症状からわかるハクサイの害虫

ハクサイの葉や茎を食害し、被害をもたらす害虫。加害部位とそこに現れる被害症状から、害虫そのものは見えなくても原因を判別できるよう、現れる部位ごとのハクサイの被害・症状を説明します。


圃場で栽培されているハクサイ

出典:Flickr (Photo by Amy G)
ハクサイは、生育初期から結球が完了する生育後期まで、アブラナ科作物を好む害虫の被害をとても受けやすく、定植前や定植時の土壌への薬剤処理など早期の防除対策が要となります。ここではハクサイの注意すべき害虫をその被害部位の特徴と合わせて説明します。
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葉・茎に被害を及ぼす害虫

葉菜類であるハクサイは害虫による葉の食害が直接、商品価値を損なわせることになります。害虫の種類も多く、対策と予防は欠かせません。しっかり害虫の種類を見極めて、早期防除を心がけましょう。

ハムシ類

ダイコンサルハムシに食害された白菜の葉

【害虫名】
キスジノミハムシ、ダイコンハムシ(ダイコンサルハムシ)など
【食害の様子】
キスジノミハムシは成虫が、ダイコンハムシでは幼虫、成虫ともに葉を食害します。集団で食い荒らすと葉に無数の穴があいて網目状になってしまいます。
生育初期の若い葉や生長点付近などが食い荒らされると、枯死してしまうこともあります。
【予防と対策】
ダイコンハムシは、アブラナ科雑草が発生源になることが多いので、適切な雑草管理が予防につながります。
キスジノミハムシ類の駆除と防除


ヨトウムシ類

ハクサイに産み付けられたヨトウムシの卵

【害虫名】
ヨトウガ、ハスモンヨトウなど
【食害の様子】
成虫が外部から飛来して圃場内に侵入し、葉裏に複数の卵を産卵します。
ふ化した若齢幼虫は、葉の表皮部分を残して葉の組織を食害します。若齢幼虫では摂食量が少ないですが、成長とともに摂食量も急激に増えます。中~老齢幼虫では、葉脈部分を残して、葉に穴をあけながら暴食して葉をボロボロにしてしまいます。
【予防と対策】
ヨトウムシ類の駆除と防除


アブラムシ類

ニセダイコナブラムシの吸汁を受けた白菜の葉

【害虫名】
ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、モモアカアブラムシなど
【食害の様子】
モモアカアブラムシは初夏と秋に、ニセダイコンアブラムシは秋季の高温時に発生が多くなります。
葉に多数のアブラムシが寄生して吸汁した部分が黄色く変色したり、増殖して被害が進むとハクサイの株全体の生長が止まってしまったりすることもあります。
また、ウイルスを媒介してモザイク病発生の原因にもなります。
【予防と対策】
アブラムシ類の駆除と防除

▼モザイク病のことならこちらをご覧ください。

コナガ

コナガと食害を受けた白菜の葉

【害虫名】
コナガなど
【食害の様子】
春と秋に発生が多く、幼虫が葉裏から葉肉を食害します。葉の表皮部分は残すので、食害痕は透けたように見えます。1匹当たりの被害は少ないのですが、1年を通して発生回数が多いため、個体数が増えると被害も増大します。幼苗期に食害を受けると枯死してしまうこともあります。
【予防と対策】
コナガ類の駆除と防除


メイガ類

ハイマダラノメイガの食害をうけるハクサイ

【害虫名】
ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイムシ)、ケブカノメイガなど
【食害の様子】
幼虫がハクサイの葉を食害します。中心葉をつづり合わせて内部に潜むことが特徴の一つです。特に生長点や芯部に食入することが多く、幼苗期に大きな食害を受けると株全体が枯死したり、芯止まり症状になったりします。
【予防と対策】
ハイマダラノメイガ(シンクイムシ)の防除と駆除


ゾウムシ類

ヤサイゾウムシに食害された白菜の葉

【害虫名】
ヤサイゾウムシなど
【食害の様子】
秋から春にかけて発生し、幼虫と成虫が葉を加害します。特に幼虫が芯部分を好み、生長点まで食害して発達を遅らせます。さらに内部に食入されると捕殺・駆除することが困難となります。
【予防と対策】
まずは圃場内に侵入させないことが重要なので、防虫ネットや溝状トラップの設置などが有効となります。広食性で雑草にも寄生することから、周辺の雑草管理を適切に行うことも予防につながります。


チョウ類

アオムシに食害された白菜の葉

【害虫名】
アオムシ(モンシロチョウ)など
【食害の様子】
春と秋によく発生し、葉に寄生して加害します。若齢幼虫から葉を食害し始め、成長とともに食害量がどんどん増え、最終的に葉脈部分を残して葉を食べ尽くしてしまいます。
ハクサイの芯部分の新葉が食害を受けると結球が妨げられてしまい大きな被害につながります。
【予防と対策】
アオムシの駆除と防除


ナガメ

ナガメの被害を受けた白菜の葉

【害虫名】
ナガメ、ヒメナガメなど
【食害の様子】
アブラナ科植物を加害するカメムシの仲間であるナガメは、幼虫、成虫ともに葉に寄生して吸汁します。
被害を受けた部分は白い斑点となり、さらに被害が進むと全体が黄色く変色して萎(しお)れてしまいます。
【予防と対策】
雑草でも繁殖するので、圃場周辺の雑草管理を適切に行うことで侵入を防ぎましょう。


ダニ類

ハクサイダニの加害を受けた白菜の葉

【害虫名】
ハクサイダニなど
【食害の様子】
多くの害虫が暖かい時期にハクサイを加害するのに対し、ハクサイダニは11~4月の寒い時期に発生します。
多数の個体が葉に寄生・吸汁し、吸汁された部分は白っぽくなります。また、幼苗期の芯部が多大に食害を受けると芯止まり症状となって枯死してしまうこともあります。
【予防と対策】
周囲の雑草や収穫後の残渣(ざんさ)の除去、土壌消毒などが予防に効果的です。発生してしまった際には、更なる発生を防ぐために株ごと取り除くなどの早期の対応が重要です。
※残渣とは枯れた植物や落ち葉のこと。

▼土壌消毒のことならこちらをご覧ください。


葉・茎を食害するほかの注意すべき害虫

上記の害虫以外にも発生することがある害虫について紹介します。

ハモグリバエ類

【害虫名】
ナスハモグリバエ、ナモグリバエなど
【食害の様子】
ハモグリバエ類は葉肉内に産卵します。ふ化した幼虫は葉の内部を食べながら進むので、葉の表面に白いすじが残ります。幼苗で食害が広がると生長が妨げられます。
【予防と対策】
ハモグリバエ類の駆除と防除


ウワバ類

【害虫名】
タマナギンウワバなど
【食害の様子】
成虫が葉裏などに1粒ずつ産卵するため、ふ化した幼虫は単独で行動することが多いです。幼虫がシャクトリムシのような動きで移動し、葉を食害します。成熟幼虫になると食害量が増えて、葉に楕円形の穴をあけて食い荒らします。
【予防と対策】
まずは圃場に侵入させないことが重要です。防虫ネットを利用するなどして、成虫が入ってくるのを防ぎましょう。卵やふ化幼虫などは葉裏にいることが多いので、農薬を使用する場合には葉裏にしっかり散布しましょう。


タバコガ類

【害虫名】
オオタバコガなど
【食害の様子】
幼虫が葉を食い荒らしたり、内部に食入したりします。特に幼苗の芯部や結球部分が食害されると大きく生長を妨げます。
8~10月の発生が多く、次々に移動して加害するので個体数が少なくても被害が広がることがあります。
【予防と対策】
タバコガ類の駆除と防除


アザミウマ類

【害虫名】
ネギアザミウマなど
【食害の様子】
幼虫、成虫ともに葉に寄生して吸汁加害します。吸汁された部分は白くなったり、かすりやてかりなどの食害痕が残ったりします。
【予防と対策】
アザミウマ類の駆除と防除


カブラハバチ

【害虫名】
カブラハバチ
【食害の様子】
黒紫色の体色が特徴的な幼虫が葉を食害し、不規則な穴をあけます。比較的若い葉が食べられやすく、加害によってその後の生長が妨げられてしまうので幼苗期には特に注意が必要です。
【予防と対策】
カブラハバチ類の駆除と防除


ネキリムシ類

【害虫名】
カブラヤガ、タマナヤガなど
【食害の様子】
昼間は地中にいる幼虫が夜間に現れて加害します。若齢幼虫は葉茎を、中齢以降の幼虫では地表面近くの茎・葉柄や、生長点などを食害して株全体に被害を与えます。食欲旺盛なので次々と食い荒し、重大な被害をもたらします。
【予防と対策】
ネキリムシ類の駆除と防除


根に被害を及ぼす害虫

ハクサイは地上部の体積に比べて地中で根を張る範囲が狭く、根の1本1本が細いという特徴があります。そのため、根が加害を受けると地上部の生長を大きく妨げてしまうため、病害虫の発生していない良質な土壌を準備して被害を予防する必要があります。

センチュウ類

【害虫名】
サツマイモネコブセンチュウ、アレナリアネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウ、ジャワネコブセンチュウなど
【食害の様子】
寄生されると、根の組織がふくれてコブが生じます。発生数が少ない場合や生育後期であれば、寄生されても被害はそれほど大きくなりませんが、根全体に発生したり、若苗が寄生を受けたりすると株全体の生長を妨げてしまいます。
【予防と対策】
連作を避けたり、土壌消毒を行ったりして、土中のセンチュウ類の密度を下げることが重要です。
センチュウ類の駆除と防除


栽培期間を通して確実に対策しましょう

ハクサイ
出典:Flickr (Photo by Alice Henneman)
ハクサイを含むアブラナ科作物は被害を及ぼす害虫の種類が多く、生育中を通して対策が必要です。なかでもアオムシやコナガ類はよく発生する害虫です。生長した葉が加害されると、直接商品価値の損失となりますし、芯部分が食害されると致命傷となり株全体が影響を受けます。予防と対策を確実に実践して被害を防ぎましょう。

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y.murata
y.murata

大阪府茨木市出身。大学院農学研究科で農業害虫を扱った研究に取り組み、博士号を取得。国際学会・ワークショップや応用研究プロジェクトなどに積極的に参加。 幼少期から持つ生物への興味とこれまでの経験を活かして、栽培・農薬・害虫などの記事編集を担当。 好きなことは音楽で遊ぶこと。

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