本記事では、家庭菜園初心者の方にもわかりやすい、肥料に含まれる成分やその役割、種類について、また肥料を使用する上で注意すべきことについて説明します。
肥料に含まれる成分と役割
肥料とは作物を生育させるために必要な成分で、土壌への混和や散布、また直接植物体へ散布することにより供給されます。この肥料の成分は、大きく分けて窒素、リン酸、カリウムといった肥料の三要素やカルシウムなどの二次要素、微量要素があります。
肥料の三要素
植物が生長に多く必要とする要素で肥料の三要素と呼ばれるものです。窒素(N)
- 窒素の働き:植物体(主に葉)の生長を促す
リン酸(P)
- リン酸の働き:開花や実の結実を促す
カリウム(K)
- カリウムの働き:根の生長を促す
二次要素
必要量は三要素と比べて少ないものの、植物の生育に欠かせない重要な働きがあります。カルシウム(Ca)
- カルシウムの働き:肥料を吸収しやすくする
マグネシウム(Mg)
- マグネシウムの働き:新陳代謝を良くする
硫黄(S)
- 硫黄の働き:光合成での葉緑素の生成に関わる
微量要素
微量要素にはホウ素(B)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、塩素(Cl)、ニッケル(Ni)があり、植物が健全に生育するために必要な成分です。肥料の種類を4つに分類
肥料にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や使い方が異なります。ここでは主に家庭菜園で使用される肥料を4つに分類して説明します。▼肥料取締法における肥料の種類についてはこちらをご覧ください。
1. 有機肥料
有機肥料(有機質肥料)は、米ぬかや油かすなどの植物質を原料にしたものや、動物のふんなど動物質の有機物を由来とした肥料で、主に微生物に分解してもらいながらゆっくり効き目が現れる緩効性の肥料です。▼有機肥料(有機質肥料)や使い方についてはこちらをご覧ください。
▼米ぬかや油かすなど植物質の有機物を由来とした肥料のこちらをご覧ください。
▼動物のふんなど動物質の有機物を由来とした肥料のことならこちらをご覧ください。
手作りの有機肥料
米ぬかや油かすなどを十分に発酵させて作る「ぼかし肥料」や、家庭で出た生ごみやコーヒーかすなどを有機肥料(有機質肥料)または堆肥として再利用することができます。▼ぼかし肥料の作り方や使い方についてはこちらをご覧ください。
▼コーヒー豆のかすの再利用方法についてはこちらをご覧ください。
▼生ごみを活用した肥料の作り方や使い方についてはこちらをご覧ください。
▼堆肥の作り方についてはこちらをご覧ください。
2. 無機肥料
無機質肥料や化学肥料とも呼ばれ天然の鉱物や無機物から作られたもので、主に速効性の性質を示す肥料です。▼肥料の効き方「速効性」や「緩効性」についてはこちらをご覧ください。
3. 液体肥料
肥料成分を液体に溶かしたもので「液肥」とも呼ばれます。植物が吸収しやすい液体で施用するため、早期に効果が現れやすく、主に追肥に使用される肥料です。▼液体肥料についてはこちらをご覧ください。(新記事添付予定)
4. 葉面散布剤
植物体に直接散布して葉や茎などから肥料成分を吸収できる肥料です。植物の根が傷んでいる状態で、根から養分を吸収できないとき、または生育不良を早期に回復させたい場合などに使用します。▼葉面散布剤についてはこちらをご覧ください。
肥料を使用する際に注意すべき4つのこと
続いて、肥料を使用する際、無駄を防ぎ、効果的に肥料を与えるためには、どのようなことに注意すればいいのかについて説明します。1. 作物ごとに必要な肥料の量
作物ごとに必要とする肥料の量やタイミングが異なるため、必要な元肥や追肥の量をそれぞれに合ったものを施用する必要があります。▼作物に必要な肥料や吸収の仕方の違いについてはこちらをご覧ください。
▼作物ごとの肥料のタイミングのことならこちら!
・野菜の栽培方法のまとめ
・福田流!家庭菜園術のまとめ
・最小スペースで有機野菜作り!プランター菜園のススメのまとめ
2. 肥料のタイミング(追肥)
元肥後に与える肥料のタイミング(追肥)は、使用する肥料のパッケージに記載されている使用間隔を参考にしましょう。通常の追肥のタイミング
概ね10日〜2週間くらいに1度の割合で肥料を与えます。培養土の追肥のタイミング
プランター栽培などで使用する培養土には、はじめから肥料成分が入っていることがほとんどです。元肥を施していないからといって、すぐに追肥を行う必要はありません。使用する培養土のパッケージに記載されている肥効の継続期間を確認してから、追肥を開始しましょう。緩効性肥料の追肥のタイミング
コーティング肥料などの緩効性肥料は、長期間(家庭菜園で使用される緩効性肥料はだいたい2カ月〜1年ほど)ゆっくり肥料効果が継続するものがあります。追肥は肥効が切れる少し前に行いましょう。液体肥料のタイミング
液体肥料は肥料の効果期間が短いため、1週間ごとを目安に施用しましょう。3. 肥料を与え過ぎない
肥料を与え過ぎてしまうと、土壌の肥料濃度が高くなり、軟弱徒長など生育が悪くなります。肥料の量は、必ず作物ごとの施肥基準を参考にしてから与えましょう。▼各成分の過剰症についてはこちらをご覧ください。
肥料やけ
肥料を与え過ぎると土壌の肥料濃度(EC値)が高くなり、肥料やけを起こして、植物の根が傷んでしまいます。その結果、水や肥料を十分に吸収できなくなって生育に悪影響を及ぼします。▼EC値のことならこちらをご覧ください。
病害虫の発生を助長
土壌の肥料成分が過剰になることで、土壌病害の発生を助長する可能性があります。特に害虫では窒素肥料の与え過ぎによってアブラムシ類が多発したり、病気では乾腐病や褐斑病などが発生したりします。▼アブラムシ類のことならこちらをご覧ください。
▼乾腐病や褐斑病のことならこちらをご覧ください。