褐斑病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)

キュウリやリンゴ、ブドウやバラなどの葉の表面に褐色の斑点ができ、その病斑上に黒い虫のフンのような粒ができる褐斑(かっぱん)病の感染しやすい時期や環境、防除方法やおすすめの薬剤(農薬)を詳しく説明します。


褐斑病 アゼレア

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褐斑(かっぱん)病とは、植物の葉に円形〜不整形の褐色の病斑が現れ、症状が進むと葉が枯れあがり、株を弱らせる病気です。多犯性の病気で多くの野菜や草花、果樹で発生します。多発すると治療が難しい褐斑病の発見のポイントを押さえて予防と早期発見、防除を心がけましょう。
※多犯性とは限られた種類の植物だけではなく、多くの植物に感染すること。

褐斑病の症状は葉の褐色斑点

褐斑病 テンサイ
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「葉の表面に褐色の斑点ができている」「斑点の中に黒い粒が見える」などの症状が現れたときは褐斑病を疑いましょう。
はじめ葉に、黄色~茶色の小さい斑点が現れ、拡大すると円形~不整形の病斑、もしくは同心円状に広がり、輪紋を作ります。
中心部は灰白色に色抜けし、中に黒い粒(胞子の塊)を作ったり、病斑部に白や黒のカビが生えることもあります。
症状が進むと葉は枯れ上がり株の生長を抑制します。

褐斑病の発症原因

褐斑病とはカビ(糸状菌)が原因となる病気です。
原因となる病原菌は多く、植物の種類によって異なります。

 
名前  褐斑病
菌名  Corynespora cassiicola(キュウリ褐斑病)
 Diplocarpon mali(リンゴ褐斑病)
 Septoria azaleae(ツツジ類褐斑病)など
分類  糸状菌

▼病原体のことならこちらをご覧ください。


褐斑病菌は雨や風で広がる

褐斑病菌は感染した植物の葉や土壌中などで生き残り、伝染源となります。
降雨や灌水(かんすい)などの水の跳ね上がりで葉に付着した褐斑病菌は病斑上で胞子を作り、雨や風によって飛散して伝搬します。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えること。

褐斑病が発生しやすい条件とは

褐斑病が発生しやすい環境や土壌について説明します。

◆発生時期

春〜秋に発生します。降雨や曇天が続くと発病しやすくなります。

◆水分の多い土壌

土壌の水分が多く多湿環境である場合、病原菌が活発になります。
また、根痛みを起こし生育が弱いことで発病しやすくなります。

◆湿度の高い環境

葉が混み合っていたり、株間が狭いことで植物の周りが多湿な環境となり、病原菌に感染しやすくなります。
湿度が高いことから生じる葉の結露で、病原菌の胞子が発芽してしまいます。

◆軟弱徒長

土壌に水分や肥料分の窒素が多いことで植物が軟弱徒長(なんじゃくとちょう)し、病原菌が侵入しやすくなります。
※軟弱徒長とは、植物の葉厚や葉の色が薄くなり、茎や葉柄および葉身が弱々しく間延びした状態。

褐斑病に感染する主な植物

褐斑病
出典:flickr(photo by Scot Nelson)
褐斑病菌は種類が多く、キュウリ(ウリ科野菜)、エンドウ、ナス、アスパラなどの野菜やバラ、ツツジ、シマトネリコなどの草花、リンゴ、ブドウなどの果樹に感染します。
その中で重症化しやすい植物について説明します。

キュウリ(メロン、スイカなどのウリ科野菜)

主に葉に発生しますが多発時には茎や葉柄に病斑を作ることもあります。
はじめ葉に黄褐色の小さな斑点を生じて、次第に拡大して直径5~20mmで中央が灰褐色で同心円状の輪紋になります。
下葉から次第に上位葉へ伝染します。多湿な環境では、病斑上に黒褐色のかびを生じることがあります。

リンゴ

葉では、はじめ紫褐色の斑点が生じ、やがて拡大して暗褐色で不整形の病斑となります。
その後病斑上に黒い虫のフンのような粒(子実層)を多数作ります。
感染して黄化した葉は、早期に落葉します。
果実では円形〜楕円形の暗褐色のややくぼんだ斑点ができて、しだいに拡大し腐敗します。

ツツジ

葉に葉脈で囲まれた角形の病斑が発生します。やがて病斑の周りから黄化が進みます。
6、7月に落葉が激しくなります。


褐斑病に有効な防除方法

褐斑病に有効な防除は圃場の管理で行う方法(耕種的防除方法)と「農薬」の使用で行います。
※圃場(ほじょう)とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

褐斑病を発症させない管理方法

農薬を使わずに行う褐斑病の予防方法について説明します。

1. 植物残渣の処理

前作の植物や落ちた葉に褐斑病が感染している可能性があります。
残渣(ざんさ)を鋤(す)き込まずに圃場外に持ち出して処理します。
※残渣とは枯れた植物や落ち葉などのこと

2. 排水性の良い圃場づくり

土壌の水分が多いことで病原菌が活発になります。
水はけを良くするには、畝を高くしたり、腐植土、パーライト、バーミキュライト、ヤシガラなどの土壌改良材を投入します。
▼土壌改良のことならこちらをご覧ください。

3. 施肥量、灌水量の見直し

褐斑病菌が好みやすい軟弱徒長を予防するために、適切な施肥と灌水を行うことが大切です。
最初に施す元肥の量は、植え付け前に土壌分析を行い適切な施肥量を確認しましょう。
▼窒素分分析のことならこちらをご覧ください。

4. 湿度を上げない管理

風通しを良くするため株間は適切な距離をとります。
葉が込み合っていて光が当たっていない葉は、光合成ができないため残しておいても意味はありません。不要な葉は取り去ります。
施設栽培の場合は、天窓や側窓を可能な限りあけて、湿度を下げましょう。

褐斑病の防除に効果的な「農薬」

農薬を使用してより効果的に褐斑病を防除しましょう。
褐斑病は蔓延(まんえん)してしまうと治療が難しい病気です。予防的に農薬を使用することをおすすめします。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

◆予防にはコレ!定期的な散布がおすすめ

保護殺菌剤のため、7~10日間隔の散布をおすすめします(登録の範囲内でご使用ください)。
広範囲の病害に効果があるため、同時防除にもおすすめです。
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ジマンダイセン水和剤
植物体上に付着して主として胞子発芽を強く抑制する事により、病原菌の侵入を阻害し殺菌効果を発揮します。
多くの作物の病害対策にもっとも広く利用されている殺菌剤のひとつで、100種類を超える病害に使用できます。
安定した防除効果・優れた耐雨性・残効性を発揮します。

・内容量 250g
・有効成分 マンゼブ(80.0%)

◆ほかの病気も同時防除!

多くの病気に登録があるので、予防的散布で同時防除が可能です。
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ダコニール1000
草花、野菜、果樹など様々な植物で、かび類(糸状菌)によって起こり、特にもち病や炭そ病、斑点病など葉が変色するタイプの広範囲の病気に効果がある優れた園芸用の総合殺菌剤です。
耐光性、耐雨性に優れ、病気から植物を守る残効性があります。また各種病原菌に対しても抵抗性がつきにくい、優れた効果の保護殺菌剤です。
計量が手軽に行えるフロアブルタイプで、散布後の葉の汚れも少ないです。

・内容量 250ml
・有効成分 TPN(40.0% )

▼農薬についてはこちらをご覧ください。

褐斑病発症後の対策

褐斑病の発生が確認できたら、株ごと抜き取り葉を落とさないようビニール袋などに入れて圃場外に持ち出します。
土壌に鋤き込むと病原菌を放出してしまうので、圃場外で処分しましょう。

褐斑病対策に何より大事なのは湿度管理と予防散布

褐斑病は多湿環境下で発生しやすいため、圃場の湿度管理が重要です。土壌は、水はけがよくなるよう土壌改良を行いましょう。
また、植物残渣に病原菌が生息するため、古い葉や落ち葉は適宜取り除き圃場から持ち去ります。
農薬を定期的に予防散布することで、菌の感染をあらかじめ防ぎましょう。

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rinko

農協、農業資材メーカーで農業技術指導をしていました。 現場目線の記事作成を心がけていきます。