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液体肥料の特徴や種類、家庭菜園でも使いやすいおすすめの液肥


液体肥料(液肥)は、固形肥料と比べて植物体が吸収しやすいことから、肥料の効果が早期に現れやすい性質をもっています。液体肥料(液肥)の種類や使用する際の注意点、家庭菜園でも使いやすいおすすめの液体肥料(液肥)などについて説明します。

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umi

農業資材メーカと農協にて6年間勤務。農家への栽培技術(農薬・肥料・栽培システムなど)の普及を担当。役立つ情報を初心者の方にもわかりやすくお伝えします。…続きを読む

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液体肥料

llustration:umi
液体肥料(液肥)とは、肥料の成分が水に溶けた水溶液の肥料です。固形肥料と比べて植物体が吸収しやすいことから、肥料の効果が早期に現れやすい性質をもっています。また、液体肥料(液肥)は主に水で希釈して与えるので、水やり時を利用して気軽に使うことができます。
本記事では、液体肥料(液肥)の種類や使用する際の注意点、家庭菜園でも使いやすいおすすめの液体肥料(液肥)などについて説明します。

液体肥料(液肥)とは?

液体肥料
出典:写真AC
液体肥料は、肥料生産技術の進歩とともに新たな肥料が開発され、現在ではさまざまな種類の液肥が販売されています。

液体肥料の主な特徴

液体肥料の主な特徴をみていきましょう。

均一に与えることができる

液体肥料は肥料成分が水に溶けているので、固形肥料と比べ均一に与えることができます。

土壌への浸透性が良く速効性

土壌中へ肥料成分が浸透しやすく植物にとっても吸収しやすいことから効果がすぐに現れる速攻性の肥料で、元肥としてよりも追肥として使います

▼速攻性など肥料の効き方についてはこちらをご覧ください。

▼元肥や追肥についてはこちらをご覧ください。

土壌から流亡しやすい

液体なので土壌から流亡しやすく、肥料の効果は長続きしません

液体肥料の種類

液体肥料の種類には、大きく分けて化学肥料を原料とした「化学液肥」と、有機肥料を原料にした「有機液肥」、化学原料と有機物の両方を原料とした「有機入り液肥」があります。

化学液肥(無機液肥)

化学肥料を原料とする化学合成された液肥で、無機液肥とも呼ばれます。現在液肥と呼ばれるほとんどの種類はこの化学液肥です。

有機液肥

一般的に有機物のみを原料とした液体肥料のことです。

日本古来の有機液肥「下肥(しもごえ)」
窒素やリン酸、カリが含まれる人の糞(ふん)や尿を原料にした日本古来の液体肥料。作物を栽培する上で欠かすことのできない液肥でした。

▼有機肥料についてはこちらをご覧ください。

有機入り液肥

化学肥料と有機物の両方を原料として含み、窒素成分の0.2%以上が有機由来であるものが有機入り液肥と表記されています。

液体肥料の使用方法

「土壌に散布、灌注する液体肥料」と「植物体に散布する葉面散布剤」があります。液体肥料の種類によって、土壌に散布、または灌注なのか、葉面散布なのかが異なるので十分に確認した上で使用してください。

土壌に散布・灌注

液体肥料を土壌に散布、または灌注することで肥料成分を根から吸収させます

植物体に散布(葉面散布)

植物体に直接散布することで植物体の茎や葉から肥料成分を吸収させます

▼葉面散布剤についてはこちらをご覧下さい。

液体肥料と間違いやすい「活力剤」と「植物成長調整剤」とは?

液体肥料と間違いやすいものに「活力剤」と「植物成長調整剤」があります。液体肥料と何が違うのでしょうか?

活力剤

肥料と呼ばれるものには、肥料取締法という法律で肥料成分の含有量の基準が定められています。一方で活力剤は、肥料成分は含まれていても基準値に満たないため肥料ではありません
人間に例えるならば、肥料は食事、活力剤はサプリのようなもの。活力剤だけでは作物を育てることはできません。

▼肥料取締法の肥料の種類についてはこちらをご覧ください。

植物成長調整剤

植物成長調節剤は、本来植物体内で生成される「植物ホルモン」を人工的に与えることで生育を促進・抑制し、作物の品質向上や収量増加などを目的として使用します。農薬の一種なので肥料ではありません

▼植物成長調整剤についてはこちらをご覧ください。


液体肥料(液肥)を使用する際に注意すること

注意
出典:写真AC
続いては液体肥料を使用する際に注意することについて紹介します。

液体肥料を使用する前の注意点

液体肥料を使用する前に注意する点とはどんなことでしょうか?

正確な希釈濃度

希釈濃度より薄いと効果が期待できなかったり、反対に濃度が濃いことで肥料やけを起こして植物が枯れてしまったりする問題が起きます。希釈濃度や使用する液体肥料の量の間違いを防ぐ「希釈早見表」や「希釈倍率の計算アプリ」、「希釈キット」などがあるので活用してみましょう。

【希釈早見表】
例えば、「希釈倍率500倍」の散布液を「5L」作る場合、希釈早見表を参照すると使用する液体肥料は「10ml」です。
使用する液体肥料(ml)散布量(L)
12510
希釈倍率(倍)502040100200
100102050100
250482040
500241020
100012510
20000.512.55
【希釈倍率の計算アプリ「簡単希釈計算機】
希釈倍率と散布量から使用する液体の量を計算してくれるアプリです。
※iPhone用もAndroid用もアプリは無料ですが、ダウンロードや利用時のパケット通信料がかかります。

・iOS版はこちら
・Andoroid版はこちら

【液肥希釈キット】

ハイポネックス専用かんたん液肥希釈キット

ハイポネックス原液を本体にセットするだけで約250倍に希釈できます。
液肥の面倒な希釈や重いジョウロでの水やりを解消できます。

・サイズ:257×257×192mm
・重さ:1.36kg

ほかのものとの混合は要注意!

液体肥料の中には、農薬や石灰硫黄合剤、アルカリ資材などと混合すると有毒ガスが発生する恐れがあり危険なものがあります。液体肥料のパッケージに注意書きが記載されている場合もありますが、農薬やほかの肥料との混合可否については農薬メーカーや肥料メーカーにお問い合わせください。

▼農薬を安全に使用することならこちらをご覧ください。

液体肥料使用時の注意点

元肥を混合した用土の場合は、植え付け・種まきから3週間後、混合されていない用土の場合は1週間経過後を目安に液体肥料の使用を開始しましょう。

薄めた希釈液は残さず使い切る

液体肥料は水で希釈すると肥料成分が変化しやすくなるため、希釈液はその日のうちに使用するようにしましょう

追肥のタイミング

液体肥料だけで追肥を行う場合は1週間ごとを目安に与えます
※液体肥料の種類によって異なるので、記載されている使用方法をご確認ください。

高温時の多量使用

有機成分を含む液体肥料を高温時に多量に与えると、有機成分が急激な分解によって有機酸や炭酸ガスを発生し作物の生育を阻害する可能性があるため注意が必要です。

液体肥料を使用した後の注意点

液体肥料を使用した後に注意する点をみてみましょう。

使用後の器具は十分に水で洗い流す

肥料成分によっては乾くとノズルが詰まったりするものがあるため、希釈や散布に使用した器具類は使用後すぐに水で洗い流しましょう。

使用後の希釈液

希釈液をペットボトルに入れてそのまま置いておくと、子どもが飲料水と間違えて飲んでしまう可能性があるので、必ず使い切るか廃棄しましょう
誤って大量に飲んだ場合は、気持ちが悪い、吐くなどの症状が出ることがあります。応急処置や受診の必要性などがわからない場合は、中毒110番に相談してください。

応急処置などの緊急情報は「公益財団法人 日本中毒情報センター 」へ
・大阪中毒110番:072-727-2499(24時間)
・つくば中毒110番:029-852-9999(9~21時対応)
化学物質(家庭用品、医薬品、農薬などを含む)及び動植物の毒によって起こる急性の中毒について、応急処置などの緊急情報を提供。
※これらの情報提供は、一般市民向けに無料で行っていますが通話料は相談者負担です。


家庭菜園でおすすめの液体肥料(液肥)

肥料
出典:写真AC
液体肥料といってもさまざまなものがあり、どのようなものを選べばいいのか悩みますよね。ここでは家庭菜園でも使いやすいおすすめの液体肥料をいくつか紹介します。

土壌にさすタイプ(アンプル肥料)

アンプル肥料は100均で扱いがある場合もありますが、肥料ではない活力剤がほとんどなので注意しましょう。

ハイポネックス 花や野菜の肥料アンプル

鉢やプランターにさすだけで簡単に使用できるアンプルタイプの液体肥料です。生育を旺盛にし、花色を良く緑を鮮やかにします。

・内容量: 35ml×10本入
・保証成分量(%):窒素(0.12)、リン酸(0.2)、カリウム(0.1)

薄めずにそのまま土に直接散布

そのまま使える花工場 植物全般用

薄めずにそのまま使え、すばやく効く液体肥料です。
キャップを開けて直接土壌に散布して使用します。

・内容量:700ml
・保証成分量(%):窒素(0.1)、リン酸(0.2)、カリウム(0.1)

水で薄めるだけで使用できる

ハイポネックス原液

植物の健全な生育に必要な15種類の栄養素をバランス良く配合した効果がすぐに現れる速効性の液体肥料です。

・内容量:800ml
・保証成分量(%):窒素(6)、リン酸(10)、カリウム(5)

植物の生長段階を問わず同じ濃度で使用できる

ハイポニカ液体肥料

野菜・樹木・観葉植物などさまざまな植物の栽培に利用できます。
A液、B液を同じ量、水に希釈して使用します。

・内容量:A液500ml、B液500ml

肥料やりとアブラムシ駆除が同時にできる

ハイポネックス原液 殺虫剤入り

水で薄めて株元へ処理するだけで、肥料とアブラムシ類の防除ができます。
浸透移行性に優れているので、根から吸収されると植物全体に行き渡ります。

・内容量:450ml
・保証成分量(%):窒素(3)、リン酸(5)、カリウム(2.5)
・有効成分:ジノテフラン(殺虫成分)

土壌散布と葉面散布の両方で使用できる

万田アミノアルファ

果実類・穀類・海藻類など数十種類の原材料を3年以上発酵・熟成させた植物発酵生産物に液体肥料を配合して使いやすくしたものです。

・内容量:500ml
・保証成分量(%):窒素(5)、リン酸(5)、カリウム(5)

肥料成分を葉面散布で補う

メリット青

リン酸(ポリリン酸)が高い肥料効果を示し、pHが中性で安心して使用できる葉面散布剤です。
メリット青は窒素が多い種類で生育促進、葉色改善、風水害対策に使用できます。

・内容量:1kg
・保証成分量(%):窒素(7)、リン酸(5)、カリウム(3)

メリット黄

メリット黄は窒素が少ない種類で着果促進、果実・根茎肥大(花芽分化)に使用できます。

・内容量:1kg
・保証成分量(%):窒素(3)、リン酸(7)、カリウム(6)

メリット赤

メリット赤はリン酸とカリウムが多い種類で成熟促進、徒長抑制、花芽分化(着果促進)に使用できます。

・内容量:1㎏
・保証成分量(%):窒素(0)、リン酸(10)、カリウム(9)

液体肥料(液肥)を上手に活用して家庭菜園を楽しもう!

家庭菜園
出典:写真AC
液体肥料は、土にさすだけのアンプル肥料や、水に薄めずそのまま使用できる液肥、希釈してから水やりをするように土壌に施すものなどさまざまな種類があります。液体なので固形肥料と比べて均一に肥料の成分を施すことができ、家庭菜園においても使いやすい速効性の肥料です。一方で、肥効が長続きしないという性質もあるので、追肥は定期的に行うようにしましょう。

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