褐斑細菌病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)

ナスやカボチャ、キュウリやスイカの葉や果実などに病斑ができる褐斑細菌(かっぱんさいきん)病の原因、感染しやすい時期や環境など、防除方法やおすすめの薬剤(農薬)を詳しく説明します。


ハイビスカス シュードモナス

出典:Flickr(photo by Scot Nelson)
褐斑(かっぱん)細菌病とは葉に褐色の斑点ができる細菌による病気です。キュウリ、カボチャなどウリ科野菜やナス、ポトスなどで発病します。
発生後蔓延すると防除が難しい、褐斑細菌病の発見のポイントを押さえて、予防と早期発見、防除を心がけましょう。

褐斑細菌病の症状は水浸状の斑点

「葉に褐色の斑点ができた」「葉がフチから枯れてきた」「果実に斑点がある」などの症状が現れたときは、褐斑細菌病を疑いましょう。
葉や茎、果実に褐色の小さな円形〜不整形の小斑点が現れ、徐々に拡大して病斑が融合し、不整形の大型の病斑を形成します。進行すると葉が枯れたり、果実に被害が及ぶことがあります。

褐斑細菌病の発症原因

褐斑細菌病とは細菌が原因となる病気です。植物によって、病原菌や発生条件が異なります。
植物名 菌名
ウリ科 Xanthomonas campestris pv. cucurbitae
(Bryan 1926) Dye 1978
ナス  Pseudomonas cichorii
(Swingle 1925) Stapp 1928
ポトス  Xanthomonas campestris
(Pammel 1895) Dowson 1939
▼細菌、糸状菌、ウィルスなどの病原菌についてはこちらをご覧ください。

主な感染源は前作の残りの植物や土壌

病原菌は残渣(ざんさ)や土壌、感染した種子で長期間生存し、伝染源となります。
出芽時に土壌の菌と接触したり、灌水(かんすい)や雨の水の跳ね上がりで、土壌の菌が植物に付着すると、感染します。
その後、病斑部分で増殖した菌は、風や雨、灌水の水滴でほかの部位や隣接する作物に運ばれ、気孔や傷口から侵入し感染します。
※残渣とは、畑などに残った生育(栽培)を終え枯れた植物体。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えること。

発生しやすい時期や栽培環境

褐斑細菌病が共通して発生しやすい環境について説明します。

◆高湿度

曇雨天が続き湿度が高い時期に発生します。
また、昼夜の温度差が激しく、葉が結露する時期も注意が必要です。

◆連作

同じ作物を連続して植えることによって土壌の病原菌の密度が高くなり、病気が発症しやすくなります。

細菌による斑点病の特徴はハロー?

斑点細菌病、ハロー
出典:Flickr(Photo by :Scot Nelson)
細菌による斑点病は、病斑の周りが細菌のかたまりでぼんやり黄色くなっている(ハロー)が特徴です。光に葉を透かすと、ハローの有無が確認しやすくなります。

植物ごとの褐斑細菌病の症状と発生条件

褐斑細菌病が発症する主要な作物とその症状を紹介します。

ウリ科(カボチャ、メロン、キュウリなど)

葉に水が浸みたような黄色い小斑点を生じて、やがて黄色のハローを伴う褐色の病斑となります。
のちに葉脈に囲まれた角形病斑となり、病斑部分は破れそうなほど薄くなります。病状が進むと葉が枯れたり、葉の縁が枯れるなどの症状が出ます。
カボチャの果実ではヤニをともなった褐色の斑点を生じ、メロンの果実はコルク状の暗緑色で水に浸みたような病斑を作ります。
種子伝染してカボチャ台木を通じて、キュウリやメロンに感染することが多いです。

発生条件

梅雨時期から初夏に多く、25〜30℃の高温を好みます。
また、窒素が多すぎて軟弱徒長した場合や、排水性が悪い土壌でも発生します。
※軟弱徒長とは、植物の葉厚や葉の色が薄くなり、葉や葉柄および葉身が弱々しく間延びした状態。

似ている病気

ウリ科作物は、ほかにも症状がよく似ている「斑点細菌病」「褐斑病」「べと病」などに感染します。
斑点細菌病は、病斑が薄く半透明になり破れますが、褐斑細菌病は病斑が破れにくく半透明にはならないのが特徴です。病斑の色も濃い褐色なので、べと病のようなカビは生えません。

ナス

葉に褐色~黒褐色の小さい病斑を生じて、のちに拡大して大型病斑となります。激しく発病すると葉が巻いたり湾曲します。
花蕾(からい)はがくの一部に灰色の斑点を生じて、花蕾全体が枯れることがあり、果実はヘタ部分から発病して腐敗します。そのほか葉柄、茎などの若い部分が侵されることがあります。
育苗中に感染した苗を圃場(ほじょう)に定植することで、発症することが多いと考えられています。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のことです。

発生条件

褐斑細菌病の生温適温は20~23℃ですが、ナスにおいては15~17℃の低温下でもよく発病します。
施設栽培では湿度が高い場合、冬でも発生がみられます。

ポトス

はじめ葉の葉脈に囲まれた部分や葉縁に水に浸したような淡褐色の斑点を生じて、のちに拡大して褐色になります。

発生条件

発生条件はよくわかっておらず、日焼けや根づまりなどにより生育が悪くなることが原因と考えられています。


褐斑細菌病に有効な防除方法

褐斑細菌病に有効な防除は、「農薬を使わず」に圃場の管理で行う方法(耕種的防除方法)と、「農薬」の使用で行います。2つの方法を組み合わせて、適切な褐斑細菌病の防除を行いましょう。

褐斑細菌病を発症させない「農薬を使わない」管理方法

農薬を使わずに行う褐斑細菌病の予防方法について説明します。

1. 前作の残渣の処理

前作の植物残渣に褐斑細菌病菌が付着している可能性があります。残渣は圃場外に持ち出して処理します。

2. 土壌の入れ替え、消毒

前作に褐斑細菌病が発生した圃場、また発生が心配される圃場は古い土を深くすき込むか、新しい土を入れます。圃場にたっぷり灌水した後、透明のポリマルチを被せて、太陽熱消毒を行うのも効果的です。
プランター栽培も同じように、新しい土と入れ替えるか、褐斑細菌病が発生した土に水をたっぷり含ませ、透明のビニール袋で包み、真夏の太陽の熱を利用して消毒します。

3. 水はけの良い圃場づくり

土壌の水分が多いと、褐斑細菌病に感染しやすくなるため、水はけの良い土づくりを目指します。
畝を高くしたり、腐植土、パーライト、バーミキュライト、ヤシガラなどの土壌改良材を投入して、効果的な土質改善を行いましょう。
▼土壌改良のことならこちらをご覧ください。

4. 無病種子を使う

前述の通りウリ科に発生する褐斑細菌病は種子に付着、伝染するので、種子消毒するか無病種子を使いましょう。
育苗する場合は育苗ポットをよく洗って消毒し、汚染の可能性を防ぎます。圃場に移植する際は、苗が病気に感染していないかよく確認してから植えます。

5. 連作をしない

同じ作物を連続して栽培すると、土壌中で病原菌の密度が高まります。病気予防のため連作は控えましょう。

6. 肥培管理、水管理の見直し

軟弱徒長してしまうと病気が発生しやすくなるため、作物が軟弱徒長になる主な原因「肥料」と「水」の管理を見直しましょう。
元肥や追肥の量が多い、または時期が適切で無い場合や、灌水量が多すぎることのないよう適切な肥培管理、水管理を心がけましょう。
▼肥料のことならこちらをご覧ください。

7. 灌水方法の見直し

褐斑細菌病は水の跳ね上がりで感染する場合が多いので、頭上からの灌水は要注意です。株元灌水を心がけてください。
また、ポリマルチで泥はねを予防することも効果的です。
▼マルチについてはこちらをご覧ください。

8. 風通しを良くして、湿度を低く保つ

植え付け後は過繁茂に気を付けます。適度に風通しを良くすることで、植物の周りの空気を入れ替え、湿度を下げる効果があります。
また、古い葉や傷んでいる葉は取り去ります。
ハウス栽培では加湿にならないように注意し、冬場のハウスは暖房機を定期的に稼働させるなど湿度対策を行います。

褐斑細菌病の防除に効果的な「農薬」

農薬散布
出典:写真AC
農薬を使用して、より効果的に褐斑細菌病を防除しましょう。褐斑細菌病は多発してからの薬剤防除は難しいため、予防的に農薬を散布することが効果的です。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

野菜類で登録あり、幅広く使える予防剤

菌が植物へ侵入するのを防ぐ保護殺菌剤なので、予防または発病初期に使用しましょう。
野菜類で登録があり、軟腐病や斑点細菌病、べと病などにも効果があるため同時防除できます。
※収穫前に使用すると果実が汚れる場合があります。
※幼苗期や高温時に散布すると薬害を発生しやすいためご注意ください。
ITEM
Zボルドー銅水和剤
多くの野菜・果樹に適用があり、幅広い病害の予防効果に優れた効果を発揮する使いやすい銅殺菌剤です。
銅の他に亜鉛、マグネシウムを特殊製法で配剤し、微量要素欠乏に役立ちます。
有機農産物の日本農林規格(JAS)に適合する農薬です。

・容量:500g
・有効成分:塩基性硫酸銅(58.0%(銅32.0%))、塩基性硫酸亜鉛(15.0%)、塩基性炭酸マグネシウム(6.0%)



▼農薬についてはこちらをご覧ください。

褐斑細菌病発症後の対応

発生が確認された箇所は、ただちに取り去りましょう。除去したものはビニール袋に入れて圃場外に持ち去ります。
また、発生が広がらないように圃場の環境を見直し、古い葉が残っている場合はさらなる伝染源となる可能性があるので、ただちに取り去ります。

褐斑細菌病には湿度管理と農薬の予防散布

褐斑細菌病は湿度の高い環境を好みます。雨が長引く時期や、湿度が高いハウスでは褐斑細菌病の兆候がないか圃場を注意して観察しましょう。常に湿度が高い場合は土壌環境を見直します。定期的に農薬を散布して発生を未然に防ぐことも効果があります。

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rinko
rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。