ニンジン栽培は発芽が7割
発芽までの管理が栽培の成功を決める
農家の間では「ニンジンは発芽が7割」といわれ、発芽までの管理で成功か失敗かが決まるとされています。逆にいえば、土づくりと種まきさえポイントを押さえればニンジンの栽培は簡単なのです。種まきから発芽までの日数
関東圏の夏まきの場合、ニンジンは発芽するまで約10日ほどかかります。ほかの野菜に比べて遅く、出てくる芽も小さいので、種まきからまったく芽が出てこないと心配する人が多いようです。2週間経って発芽しない場合は、条件が悪く発芽しなかった可能性が高いのですが、まき直しても同じ原因で失敗してしまいます。ニンジンは種をまく前に必ず発芽に最適な環境を用意することが肝心です。
ニンジン栽培を成功させる5つの秘訣
ここからは実際にニンジンを栽培するときの秘訣をご紹介します。秘訣1:ニンジンの美しさを決める土づくり
どの野菜も土づくりは重要ですが、ニンジンほど土づくりが収量や品質に影響する野菜はありません。二股や奇形のニンジンができてしまったという場合、土の中の有機物や大きな石に根が当たってしまったことが原因です。セリ科は、土の粒形が細かく、均一な沖積土の堆積した土地を好みます。肥料やたい肥は、未分解の粗大有機物が残らないよう1カ月前までに施用して、トラクターを3~4回かけておくようにしましょう。
たい肥は豚ぷん、化成肥料の場合は8-8-6くらいの成分比で粒形が粗過ぎないのものが良いでしょう。
秘訣2:播種や間引きを省力化!加工種を上手に使う
ニンジンの種は乾燥に弱いため、土の中が乾燥してしまうと不発芽の種子が増えます。しかし、乾燥を防止したいからと種を深く植えるのは禁物。ニンジンの種は好光性種子なので、発芽には光が必要なのです。数cmの深さで播種し、鎮圧して0.5cmくらいの深さに種がくるようにすると発芽がそろいます。このとき、何も加工されていない種子を使うと播種間隔や深さにばらつきが出やすく、万が一、土が乾燥したときも不発芽となるリスクがあります。
ペレット種子、シーダーテープはニンジン栽培の強い味方
発芽条件が難しいニンジン栽培の場合は未加工の種子よりも加工された種を使うことをおすすめします。ペレット種子とはパウダー状の粒子を吹き付け、一定の粒形にそろえた種子です。そのため、播種機による条播きができ、播種後の乾燥から種を守ることもできます。
未加工の種子やコート種子をテープ加工したシーダーテープもおすすめ。テープの中に一定間隔に種が配置されているので、テープごと土に埋めれば一定間隔で発芽します。コート種子同様、乾燥から種を守ることができるので発芽率もよく、株間6cm間隔でシーダー加工すると、未加工の種子を条まきした場合に比べ、間引きの手間を圧倒的に減らすことができます。
シーダーテープの播種は手作業でもできますが、専用の播種機があると1度に2条同時に播種が可能です。
秘訣3:無除草で栽培するための太陽熱マルチ
無農薬でニンジンを作るには発芽後に除草が必要と思われがちですが、実際は太陽熱マルチを施すことで無除草でも栽培できます。ニンジンの夏まきが始まる8月の1カ月前、7月初旬に黒マルチまたは透明マルチをひき、太陽の熱とマルチ内の蒸気によりマルチ内が燻蒸されることで雑草を枯らし、雑草の種子も焼き殺すことができます。秘訣4:チャンスは数日!まき時を逃さない
市販されているニンジンの種子の袋には、まき時が2カ月ほどあると表記されている場合がありますが、実際、農家の感覚では夏まきのニンジンの最適播種日は8月中に3~4日あるかないかです(関東圏)。播種後にすぐ雨が降ってくるようなタイミングがベストですが、関東では8月は梅雨明け後の猛暑が続く期間なので、土が乾きやすくニンジンの発芽には厳しい時期。天気予報をしっかりチェックしてタイミングを逃さないようにしましょう。秘訣5:発芽率を決定する土の水分量は散水か遮光ネットで調整!
ニンジンは発芽に十分な水分を必要とします。播種後に雨が期待できない場合は、散水チューブなどで散水するか、遮光ネットでトンネルを作り、水分の蒸発を抑えるとよいでしょう。発芽後が楽なニンジンは作付けの味方!
発芽させてしまえばほぼ成功といわれるニンジン。土づくりから発芽までは気を使いますが、8月に種をまき、発芽すれば放任で育てることができます。9月からの秋野菜の作付けシーズンとかぶらず、11月ごろから2月まで長く収穫できるので、秋冬の作付け計画に余裕ができます。ここで紹介した秘訣を参考に、夏まきニンジンに挑戦してみてはいかがでしょうか?【AGRI PICKチャンネル】
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