農業用の遮熱資材の役割と効果とは?

夏場の暑さ対策として、遮熱シートや塗布剤、循環扇などが用いられますが遮熱資材も有効な手段の一つです。本記事では農業用の遮熱資材(ネット、フィルム、カーテン)について、役割と効果、選び方や使い方、おすすめの遮熱資材を紹介していきます。


遮熱 資材

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地球温暖化の影響により、近年夏場に35℃を超える「猛暑日」が発生しています。このような暑さは農作物に対して悪影響を及ぼす可能性があります。夏の暑さに対応するために、遮光性や遮熱性を持った資材が光や熱を調整するために用いられます。

農業用の遮熱資材の役割と効果

遮光カーテンを使ったイチゴ栽培施設
出典:写真AC
遮熱資材の役割と効果を見ていきましょう。

遮熱資材の役割

遮熱資材は、太陽光の中で熱源となる赤外線を反射したり熱を遮断することによって温度上昇を抑える役割を持ちます。
しかし光合成に必要となる可視光線は通すため、ハウスの中は明るくなります。

遮熱と遮光の違い

遮熱は熱源である赤外線を遮ることであるのに対し、遮光はすべての種類の太陽光を遮る点が異なります。遮光資材は、程度は遮光率による違いはあるものの、光を遮るため施設内が暗くなるのが特徴です。
遮熱資材には同時に遮光性を持ち合わせるものがありますが、遮光率を選べば作物によって使い分けることができます。

遮熱性を兼ね備えた遮光資材は白やシルバーのものが多くハウス内が明るくなるため、暗所を好む作物の場合は遮光性のみの資材を選択するとよいでしょう。

▼遮光シートについてはこちらをご覧ください。
▼遮熱塗料についてはこちらをご覧ください。

遮熱資材の種類

遮熱資材には遮熱性を持ったネットやフィルム、カーテンなどがあります。施設栽培では外張りやカーテン、ハウスサイドに、露地栽培ではトンネルに使用します。

遮熱資材の効果

遮熱資材は夏の暑さ対策だけでなく、冬場でも役立ちます。

夏場の暑さ対策

暑さ対策
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遮熱資材が熱源となる赤外線を反射させたり熱を遮ったりすることによって、夏場のハウス内の温度上昇を抑えることができます。作物に対して高温障害などを防ぐだけでなく、作業者の暑さによる負担を減らせます。遮熱資材に用いられる素材自体が熱を保持するものの場合、熱が放出できるように換気や循環扇を併用するとよいでしょう。
▼循環扇についてはこちらをご覧ください。

冬場の保温効果

保温
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通年使用できるタイプの資材は保温効果を兼ね備えている場合が多く、光合成に必要な光を取り入れながらハウス内の熱を外に逃がさないようにすることができます。

遮熱資材の選び方

選ぶ
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遮熱資材には遮光率や用途、色によってさまざまな種類があります。栽培に合ったものを選択しましょう。

遮熱資材を選ぶ3つのポイント

1. 遮光率(光を遮る割合)

遮熱資材は遮光性を併せ持つものが多く、栽培する作物が好む光の量に合わせた遮光率を選択する必要があります。

例えば強い光を必要とするトマトでは約40~50%程度のもの(暑い時期の栽培)が多く用いられ、シイタケのような弱い光を好むものは遮光率75%程度のものが用いられたりします。強い光を好むものは遮光率が低いもの、弱い光を好むものは遮光率が高いものを選択しましょう。

※遮光率は栽培時期や地域、施設の状況によっても変わってくるため、圃場に合った遮光率を選択してください。
光適応野菜の種類
強光を必要スイカ、トマト、ナス、ピーマン、サツマイモ、エンサイ、ササゲ、オクラ
比較的強光を必要キュウリ、カボチャ、メロン、ショウガ、サトイモ、ヤマイモ、カブ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ
比較的弱光に耐えるものイチゴ、菜類、ネギ類、ソラマメ、エンドウ、ハクサイ、キャベツ、サンショウ、ユリ
弱光線を好むものセリ、ミツバ、ワラビ、フキ、レタス、ミョウガ、キノコ類
暗所マッシュルーム、軟白野菜(ウド、ミツバ、ミョウガ、ズイキイモ、アスパラガス、チコリー、モヤシ)

2. 使用用途

遮熱資材にはネットやフィルム、カーテンといった種類があります。施設栽培では外張りや内張りカーテン、ハウスサイドなどに、露地栽培ではトンネルの被覆に使用します。

3. 色

色によって特徴があります。目的によって使い分けるとよいでしょう。
特徴
黒色 ・光を吸収することで遮光や遮熱するため、素材の温度が上がりやすい
・紫外線による劣化に強いため、長持ちする
・シルバーや白色に比べて価格が安い
シルバー
白色
 ・光を反射することで遮光や遮熱するため、ハウス内の温度上昇を抑える
・ハウス内の明るさを保ちつつ、素材自体が熱を持ちにくい
・黒色に比べて価格が高い

 遮熱性以外の機能にも注目!

素材や素材の組み合わせ、織り方によって遮熱性以外にも保温効果や耐久性、軽量などを兼ね備えたものがあります。栽培する作物や圃場の状況によって、選ぶ際の決め手にすると良いでしょう。

遮熱資材の使用時の注意点

遮熱シートを施工したビニールハウス
出典:写真AC
遮熱資材を活用するためには次の点に注意しましょう。

必要のない時期は取り外す

遮熱資材は通年で使用できるタイプ以外は、夏場の遮光を必要とする時期以外に使用するとハウス内の温度低下や光量不足を引き起こすため、取り外す必要があります。
カーテンの場合は開閉で光量を調節したり、外張りの場合は取り外したりします。

適切な遮光率を選ぶ

遮光率や紫外線を遮る程度によって、ハチの動きや栽培時のナスの色づきなどに悪影響を及ぼす可能性があります。

換気や循環扇も併用

素材が熱を吸収するタイプのものを使用する際は特に、換気や循環扇を併用します。

おすすめの農業用遮熱資材

遮熱
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遮熱資材にはさまざまな製品があり、どれを選べばよいか悩むところです。ここではおすすめの農業用遮熱資材をいくつか紹介します。

遮熱と同時にアザミウマなどの害虫侵入抑制効果も!

ITEM
スリムホワイト45
高い遮熱効果を持つデュポン™タイベック®を素材に使用し、耐水性、透湿性、通気性、耐久性に優れた資材です。反射率が高くシートに蓄熱することがないため、昼間の高温時には温度上昇を抑え、夜間には熱を逃がさず保温できます。ハウスサイドに使用すると散乱光によってアザミウマ類などの侵入抑制にも効果を発揮します。

・素材:デュポン™タイベック®、ポリエチレン糸
・サイズ:幅2.0m
・遮光率:45%
・色:白
・用途:内張カーテン、ハウスサイドなど

紫外線劣化防止剤入りで耐久性UP

ITEM
タキイ涼感ホワイト 50
赤外線(熱線)を反射することでハウス内を明るく保ちながら、室温や果実内温度の上昇を防ぎます。 紫外線劣化防止剤入りなので耐久性にすぐれ、伸び縮みしません。

・素材:ネット状ポリエチレン不織布
・サイズ:幅2.1×長さ100m
・遮光率:45~50%
・色:白
・用途:ハウスの外張りやトンネルなど

トンネル用の遮熱被覆シート

ITEM
ラウンドクール
トンネルに。赤外線を効率よく反射し、暗くならず温度上昇を抑えます。遮熱材が使用されているので、遮熱性が下がりにくい資材です。

・サイズ:幅1.7×長さ100m
・遮光率:25%
・色:白
・用途:トンネル

夏冬兼用で使える内張カーテン

ITEM
ホワイトハイブレス
吸水性や透湿性が高く、夕方の温度低下などで発生する霧・モヤを吸収します。内張りカーテンやサイドカーテンに設置します。遮光、遮熱効果があり、夏冬兼用で使用することができます。

・素材:PVA(ポリビニルアルコール)
・サイズ:幅2.0×長さ100m
・遮光率:45~50%
・色:白
・用途:内張りカーテンやサイドカーテンなど

反射率80%以上の素材が涼しい栽培環境を実現

ITEM
ら〜くらくスーパーホワイトライト L55
反射率が高い(80%)素材により、高い遮熱・遮光効果を発揮します。高い遮光率を持ちながらもハウスを明るく保ちます。ハウスの内張りや外張り、露地栽培にも使用できます。

・素材:ポリエチレン
・サイズ:幅2.0m
・遮光率:50~55%
・色:白
・用途:外張りや内張カーテンなど

最適な遮熱資材選びで夏の暑さにうち勝とう!

夏 暑さ
出典:写真AC
夏の暑さは年々増してきていますが、栽培を行う以上は残念ながら避けて通ることはできません。そのため遮熱資材を活用し、暑さによる農作物への悪影響を避ける必要があります。遮光率や色、作物の種類などさまざまな条件によって選択する遮熱資材は異なります。最適な資材を選んで、夏の暑さを乗り切りましょう。

紹介されたアイテム

スリムホワイト45
タキイ涼感ホワイト 50
ラウンドクール
ホワイトハイブレス
ら〜くらくスーパーホワイトライト L55
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umi
umi

農業資材メーカと農協にて6年間勤務。農家への栽培技術(農薬・肥料・栽培システムなど)の普及を担当。役立つ情報を初心者の方にもわかりやすくお伝えします。

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