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ライター - printemps117
家庭菜園を始めて5年ほど。夏になるとカラフルなパプリカを木のように実らせたいと思い、試行錯誤中。
今年は、ころたんメロン、星・ハート形きゅうりなど、子どもも大人もわくわくするような野菜の栽培にも取り組んでいます。…続きを読む

遮光ネットは、太陽光を遮りハウスやトンネル内部の温度上昇を抑制します。そもそも自分には必要なのか?たくさん種類があるけどどうやって選べば良いの?…と不安な方も多いのでは。そこで今回は、遮光ネットの選び方を「カラー」の切り口からご紹介します!
遮光ネットとは?

遮光ネットには、文字通り「光を遮る」働きがあります。遮光ネットを用いることで、強い直射日光を遮断したり、太陽光によってこもりがちになる熱を防ぐ効果が期待できます。
植物の成長には太陽光が欠かせませんが、植物の中には強い光を好むもの(好光性)と、半日陰のような弱い日差しを好む(嫌光性)のものがあります。半日陰や日陰を好む植物を育てる際、周りに光を遮るものが何もなく、長時間直射日光に晒される環境に置いておくと、植物自体が弱ってしまいます。そんなときに遮光ネットを利用すると、嫌光性植物の育ちやすい環境が作れるのです。
遮光ネットにはどんな効果があるの?
1. 遮熱効果で植物の日焼けを防ぐ

出典:pixabay
遮光ネットの中には、強い直射日光を遮る働きのあるものだけでなく、遮熱効果のあるネットもあります。このような遮熱効果のあるネットを用いることで、真夏でも地温を適切な温度に保つことができます。
適切な地温に保つことは、かん水作業の省力につながるだけでなく、作物の葉面温度の上昇を抑え、直射日光によって植物の葉が日焼けしてしまう「葉焼け」も防ぐことができます。
2. 嫌光性植物の環境づくりに最適

出典:pixabay
遮光ネットは、農業用ハウスの外側や内側に張って、夏場のハウス内の光量や温度を調整する目的で使用することもあります。例えば、洋ランのように木漏れ日のような比較的緩やかな光によって美しい花を咲かせる植物や、しいたけのように、ほとんど光が当たらない場所で育つキノコ類の栽培などに用いられます。
遮光率が高めのネットを利用すると、嫌光性植物の栽培環境づくりに役立ちます。
3. 播種時の発芽適温を保つ

出典:写真AC
ほかにも、遮光ネットは、播種時(種まき)の時に使用すると効果があります。植物の種には、「発芽適温」というものがあります。一般的には15~25℃ぐらいのものが多いようです。真夏時など、それ以上に気温が上がってしまう時期には遮光ネットを利用してみましょう。
種まきしたポットや畝に遮光ネットを張っておくと、発芽適温に保つことができ、発芽が安定します。
遮光率とは?

遮光ネットには、「遮光率」という値が表示されていますが、これは光を遮る割合のことです。数字が高いほど、光を遮ることを意味します。日陰に生えるキノコ類などには、70~80%以上の高い遮光率のネットを使用すると効果的ですが、野菜や花などでこのような高遮光率のネットを使用すると、作物が徒長してしまう(ひょろひょろに伸びる)など、 健全に育たない場合があるので注意しましょう。
一般的な野菜や花の露地栽培、ハウス栽培であれば、遮光率40%程度のものが適しています。
カラーによる効果の違い|おすすめの使い分け方法
黒・白・シルバーの遮光性、遮熱性、汚れにくさの比較表
黒、白、シルバーの3色を表にしてそれぞれの機能性を比較しました。シルバーの遮光ネットは、機能面でも黒と白のちょうど間をとったものだということがわかりますね。

遮熱性が高い白は、野菜の栽培などにも最適!

白色は、可視光線と赤外線を反射するので、温度上昇を防ぐ効果が高いとされています。遮光性は低いですが、ハウス内を明るく保つことができるため、作業性が向上します。
作物の徒長を防止しつつ、温度上昇も軽減することができるので、野菜の栽培時にもおすすめ。
トマトやほうれん草など、太陽光によって色づきや味が影響する野菜、花卉(かき)まで幅広く使えます。
ITEM
ダイオ化成 ダイオクールホワイト 620SW
白色による高い光線透過率により、ハウスに取り付けた際にも、熱線をしっかりカットしながらも、室内は明るくハウスの中は明るく爽やかに保ちます。
チタンホワイト&温度上昇防止剤入りなので優れた遮熱効果を発揮します。
・幅:2m
・長さ:50m
・遮光率:45~50%
・カラー:白
・素材:ポリエチレン
・参考価格:17,130円前後
とにかく日光を遮断したいなら!遮光性の高い「黒」

一般的に遮光ネットというと一番イメージしやすいのがこの黒色ではないでしょうか。ハウス内の作業場の遮光やシイタケ、洋ラン栽培などにはこの黒色ネットが最適です。黒は耐光性があり、汚れも目立ちにくくいのも特徴です。
黒色は、日傘にもよく使われているように、太陽光のように可視光線を吸収し、紫外線透過率が低い色です。その反面、可視光線と同様に赤外線も吸収するので、温度が上がりやすいという点もあります。
ただし、遮光性の高い黒色は通常の野菜栽培は徒長や光合成能力の低下の恐れもあるので注意しましょう。
ITEM
ダイオ化成 ダイオネット 610 黒
遮光ネットの中でも、もっとも標準的な遮光ネット。耐候性、耐久性ともに抜群で、形状安定もよく、常に安定した遮光率を保つことができます。軽量かつ収束性がよいので取り扱いも簡単。遮光率の異なる同じシリーズの商品を使えば、野菜、花卉、育苗等多くの作物に使えます。
・幅:2m
・長さ:50m
・遮光率:45~50%
・カラー:黒
・素材:ポリエチレン
・参考価格:15,300円前後
シルバーは遮光性も遮熱性も両方兼ね備える!

黒と白の中間的な存在のシルバーの遮光ネット。シルバーも白と同様に太陽光を反射する色なので、遮熱性が高く、黒色のように温度が上がりやすくなるということもありません。また白色は汚れによる遮光率の変化などの可能性もありますが、中間的なシルバーは汚れが目立ちにくいという特長も。
シルバーの遮光ネットの中にはアルミ蒸着テープを活用して作られているものもあり、ハウス内の温度上昇を抑える働きが期待できます。
ITEM
ダイオ化成 ダイオミラー40HB-6
アルミ蒸着テープによる高い遮熱効果と耐久性に優れた遮光資材です。
遮熱効果に優れたアルミ蒸着テープを採用することで、ハウス内温度上昇を防止し、大切な農作物が傷むのを防ぎます。遮熱効果抜群なので、夏場の厳しいハウス内作業も快適です。
・幅:2m
・長さ:50m
・遮光率:40~45%
・カラー:シルバー
・素材:ポリエチレン・ポリエステル・アルミ蒸着
・参考価格:34,300円前後
ブルーはほうれん草の生育促進に
少し効果の質が異なるブルーの遮光ネットには、太陽の光質を変化させる機能があるものもあります。こちらは、葉野菜を育てる方におすすめです。
レタスやほうれん草など葉物野菜は、赤色の光によって養分を蓄え、青色の光によって組織を形成することが明らかになってきています。ブルーネットを用いて、自然光を赤色と青色との交互に切り替えることによって、葉物野菜なども効率よく育てることができます。
ITEM
ダイオネオシェード 蒼快 620SKY
400~500ナノメーターの青色光域の透過量を多くする効果と、600~700ナノメーターの赤色光域の透過量を少なくすることによって、ホウレン草の葉の生育を正常に保ち、肉厚で重みがある物を収穫することができます。ほうれん草を育てる方にぜひおすすめしたい遮光ネットです。
・幅:2m
・長さ:50m
・遮光率:40~45%
・カラー:ブルー
・素材:UV剤入りポリエチレン
・参考価格:17,130~17,600円前後
遮光ネットはどうやって張るの?張り方のコツは?
遮光ネットは農業用ハウスの外側を被覆する「外張り」や、同じくハウスの内側に被覆する「内張り」がありますが、いずれの設置の場合にも「パッカー」や「ハトメ」を使うと便利です。
パッカーとは、農業用ビニールや防虫ネットを固定するために使う部材です。ハウスパイプの径によって適合するものが異なりますので、購入の際は適合する径の大きさを確認してから買うようにしましょう。
ITEM
シンセイ ハウスパッカー 19mm 50個入り
農業用ビニールやフィルムをパイプに留めるパッカー。ステンレスバネ入りで軽くて扱いやすいです。遮光ネットをはじめとするネット類、ビニールハウスやトンネル支柱を固定するのに便利。
・本体サイズ:直径19mm
・カラー:青(バネ部:シルバー)
・参考価格:1,250~1,700円前後
全て使用しました。使いやすくて以外に丈夫長く使用できることを願います。しっかりしていて使いやすい 出典:Amazon
別注でハトメ加工をしてくれる遮光ネットメーカーもあります。この場合はマイカ線でハウスに固定する方法でも設置できます。
ITEM
石本マオラン マイカ線 9mm
国内最大手メーカー、石本マオラン社製の業界最先発、信頼性の高いマイカ線(ハウスバンド)です。ハウスのビニールを押さえたり、結束用に使ったりするのに便利です。石本マオランのマイカ線は強くて、なめらか、使いやすいハウスベルトとして永く愛用されています。
・長さ:500m
・幅:9mm
・カラー:黒
・本体材質:PE
・参考価格:2,350~21,500円前後
遮光ネットを使い倒す!フル活用術
防霜で使う

出典:pixabay
遮光ネットの製品によっては、秋冬の霜害防止目的で使用できるものもあります。
また、ジャガイモの栽培時など、春先の遅霜の恐れがある時も、緊急的に作物の上に遮光ネットを被せます。そうすることで、春先のジャガイモやレタス、果菜類が霜に当たって傷つくのを防ぐことができます。
野菜苗の接ぎ木の順化に

遮光ネットは育苗時にも効果的。遮光ネットを使うと、直射日光を適度に抑えることや、温度上昇を防ぐことができるので、苗の管理がしやすくなります。
果物や野菜の苗を接ぎ木や挿し木にも使えます。農業ポリトンネルの中に接ぎ木苗を入れ完全密閉した上から、遮光ネットを2~3枚程度重ねます。日数の経過とともに、遮光ネットの枚数を1枚ずつ減らしていきます。この段階的に外気や日光に慣らしていく「順化」の工程で、遮光ネットは必須のアイテムです。
ハウス内の作業場で

真夏の遮光、遮熱性を利用して、休憩所やハウス内の作業場の日よけなどに使うと、日射病、熱中症対策にもなります。また作業場を遮光ネットで覆うことで、収穫物の傷みを軽減することもできます。
遮光ネットは作業目的にあったカラーを選ぶこと
遮光ネットは色によって効果が違います。遮光だけ、遮熱も重視するのかなど、作業の目的にあったネットを選びましょう。また、育てる作物の種類が、どのような光のもとで育ちやすいのか、性質などを調べてみるとより効果的な遮光ネットの使い方ができますよ。
<構成>こぐま農場
→こぐま農場やさいひろば:
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¥17,129 税込
ダイオ化成 ダイオネット 610 黒
¥15,304 税込
ダイオ化成 ダイオミラー40HB-6
¥34,300 税込
ダイオネオシェード 蒼快 620SKY
¥17,582 税込
シンセイ ハウスパッカー 19mm 50個入り
¥1,692 税込
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