の水分の変化は、ダイコンの裂根を招きますので注意しましょう。

▼土壌水分計のことならこちらをご覧ください。

追肥

1本立ちにしたころ、ダイコンの生育が思わしくない場合、季節や品種に応じて追肥を施します。
目安として10平方メートルで窒素成分あたり20〜30gです。

中耕

中耕した後行う土寄せは、ダイコンの葉に土が入らないように注意しましょう。
※中耕とは、作物を育てている期間に土壌の通気性を高め、作物の根の発育を促すために浅めに耕すことです。

収穫

大根収穫 ダイコンは、品種や栽培時期によって種まきから収穫までの日にちが異なります。
葉が立ち上がり、その後外葉がたれ下がり、中心部の葉が開いてきたころ、根茎が7cm位になったら収穫適期です。根元を持って途中で折らないように引き抜きましょう。
ダイコンの抜き取りや出荷、不要な葉茎切りまでしてくれる収穫機もあります。

病害虫

大根、病害虫
出典:写真AC
栽培する上で、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。

▼病害虫対策に欠かせない農薬のまとめ

かかりやすい病気

水はけが悪い土壌では、病気になりやすい傾向があります。

▼植物全体の病気のことならこちらをご覧ください。

▼台風後の病気を防ぐ対策についてはこちらをご覧ください。

白さび病

葉に乳白色の斑点ができる糸状菌(カビ)による病気です。被害が広がると根の部分が輪禍症になります。

軟腐病

細菌が作物に侵入することで感染し、黒く腐敗して異臭を放ちます。比較的高温多雨の多湿条件下で発生します。

萎黄病

葉が黄化し、萎縮する糸状菌(カビ)による病気です。根の部分が木質化する特徴があります。

べと病

地ぎわの外葉に不整形な淡黄色の病斑が生じ、株全体に広がる糸状菌(カビ)による病気です。多湿環境で発生しやすい傾向があります。

モザイク病

葉がモザイク状に黄化するアブラムシを媒介に発病するウィルス性の病気(種子伝搬の可能性も有)です。

食害する害虫

アブラナ科を好んで食害する虫が多いので注意しましょう。

アブラムシ類

主に新芽や茎、蕾に発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にしてモザイク病やすす病などが発症しやすいので、アブラムシ発生後は病気が発症していないか注意が必要です。

コナガ

アブラナ科の植物を好んで食害する、世界各地に分布するチョウ目スガ科の幼虫です。幼虫を刺激すると、体をくねくねさせながら後退りして、糸を吐きぶら下がるという行動をとります。

カブラハバチ

アブラナ科の柔らかい葉の部分を好んで食害するハチ目ハバチ科の黒色の幼虫です。

キスジノミハムシ

黒褐色の成虫は葉を、乳白色の幼虫は根の部分を食害する、コウチュウ目ハムシ科の虫です。

ハイマダラノメイガ(芯食い虫)

チョウ目メイガ科の幼虫で、幼苗期の生長点を狙って食害する。別名ダイコンシンクイムシ。

▼そのほかの病害虫対策のまとめ

生理障害

肥料や水分吸収のバランスが崩れても、ダイコンが割れる生理障害を引き起こします。

裂根

被害状況  ダイコンにヒビ割れが生じる。
原因  周皮(篩部)と内部(木部)の肥大の不均衡により。

ス入り

被害状況  ダイコン内部が白色のスポンジ状になる。
原因  採り遅れや、生育後期の養分供給不足時、高温時の多肥状態により。
▼要素障害のことならこちらをご覧ください。

▼高温障害についてはこちらをご覧ください。

空洞症

被害状況  根の中心部に発生する空洞。
原因  高温や低温、乾燥や多湿など極端な環境下、肥料のバランスが崩れることによって起こる。
▼低温障害のことならこちらをご覧ください。

▼そのほかの生理障害のまとめ

栽培のまとめ

大根栽培
出典:Pixabay
中国から伝わったダイコンや日本の自生種のダイコンとで交雑しながら、江戸時代にはすでに周年栽培が可能なほど、さまざまなダイコンの品種が生まれました。
伝統野菜で鹿児島県の名産物でもある「桜島大根」は世界一大きいダイコンとして、岐阜県の「守口大根」は世界一長いダイコンで有名です。このほかにも、京都の「聖護院大根」、宮崎県の「糸まき大根」、長野県の「ねずみ大根」など、古くから日本各地で代々栽培されています。
伝統野菜のダイコンの多くは白首系ですが、さらなる品種改良により、作りやすさと辛みが少ない青首系のダイコンが、現在市場で多く出回っています。栽培するダイコンの品種に何を選ぶかで、栽培時期や収量など経営についても大きな影響が現れます。

▼家庭菜園のダイコンの育て方ならこちらをご覧ください。


経営指標

大根収穫機 新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

需要動向を調べる

1人当たりの年間購入量は、昭和から平成にかけて家庭用漬物の購入目的などの影響もあり1年間に6kgほどでした。しかし、ここ数年(平成29年以前)で1年間に4〜5kgに落ち込んでいますが、加工品(特にコンビニエンスストアのおでんなど)での需要は伸びています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

卸価格を調べる

栽培する季節や品種によっても価格の差が出ますが、平成29年度の調べで、卸価格は1kgあたり76~151円、平均で96円で取引されています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

販売価格を調べる

卸価格同様に販売価格も天候などの影響で前後しますが、小売価格(平成29年前後)は1kgあたり標準品で180円ほどで落ち着いています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

10aあたりの経営収支

群馬、長野、熊本の経営収支を例に挙げて簡単に説明します。
地域 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
 群馬(春夏まき) 5,000 580,000 372,038 207,962 66
 長野 4,000 360,000 288,094 71,906 109
 熊本(夏秋まき) 4,000 316,907 210,767 106,140 126
 熊本(春まき) 5,000 435,000 296,080 138,920 156
出典:長野県庁ぐんまアグリネット熊本県庁

経営費

ダイコン栽培における経営費とは、ダイコンを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると、肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

農業所得

農業所得は、粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということがいえます。

労働時間

大根出荷 労働所得を労働時間で割ると、ダイコン栽培の時給計算ができます。群馬の例でいうと、農業所得207,962円÷労働66時間=3,150.9円。つまり時給3,151円として換算します。

経営の状態を大まかに捉える

ダイコンの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、ダイコンのほかに育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

▼農業の補助金や収入など就農の基礎知識

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設などの準備。
参考:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

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sana

農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。

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