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ライター - AGRI PICK 編集部
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出典:写真AC
バラ・果樹・野菜などの花付きや実付きを良くしてくれる骨粉は、とても重宝する肥料です。骨粉の成分や特徴、使い方などを知って、花や実の生長を楽しみましょう!
今回は、現在「伝統農法文化研究所」で代表を務める農学博士・木嶋利男先生に、骨粉について教えて頂きました。
骨粉とは?どんな成分が含まれてるの??

骨粉とは、豚、鶏などの家畜の骨や、魚の骨を粉末状にした有機肥料です。成分の詳細は、原料になっている家畜の種類や年齢、製品によって違うため、製品の袋に書かれている表示を確認しましょう。ちなみに、以前は蒸製していない生の骨を乾燥させて砕いた「生骨粉」という種類もありましたが、現在では流通が禁止されています。
じわじわ効いていく緩効性肥料

出典:Pixabay
骨粉は土に混ぜてからすぐに効果を発揮するものではなく、時間をかけてゆっくり効いていく緩効性肥料です。なので、追肥として使うのではなく、土作りの段階で用いられます。
主な成分(蒸製骨粉)
成分 | 平均的な含有率 |
チッ素 | 4.34% |
リン酸 | 21.82% |
カリ | 0.10% |
石灰 | 30.7% |
炭素 | 17.3% |
素脂肪 | 1.8% |
亜鉛 | 0.0089% |
銅 | 0.0009% |
参考:
清和肥料工業株式会社「有機肥料講座」(現在非公開)リン酸を多く含む

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植物に必要な三大要素のうち、骨粉に一番多く含まれているのはリン酸で、全体の約22%を占めています。大きな花や果実をたくさん実らせ、作物の甘みをアップさせるのにおすすめの肥料です。
チッ素も含まれていて、カリは少ない
リン酸以外には、葉を茂らせる効果があるチッ素も全体の4%ほど含まれています。ですが根や茎を丈夫にし、病害虫や寒さに対する抵抗力をつけるカリはほとんど含まれていません。葉の縁から枯れていく、カリ欠乏症に気をつけましょう。
足りない成分は他の有機肥料で補う

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骨粉と一緒に混ぜて使われることが多いのは、油かすや草木灰です。油かすにはチッ素、草木灰にはカリが多く含まれています。紹介してきたように、骨粉に含まれている三大要素はリン酸>チッ素で、カリはほとんど含まれていません。油かすや草木灰で、この足りない成分を補うようにしましょう。
牛を原料にしたものは数が少ない

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牛の骨を原料にした骨粉はリン酸を多く含んでおり、以前はたくさん作られていました。ですが、牛由来の肉骨粉を食べた牛のBSEという感染病が海外で問題になり、数が少なくなりました。現在は、生産に関する管理措置が新しく導入されたため安全性も高く販売もされていますが、値段は高価です。
骨粉の種類を知ろう!

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蒸製骨粉
鶏、豚、牛といった家畜の骨を、高温で長時間加圧しながら蒸製したものです。一般的に「骨粉」というと、この蒸製骨粉のことを指します。
肉骨粉
内臓やくず肉、血液なども混ぜて作った骨粉を「肉骨粉」といいます。リン酸の量は蒸製骨粉より少なめですが、代わりにチッ素が若干多く含まれており、チッ素の分解に伴ってリン酸が溶けやすくなるといわれています。BSE問題以降は生産禁止でしたが、最近になって解禁されました。
蒸製魚骨粉
鮫、鮪など、魚の骨を蒸製した骨粉は「蒸製魚骨粉」です。豚や鶏など、家畜の骨で作られているものよりチッ素は少ないですが、リン酸成分が多めに含まれています。ただし、こちらもあまり流通していないのが残念なところ。
骨粉の用途

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骨粉は牛や豚などの骨を主成分とした有機質のリン酸肥料で、野菜の実付きをよくしたり、花をきれいに咲かせる効果があります。化学肥料よりもゆっくり効き始めて効果も長く続くので、元肥用の肥料として優秀です。ここでは骨粉の用途についてご紹介します。
果菜類の元肥に
骨粉は有機質のリン酸を豊富に含む肥料で、化学肥料より緩やかに効きます。肥効が長いので、主に畑の元肥として使います。
徐々にリン酸の効果が現れることから、トマト、ナス、イチゴなど収穫期間の長い果菜類に向いています。
トマトの尻腐れ防止に
骨粉はリン酸以外にカルシウムが多く含まれるため、トマトに施すと尻腐れを防ぐ効果があります。
花をきれいに
骨粉はリン酸を豊富に含む肥料なので、花付きをよくしてくれます。サツキ、バラ、ラン、シャクナゲなどに高い効果があります。
果樹にもおすすめ
肥効が長いので果樹のような永年作物と、相性が良いといわれています。骨粉のような有機質肥料を用いれば、化学肥料よりも濃度障害が起きにくく、果実の味も良くなるので、家庭栽培においては特におすすめです。
骨粉の使い方

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ゆっくり効き始め、長く効果の続く有機肥料の骨粉ですが、どのように使えば効果が表れやすいのでしょうか。ここでは基本的な骨粉の使い方についてご紹介します。
元肥として使う
緩効性のため、植え付けの3~4週間前に施します。堆肥や他の肥料(油かす、化成肥料、配合肥料)と一緒にまくのが良いでしょう。骨粉を堆肥に混ぜると、リン酸が早く溶け出してくれます。草木灰や過リン酸石灰は、水に溶けやすいカリや水溶性リン酸を多く含んでいるので、骨粉と混ぜると効き目が早く表れます。微生物が分解しやすい、粒の細かいものを選ぶことも、早く効果がでるためのポイントでしょう。
植え付けの1カ月前くらいに、堆肥と共に施しましょう!
追肥として使う
骨粉は花付きを良くし、果実をたくさん実らせるリン酸の肥料です。リン酸は作物の根の先端部分から吸収されるので、根が浅い時期に施すと効果が高いでしょう。あるいは、中耕して根が切断された時期には新しい根が出るので、そのタイミングで施すこともできます。また、冬など低温の時はリン酸の吸収が悪いので、低温期でも春に施用する方が良いでしょう。
作物がリン酸を吸収しやすいタイミングで追肥するのがポイントです!
おすすめの骨粉5選

出典:写真AC
ネット通販で買える骨粉は、粉状や粒状が選べたり、魚粉や油かすの入ったものがあったりと、さまざまな商品があります。それぞれの特徴を比べて、ご自宅で育てている野菜や花にぴったりの骨粉を見つけてください!
スタンダードな骨粉
サンアンドホープ 蒸製骨粉
100%有機の骨粉です。チッ素・リン・カリの比率は4:16:0で、カリの少なさが特徴。花付き・実付きを良くし、作物の味をアップさせます。
・内容量:4kg
まきやすい固形タイプ
日清 固形骨粉
粉末ではなく固形なので、手でパラパラと簡単にまけます!チッ素・リン・カリの割合は2:12:7。花や実が多い丈夫な植物を育てるのにおすすめ。
・内容量:2.5kg
東商 粒骨粉
こちらも使いやすい粒状に固めてある骨粉です。畑や花壇にまくのにおすすめですよ。BSE対策済みの原料だけを使用しているので安心です。
・内容量:1kg
骨粉配合のリン・カリ肥料
日清 骨粉入り天然リンカリ肥料
根が丈夫に育つ骨粉配合の肥料です。リンとカリが17:17で含まれています。天然原料を使用しており、植物と環境にやさしいですよ。
・内容量:5kg
日清ガーデンメイト 魚粉+骨粉+油かす
骨粉に魚粉と油粕がブレンド済みで手間いらず!チッ素・リン・カリ比が4:8.5:0.5の100%有機肥料です。1kgと小容量なので、ベランダガーデニングにも適していますよ。保存に便利なチャック付き。
・内容量:1kg
市販の骨粉を使った土づくりで収穫アップ!

出典:PIXTA
油かすや魚粉が最初から入っている骨粉なら、自分で配合を考えるより簡単なので、園芸初心者さんにもおすすめです。また、固形の骨粉は風で舞い上がらず、ばらまくのも楽でおすすめ。形態や成分を考えながら、目的に応じて使い分けましょう!