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【動画解説付き】ニンジン(人参)栽培によくある病害虫とは?症状で見る病気・害虫の種類と対策方法


ニンジン栽培で気をつけたい病害虫の種類と、それぞれの症状や被害の特徴を紹介します。病害虫が多発しやすい時期や原因、対策や防除の方法も要チェック!病気になった葉の様子や、出やすい害虫の見つけ方などがひと目でわかる動画付き。

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ニンジンの葉と害虫

撮影:AGRI PICK編集部
せっかくニンジンの発芽に成功したのに、病気による生育不良や害虫被害でうまく育たず枯れてしまったら悲しいですよね。でも大丈夫!きちんと予防や対策をして、早めに対処すれば大きなダメージは防げます。
この記事では、ニンジン栽培中によくみられる病害虫の種類や原因、その対策方法についてまとめました。わかりやすい動画も、ぜひチェックしてみてくださいね。

こんな症状が出たら注意!ニンジン栽培で起こる病気の種類と予防&対策方法

ニンジンの葉
出典:写真AC
ニンジンの葉の色が変わってしまったり、苗が育たずに枯れてしまったりしたことはありませんか?そのようなトラブルは、ニンジンが病気にかかってしまったサインかもしれません。日頃からよくニンジンの生長を観察し、病気の兆候が出ていたら早めの対応をしましょう。

うどんこ病|葉に白い粉がつく

うどんこ病にかかったあじさいの葉
出典:写真AC ▲うどんこ病にかかったアジサイの葉
うどんこ病はその名の通り、葉や茎に白い粉のようなカビが生える病気です。最初は、葉の表面にぼんやりとした病斑がポツポツできる程度ですが、症状が進むにつれ葉全体に広がっていきます。そのまま放置していると葉が縮れたり、黄色く変色したりするなどし、最終的には株自体が枯れてしまうことも。

うどんこ病になりやすい環境とは?

ニンジンの株と株の間が狭く、葉が混み入って風通しが悪くなると発生しやすくなります。また、窒素分の多い肥料の与え過ぎで軟弱徒長した株や、日照不足などで弱った株も、うどんこ病にかかりやすくなるので注意しましょう。

うどんこ病が発生しやすい時期

日中は乾燥していて、朝夕冷え込みやすくなる春や秋に多く発生します。

うどんこ病の予防と対策

ニンジンの苗を適度に間引いて、風通しを良くするのが大事です。また、うどんこ病の胞子を繁殖させないように、水はけの良い土づくりをすることも対策になります。日ごろから葉に異常がないかよく観察し、白いポツポツが付いた葉や、黄色くなった葉を見つけたら、すぐに取り除きましょう。まだ初期の段階であれば、感染の拡大を防げます。

うどんこ病やニンジンの間引きについての関連記事はこちら


苗立枯病|地際の茎が黒くなってくびれる

苗立枯病になったトウモロコシの苗
出典:Flickr(Photo by Scot Nelson)▲苗立枯病にかかったトウモロコシの苗
苗立枯病(なえたちがれびょう)は、ニンジンの苗がまだ幼く、本葉も1~2枚程度の生育初期に発生する病気です。発症した苗は生え際が黒っぽく変色し、その部分が細くくびれてて倒れやすくなり枯れてしまいます

苗立枯病になりやすい時期

雨や曇天が続く梅雨時期など、湿度が高い時期に発生しやすくなります。

苗立枯病の予防と対策

一般的にカビと呼ばれる糸状菌(しじょうきん)が引き起こす苗立枯病は、湿度が高い土壌でまん延しやすくなります。土壌改良材を利用したり、畝を高くしたりするなど、水はけの良い土づくりを心がけましょう苗立枯病にかかってしまった株は、抜き取って焼却処分します。

苗立枯病の関連記事はこちら


黒葉枯病|葉や茎などに黒い斑点ができる

黒葉枯病(くろはかれびょう)は、ニンジンの根が太り始めるころに多く発生し、生育不良を起こす厄介な病気です。最初は葉や葉柄、茎に黒っぽい小さな斑点が現れ、症状が進むにつれ大きく広がっていきます。最終的には、葉は変色して縮れ、枯れてしまいます。

黒葉枯病になりやすい時期

気温が28℃前後で、湿度も高くなる時期に発生しやすく、晴れの日と雨の日が繰り返されるような時期も注意が必要。また、肥料切れも黒葉枯病が発生する要因になります。

黒葉枯病の予防と対策

黒葉枯病は多発してしまうと対処は困難です。そのため、発生しないように対策をしっかり行いましょう。苗が密集しないように株間を適度にあけ、最後に間引きをした後、肥料を忘れずに与えることが予防につながります。

黒葉枯病にしないために!ニンジンの肥料の与え方はこちらの記事をチェック


菌核病|葉や茎に黒褐色の病斑ができる

菌核病(きんかくびょう)は、カビが原因で発生する病気です。葉や茎に水がしみたような黒褐色の病斑が現れ、植物を腐敗させます。さらに症状が進むと白い綿毛のような菌糸が広がり、その中にネズミのふんのような黒いかたまり(菌核)を形成します。ニンジンは、地際の茎が感染すると地中の根まで腐ってしまうことも。

菌核病になりやすい時期

気温が20℃前後になる、3~5月と9~11月ごろに多く発生します。特にこの期間に雨が長く続くと、感染が広がりやすくなるので注意が必要です。

菌核病の予防と対策

菌核病の元となる胞子は、湿度が高い環境で繁殖します。畝を高くするなど、水はけの良い土壌づくりを心がけましょう。ニンジンの苗を間引いて株間をあけ、風通しを良くするのも有効です。ニンジンの葉に病斑を見つけたら、菌核(黒いかたまり)ができる前に取り除きましょう

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ニンジン黄化病|葉の色が黄色くなる

ニンジン黄化病は「ニンジンアブラムシ」が運ぶウィルスによって感染する、セリ科植物特有の病気です。生育初期に感染すると、苗が小さいまま生育しなかったり、葉が異常に茂ったりする症状が見られます。生育後期で発症した場合は、葉脈に沿って斑点ができ、しまいには葉が黄色くなって枯れてしまいます

ニンジン黄化病になりやすい時期

ニンジンアブラムシが多く発生する春~秋は、ニンジン黄化病の感染も増加します。特に9~10月は、アブラムシ類が多発する時期なので注意しましょう。

ニンジン黄化病の予防と対策

アブラムシ類が飛来するのを防ぐには、防虫ネットの設置が最も有効です。キラキラした光を嫌うアブラムシの習性を利用して、シルバーマルチで光をかく乱させるのもおすすめ。

ニンジン黄化病と防虫ネットの関連記事、アブラムシ対策についてはこちら!


根腐病|ニンジンの根に黒い斑点ができる

ニンジンの根の表面に、シミのような黒い斑点を見つけたら、根腐病(ねぐされびょう)の可能性があります。カビが原因の病気で、症状が進むと病斑が広がっていき、クモの巣状の白いカビも発生します。最終的には、ニンジンの根が腐ってしまう深刻な病気です。

根腐病になりやすい時期

20〜30℃の気温下で、土壌の多湿が続くと発生しやすくなります。

根腐病の予防と対策

畝を高くするなど、土壌の水はけを良くすることが大事です。土壌改良材を使うときは、病原菌を繁殖させやすい完熟させていない有機物が入ったものは避けましょう。根腐病が発生してしまったら、土壌を消毒するか新しい土に入れ替えて対処します。

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幼虫やセンチュウの被害に遭わないために!ニンジンに付きやすい害虫の種類と予防&対策方法

キアゲハ
出典:写真AC
ニンジンの栽培期間は、虫の活動も活発になる時期。そこで悩まされるのが害虫被害です。特に苗が幼いうちに虫に食べられてしまうと生育が悪くなり、根も大きくなりません。被害に遭わないためにも、ニンジンに付きやすい害虫の種類をチェックして、適切な予防や対策を行いましょう!

キアゲハの幼虫|食欲旺盛で葉が丸坊主に

キアゲハの幼虫
出典:写真AC
アゲハチョウの仲間であるキアゲハの幼虫は、ニンジンをはじめとするセリ科の植物が大好物です。食欲が旺盛で、放っておくとニンジンの葉が食いつくされてしまうことも。幼齢期は保護色で目立ちませんが、老齢期になると派手な縞模様のイモムシになります。

キアゲハの幼虫が発生しやすい時期

4~10月

キアゲハの防除方法

キアゲハの成虫が飛来して卵を産み付けないように、防虫ネットを設置するのが最も有効です。また、日頃からニンジンの葉をよく観察し、幼虫を見つけたらすぐに捕獲退治しましょう。

キアゲハ対策は、こちらの記事で詳しく紹介しています!


ネキリムシ|幼苗が切り倒されていたら要注意

ネキリムシ
撮影:AGRI PICK編集部
ニンジンの苗が地際で切り倒されていたら、ネキリムシの仕業かもしれません。ネキリムシは、カブラヤガやタマナヤガなどチョウ目ヤガ科の幼虫で、日中は土の中に潜み、夜間に地上に出て苗の茎や葉柄を食害します。そのままネキリムシに気付かずにいると、さらに食い荒らす量が増え、一晩でいくつもの株に被害を与えることも。

ネキリムシが発生しやすい時期

5~10月

ネキリムシの防除方法

切り倒された苗の周辺の土を掘り、ネキリムシを見つけたら捕獲します。また、苗の下葉に卵が産み付けられていることもあるので、よくチェックしましょう。防虫ネットを張り、成虫に産卵されないようにすることも大事です。

ネキリムシ対策の関連記事はこちら


キンウワバ類|幼虫が葉を食べつくす

ウワバ類の幼虫
出典:PIXTA
ニンジンの葉に、シャクトリムシのような動き方をする小さなイモムシがいたら要注意。それはガ(蛾)の一種、キンウワバの幼虫です。放っておくと、軸だけ残して葉を丸坊主にしてしまいます

キンウワバ類が発生しやすい時期

キンウワバ類には多くの種類があり、発生時期も異なります。発生サイクルは、年に3~5回ほど。

キンウワバの防除方法

成虫の飛来を防ぐために、防虫ネットの設置が有効です。ニンジンの葉が食害されていたら周囲を観察し、幼虫を見つけ次第捕殺しましょう。

ウワバ類の対策は、こちらの記事で詳しく紹介しています!


センチュウ類|ニンジンの生育に悪影響を与える

センチュウ
出典:Flickr(Photo by K-State Research and Extension
ニンジンの葉が黄色くなったり、生育が悪くなったりしたら、センチュウ類の被害を受けている可能性があります。食害されたニンジンは根にたくさんのコブができ、生長も止まってしまいます。また、根が腐ったり、又根になったりすることも。センチュウ類は土の中で生息し、体長も0.3〜1mmと非常に小さいので見つけることは困難です。

センチュウが発生しやすい時期

3~10月

センチュウの防除方法

ニンジン栽培を始める前の気温が高くなる夏に、太陽熱を利用して土壌の消毒を行うと予防になります。畑の土にたっぷり水をまいたら、透明なマルチをかぶせて20〜30日程度そのままにしておきましょう。プランターなど土の量が少ない場合は、新聞紙の上で太陽光に当てて消毒すればOKです。

センチュウ対策は、こちらの記事で詳しく紹介しています!


ニンジンの代表的な病害虫の原因と予防方法を動画でチェック!

【AGRI PICKチャンネル】
AGRI PICKでは、家庭菜園初心者にもわかりやすい!さまざまな野菜の栽培方法を、手軽に視聴できる動画もあります。野菜を育てるときの困りごとや、失敗を防ぐワンポイントアドバイス付きの「AGRI PICKチャンネル」も合わせてご覧ください♪


ニンジンの病害虫を防ぐ3つのポイント

ニンジン畑
出典:写真AC
ニンジンは、水やりをし過ぎて土の湿度が高くなったり、肥料を多く与え過ぎたりすると株が弱り、病害虫が出やすくなります。病気や害虫に強い株にするためのポイントは「適度な水分・株間・肥料」を心がけること!

ニンジンの病害虫のリスクを低くする方法

  1. ニンジン栽培を始める前に水はけの良い土づくりをする
  2. 株同士が密集しないように苗の間引きをして風通しを良くする
  3. 肥料のタイミングと量を間違えないようにする

動画で確認!ニンジンの苗の間引き方法や肥料の与え方など


ニンジンがよく育つ土づくり、土壌改良の方法はこちらの記事で!


家庭菜園でも栽培できる!ニンジンの詳しい育て方

葉付きニンジン
出典:写真AC
ニンジン栽培は、苗を間引いて風通しを良くしたり、2回目の間引きの直後に追肥をしたりと少々手間がかかります。でもこれらの作業は、ニンジンが病害虫の被害に遭わないようにするためには重要なこと。元気な株に育てて、おいしいニンジンをたくさん収穫してくださいね!

種まき~収穫まで!畑や庭でニンジンを栽培する方法はこちら


ベランダでもOK!ニンジンのプランター栽培についてはこちら


家庭菜園でも育てやすいニンジンの品種はこちら!


農業でニンジン栽培に挑戦したい人はこの記事をチェック!


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