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プランター野菜栽培家
安藤 康夫自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。 現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中! ■関連サイト:Facebook「Hanna-papaの菜園日記」、 2019年5月以前のブログ「Hanna-papaの菜園日記 2」 ■著書:『プランターで有機栽培1』(農文協)、『プランターで有機栽培2』(農文協)…続きを読む
プランター野菜栽培家の安藤さんに、失敗しないサツマイモの育て方を聞きました!プランターの深さやサイズ、苗の植え方、つる返しの有無など、気をつけるポイントや栽培のコツなどを紹介します。
畑や庭でサツマイモを栽培したい人はこの記事をチェック
農業でサツマイモ栽培に挑戦したい人はこちらをチェック
サツマイモの苗植えと収穫時期は?プランター栽培の特徴
栽培のために準備する道具が少なく、ほぼ害虫もつかず育てやすいサツマイモ。種からではなく、種イモから出た苗から育てるのが特徴で、プランターや土のう袋を使って栽培できます。苗の植え付け時期や適温、プランターの置き場所などを知っておきましょう。プランター栽培に適したサツマイモの植え付けと収穫時期
・植え付け:5月中旬〜6月・収穫:10〜11月
※年間平均気温が12〜15℃の、温暖(中間)地基準
サツマイモ栽培に適した温度とプランターの設置場所
サツマイモをプランターで育てる理想の温度は、6〜9月(約23.2~29.1℃)の夏の気温です。プランターは日当たりや風通しの良い場所に置いて、強風の当たる室外機の前などは避けましょう。安藤康夫さん
サツマイモのプランター栽培の時期・特徴・注意点などは、畑や地植え栽培の場合と特に違いはありません。
プランターでのサツマイモ栽培を失敗しないためのポイント
Point1. 大きくならない!肥料は控えめに
窒素肥料が多いとつるや葉に栄養が行ってしまい、イモが太らない「つるボケ」という現象が起きます。つるボケとはつるに栄養が取られてしまい、サツマイモが大きくならないことをいいます。つるや葉ばかりが茂らないよう、窒素肥料は控えめにしましょう。Point2. 湿気は禁物!水はけの良い環境を作る
サツマイモは乾燥に強く湿気に弱いので、プランターや土は、水はけのいいものにします。長期間雨が続く場合は水やりの量や頻度を調整し、過湿の状態が続かないようにしましょう。サツマイモのプランター栽培|苗について知ろう!
茎を切り取った状態の苗から育てるサツマイモですが、販売されている苗は育てやすい品種に限られていることがほとんどです。最近では、ポットに入った苗や、種イモから芽出しした状態で販売されている場合もあるようです。サツマイモの苗を入手するときのポイント
良苗といわれるつるが太くて葉の数が多いものを選びましょう。苗がウイルスに感染している場合は、サツマイモがあまり採れません。価格は少し高くなりますが、ウイルスフリーの苗であれば、収穫が安定します。ポット苗を購入した場合はどうすればいい?
購入したポットから、一回り大きい5号くらいの鉢に植え替える鉢上げをしましょう。寒さに弱いので、室内の窓辺の光のあたる場所か温室で、5月の中旬ごろまでそのまま育てます。20cm以上のつるに生長したら、株元から切り取ってプランターに苗を植え付けます。種芋から苗作りすることも可能
最近では種芋から芽出ししている苗が、4月の中旬ごろから種苗店に並んでいることも。ポット苗の場合と同じく、つるが20cmぐらいになるまで育苗する必要があります。安藤康夫さん
生長の具合によっては、苗の植え付け時期が遅れることもありますが、10月中旬から11月初旬には問題なく収穫できるでしょう。
サツマイモのプランター栽培で準備するもの|プランターのサイズ・土・肥料など
サツマイモを育てる際に必要なものは、サツマイモの苗、プランターと培養土、鉢底石と肥料です。深さのある大きめのプランターが最適!
・A:幅/70cm・B:奥行/30cm
・C:深さ/30cm
サツマイモは大きく育つので、浅いプランターは避け、上記サイズのような、深さがある大きめのプランターが最適!通気性の良いものが理想なので、土のう袋での栽培もおすすめです。
2株を一つのプランターで育てる場合は、横幅が90cm程度のロングプランターがいいでしょう。
安藤さんおすすめ!土のう袋でのサツマイモ栽培
プランターの場合、鉢底石(はちぞこいし)を入れて水はけを良くする必要がありますが、土のう袋だと通気性が良いので、育てる土だけでOK!土のう袋はやわらかい素材でできているので、イモの生長に合わせて形状が変わり、イモが変形しにくくなります。
安藤康夫さん
プランターで育てるとL字のイモやねじれたイモができたりする場合もあるので、私は土のう袋で栽培しています。
プランターでのサツマイモ栽培に必要な肥料
基本的には、栄養分が含まれた野菜用培養土を使えば、元肥は必要ありません。イモが大きくなってくる8月中旬ごろに、追肥として油かす肥料や草木灰を与えましょう。プランターを使ったサツマイモの育て方|苗の植え方・つる返し・収穫など
Step1. 苗の植え方
プランターや土のう袋に土を入れ、苗を植えます。プランター栽培では、「垂直植え」もしくは「斜め植え」の2つの植え方がおすすめです。垂直植えも斜め植えも、土の中に入っている節の量が少ないので収穫個数は少なくなります。しかし、一つひとつに栄養がいき渡るため、大きなサツマイモに育ちます。
2株を一つのプランターに植える場合
横幅が90cm以上の大型のプランターを使って、株間は30cm以上にして植えます。 大きなサツマイモを育てたい場合は、さらに広めにとりましょう。
垂直植えの方法|苗の根元のみをまっすぐに植える
垂直植えは、土にまっすぐに穴を掘り根元のみを植え付けるだけなので、手間が少ない方法です。根が横に長く伸びていくので、比較的細長いイモになります。斜め植えの方法|根元の3~4節を土の中に斜めに植える
斜め植えは、斜めに穴を掘り、開いた穴に苗の根元の3〜4節までを土の中に差し込む方法です。根は縦に短く伸びるので丸く短いイモになりやすいですが、栄養分がまんべんなくいきわたるため、甘みも凝縮されたサツマイモができます。プランターでのサツマイモ栽培に適した土
水はけが良く、栄養バランスに優れている野菜用の培養土がおすすめです。土を入れる前に、プランターの底に鉢底石も入れましょう。Step2. 水やりのタイミングと量
湿気を嫌い、乾燥を好むサツマイモですが、葉の数が多く蒸散作用が活発です。水やりは、苗を植え付けてから葉がしっかりするまで毎日行いましょう。盛夏には朝夕2回の水やりは必須です。その後は、土が乾いたらたっぷり水やりするのがポイント。ただし過湿になると、根が腐ってしまったり、葉がしおれて茎の根元近くが割れたりする「つる割病」になります。水はけの良い土と環境を保っておくことが大切です。
安藤康夫さん
どの野菜にも共通して言えることですが、真夏にはとにかく水やりを怠らないことが大切。タイマー式の水やり装置も販売されているので、活用してみてもいいでしょう。
Step3. プランター栽培でのつる返し
サツマイモは、各節から根を出すことができるだけでなく、その細根が土に触れると小さなイモを作り栄養を分散してしまいます。そのため畑栽培では、写真のように伸びたつるの隙間から出た根を切る「つる返し」が必要となります。プランターで育てても四方に2mくらいつるを伸ばしますが、コンクリートの上をはったり、空中にあれば細根を出すことはできないので、つる返しをする必要はありません。
安藤康夫さん
私の場合、袋栽培で伸びたつるはその袋に巻きつけて育てています。伸びてくるつるを、ベランダの手すりに這わせるのもアリですね!
初心者にもわかりやすい!地植えやプランター栽培でのサツマイモのつる返し方法を動画で見る
Step4. 8月中旬ごろに追肥しよう
8月中旬ごろからイモの肥大が始まります。プランター栽培では土の量が限られるため、黄色い葉があれば肥料不足です。そのころに少量の追肥をしましょう。サツマイモの中のデンプン質を作るにはカリウムが必要なので、根肥と呼ばれるカリウムを含んだ草木灰を一握り与えると、イモが立派に育ちます!
Step5. 収穫前にイモが顔を出さないよう増し土を
プランターの深さが足りず、イモが表土の上に育ってくる場合は、増し土をしたほうが良いでしょう。プランターの縁までしっかりと入れましょう。Step6. 収穫のタイミングとコツ
サツマイモの収穫のタイミング
10月を迎え葉の色が少し黄色くなったころを見計らって収穫します。土が濡れているとイモの傷から雑菌が入り腐敗しやすくなるため、晴天が続いてプランターの土が乾いているときに行いましょう。プランターでのサツマイモの収穫方法
プランターや土のう袋で栽培した場合には、土をひっくり返すだけで簡単にサツマイモを収穫できます。後片付けをスムーズにするため、新聞紙やビニール袋などをあらかじめ敷いて作業を行うと良いでしょう。スコップを使用するとイモを傷つける可能性が高いので、おすすめできません。Step7. 安藤さん流|種イモの保存方法
収穫したサツマイモを、種イモとして保存しておくこともできます。ただ、ジャガイモの種イモも同じですがウイルスの問題があるので、初心者にはあまりおすすめはできません。挑戦してみたい場合は、あまり大きくないみずみずしいものを選びましょう。
安藤康夫さん
サツマイモは低温に弱いので、私の場合は新聞紙に包み、保温箱に入れて、冷蔵庫の上やテレビの裏などで春まで保管します。10日に一度くらい乾いていないか確認し、乾き気味ならば、ぬるま湯に温浴させます。温度や湿度の管理を上手にできれば、3月くらいに芽が出ます。
サツマイモの詳しい保存方法はこちら!
育てやすい!サツマイモのプランター栽培におすすめの品種
日本で栽培されているサツマイモの主な品種は、約60種類以上あるといわれています。しかし、一般的に苗が販売されている品種は限られていて、苗が入手しやすく栽培しやすい品種は、「紅あずま」と「安納芋」です。紅あずま(ベニアズマ)|粘りけが少なくしっかり甘い
育てやすく安定した収穫量のある定番の紅あずま。皮は赤紫色で果肉は黄色、繊維質が少ないのが特徴です。ホクホクした食感が楽しめ、さまざまな料理に使えます。安納芋(アンノウイモ)|スイーツのような甘みで根強い人気
種子島の特産としても知られる品種で、水分が多く、焼くとなめらかな食感と蜜をかけたような甘さが人気の秘密です。サツマイモの種類やおいしい食べ方について詳しくはこちら
サツマイモのプランター栽培におすすめのプランター・土・肥料
すのこ付きで大きめのプランター
プランター 710型
すのこ付きで、水はけが良いプランター。たっぷり土が入る大きめサイズです。
サイズ | 幅70.5×奥行40×高さ26cm |
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容量 | 50L |
水はけがよい不織布ポット
サツマイモのプランター栽培におすすめの鉢底石
▼鉢底石に関する記事はこちら