キアゲハ(幼虫)を防除する方法

キアゲハの幼虫はニンジンやパセリ、ミツバ、フェンネルなどのセリ科作物を食害する農業害虫です。食欲旺盛な老齢幼虫は、葉を縁から食害して丸裸に食べ尽くすと次の葉に移動します。キアゲハの生態や天敵、幼虫の防除対策や使用薬剤について紹介します。


キアゲハの幼虫

出典:写真AC
育てているセリ科作物の葉が丸裸にされてしまったことはありませんか?それは、もしかしたらキアゲハの幼虫の仕業かもしれません。キアゲハの成虫は、葉に一つずつ卵を産み付けるため、見つけづらいことから、ふ化した幼虫の発見も遅れがちになります。
本記事ではキアゲハの防除対策や、使用する薬剤について初心者の方にもわかりやすく紹介します。

キアゲハとは

タンポポの花に止まるキアゲハの成虫
出典:写真AC
キアゲハは全国的に生息する「アゲハチョウ」の一種で、成虫は美しい蝶々の姿でひらひらと舞い、花の蜜を吸って栄養をとります。
一方イモムシの姿をした幼虫は、ニンジンやパセリ、ミツバ、フェンネルなどのセリ科作物を食害する農業害虫です。食欲旺盛な老齢幼虫になると、作物の葉を縁から食害して丸裸に食べ尽くすと次の葉に移動します。圃場全体に被害が及ぶことはありませんが、株単位で集中して被害が大きくなります。
※圃場(ほじょう)とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。
名前 キアゲハ
学名 Papilio machaon
分類 チョウ目アゲハチョウ科
発生時期 4~10月
発生温度 15~30℃

キアゲハの生態

キアゲハの成虫
出典:写真AC
成虫・体長約30mm、開張約100mm
キアゲハの成虫は全体的に黄色味がかった色をしています。

成虫の産卵

キアゲハの卵は卵塊ではなく、成虫が一粒ずつ産卵するため、幼虫も集団発生することはありません。

若齢幼虫の特徴

キアゲハの若齢幼虫
出典:写真AC
1〜4齢幼虫・体長約30〜40mm
・黒地に中央に白い帯がみられる
幼虫は5齢幼虫まで変態します。1〜4齢幼虫は、鳥の糞に似せた黒い姿をしています。このような若齢幼虫のうちは被害が目立たず、セリ科作物の上部の小さい葉を食害する程度です。

老齢幼虫の特徴

ニンジンの葉を食害するキアゲハの幼虫
出典:写真AC
5齢幼虫・体長約40〜50mm
・緑色の地に黒色の横縞と橙赤色の斑点
老齢幼虫になると株を丸裸にするほど激しく食害します。敵など危険を察知すると、臭角と呼ばれるオレンジ色のツノのような器官を出し、きつい匂いを出して威嚇(いかく)します。

キアゲハの蛹
出典:写真AC
老熟した幼虫は枝に糸でからだをくっつけて蛹となります。

キアゲハの天敵

キアゲハの天敵アオムシコバチ
出典:Flickr(Photo by gailhampshire
キアゲハの蛹や卵に寄生する天敵蜂を紹介します。

▼天敵のことならこちらをご覧ください。

アオムシコバチ

アオムシコバチは体長は2〜3mm程度のハエのような小さなハチです。蛹化した直後のキアゲハに多数の卵を産み付けます。キアゲハの蛹から栄養を取って成長すると、小さな穴を開けて多数のアオムシコバチの成虫が出てきます。

キイロタマゴバチ

成虫の体長は0.5~ 0.7mm程度の小さな蜂で、キアゲハの卵やヨトウガの卵に寄生します。成虫になるまで寄生した卵の中で成長します。

▼ヨトウガなどヨトウムシ類のことならこちらをご覧ください。

キアゲハの主な被害作物の症状

キアゲハの幼虫はセリ科のみを食害します。

セリ科

キアゲハの幼虫はセリ科作物のニンジンやミツバ、アシタバ、パセリ、フェンネルなどを食害します。野草ではセリ、ボウフウ、シシウドなどを好んで食べます。
農業ではキアゲハの発生は、ほかの害虫に比べて少ないので、被害が拡大されることはありませんが、家庭菜園などの小面積の畑で発生すると、老齢幼虫に丸ぼうずにされることがあるので注意が必要です。

▼ニンジンの育て方ならこちらをご覧ください。

▼そのほかセリ科作物の育て方ならこちらをご覧ください。

セリ科以外の作物を食害する蝶々は?

ナミアゲハの成虫
出典 写真AC
ミカンやレモンなどのカンキツ類にも、蝶々が飛んできて卵を産み付け、葉を食害されることがありますが、これはナミアゲハやクロアゲハなどによるものです。キアゲハはカンキツ類を食害しません。
ナミアゲハ成虫はキアゲハに良く似た姿形をしていますが、キアゲハは全体的に黄色味がかっていて、前翅(はね)の付け根は黒く塗りつぶされたようになっているのに対し、ナミアゲハは前翅の付け根までしま模様があることが特徴です。

▼カンキツ類の育て方ならこちらをご覧ください。

キアゲハに有効な4つの対策

キアゲハの幼虫
出典:写真AC
キアゲハの被害が拡大する前に行う対策について説明します。

1. 被覆資材

キアゲハなどのアゲハ類は次々と飛来するので薬剤散布のタイミングが難しいことから、成虫の飛来を抑える防虫ネットや寒冷紗などを利用した防除方法が最も効果的です。

ITEM
防虫ネット
防虫ネットは外敵から大切な農作物を守ります。
また、透光性や雨通し、強風暖和に優れています。
縦縞のシルバーが太陽光線の反射で大切な農作物を害虫から守る効果があります。
農薬の使用量を減らし、安全安心な野菜を栽培するための代替技術として非常に有効です。

・規格:幅1.8×長さ10m
・網目サイズ:1mm


▼慣例者や防虫ネットのことならこちらをご覧ください。

2. 捕獲

キアゲハの老齢幼虫はとても目立つ色合いをしているので、見かけたら捕獲しましょう。

3. コンパニオンプランツ

アブラナ科の植物はキアゲハにとっては独特の香りで忌避効果があるといわれています。セリ科とアブラナ科作物を混植すると、キアゲハの成虫の飛来をある程度予防できます。

▼コンパニオンプランツのことならこちらをご覧ください。

4. 農薬(殺虫剤)

キアゲハの農薬による対策は、ほかの害虫と同時に防除できるもので行います。幼虫は日中、茎に寄生していることが多いため、茎にもかかるよう念入りに散布しましょう。
※生産者の方は、地域の防除指導機関やJAなどが推奨する効果の高い薬剤を選定し使用基準を守って作物に合う薬剤を使用しましょう。
※家庭菜園の方は、防除したい虫をしっかり把握した後、必ず作物に合った薬剤を選びましょう。

▼殺虫剤のことならこちらをご覧ください。

ITEM
アファーム乳剤
広範囲の害虫に有効で、鱗翅目害虫の駆除に速効効果があります。
作物の生育時期を選ばず、害虫の発生に応じた使用が可能です。
有効成分は自然物に由来し、作物にも環境にも散布者にも安全・安心です。

・内容量:250ml
・有効成分:エマメクチン安息香酸塩(1.0%)


ITEM
カスケード乳剤
鱗翅目、ハマキムシ類、ヨコバイ類、スリップス類、ハモグリバエ類など、幅広い害虫に高い効果を示します。
キチン質の生合成を阻害し、脱皮阻害作用を示します。
幼虫に対し顕著な効果を示します。
遅効性ですが、残効性にすぐれています。

・内容量:250ml
・有効成分:フルフェノクスロン(10.0%)

キアゲハから作物を守るために

ピンク色の花に止まったキアゲハの成虫
出典:写真AC
キアゲハの幼虫はセリ科植物のみを食害します。農業においては、ほかの害虫に比べて大きな被害には至りませんが、家庭菜園など小規模な畑で発生すると、一株に被害が集中して葉を丸ごと食べ尽くされてしまいます。防虫ネットや寒冷紗で防ぐほか、アブラナ科野菜を混植したり、農薬はほかの害虫にも対応したもので防除するなど効果的に予防しましょう。

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rinko
rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。

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