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肥料の種類や選び方など家庭菜園初心者にもわかりやすい肥料について


肥料とは、作物の生育に必要な成分で、土壌への混和や散布、また直接植物体へ散布することにより供給されます。この肥料に含まれる成分とその役割、種類や肥料を使用する上で注意すべきことなどについて、家庭菜園初心者の方にもわかりやすく説明します。

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umi

農業資材メーカと農協にて6年間勤務。農家への栽培技術(農薬・肥料・栽培システムなど)の普及を担当。役立つ情報を初心者の方にもわかりやすくお伝えします。…続きを読む

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肥料

撮影:rie
作物を栽培する際、育てる野菜の種類や品種によって必要な作業や、病害虫の防除などさまざまな管理があります。それらの管理の中でも、作物の生育や収穫量に大きく影響を与えるのが肥料です。この肥料は、人や動物の成長に例えると食べ物のようなもので、過剰に摂取し過ぎても、反対に少な過ぎても、良好な生育は望めません。
本記事では、家庭菜園初心者の方にもわかりやすい、肥料に含まれる成分やその役割、種類について、また肥料を使用する上で注意すべきことについて説明します。

肥料に含まれる成分と役割

家庭菜園 肥料
llustration:umi
肥料とは作物を生育させるために必要な成分で、土壌への混和や散布、また直接植物体へ散布することにより供給されます。
この肥料の成分は、大きく分けて窒素、リン酸、カリウムといった肥料の三要素やカルシウムなどの二次要素、微量要素があります。

肥料の三要素

植物が生長に多く必要とする要素で肥料の三要素と呼ばれるものです。

窒素(N)

  • 窒素の働き:植物体(主に葉)の生長を促す

リン酸(P)

  • リン酸の働き:開花や実の結実を促す

カリウム(K)

  • カリウムの働き:根の生長を促す

二次要素

必要量は三要素と比べて少ないものの、植物の生育に欠かせない重要な働きがあります。

カルシウム(Ca)

  • カルシウムの働き:肥料を吸収しやすくする

マグネシウム(Mg)

  • マグネシウムの働き:新陳代謝を良くする

硫黄(S)

  • 硫黄の働き:光合成での葉緑素の生成に関わる

微量要素

微量要素にはホウ素(B)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、塩素(Cl)、ニッケル(Ni)があり、植物が健全に生育するために必要な成分です。


肥料の種類を4つに分類

肥料
出典:umi
肥料にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や使い方が異なります。ここでは主に家庭菜園で使用される肥料を4つに分類して説明します。

▼肥料取締法における肥料の種類についてはこちらをご覧ください。

1. 有機肥料

有機肥料(有機質肥料)は、米ぬかや油かすなどの植物質を原料にしたものや、動物のふんなど動物質の有機物を由来とした肥料で、主に微生物に分解してもらいながらゆっくり効き目が現れる緩効性の肥料です。

▼有機肥料(有機質肥料)や使い方についてはこちらをご覧ください。

▼米ぬかや油かすなど植物質の有機物を由来とした肥料のこちらをご覧ください。

▼動物のふんなど動物質の有機物を由来とした肥料のことならこちらをご覧ください。

手作りの有機肥料

米ぬかや油かすなどを十分に発酵させて作る「ぼかし肥料」や、家庭で出た生ごみやコーヒーかすなどを有機肥料(有機質肥料)または堆肥として再利用することができます。

▼ぼかし肥料の作り方や使い方についてはこちらをご覧ください。

▼コーヒー豆のかすの再利用方法についてはこちらをご覧ください。

▼生ごみを活用した肥料の作り方や使い方についてはこちらをご覧ください。


    ▼堆肥の作り方についてはこちらをご覧ください。

    2. 無機肥料

    無機質肥料や化学肥料とも呼ばれ天然の鉱物や無機物から作られたもので、主に速効性の性質を示す肥料です。

    ▼肥料の効き方「速効性」や「緩効性」についてはこちらをご覧ください。

    3. 液体肥料

    肥料成分を液体に溶かしたもので「液肥」とも呼ばれます。植物が吸収しやすい液体で施用するため、早期に効果が現れやすく、主に追肥に使用される肥料です。

    ▼液体肥料についてはこちらをご覧ください。(新記事添付予定)

    4. 葉面散布剤

    植物体に直接散布して葉や茎などから肥料成分を吸収できる肥料です。植物の根が傷んでいる状態で、根から養分を吸収できないとき、または生育不良を早期に回復させたい場合などに使用します。

    ▼葉面散布剤についてはこちらをご覧ください。


    肥料を使用する際に注意すべき4つのこと

    肥料
    出典:写真AC
    続いて、肥料を使用する際、無駄を防ぎ、効果的に肥料を与えるためには、どのようなことに注意すればいいのかについて説明します。

    1. 作物ごとに必要な肥料の量

    作物ごとに必要とする肥料の量やタイミングが異なるため、必要な元肥や追肥の量をそれぞれに合ったものを施用する必要があります。

    ▼作物に必要な肥料や吸収の仕方の違いについてはこちらをご覧ください。

    ▼作物ごとの肥料のタイミングのことならこちら!
    ・野菜の栽培方法のまとめ
    ・福田流!家庭菜園術のまとめ
    ・最小スペースで有機野菜作り!プランター菜園のススメのまとめ

    2. 肥料のタイミング(追肥)

    元肥後に与える肥料のタイミング(追肥)は、使用する肥料のパッケージに記載されている使用間隔を参考にしましょう。

    通常の追肥のタイミング

    概ね10日〜2週間くらいに1度の割合で肥料を与えます。

    培養土の追肥のタイミング

    プランター栽培などで使用する培養土には、はじめから肥料成分が入っていることがほとんどです。元肥を施していないからといって、すぐに追肥を行う必要はありません。使用する培養土のパッケージに記載されている肥効の継続期間を確認してから、追肥を開始しましょう。

    緩効性肥料の追肥のタイミング

    コーティング肥料などの緩効性肥料は、長期間(家庭菜園で使用される緩効性肥料はだいたい2カ月〜1年ほど)ゆっくり肥料効果が継続するものがあります。追肥は肥効が切れる少し前に行いましょう。

    液体肥料のタイミング

    液体肥料は肥料の効果期間が短いため、1週間ごとを目安に施用しましょう。

    3. 肥料を与え過ぎない

    肥料を与え過ぎてしまうと、土壌の肥料濃度が高くなり、軟弱徒長など生育が悪くなります。肥料の量は、必ず作物ごとの施肥基準を参考にしてから与えましょう。

    ▼各成分の過剰症についてはこちらをご覧ください。

    肥料やけ

    肥料を与え過ぎると土壌の肥料濃度(EC値)が高くなり、肥料やけを起こして、植物の根が傷んでしまいます。その結果、水や肥料を十分に吸収できなくなって生育に悪影響を及ぼします。

    ▼EC値のことならこちらをご覧ください。

    病害虫の発生を助長

    土壌の肥料成分が過剰になることで、土壌病害の発生を助長する可能性があります。特に害虫では窒素肥料の与え過ぎによってアブラムシ類が多発したり、病気では乾腐病や褐斑病などが発生したりします。

    ▼アブラムシ類のことならこちらをご覧ください。

    ▼乾腐病や褐斑病のことならこちらをご覧ください。

    4. 未熟な肥料は使用しない

    発酵していない、または発酵が不十分な有機肥料や、堆肥や生ゴミを利用した完熟していない自作の肥料などは、土に施してから微生物に分解されるまでに時間がかかります。このような未熟の肥料を使用すると、発酵熱が発生して根が傷んでしまうので注意しましょう。


    家庭菜園で肥料を選ぶポイントとおすすめの肥料

    ポイント
    llustration:umi
    ここからは家庭菜園初心者の方でも使いやすいおすすめの肥料を紹介します。

    1. 手間や回数を減らす肥料

    土にさすだけで簡単に養分を与えることのできる肥料や、何度も施用する手間がかからない肥料効果がゆっくり長く効く肥料を紹介します。

    土にさすだけのアンプルタイプ

    花や野菜の肥料アンプル

    鉢土に差し込んで使用するアンプルタイプの肥料で、室内の作物にも使用できます。

    ・内容量:35ml×10本
    ・保証成分量(%):窒素(0.12)、リン酸(0.2)、カリウム(0.1)

    植え付け時に混ぜるだけで簡単

    マグァンプK 中粒

    植え付けや植え替えの際に元肥として土に混ぜ込むだで、ゆっくり長く効き、植物の生育を良くします。

    ・内容量:1.3kg
    ・保証成分量(%):窒素(6)、リン酸(40)、カリウム(6)、マグネシウム(15) 

    コーティングによって肥料成分がゆっくり長く効く溶け出す

    ネクスコート 野菜・くだもの用

    樹脂のコーティングによって、長くゆっくり肥料が溶け出します。急激に溶けださないので肥料やけなどの心配が少ないのが特徴です。元肥や追肥に使用できます。

    ・内容量:500g
    ・保証成分量(%):窒素(12)、リン酸(12)、カリウム(12)、マグネシウム、微量要素

    有機肥料を含みゆっくり長く効く

    骨粉35%配合 骨粉入油かす

    有機質原料を100%使用した肥料です。骨粉の入った油粕のため、リン酸が多く花と実の成長を促します。

    ・内容量:10kg
    ・保証成分量(%):窒素(4)、リン酸(8)

    2. 作物ごとの専用肥料

    作物専用の肥料は、作物ごとに必要な肥料成分が配合されています。選びやすく、使いやすいので、家庭菜園初心者の方にもおすすめです。

    トマトなどの果菜類向けの肥料

    トマト・なす・きゅうりの肥料

    トマトやなす、きゅうりなどの果菜類に必要なリン酸が多く、また有機アミノ酸肥料を配合しています。
    有機質肥料に含まれる成分が野菜の旨味を引き出します。緩効性なので効果は約60日間続きます。

    ・内容量:2kg
    ・保証成分量(%):窒素(5)、リン酸(9)、カリウム(4)

    ホウレンソウなどの葉菜類向けの肥料

    葉を食べる野菜の肥料

    ホウレンソウ、コマツナ、キャベツ、ハクサイなど葉っぱを食べる野菜のための肥料です。
    種まきや苗を植える前に土全体に混ぜ込んで使います。

    ・内容量:1㎏
    ・保証成分量(%):窒素(8)、リン酸(8)、カリウム(8)

    ジャガイモなどの根菜類向けの肥料

    根菜の肥料

    ジャガイモやゴボウ、ダイコン、ニンジンなどの根菜に最適な肥料です。
    有機原料や微量要素なども配合しており、健康でおいしい野菜を育てます。

    ・内容量:5kg
    ・保証成分量(%):窒素(7)、リン酸(10)、カリウム(11)、マグネシウム(3)、マンガン(0.05)、ホウ素(0.05)

    花きも種類によって専用肥料があります!

    アジサイ専用肥料 青花専用

    酸性肥料で青花アジサイを青色あざやかに咲かせるための青花専用肥料です。

    ・内容量:400g
    ・保証成分量(%):窒素(6)、リン酸(8)、カリウム(5)

    アジサイ専用肥料 赤花専用

    アルカリ性の肥料で赤花アジサイを赤色鮮やかに咲かせるための赤花専用肥料です。

    ・内容量:400g
    ・保証成分量(%):窒素(5)、リン酸(12)、カリウム(5)、マグネシウム(8)


    バラの肥料

    海藻成分がバラの根を丈夫に育て、リン酸で花つきを良くします。
    ゆっくりと長く効く有機質を配合し、まきやすいペレットタイプです。

    ・内容量:1.8kg
    ・保証成分量(%):窒素(6)、リン酸(8)、カリウム(5)

    3. 水やりと同時に施肥できる肥料

    水やりと同時に肥料を与えるので、わざわざ肥料を施す作業の手間を省くことができます。

    水で薄めて使用する液体肥料

    ハイポネックス原液

    生育に必要な15種類の栄養素をバランス良く配合し、花や野菜などいろいろな植物の花や実つき、花色・葉色を良くします。

    ・内容量:800ml
    ・保証成分量(%):窒素(6)、リン酸(10)、カリウム(5)

    水耕栽培はもちろん土耕栽培にも使える液体肥料

    ハイポニカ液体肥料

    野菜・樹木・観葉植物などさまざまな植物の栽培に利用できます。
    A液、B液を同じ量、水に希釈して使用します。

    ・内容量:A液500ml、B液500ml

    使いやすく、手間の少ない肥料を活用して家庭菜園を気軽に楽しもう!

    家庭菜園
    出典:写真AC
    肥料といってもさまざまな種類があるので、初めて家庭菜園を始める方には、どんな肥料を選んだらいいか悩んでしまうかもしれません。作物専用の肥料や与える回数が少なく済む肥料など、初心者の方にも選びやすく、使いやすいように工夫された肥料があります。これらをうまく活用し、楽しく気軽に家庭菜園を始めましょう!

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