うどんこ病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)

バラなどの葉の表面がうどん粉をまぶしたように感染する「うどんこ病」の原因や感染しやすい時期や環境、植物について紹介します。さらに、うどんこ病の防除や重曹で行う対策方法について、おすすめの薬剤(農薬)など詳しく説明します。


うどん粉病

撮影:AGRI PICK編集部
うどんこ病とは、葉や茎が白い小麦粉のような菌で覆われる、糸状菌(カビ)による病気です。感染する範囲が広く、野菜類、花卉類、ほとんど全ての植物に発生します。比較的温暖でやや乾燥した条件で発生しやすくなります。発病してから重症化するまでのスピードが速く、発生してからの防除が難しい病気です。そんなうどんこ病の症状と発見のポイントを押さえて、予防と早期発見、防除を心がけましょう。

うどんこ病の症状は白い粉

主な症状は、葉に最初はぼんやりとした白い病斑がポツポツと現れます。やがて病斑が拡大し、葉全体が「白い粉」のようなカビに覆われます。感染が進んだ葉は、黄色く変色して枯れてしまいます。感染が茎に及ぶと、上に水をあげることができずに株が枯死することもあります。主に葉に発生しますが、植物によっては、花弁、蕾(つぼみ)、果実に感染し、拡大することがあります。
▼植物の病気の症状についてはこちらの記事もご覧ください

うどんこ病の発症原因

ピーマン、うどん粉病
撮影:AGRI PICK編集部
うどんこ病は、糸状菌(カビ)が原因となる病気です。生きた植物からのみ栄養を摂ることができるため、枯れた植物には寄生しません(絶対寄生菌)。
名前  うどんこ病
学名 Powdery mildew
分類  糸状菌/子のう菌類、不完全菌類
発生時期  5~10月(盛夏を除く)
発生  25℃前後 湿度(40~70%)
胞子形成  15~16℃位 湿度(97~99%)

うどんこ病は種類の「違う」作物には伝染しない

うどんこ病菌は種類が多く、植物によって感染する菌が異なります。例えばキュウリの菌はメロン、かぼちゃ、ユウガオなどには感染しますが、イチゴには感染せず、バラの菌はバラにしか感染しません。しかし、うどんこ病の被害の症状が似ていることから、ひとくくりに「うどんこ病」と呼ばれています。

うどんこ病の伝染源は「生きた」作物や雑草

生きた作物や雑草で繁殖を続け、伝染源となります。胞子は風に乗って飛散し、植物の表面を覆い、菌糸が細胞内に広がったり、細胞内に侵入して感染します。

うどんこ病の発生時期は「春と秋」

うどんこ病は、日中やや乾燥している状態(湿度40~70%)で発生しやすく、春や秋の日中乾燥していて、朝夕が冷え込む時期に感染が多くみられるので要注意ですが、30℃を超えるような盛夏では、あまり発生はみられません。

うどんこ病の発生しやすい環境は「密植」

栽培環境としては、葉が多くて混みあっている場合も、植物体の周りの湿度が上がりやすくなり、うどんこ病が発生、蔓延しやすくなるため注意が必要です。室内では一年中発生しやすいので、日頃から風通しの良い環境を心がけましょう。

◆うどんこ病の胞子が形成されやすい条件は「低温と多湿」

胞子形成は夜間の多湿(湿度97~99%)と冷涼な温度(15~16℃)が必要なため、朝夕が冷え込む時期や、水やり後、雨上がり、夜露などで湿度が高く葉が濡れている場合は、特に気を付ける必要があります。

うどんこ病に感染する主な植物

うどんこ病
出典:flickr(Photo by Jeff Kubina
うどんこ病は野菜類、花卉(かき)類、ほぼどんな植物でも感染する病気です。ここでは、うどんこ病が問題となっている主要な作物とその発生初期と後期の症状を紹介します。

野菜類

野菜類では、キュウリやカボチャ、ズッキーニなどのウリ科の野菜、トマト、イチゴ、ピーマン、ナスなどに発生します。
例えば、トマト・ミニトマトは主に施設栽培で発生しますが、日中の乾燥と夜間の過湿が原因ですので、日中はミストや畝間灌水等の湿度維持を、夕方の灌水は控え、夜間は天窓、側窓をうすく開けておくなどの湿度コントロールを行いましょう。
作物名 発生初期の症状 発生後期の症状
キュウリ ・下葉表面に淡い白色の斑点。
・後に白色粉状のカビが発生。
・葉裏や茎にも病斑が広がる。
・葉全体が白色のカビに覆われる。
・ひどいときには、黄化し枯死する。
イチゴ ・下葉に赤褐色の斑点。
・新葉の裏面に白色粉状のカビが発生。
・葉がスプーン状に巻くように立つ。
・果実にも白色のカビが生じる。
ピーマン ・葉裏:葉脈で区切られた部分に薄く白い霜状のカビが発生。
・葉表:淡い黄色~褐色の斑点。
・葉の全面が黄化し落葉する
(白いカビが激しく発生することは無い)

草花

草花では、バラ、ストック、ガーベラ、シャクヤク、キクなどに発生します。
植物名 発生初期の症状 発生後期の症状
バラ ・若く新しい部位(新葉、新芽、蕾等)に淡い白色の斑点。
・後に白色粉状のカビが発生。
・株全体に菌が蔓延。
・葉や茎は湾曲しねじれる。
パンジー
・ビオラ
・葉と茎に白色粉状のカビが発生。 ・全面が白色粉状で覆われる。

果樹・樹木

果樹、樹木ではハナミズキ、ぶどう、アジサイ、などに発生します。
植物名 発生初期の症状 発生後期の症状
ハナミズキ
(ミズキ類)
・新梢や若葉の表裏に白色粉状のカビが発生。
・幼葉は縮れて枯れる。
・成熟葉の表面に薄いくもの巣状の菌糸が葉を覆う。
ぶどう ・葉裏に円形の黄緑色の小斑点。
・葉表に白色のカビが発生。
・幼果~未熟果ではくもの巣状に薄く菌が広がり、白色のカビが発生。
・多発すると被害葉は退色して萎れ奇形となる。
・果実は硬化や裂果を起こす。



うどんこ病に有効な予防方法

うどんこ病に有効な予防は、「農薬を使わず」に圃場の管理で行う方法(耕種的防除方法)と、「農薬の使用」で行います。さまざまな方法を組み合わせて、適切なうどんこ病の予防を行いましょう。
※圃場(ほじょう)とは、田や畑のような農作物を育てる場所のことです。

 うどんこ病を発症させない「農薬を使わない」管理方法

農薬を使わずに行う、うどんこ病の予防方法について説明します。

1. 窒素肥料分の見直し

うどんこ病は、肥料の窒素分が多いことが原因でなる「軟弱徒長」した状態で発生しやすくなります。元肥や追肥の窒素分が多過ぎないか、時期は適切であるかを見直しましょう。
※軟弱徒長とは、植物の葉厚や葉の色が薄くなり、茎や葉柄および葉身が弱々しく間延びした状態。

2. 圃場や菜園周りの除草

圃場や菜園でうどんこ病菌が発生していなくても、雑草に寄生したうどんこ病の菌から感染することがあります。圃場や菜園周辺の除草を徹底して、伝染源を根絶しましょう。

3. 品種の選定

うどんこ病にかかりにくい苗を導入するのも効果的です。特にうどんこ病にかかりやすいウリ科の植物ではうどんこ病に強い抵抗性品種が出ています。

4. 水はけの良い土壌づくり

湿度が高いと、うどんこ病の胞子がつくられてしまいます。土壌の湿度が上がらないように、水はけの良い土づくりを目指します。
畝を高くしたり、腐植土、パーライト、バーミキュライト、ヤシガラなどの土壌改良材を投入して、効果的な土質改善を行いましょう。

▼土壌改良のことならこちらをご覧ください。

5. 風通しを良くして、湿度を低く保つ

植え付け後は、過繁茂に気を付けましょう。適度に風通しを良くすることで、植物の周りの空気を入れ替え、湿度を下げる効果があります。古い葉や傷んでいる葉は取り去ります。


うどんこ病の予防に効果的な「農薬」

農薬を使用して、より効果的にうどんこ病を予防しましょう。同じうどんこ病でも菌の種類が違う場合があり、作物によっては同じ薬では効果が無い場合があります。作物毎に使用する農薬にうどんこ病の登録があるか必ず確認してください。また、散布は1回だけではなく、定期的に農薬の種類を組み合わせてローテーション散布することがおすすめです。
※農薬は地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

◆ダコニール1000

有効成分TPNの保護殺菌剤です。キュウリで問題となるべと病、褐斑病等も同時防除できます。
ITEM
STダコニール1000
植物の病気の発病前から発病初期に散布し、植物を病気から守る効果をもつ殺菌剤です。
うどんこ病、黒星病、炭そ病、褐斑病、斑点病、灰色かび病など、広範囲の病気に防除効果をあらわします。
草花、野菜、お茶、稲、果樹などさまざまな植物に利用でき、長期間にわたって病気から植物を守ります。
残効性に優れ薬害もほとんどありません。
計量も手軽にでき、散布後の汚れも少ない薬剤です。

・容量:30ml
・有効成分:テトラクロロインソフタロニトリルTPN(40.0%)

◆ボトキラー水和剤

有効成分バチルス菌は「納豆菌」の仲間です。バチルス菌が作物の葉や花に棲み着き、病原菌の繁殖を抑制してうどんこ病などの病気から作物を守ります。
ITEM
ボトキラー水和剤
使用回数に制限がなく、農薬の使用回数にカウントされません。
薬剤耐性菌に対しても予防効果を発揮。
ほとんどの化学農薬と混用散布が可能。

・容量:100g
・有効成分:バチルス・ズブチリス芽胞1×10の11乗 CFU/g含有(1g当たり1000億個の生きた胞子を含有)

◆ベニカXファインスプレー

虫と病気を総合的に防除できる薬剤です。優れた展着性、浸達性があり、葉の表面から葉裏まで薬剤が浸透します。灰色かび病、褐斑病(キュウリ)も同時防除できます。
ITEM
住友化学園芸 ベニカXファインスプレー
有効成分メパニピリムが葉裏まで浸透し、病原菌の侵入を防いで病気を防除します。
効果の持続性もあり、薬剤が効きにくくなった病気にも有効です。

・容量:420ml
・有効成分:クロチアニジン・フェンプロパトリン・メパニピリム



うどんこ病発見後の効果的な対策

うどんこ病を発見してしまった際にはどうすれば良いのか、その効果的な対策を紹介します。

うどんこ病発症後の被害部分の「除去」

果実や葉に発生が確認された場合は、ただちに取り去りましょう。除去したものは胞子が飛ばないように、ビニール袋に入れて圃場外に持ち去ります。
また、発生が広がらないように圃場の環境を見直しましょう。古い葉が残っている場合は、さらなる伝染源となる可能性があるので、ただちに取り去りましょう。

うどんこ病の治療に効果的な「農薬」

治療に効果的な農薬を使用して、早期にうどんこ病を治療しましょう。

◆カリグリーン

人と環境に優しい炭酸水素カリウムが主成分です。有機JAS規格(オーガニック栽培)でも使用可能です。
多発時には効果が薄れることがあります。なるべく発生初期に、所定の散布量で葉全体を洗い流すように散布しましょう。残効性が短いので、5~7日間隔で3回散布が効果的です(たばこは2回)。
ITEM
住友化学園芸 カリグリーン
きゅうり、いちご、バラのうどんこ病に効果のある治療薬です。
炭酸水素カリウムを主成分としているので、散布後、副次的にカリ肥料になります。

・容量:1.2g×10袋入
・有効成分:炭酸水素カリウム

◆ポリオキシンAL水溶剤

作物が汚れず、浸透移行性にも優れ、高い効果を示します。殺菌だけではなく、殺ダニ効果もあります。
※浸透移行性とは、作物の内部に農薬が浸透し、植物体全体に薬剤成分が移行することです。
ITEM
ポリオキシンAL水溶剤
日本で発見された農薬用抗生物質です。
花弁・野菜類のうどんこ病、灰色かび病などの重要病害に優れた予防・治療効果があります。

・容量:100g
・有効成分:ポリオキシン複合体



有機農法でのうどんこ病対策

キッチンにある材料でも、うどんこ病の対策をすることができます。

重曹

重曹(炭酸水素ナトリウム)は、前述のカリグリーンの成分と同じ炭酸水素塩なので治療効果があります。使用方法は、食品用として市販されている重曹を水で500~1000倍に薄め、ハンドスプレーなどを使って、病気の発生部位を中心に周辺にもたっぷりと散布しましょう。病気が多発してからは効果が薄いので、なるべく予防的に散布するように心がけましょう。

納豆

前述のとおり、ボトキラー水和剤は納豆菌を使った農薬です。納豆菌が葉の表面に病原菌より先に住み着くと、病原菌の繁殖を抑制してうどんこ病から作物を守ります。自宅で納豆をミキサーで粉砕して納豆水を作り、スプレーボトルで散布する方法もあるようです。病気が多発してからは効果が薄いので、なるべく予防的に散布するように心がけましょう。

▼有機栽培の農薬については、コチラの記事も参考にしてください。

益虫(キイロテントウ)

キイロテントウ
出典:写真AC
テントウムシの仲間で背中の部分が黄色い「キイロテントウ」は、うどんこ病の病原菌を食べてくれる益虫です。小さな幼虫から大人の成虫まで、葉に発生したうどんこ病菌を食べてくれるので、キイロテントウをみつけたら、そっとうどんこ病に侵された葉に乗せて助けてもらいましょう。

うどんこ病の人体への影響は?

うどんこ病が蔓延している圃場に入ったら、粉が舞って菌を吸い込んでしまった、ということがありませんか?人体に害があるのか心配になりますが、うどんこ病は植物の病気なので、口から入っても人体には影響はないといわれいてます。
一方、うどんこ病に激しく侵された農作物は、植物自体が病気に対抗して毒素を生成している可能性があるので(ファイトアレキシン、アレルギー原因タンパク質等)、人体に影響が無いとはいえず、食べることはあまりおすすめしません。

うどんこ病対策に何より大事なのは育てる環境

うどんこ病は発生から蔓延までのスピードが速いため防除が重要です。まずは環境を見直しましょう。
うどんこ病が発生しやすいのは、乾燥と多湿を繰り返す環境です。日中温かく、朝晩が冷え込む春や秋の季節の変わり目は特に気を付けましょう。また古い葉から感染するので適宜取り去り、風通しの良い圃場環境を保ちましょう。圃場回りの除草、予防的な農薬散布も効果的です。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。