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- printemps117
家庭菜園を始めて5年ほど。夏になるとカラフルなパプリカを木のように実らせたいと思い、試行錯誤中。 今年は、ころたんメロン、星・ハート形きゅうりなど、子どもも大人もわくわくするような野菜の栽培にも取り組んでいます。…続きを読む
畑の土を野菜に優しく!土壌改良剤「消石灰(しょうせっかい)」とは?
どうして石灰資材が必要なの?
植物には、酸性の土壌で良く育つものと、アルカリ性の土壌で良く育つものがあります。日本は雨が多い気候で、土壌が酸性になりやすいため、石灰資材を使って酸度を調整する必要があります。消石灰も土の酸度を調整する資材の一つです。消石灰とは?成分、比重や化学式、英語名など
消石灰とはカルシウムの水酸化物であり、強いアルカリ性を示す石灰資材です。化学式ではCa(OH)2で、かさ比重は0.4~0.55程度。英語ではSlaked limeと呼びます。農業から食品、乾燥材まで!幅広い用途
農業における土壌改良剤として、また食品のpH調整剤や化学合成原料、乾燥材など幅広く使われています。消石灰の効果は、消毒効果や土壌をアルカリ性にすること
野菜の中には酸性土壌ではうまく育たない作物もあります。例えばほうれん草は酸性土壌を嫌うため、種まきの前に消石灰を土にすき込み、pHを6.5~6.8程度にするとよく育つといわれています。また土壌の酸度の調整以外では、長ネギ栽培の際に上から振り掛けると、軟腐病(細菌の寄生により、植物が腐敗・軟化して悪臭を発する植物病)に対して予防効果があるといわれています。
肥料効果はあるの?
消石灰には肥料効果はほとんどありません。上記で説明した通り、主に酸性の土壌をアルカリ性に近付ける土壌改良剤としての位置付けで使われています。消石灰、苦土石灰(くどせっかい)、生石灰(きせっかい)との違いは?
苦土石灰は、ドロマイトを原料にし、炭酸マグネシウム(苦土)と、炭酸カルシウム(石灰)を両方含んだ石灰資材です。即効性はないですが、じわじわ効いていくのが特徴です。また、植物の細胞膜を強くし、病気に強くなるため、野菜栽培に幅広く使用されています。
生石灰は、石灰石を焼いたもので水と反応すると100℃近くまで発熱するため、あまり畑では使われません。ただし即効性があるので、害虫駆除のための葉面散布として使用することができます。
消石灰は、苦土石灰とどう使い分けると良いの?
消石灰は、肥料と同時に散布せず、前もって散布しておくことが良い野菜を作るコツなので、何も作付けしていない畑で、次作の準備で使うと良いです。降雨の前に散布し、トラクターで耕うんします。1カ月程度経過してから植え付けなどを行います。一方、苦土石灰は散布後すぐに植え付けも可能で、マグネシウムも含んでいるため、葉緑素の栄養分の補給としておすすめです。
それぞれのアルカリ分はどの程度?
生石灰はアルカリ分80%程度、消石灰は60%程度、苦土石灰は50%程度です。消石灰を畑で使う前の注意点
消石灰は失明のリスクあり!水濡れで発熱の可能性も
消石灰は、目に入ると失明の危険があるため、必ずゴーグルおよびマスク、手袋を着用して散布します。また、生石灰ほどではないですが、水濡れで発熱する場合があります。発熱すると80~100℃など高温になることがあり、触るとやけどをする可能性が大きいです。保管の際は、水濡れしないよう注意してください。
まき過ぎ注意!ほうれん草が失敗するケースも
酸性土壌では育ちにくいほうれん草は、アルカリ性の土壌が好きなのではなく、酸性が苦手なのです。ほうれん草の場合、pHは 6.5~7.0程度。土壌が弱酸性~弱アルカリ性であることが適しているので、消石灰を際限なくまくと枯れてしまいます。肥料と同時にまかないこと
肥料の窒素成分と、消石灰のアルカリ分が反応すると、アンモニアガスが生成され植物を枯らしてしまうため、消石灰と肥料は同時に入れないようにしましょう。畑には、「肥料用消石灰」を使う
生産者保証票又は輸入業者保証票が付いているものが、肥料用消石灰です。生産する事業者は、管轄する都道府県に登録をする必要があります。
前もってSDSを確認して!万が一の際の応急措置を知る
肥料用消石灰には、化学物質の有害性、取扱い上の注意、応急措置や連絡先が記載されたSDS(化学物質等安全データシート/Safety Data Sheet)が必ず添付されているはずなので、使用の前には必ず内容を確認してください。参考:日本ケミカルデータベース株式会社「SDS(Safety Data Sheet)とは?」
消石灰をフル活用!向き・不向きの野菜、撒き方、使い方
消石灰が使える野菜・果樹とは?
消石灰が使える野菜には、酸性土壌が苦手なほうれん草のほか、えんどう豆、アスパラガス、ビートなどがあります。果樹では、ぶどうやいちじく、柿などが有名ですが、鉢栽培には成分が強力過ぎる消石灰は不向き。果樹鉢には、ゆっくりじわじわ効いて障害の起きにくい苦土石灰を、年に1度補給するがおすすめです。消石灰不向きの野菜とは?
さつまいもやじゃがいも、ブルーベリーなどは酸性土を好みます。消石灰では成分が強過ぎるため、このような作物には入れない方が良いです。基本的な撒き方は、機械を使う
ムラなく散布するには、散布機を使うと効率が良いです。ゴーグルや、マスク、手袋も忘れずに着用してください。基本的な使い方は、畑の酸度調整として
土壌酸度を1上げるために必要な消石灰の標準的な使用量は、土1kgに対して1g程度。1平米あたりなら100g程度(深さ10cmの場合)。畑の酸度を測定してから、投入量を決定するのが基本です。手軽に買えるおすすめの消石灰
消石灰 4kg
肥料用 消石灰 4kg
酸性土壌を中和し、地力を高め、土の消毒になります。10〜30cm位土を掘り起し、消石灰をまぜて使用します。苗、種をまく時は7〜10日前に1坪当り500g程度、1平米当り150g位、5号鉢(直径15cm)で5g位がおすすめ。
顆粒消石灰10kg
消石灰 20kg
消石灰におすすめの散布機、保護用ゴーグルやマスクも
背負い式で低価格の散布機
石灰から眼を守るゴーグル
興研 防塵眼鏡クリアーライト(農業用)
農薬散布用の防塵ゴーグルタイプの軽量、視界もクリアな保護めがねです。ゴーグルタイプで、顔にしっかりと密着し、防じんや風で石灰や農薬などの飛散から目を守ります。
・重量:200g
・重量:200g
防塵マスクで、石灰粉末の吸い込みを防ぐ!
石灰資材でも安心のロンググローブ
消石灰を投入する前に!pHや、窒素・リン酸・カリウムまで測定「みどりくん」
散布後の使用や消毒としての使い方
散布後は、土に混ぜ込んで使用
土壌の酸度調整で使用する場合は、散布後にトラクターや耕運機などですき込んで使用することもできます。消石灰は消毒でも使える
ねぎの赤さび病予防のために、消石灰をねぎに振り掛けることがあります。また、土壌全体に撒き、アルカリ性にして病原菌の活動を抑えることができます。ただし石灰自体に消毒効果はあっても防虫効果はありませんので、別途薬剤の散布が必要です。