症状からわかるサツマイモの病気

サツマイモの生育が思わしくない、葉に斑点が出たり、イモ(塊根)にカビが生えたりしている場合は病気に感染しているかもしれません。圃場でよくみられるサツマイモの茎葉やイモ(塊根)に出ている症状から病気を推測できるように、イモ(塊根)、茎葉に発症する病気の順に紹介します。


サツマイモのイラスト

Illustration:rie
栽培しているサツマイモの生育が思わしくない、イモ(塊根)が腐っている、地上部の葉が萎(しお)れる、そんな場合は病気に感染しているかもしれません。病気は早期に発見して対策をとれば重症化を防ぐことができます。
サツマイモはイモ(塊根)や茎葉に病気が発生します。本記事では、圃場でよく見られる葉やイモ(塊根)に出ている症状から、病気を推測できるように、イモ(塊根)、茎葉に発症する病気の順に紹介します。

▼サツマイモの栽培方法についてはこちらをご覧ください。

▼植物の病気についてはこちらもご覧ください。

サツマイモのイモ(塊根)に発症する病気

サツマイモのイモ(塊根)の症状から推測できる病気を紹介します。

サツマイモのイモ(塊根)に病斑

サツマイモのイモ(塊根)に斑点などの病斑が出ている場合、病気に感染している可能性があります。

黒斑病

サツマイモ黒斑病
Illustration:rie

【症状】
収穫後や土壌中のイモ(塊根)に発生します。はじめ緑を帯びた黒褐色の病斑が表面に現れ、病気が進むと2~3cmほどの濃い黒色で、表面がくぼんだ円形の病斑となります。病斑内部に毛のようなカビを生じることも特徴です。
ヒトや家畜に強い毒性のあるファイトアレキシン(抗菌性物質)を生成している場合があるので注意してください。
【予防と対策】
黒斑病 | 防除方法とおすすめの使用薬剤(農薬)
※上記リンク先の記事で紹介されている「アフェットフロアブル」「ジマンダイセン水和剤」はサツマイモ(かんしょ)には使用できません

▼ファイトアレキシン(抗菌性物質)のことならこちらをご覧ください。

帯状粗皮(おびじょうそひ)病(サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統)

帯状粗皮病におかされたサツマイモ
Illustration:rie

【症状】
収穫時のイモ(塊根)の表面にざらざらとしたしま模様のひび割れが生じ、帯状に変色します。
【予防と対策】
「モモアカアブラムシ」によって伝搬される「サツマイモ斑紋モザイクウイルス」の強毒系統が本病の原因です。
苗はウイルスフリー苗を使用します。ウイルスフリー苗の増殖時には、感染源となるアブラムシ対策を行います。
はさみやナイフの使用で伝染することもあるため、採苗時には次亜塩素酸ナトリウム(ケミクロンG)などを用いてこまめに消毒しましょう。

▼アブラムシ対策についてはこちらをご覧ください。

ITEM
ケミクロンG
あらゆる病原菌に対し強い殺菌力があり、農業用資材や用水の消毒に効果を発揮します。

・内容量:500g
・有効成分:カルシウムハイポクロライト 70.0%(有効塩素)

紫紋羽(むらさきもんぱ)病

紫紋羽病におかされたサツマイモ
Illustration:rie

【症状】
イモ(塊根)の表面に紫褐色の糸のような菌糸の束が、網目のようにからみつきます。症状がすすむと、菌糸束が密になってフェルト状になり、イモ(塊根)の内部まで軟化、腐敗することもあります。
【予防と対策】
病気に感染した植物、土壌が伝染源となります。被害にあったイモ(塊根)や茎葉は取り除きます。
pHが低い(pH6.0近辺)、開墾地など未分解の有機物が多く残る圃場で発生しやすいため、石灰などを施用して分解を促進します。
被害が発生した圃場では土壌消毒し、イネ科作物などでの輪作が効果的です。

▼石灰についてはこちらをご覧ください。

▼土壌消毒についてはこちらをご覧ください。

黒あざ病

黒あざ病におかされたサツマイモ
Illustration:rie

【症状】
イモ(塊根)の表面に暗褐色の不整形の病斑が生じます。症状が進むと、あざ状の病斑で全面を覆います。病斑はイモ(塊根)の表皮にだけ現れ、内部に進展せず腐敗もしません。
【予防と対策】
苗や種イモから伝染するため、病気の兆候がない苗や種イモを選別しましょう。
圃場の排水性が悪いと発生しやすいため、水はけの良い圃場づくりを心がけます。また土壌消毒も有効です。

▼水はけの良い土づくりはこちらをご覧ください。

サツマイモのイモ(塊根)に腐り

サツマイモのイモ(塊根)が腐った場合、病気に感染している可能性があります。

軟腐病

軟腐病におかされたサツマイモ
Illustration:rie

【症状】
イモ(塊根)は暗褐色で水に浸したようになり、のちに軟化・腐敗します。湿度が高いとイモ(塊根)の表面に白色のくもの巣のような菌糸が生えます。
発病適温は30℃前後、主に貯蔵中に発生し、アルコール発酵した独特の芳香がします。
【予防と対策】
収穫時や貯蔵中、出荷時にできた傷口から病原菌が侵入して発病します。収穫後は速やかにキュアリングを行って感染を防ぎましょう。
※キュアリング処理について詳細は「サツマイモ|基本の育て方と本格的な栽培のコツ」の記事をご覧ください。


基腐(もとぐされ)病

基腐病におかされたサツマイモ
Illustration:rie

【症状】
茎に近いイモ(塊根)の「なり首」部分から黒色~暗褐色に変色し腐敗します。
【予防と対策】
病原菌は土壌中の病気に感染した植物で越冬・伝染するため、感染した植物は圃場外で処分します。
種イモは消毒するなど病気に感染していない健全なイモを使用します。また土壌中の病原菌密度を減らすため、輪作や土壌消毒も効果的です。

▼土壌消毒のことならこちらもご覧ください。


サツマイモの茎葉に発症する病気

サツマイモの茎葉の症状から推測できる病気を紹介します。

サツマイモの茎葉に病斑(斑点やカビ)

サツマイモの茎葉に斑点やカビが出ている場合、病気に感染している可能性があります。まずは病斑の形、色、特徴を確認しましょう。

斑紋モザイク病

斑紋モザイク病におかされたサツマイモの茎葉
Illustration:rie

【症状】
葉の葉脈の間に黄色い斑点が生じ、周囲が紫色になります。
【予防と対策】
イモ(塊根)に発症する病気の、帯状粗皮病(サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統)と同様に、「モモアカアブラムシ」によって伝搬される「サツマイモ斑紋モザイクウイルス」の強毒系統が本病の原因です。苗はウイルスフリー苗を使用し、増殖時には感染の源となるアブラムシ対策を行います。
はさみやナイフの使用で伝染することもあるため、採苗時には次亜塩素酸ナトリウム(ケミクロンG)などを用いてこまめに消毒しましょう。


サツマイモの茎葉に萎れ

サツマイモの茎葉に萎れがみられる場合は病気の可能性があります。

つる割病

つる割病におかされたサツマイモの茎葉
Illustration:rie

【症状】
葉は下葉から黄化して、症状が進むと株が萎れて枯死します。
茎の地際部分に縦に亀裂が入り、茎の繊維質が目立ちます。茎を切断すると維管束の部分が褐変しています。
【予防と対策】
感染したサツマイモから作った苗にもつる割病が伝染します。育苗した苗に症状がみられなくても、圃場に定植してから発病することもあるので、病気に感染していない種イモを使用しましょう。特にサツマイモ品種の「ベニコマチ」はつる割病に極端に弱いため、栽培する際は注意してください。
つる割病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)


立枯病

立枯病におかされたサツマイモの茎葉
Illustration:rie

【症状】
つるの生育が抑制され、葉が黄色~紫紅色になって萎れます。症状が進むと枯死してしまいます。
根は褐色に腐敗し抜け落ち、イモ(塊根)の表面にも円形の黒い病斑ができます。
【予防と対策】
立枯病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)
※上記リンク先の記事で紹介されている「ベンレート水和剤」にはサツマイモ(かんしょ)において立枯病の適用はありません。また「リゾレックス粉剤」「タチガレン液剤」「オーソサイド水和剤」「リゾレックス水和剤」はサツマイモ(かんしょ)には使用できません


病気以外の生理障害・害虫などの要因も併せて対策

サツマイモの調子が悪い原因は病気だけとは限りません。曇天が続いたことから起る日照不足、雨や台風などの荒天、肥料や水の過不足などが要因で引き起こす生理障害でも元気を無くしてしまいます。
また、コガネムシ類やハスモンヨトウ、ナカジロシタバといった害虫の被害を受けても生育が悪くなります。
上記の病気を一例として、生理障害や害虫被害などそのほかの要因も併せて考えながら対策を行いましょう。
※生理障害とは、育てる植物に適さない温度、光、土壌の状態によって生長が阻害されること。

生理障害のまとめ

▼サツマイモの害虫のことならこちらをご覧ください。

サツマイモで発生しやすい要素障害

生理障害の中でもサツマイモの栽培で起こりやすい要素障害について紹介します。

ホウ素欠乏

イモ(塊根)の表皮がサメ肌になったり、丸いもが多くなる、内部が褐変するなどの症状が現れます。葉やつるの生育にはあまり影響せず、イモ(塊根)の肥大期に現れやすい症状です。

▼ホウ素欠乏のことならこちらをご覧ください。

症状から病気を推測し早めの対策!

サツマイモは土壌病害が多く、連作障害を起こしやすい作物です。栽培が終わった後は土壌消毒を行うなど防除対策をとりましょう。病気は種イモや苗を通じて伝染する病気も多くあります。健全な種イモを使用し、採苗の際には病気に感染していないか注意して、圃場に持ち込まないことが大切です。サツマイモに生じる特徴的な症状から病気を早期に発見し、手遅れになる前の早めの対策を行い、病原菌の蔓延を防ぐためにも、連作は避け、水はけの良い土づくりを行いましょう。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。

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