ハクサイ(白菜)|基本の育て方と本格的な栽培のコツ

農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいハクサイの育て方を紹介!ハクサイ作りに欠かせない土づくりや病害虫、生育障害の原因、ハクサイの収穫適期の見分け方などを説明します。


ハクサイ

撮影:AGRI PICK編集部
農業に興味を持っている方や家庭菜園で本格的に野菜作りをしている方、そしてこれから始める初心者の方にもわかりやすいハクサイの育て方を紹介します。ハクサイ栽培に欠かせない土づくりや病害虫、生理障害の原因について、植え付け時期や土寄せ、水やり、追肥、収穫適期の見分け方など詳しく説明します。

ハクサイ(白菜)について

ハクサイ
撮影:AGRI PICK編集部
ハクサイは、中国で栽培されていたカブとチンゲンサイが交雑して、不結球ハクサイが誕生したといわれています。ハクサイの種類には、大型のハクサイやミニ型の白菜、頭の部分の葉が重ならず広がる砲弾型の白菜、細長い縦長のタケノコ白菜、色がオレンジや紫の白菜、半結球型の山東菜などがあります。
植物名  ハクサイ(白菜)
学名  Brassica campestris
英名  Chinese cabbage
科名  アブラナ科
属名  アブラナ属
原産地  中国
生育適温  20℃前後
結球適温  15~16℃

特徴

結球ハクサイの品種には、種まき後45日前後で結球する極早生(ごくわせ)種から、75日以上掛かってやっと結球する晩生(おくて)種のものまであるため、どの品種をどの期間で育てるかの栽培計画が欠かせません。

春まき栽培

ハクサイの生育に最適な温度が持続する「春まき栽培」は、短期間で栽培できる極早生種を選びます。同じ「春まき栽培」でも種をまく時期が遅くなる場合は、早生または中早生種を選びます。
「春まき栽培」の収穫時期はとう立ちしやすく、高温多湿の環境下では結球が上手にできなかったり、病害虫なども発生しやすくなります。収穫のタイミングを迎えたら、引き延ばすことなく、短期間で収穫しましょう。

夏~秋まき栽培

「夏まき栽培」のハクサイの無理な早まきは、高温多湿時期にあたるため、生育初期の環境適応にやや困難が生じます。また、生育時期に高温になると病害虫の発生が多くなるので、耐病性品種を選びましょう。反対に遅過ぎる種まきは、初期生育が悪く、葉数も増えないことから、結球しないというリスクが生じますので注意しましょう。
「秋まき栽培」は、早生種を選び10~11月に収穫するか、じっくり生育する晩生種を選び厳寒期に収穫します。

栽培時期

新規就農レッスン 栽培カレンダー ハクサイ
Illustration:rie
育てる地域や栽培する品種によって種まきや植え付け時期が異なります。種や苗を購入するときに確認しましょう。
※主に露地栽培の栽培時期。野菜の栽培は、屋外の畑で作物を栽培する「露地栽培」のほかに、「温室」や「ビニールハウス」などの施設で栽培する方法があります。

栽培準備

ハクサイの苗
出典:写真AC
作付け計画をたて、ハクサイの種や苗を注文したら定植に向けて畑の準備を済ませましょう。

収量

1a(100平方メートル)で512kgほど収穫することができます。
出典:作物統計調査 平成29年産野菜生産出荷統計
「都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量」(農林水産省)
(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500215&tstat=000001013427&cycle=7&year=20170&month=0&tclass1=000001032286&tclass2=000001032933&tclass3=000001121095)(2019年10月2日に利用)

種・苗の用意

地域の種苗会社やホームセンターから購入することができます。育てる品種によって株間が異なるため、用意する苗の数も違ってきます。
ハクサイは苗を移植するよりも、直播で育てた方が根が広く深くよく育ちますが、幼苗期に高温多湿の環境下で栽培することで病害虫にかかりやすくなるというリスクもあります。育てる時期によって、育苗するのか直播で栽培するのかを判断しましょう。
産地 品種
茨城  黄ごころ、八千代娘、菜黄味など
愛知  黄さらぎ、黄りんじ、ひろ黄など

1aあたりのハクサイの苗の本数

1a(100平方メートル)あたり苗300本ほどです(育苗の使用種子量は5ml位)。

土づくり

排水性、通気性、保水性の整った団粒構造の土質は、微生物が多く住む作物にとって良い土壌です。作物を作る土壌の状態が良ければ、石灰資材など多く投入する必要がない場合もあるので、栽培の前には必ず土壌診断をし、pH、ECなどを測定したうえで、診断結果に基づいた適切な堆肥資材等の散布を心がけましょう。

▼土壌消毒や土づくり、土壌診断のことならこちらをご覧ください。

土壌pH

pH6.5~7.0が適しています。酸性の土壌では根こぶ病にかかりやすいため、しっかり酸度調整を行いましょう。

適した土壌

ハクサイは土壌の水分が過剰になると結球不良の原因となるので、通気性の良い環境をつくることが大切です。土を深く耕し、良質な堆肥を施して土の改良を行いましょう。水がたまりやすい場所は明渠(めいきょ)か暗渠(あんきょ)などを設置したり、畑に傾斜をつけたり、畝を高くするような工夫が必要です。

肥料

栽培するときに使用される全肥料は、目安として10平方メートルあたり窒素200~250g、リン酸150~200g、カリ200~250g位を使用します。ハクサイは完熟堆肥など有機質の多い肥料を使用することで、甘みが増します。
ハクサイは早生、中手、晩生で栽培する日数が変わりますので、栽培日数に合わせた肥料の施し方が求められます。生育期間の短い早生種は元肥を重点に、生育期間の長い晩生種は追肥に重点を置いて施しましょう。
元肥
早生  肥料全量の2/3
中手  肥料全量の2/3
中手~晩生  肥料全量の1/2

畝立て

ハクサイの畝を立てるときは、排水性が悪い土壌ほど高く作りましょう。1条栽培時の畝幅は50~60cm。2条栽培時の畝幅は90~130cm位です。
移植機や収穫機を使う場合は、使用する機械の仕様に合わせた畝の向きや高さ、幅にする必要があります。

▼耕運機のことならこちらをご覧ください。


育て方

ハクサイ
出典:Pixabay
畝や種、苗の準備が整ったら栽培のスタートです。

種まき

ハクサイは好光性の種子なので、土をかけ過ぎないように注意しましょう。

発芽適温

発芽適温の20~25℃で種をまくと2~4日で発芽します。

株間

育てる品種にもよりますが、40~50cmほど間隔をあけます。

種のまき方

直径5cm、深さ1cm位の凹みをつくり、種を4~6粒まいて5mmほど覆土します。

間引き

発芽して完全に子葉が開ききったころから間引きを開始します。1回目は3~4本立ちに、2回目の間引きは本葉が2枚になったら2本立ちに、最後は本葉6~7枚になったら1本立ちにしましょう。

苗の植え付け

苗を植付ける前は十分灌水を行い土に水分を与えます。ハクサイの苗にも水分をしっかり吸収させます。畝にマルチを貼る場合にも、あらかじめ水分が十分にあるか確認しましょう。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えることです。灌水ホース、灌水装置など農業でよく使用する言葉なので覚えましょう。

▼灌水チューブのことならこちらをご覧ください。

植え付けは天気のいい日に!

暑過ぎたり気温が低過ぎる環境での植え付けは避け、天候の良い日に行いましょう。風の強い日や悪天候時の植付けは、ハクサイの苗の活着が遅れ、初期生育が悪くなります。

株間

種まきのときと同様に、40~50cmほど間隔をあけて植え付けます。苗を植付けた後は、根が活着するまでの約1週間土が乾燥状態にならないように管理しましょう。

水やり

基本的にほかの野菜と同じように水やりは午前中に行います。暑い時期の水やりは、日中を避けて気温の低い早朝に行わないと根を傷めてしまいますので注意しましょう。

土が乾いたら

ハクサイは排水性の良い土を好むので加湿を防ぎます。土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。

追肥・中耕

追肥の際に行う中耕は生育初期のみ。結球開始以降は、畝に広がるハクサイの根を傷付けるため、中耕は控えます。
品種 追肥
早生  肥料全量の1/3~定植して2週間後、中耕を兼ねて追肥。
中手  肥料全量の1/3~追肥の回数は2回に分ける。
・1回目:定植して2週間後、中耕を兼ねて追肥。
・2回目:芯葉が立ち上がる結球始期。
中手~晩生  肥料全量の1/2~追肥の回数は3回に分ける。
・1回目:定植して2週間後、中耕を兼ねて追肥。
・2回目:芯葉が立ち上がる結球始期。
・3回目:結球中期。

収穫

ハクサイ収穫
出典:Flickr(Photo by :F Delventhal)
品種や作型で異なりますが、一般的に手で押さえてみて固く締まっていたら収穫することができます。ハクサイはほかのアブラナ科の作物と違って、収穫適期が長いのが特徴です。秋まきの中生、晩生種のハクサイは一気に収穫するだけでなく、畑で保存しながら順次収穫することが可能です。

収穫方法

手で収穫する際は、包丁などを使って切るため、ハクサイを少し斜めに傾けます。

貯蔵

温度0℃ほど、湿度85%前後で1〜2カ月の貯蔵が可能です。

秋まきの中生、晩生種のハクサイは、12月以降の寒い時期にハクサイの外葉をヒモで縛ったり、不織布などベタがけの資材を数枚上に被せたりすることによって霜の害を防止しながら畑で貯蔵することができます。しかし、あまりにも長期間にわたる貯蔵は、霜で外葉から病気になってしまうので注意が必要です。

▼霜害のことならこちらをご覧ください。

囲い貯蔵

寒害に当たる前に、根ごと収穫したハクサイを1日風に当てて乾燥させてから、根を下にして密に並べ、稲わらなどの保温材を上にかけて保存することができます。この場合のハクサイの状態は、収穫適期のものよりもやや手前の未熟の段階で収穫したものにします。さらに貯蔵期間を長くするために、収穫は雨などで水に濡れないように晴天時に行い、病害虫におかされているものや、変形したものは避けましょう。

病害虫

ハクサイ、病害虫
出典:Flickr(Photo by :Scot Nelson)
栽培するうえで、かかりやすい病気や気を付けたい害虫について紹介します。

▼病害虫対策に欠かせない農薬のまとめ

かかりやすい病気

多湿状態で病気になりやすい傾向があります。

▼植物全体の病気のことならこちらをご覧ください。

▼台風後の病気を防ぐ対策についてはこちらをご覧ください。

軟腐病

細菌が作物に侵入することで感染し、黒く腐敗して異臭を放ちます。比較的高温多雨の多湿条件下で発生します。

菌核病

地面接する外葉に発症する糸状菌(カビ)による病気で、結球期には芯まで病斑が広がります。

根こぶ病

アブラナ科植物にのみ発生し、根の表層で感染する土壌病害です。感染が広がると作物の生育を阻害し、萎れて枯れてしまいます。

べと病

地ぎわの外葉に不整形な淡黄色の病斑が生じ、株全体に広がる糸状菌(カビ)による病気です。多湿環境で発生しやすい傾向があります。

白斑病

葉の表面に火であぶったような灰褐色の病斑が出る糸状菌(カビ)による病気です。

食害する害虫

生育初期から後期まで、害虫の食害に気を抜けない作物です。

アオムシ

アブラナ科の植物、特にキャベツを好んで食害します。体は緑色で、細かな毛があるチョウ目シロチョウ科の幼虫です。

コナガ

アブラナ科の植物を好んで食害する、世界各地に分布するチョウ目スガ科の幼虫です。幼虫を刺激すると、体をくねくねさせながら後退りして、糸を吐きぶら下がるという行動をとります。

ネキリムシ

幼苗の地ぎわの茎や葉柄を夜間に切り倒して食害する害虫で、チョウ目ヤガ科幼虫の総称です。

ヨトウムシ

「夜盗虫」の名の通り夜に活動し、日中は葉裏や株元の浅い土中に潜んでいるヨトウガの幼虫です。

アブラムシ類

主に新芽や茎、蕾(つぼみ)に発生し、植物の汁を吸う害虫です。アブラムシを媒介にしてモザイク病やすす病などが発症しやすいので、アブラムシ発生後は病気が発症していないか注意が必要です。
▼防虫、防獣ネットならこちらをご覧ください。


▼そのほかの病害虫対策のまとめ

生理障害

ハクサイ、生理障害
出典:写真AC
生理障害は主に葉に異常を引き起こします。

ゴマ症

被害状況  結球したハクサイの葉の葉脈上に、黒いゴマ状の小斑点が生じる。
原因  結球期の気温が高く、降雨が続く環境下で発生しやすい。窒素過多によるもの。
▼高温障害についてはこちらをご覧ください

ホウ素欠乏

被害状況  葉がごわごわと凹凸ができ、奇形化する。
原因  土壌が中性からアルカリ性に傾くと発生しやすい。ホウ素不足によるもの。
▼ホウ素欠乏のことならこちらをご覧ください。

▼そのほかの生理障害のまとめ

栽培のまとめ

ハクサイ
出典:Pixabay
ハクサイは国の定める指定野菜(14品目)の一つで、消費量が多い重要な野菜なので通年出荷されています。平成27年度の調べで、キャベツ、ダイコン、タマネギに次いで4番目に国内生産量が多かった野菜です。一般家庭での消費のほかに、漬物など加工品としても需要があります。
ハクサイの栽培で一番労働時間を費やすのは収穫作業で、全労働の5割弱を占めます。栽培計画を立てるときには、ほかの作物の農作業と重ならないように配慮したり、畑や囲い貯蔵などの方法を活用したりして順次収穫作業を行いましょう。
家庭菜園でのハクサイ栽培は、生育初期を順調に過ごすことと害虫予防が重要です。寒さに強い性質を持っているので、秋冬栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

▼そのほかの野菜の栽培方法はこちら

経営指標

ハクサイ
出典:Pixabay
新規就農者として野菜作りを本格的に始めるならば、農業経営の見通しが不可欠です。職業として生活を成り立たせ、なおかつ豊かなものにするために、しっかりとした農業経営の指標を持ちましょう。

需要動向を調べる

ハクサイの1人当たりの年間購入量は平成21年度の調べで2400~2900g。高冷地で夏季に栽培されるハクサイは加工用としての需要が高く、冬季に出荷されるものは主に家庭での需要が高いようです。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

卸価格を調べる

栽培する季節や品種によっても価格に差が出ますが、平成28年度の調べで卸価格は1kgあたり平均で95円で取引されています。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

販売価格を調べる

卸価格同様に販売価格も天候などの影響で前後しますが1kgあたり標準品で247円程です。
出典:農畜産業振興機構「ベジ探

10aあたりの経営収支

長野、群馬の経営収支を例に挙げて説明します。
地域 収量(kg) 粗利(円) 経営費(円) 農業所得(円) 労働時間
 長野 9,000 729,000 604,987 124,013 100.6
 群馬(秋冬どり) 7,000 511,000 294,164 216,836 133.5
出典:長野県庁ぐんまアグリネット

経営費

ハクサイ栽培における経営費とは、ハクサイを生産するために使った経費のことです。具体的に挙げると、肥料、農薬、地代、土地改良費、雇用労働、農業機械(減価償却費)、利子などです。

農業所得

農業所得は、粗利から経営費を引いた金額になるので、経営費を上手にやりくりすることで所得もアップするということがいえます。

労働時間

労働所得を労働時間で割ると、ハクサイ栽培の時給計算ができます。群馬の例でいうと、農業所得216,836円÷労働133.5時間=1,624円。つまり時給1,624円として換算します。

経営の状態を大まかに捉える

ハクサイの経営収支から、どのくらいの規模で栽培すると収益はどのくらいあるのかなど、あらかじめ調べることで用意する苗の本数や、ハクサイのほかに育てる作物の種類を増やすなど、最初から計画をしっかり立てることが重要です。

▼農業の補助金や収入など就農の基礎知識

新規就農までの流れ

新規就農者への道は、各都道府県にある農業の支援機構などに相談してみることから始めます。相談から農地の準備までの7つのステップを踏みながら、その土地の一員として「自覚」と「信頼」を第一に考えて、地域に溶け込んでいきましょう。
 1. 相談  実際に相談窓口で相談(忙しい方にはメールでの対応もできます)。
 2. 情報収集  研修先や農業普及センター、農協、営農のプロのアドバイスや手助け先の獲得。
 3. 経営像  各都道府県の経営指標を参考にして、自身の農業計画を立てる。
 4. 就農計画  農地の確保、栽培作物の選定、農業技術の取得方法、資金などの具体的なプランを作り。
 5. 農業技術  栽培に適した作物、栽培方法などを身に付ける。
 6. 資金確保  自己資金、公的助成金・融資の確認。
 7. 農地の準備  そのほかの住居や農機具、農業施設等の準備。
参考:全国新規就農相談センター
▼新規就農のことならこちらもご覧ください。

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農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務、エディブルフラワー事務局を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。

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