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株式会社グリーンフィールドプロジェクト
松崎 英【株式会社グリーンフィールドプロジェクト】有機認証の中でも厳しいとされる「ヨーロッパ有機認証」を取得した、有機種子を輸入・販売。2017年には、日本の固定種を残すことを目的とした「SAVE THE SEED (セーブ・ザ・シード)プロジェクト」を開始。「有機栽培するなら、その種も有機種子であってほしい」という思いから、日本での有機種子の普及に尽力しています。 HP:http://gfp-japan.com/…続きを読む
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今回は種子販売会社「株式会社グリーンフィールドプロジェクト」で代表取締役を務める、松崎英(ひで)さんに、家庭菜園で育てやすいカブの種類についてお伺いしました!
日本各地で古くから育てられている野菜!カブの種類を知ろう
海外では北欧の寒い地域以外であまり食べられていなかったカブですが、日本では古くから葉も根も好んで食されています。カブの種類や家庭菜園で育てやすい品種の選び方について、松崎さんに教えていただきました!カブの種類はバリエーション豊富!
カブは日本に自生していた在来種で、豊富なバリエーションを持つ野菜です。サイズはラディッシュのような小さいものから、聖護院ダイコンのような大きなものまであり、ダイコンのように細長い形のカブもあります。カブの品種がこれほどまでに多い理由は、ダイコンやカラシナ以外のアブラナ科の野菜(ハクサイ・コマツナ・ツケナなど)と交雑しやすい性質を持ち、各地方の料理に結び付いた品種が根付いたとされているからです。
GFP松崎さん
関東以北の品種は小カブ、関西以南は中カブが大半です。また京都には、千枚漬けに使われる「聖護院カブ」という大カブの品種もあります。カブは主に漬け物で食べるのが一般的ですが、最近では漬け物需要が減りつつあるため消費量も減少気味です。
固定種と在来種の違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック
松崎さんが伝授!カブの系統別の違い
カブは系統によって、トウ立ちのしやすさ、葉の質感、食感などに違いがあります。主流となるカブの系統は、栽培する地域によって異なるのが特徴です。系統 | 特徴 |
アジア系 | 葉の生育が立性・表面がつるつるしている・肉質が柔らかめの系統が多い・トウ立ちが早い |
欧州系 | 葉の生育が開張性・葉や茎の表面にうぶ毛がある・肉質が硬めの系統が多い・トウ立ちが遅い |
中間系 | アジア系と欧州系の間の性質を持つ |
GFP松崎さん
カブは系統的にアジア系 欧州系、中間系の3種類あります。一般的に関西より南はアジア系の品種、関東より北は欧州系の品種が多いとされていますが、中間系も広まっているため明確な区分けはあまり感じられません。
カブは関東と関西で食べ方が違う?
カブは関東では主にかぶら(根の部分)を食べますが、関西では葉の部分もよく食べられています。特に関西の漬け物では、かぶらと葉を一緒に漬けたものが一般的です。GFP松崎さん
関東ではカブの葉をあまり食べないせいか「金町小カブ」などの関東系の品種は、関西系より葉が短いものが多くあります。
家庭菜園向けのカブの品種を選ぶポイント
初心者が家庭菜園でカブを育てるときは、栽培期間が短い小カブがおすすめです。品種ごとに収穫時期は異なりますが、大きく育てようとして適期を逃してしまうとカブの実が割れてしまうため、少し早めに収穫しましょう。GFP松崎さん
カブは栽培環境や方法が合っていれば、育てやすさに大きな違いはありませんよ。
早く収穫できる!おすすめの小カブの種類 3選
小カブは、収穫までの期間が比較的短いのが特徴で、狭いスペースやプランターでも栽培しやすいメリットもあります。家庭菜園初心者でも育てやすい小カブの品種について、松崎さんに教えていただきました。1. みやま小カブ|約1カ月程度で収穫できる!
種まきから約40日前後で収穫できる早生系の品種です。小粒なので丸ごと蒸してホットサラダにしてもおいしく食べられます。GFP松崎さん
みやま小カブは、金町小カブ系の品種で葉が短いのが特徴です。日本に古くから伝わる野菜なので、固定種の野菜を育てる楽しみも味わえますよ!
みやま小カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:3~5日
・収穫までの期間:35~45日
松崎さんおすすめ!みやま小カブの種
野口のタネ「みやま小かぶ」2. 金町小カブ|根も葉も味が良い小カブの代表的品種
極早生で栽培期間が短い小カブの定番品種。柔らかな繊維で食感も良く、甘みと独特の風味があります。金町小カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:2~5日
・収穫までの期間:30~40日
松崎さんおすすめ!金町小カブの種
3. あやめ雪|甘さと柔らかな肉質に定評あり
根の上部が紫色、下部が白色の見た目が美しい品種。きめ細かい肉質と甘みの強さが特徴です。あやめ雪の栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:2~5日
・収穫までの期間:40~60日
松崎さんおすすめ!あやめ雪の種
食べごたえ抜群&初心者でも育てやすい!おすすめの中カブ・大カブの種類 3選
直径8~10cm程度の中型や直径15cm以上の大型のカブの中で、松崎さんが選んだ家庭菜園で栽培しやすくておすすめの品種はこれ!4. 天王寺カブ|甘みが強くておいしい!
病気に強く生育旺盛で育てやすい早生系のカブ。直径10cm程度の中型のカブが育ちます。GFP松崎さん
天王寺かぶはブランド品種で、買うと高いため、家庭菜園で育てるのにおすすめです。
天王寺カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:3~5日
・収穫までの期間:50~60日
松崎さんおすすめ!天王寺カブの種
5. スワン|小~大まで好みのサイズで収穫できる
みっちりした肉質で甘みが強く、生食でサラダにしても食べやすい品種。間引きしつつ、小カブから中カブ、直径12cm程度の大カブまで随時収穫できるのも魅力です。スワンの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:3~5日
・収穫までの期間:40~60日
松崎さんおすすめ!スワンの種
6. 聖護院カブ|千枚漬けの定番品種!
京都の千枚漬けに利用される大カブで、直径15cm程度まで育ちます。収穫までに時間はかかりますが、育てがいのある品種です。聖護院カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:3~5日
・収穫までの期間:60~80日
松崎さんおすすめ!聖護院カブの種
食卓が華やかに!おすすめのカラフルなカブの種類 4選
鮮やかな赤や紫色のカブは、味が良いのはもちろん、漬け物やサラダに入れてもよく映え、食卓を華やかにしてくれます♪7. 大野紅カブ|葉の軸までしっかり赤い!
葉軸と表皮は紅色、果肉もやや赤みのある大野紅カブ。北海道原産の伝統野菜で、赤カブ系品種の親元にもなる代表的なカブです。大野紅カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:2~5日
・収穫までの期間:40~60日
松崎さんおすすめ!大野紅カブの種
8. 万木カブ|程良い柔らかさが特徴
きめ細かな肉質に、豊かな風味を兼ね備えた万木(ゆるぎ)カブ。葉軸は青く、表皮は鮮やかな赤色。漬け物にするとピンク色に染まります。
万木カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:3~5日
・収穫までの期間:40~60日
松崎さんおすすめ!万木カブの種
9. 温海カブ|硬めでコリコリした食感が楽しい♪
温海(あつみ)カブは、肉質はやや硬めで歯ごたえのある赤カブ。甘酢漬けによく使用されています。表皮は薄く濃い赤紫色で、甘みの強さが特徴です。温海カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:2~5日
・収穫までの期間:40~60日
松崎さんおすすめ!温海カブの種
10. 日野菜カブ|ユニークな形と2色の美しい色が特徴
細長く上部と下部で色が異なる珍しい品種です。酸味と辛味を兼ね備えていて、浅漬けにすると美味!日野菜カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:3~5日
・収穫までの期間:40~60日
松崎さんおすすめ!日野菜カブの種
煮込んだり薬味にしたり♪漬け物以外でもおいしいカブの種類 2選
漬け物で食べることが多いカブですが、種類によっては煮込んだりすりおろして食べるのがおいしいものもあります。漬け物以外に合うカブを育ててみたい方におすすめの品種を紹介します。11. ルタバガ(スウェーデンカブ)|煮込み料理でも崩れず美味!
ジャガイモのように硬くゴツゴツした形状で、スウェーデンが原産地のカブ。加熱すると甘みが増し、崩れにくいためシチューや炊き合わせなどの煮込み料理にもぴったりです。ルタバガ(スウェーデンカブ)の栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:20~25℃(発芽)、15~25℃(生育)・種まき時期:8~10月
・発芽日数:3~5日
・収穫までの期間:70~100日
松崎さんおすすめ!ルタバガ(スウェーデンカブ)の種
12. 遠野カブ|ピリッとした辛味で薬味にもぴったり
皮ごとすりおろして、そばやうどんの薬味として食べられている品種。香り豊かで青首ダイコンのように細長い形状が特徴です。遠野カブの栽培適温&栽培期間の目安
・栽培適温:15~20℃(発芽、生育)・種まき時期:3~4月、8~9月
・発芽日数:3~5日
・収穫までの期間:40~60日
松崎さんおすすめ!遠野カブの種
野口のタネ「遠野かぶ」プロが厳選!家庭菜園で栽培しやすいおすすめのカブの種類 特徴一覧
カブの品種名 | 特徴 | 種まき時期 | 収穫までの期間 |
みやま小カブ | 小型 | 8~10月 | 35~45日 |
金町小カブ | 小型 | 8~10月 | 30~40日 |
あやめ雪 | 小型 | 8~10月 | 40~60日 |
天王寺カブ | 中型 | 8~10月 | 50~60日 |
スワン | 小〜大型 | 8~10月 | 40~60日 |
聖護院カブ | 大型 | 8~10月 | 60~80日 |
大野紅カブ | 赤色、中型 | 8~10月 | 40~60日 |
万木(ゆるぎ)カブ | 赤色、中型 | 8~10月 | 40~60日 |
温海カブ | 赤、中型 | 8~10月 | 40~60日 |
日野菜 | 白、紫、細長い、小型 | 8~10月 | 40~60日 |
ルタバガ(スウェーデンカブ) | 中〜大型 | 8~10月 | 70~100日 |
遠野カブ | 細長い、中型 | 3~4月、8~9月 | 40~60日 |
涼しい気候が好き!家庭菜園でカブを上手に育てるコツ
家庭菜園で元気なカブを育てる方法を、松崎さんがアドバイス!防虫対策以外は、特別に難しい管理がないのがいいですね。栽培中のカブへの水やりはやや多め
カブは栽培初期の段階から乾燥し過ぎない程度に、やや多めに水やりをしましょう。実割れを防ぎ、大きなカブが育ちます。早めに間引き&収穫する
カブは弱酸性の土壌に筋まきをして、早めに間引くのがポイントです。大カブを育てる場合は、点まきで4粒以上まきましょう。収穫までに3~4回間引き、育てたいカブの大きさに合わせて株間を調整します。GFP松崎さん
収穫のサイズの目安は、中カブなら直径10cm程度、小カブなら5cm程度です。早めに収穫することで実割れや病気などのリスクを減らせます。カブの白い部分が土の表面からのぞいているものの収穫にはまだ早い場合は、土寄せすると育ちやすいですよ。