タバコガ類(タバコガ・オオタバコガ )を駆除・防除する方法

トマトやミニトマトなどのナス科作物を食害するタバコガ類の生態や卵・幼虫・成虫の特徴、早期発見するためのポイントを紹介します。農作物に多大な被害を及ぼさないために未然に防ぐ予防方法や有効な農薬など駆除対策をしっかりおさえましょう!


オオタバコガ  花

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育てている野菜の葉や果実に穴が空いている、そんなときは作物に害虫のタバコガ類が潜んでいるかもしれません。
タバコガ類のなかでも特に作物を食害する「タバコガ」と「オオタバコガ」の発見のポイントや予防対策、使用する薬剤について初心者の方にもわかりやすいように紹介します。

タバコガ類とは

オオタバコガ  幼虫
出典:wikimedia
タバコガ類は鱗翅目(りんしもく)というガの仲間で、タバコガとオオタバコという害虫が農業では問題となります。

タバコガとオオタバコガ

オオタバコガは1990年代から発生が多く、特に西日本の果菜類や花き類を中心に被害が問題となっています。
オオタバコガはタバコガよりも活動時期が長く、また好む植物の種類が多いことから、タバコガより繁殖力が強く農業で重要害虫となっています。
オオタバコガとタバコガは見た目がよく似ているため、幼虫で区別することは難しいです。成虫では後ろ羽の模様で区別することができます。
名前  タバコガ オオタバコガ
写真 タバコガ
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オオタバコガ
出典:flickr(photo by Ilia Ustyantsev)
分類  鱗翅目/ヤガ科  鱗翅目/ヤガ科
活動する時期  5月上旬〜10月  5月下旬〜11月
発生温度  20~30℃  20~30℃
発生条件  雨が少ない  雨が少ない
生育サイクル  25℃で約1カ月(卵3日、幼虫2週間、蛹2週間)  25℃で約1カ月(卵3日、幼虫2週間、蛹2週間)
発生回数  3〜5回/年  3〜5回/年
好む植物  タバコ、トマト、ホオズキ、トウガラシなどのナス科植物  ナス、トマト、トウガラシ、ピーマン、オクラ、キュウリ、イチゴ、トウモロコシ、キャベツ、レタス、ニンジン、キク、カーネーション、トルコギキョウなど
天敵  タマゴバチ科の卵寄生蜂、ヒメバチ科、コマユバチ科の幼虫寄生蜂  タマゴバチ科の卵寄生蜂、ヒメバチ科、コマユバチ科の幼虫寄生蜂

タバコガ類の発生が多いのは8〜9月

5月以降に活動をはじめて、8〜9月にピークを迎えます。
高温と乾燥を好み、夏期が高温で雨が少ない年に発生が多い傾向にあります。

タバコガ類の生態

タバコガ類の卵は生長点部の葉や花蕾(からい)に1個ずつ産み付けられ、2~4日でふ化します。幼虫はふ化すると5〜6齢まで脱皮します。
若齢幼虫は植物体上で食害し、中齢期以降は結球部や果実内に食入します。1頭の幼虫が移動しながら次々と加害していくため、幼虫の数が少なくとも被害は大きくなります。
老齢幼虫は土に潜り、地表下数cmの所で蛹化(ようか)して土中で越冬します。
※蛹化とは昆虫が幼虫から蛹(さなぎ)になるときに行う脱皮・変態のこと。

タバコガ類卵の特徴

 饅頭(まんじゅう)型
 淡黄色
大きさ  直径0.5mm前後
産卵場所  若い葉、花、蕾、果実など
産卵個数  400~700個

タバコガ類幼虫の特徴

オオタバコガ  幼虫
出典:flickr(photo by David Short)
若齢幼虫 終齢幼虫
 淡緑色〜濃褐色  淡緑色〜濃褐色
体長  約10mm  35mm~40mm
食害部  新芽や蕾、果実  花・茎・葉(中齢幼虫以降)

タバコガ類成虫の特徴

名前  タバコガ  オオタバコガ
模様  後翅は暗色にならない  後翅に黒帯がある
 黄褐色  緑灰色~黄褐色
体長  約15mm  15〜20mm

タバコガ類に類似するヨトウムシとの見分け方

同じような大きさの害虫にシロイチモジヨトウがいますが、タバコガ類の幼虫には体にまばらに剛毛(ごうもう)が生えていることから見分けることができます。

タバコガ類被害と発見のポイント

幼虫が1匹でどんどん食べ進むのが特徴です。内部に潜り込んでいき、果実や結球している葉菜類では穴があき内部が食害されます。

葉菜類

結球する葉菜類では幼虫が内部に向かって食害していくため被害の発見が遅れます。
また、内部に潜り込むため農薬の効果がありません。

レタス

若齢幼虫は新芽内に潜って食害するので、育苗期から結球前は被害が大きくなります。
中齢幼虫以降は食害量も多くなり、結球後でも球に潜って食害するほか、外葉を食害することもあります。

果菜類

新芽や果実を加害します。内部に潜り込んで食害し、果実には5~10mmの食入孔(しょくにゅうこう)がみられます。
穴が空いている果実は中に幼虫が潜んでいる可能性があるため、早期に摘果して圃場外で処分します。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

トマト

オオタバコガ  果実 食害
出典:wikimedia
最初に先端の新葉や花、蕾(つぼみ)に寄生します。葉に丸い穴が開いていたり、花蕾や茎葉が萎(しお)れている、また虫の糞(ふん)などを確認したら発生している可能性があります。
幼虫は中齢以降、果実に侵入していきます。果実に1〜5mm程度の穴が見られ始めたらただちに防除しましょう。
また、摘芯、摘花したわき芽や花などには卵や若齢幼虫がついている可能性があるので、圃場に捨てないように注意します。

花き類

新芽や蕾に侵入して食害し、商品価値が無くなるほか芯(心)止まりとなることもあります。
※芯止まりとは、新しい生長点が伸びず、茎の伸長が止まってしまうこと。

キク

若齢幼虫が新芽部分に侵入して食害し芯止まりとなったり、展開してくる葉が穴だらけになったりします。
蕾に侵入し食害した場合は品質が大きく低下します。


タバコガ類に有効な3つの対策

タバコガ類の被害が大きくなる前にできる対策について説明します。

1. タバコガ類の侵入を防ぐ

作物に成虫が飛来することを防ぐことで、食害の予防をします。
苗の時期から寒冷紗や防虫ネットを展張します。施設栽培では入り口などの開口部に目合い5mm以下のネットを張ると飛来防止効果が高くなります。
ITEM
防虫ネット
防虫ネットは外敵から大切な農作物を守ります。
また、透光性・雨通し・強風暖和に優れ、育成促進効果で早期収穫!
縦縞のシルバーが太陽光線の反射で大切な農作物を害虫から守る効果があります!
農薬の使用量を減らし、安全安心な野菜を栽培するための代替技術として非常に有効です。

・サイズ:180cm×10m
・目合い:1mm目
・害虫侵入防止のための防虫ネットの目安:オオタバコガ・ハイマダラノメイガ・アワノメイガ・カブラハバチ・コナガ・アオムシ・ヨトウムシ類



2. タバコガ類を捕獲して駆除

圃場を見回って葉裏や花などにタバコガ類を発見したら駆除します。
新芽、蕾の付近に虫の糞を発見したら、新芽や蕾を分解して中にタバコガ類がいないか確認しましょう。

3. 農薬(殺虫剤)で駆除

タバコガ類の食害が深刻な生産者には、農薬の散布が有効です。
老齢幼虫になると薬剤の効果が極端に劣るので、若齢幼虫のうちに薬剤散布をします。
タバコガよりオオタバコガの方が薬剤に強く、有効な薬剤も少ないのが特徴です。生産者の方は、地域の防除指導機関やJAなどが推奨する効果の高い薬剤を選定し使用基準を守って作物にあった薬剤を使用しましょう。
家庭菜園の方は、駆除したい虫をしっかり把握したあと、必ず作物にあった薬剤を選びましょう。

発生が見られたら散布、予防にも効果的

ITEM
フェニックス顆粒水和剤
幅広い種類のチョウ目(鱗翅目)幼虫に優れた効果を示します。
効果持続性に優れるため、害虫に対して散布後長期間、安定した効果を示します。
速やかに害虫の摂食行動を阻害し、高い食害抑制効果を示します。

・内容量:100g
・有効成分:フルベンジアミド(20.0%)

多発時には7~10日間隔での散布がおすすめ

ITEM
ディアナSC
チョウ目害虫はもちろん、アザミウマ目害虫・ハエ目害虫に対しても防除効果を発揮するので、幅広い害虫の防除が可能です。            
チョウ目害虫に対して、速やかな摂食阻害活性を発揮するので、被害の拡大を抑制します。
収穫(茶は摘採)前日まで使用可能です。(稲は収穫7日前まで)

・内容量:100ml
・有効成分:スピネトラム(11.7%)


ITEM
プレオフロアブル
薬剤抵抗性を発達させた害虫にも、感受性系統と同様に高い殺虫活性を示します。
鱗翅目害虫に対しては速効的に作用し、中〜老齢期幼虫に対しても、若齢期幼虫とほぼ同等の高い殺虫活性を示します。
散布後の降雨による影響が少なく、残効性に優れています 。

・内容量:100ml
・有効成分:ピリダリル(10%)


▼農薬についてはこちらをご覧ください。

自然の力を利用したタバコガ類の対策

自然界に元から住んでいる害虫の敵(天敵)や、性フェロモンを使った防除方法を紹介します。

天敵

タマゴバチ科の卵寄生蜂、ヒメバチ科、コマユバチ科の幼虫寄生蜂、顆粒病ウイルスなどが自然界にいる天敵として知られています。
タバコガ類に対して微生物殺菌剤(顆粒病ウイルス)としては今のところ実用化はされていません。

天敵微生物(BT菌)

BT菌とは、昆虫病原性細菌(バチルス チューリンゲンシス)という微生物の総称です。
害虫がBT菌が作り出す毒素を食べて取り込むと、腹下りを起こして摂食を止めて、最終的にはBT菌が体内で増殖し、死亡してしまいます。
環境に優しい薬剤で訪花昆虫や天敵などへの影響が少なく、JAS(日本農林規格)で定める有機農産物生産に使用することができます。
また、薬剤に抵抗性を持った害虫が現れにくいのも特徴です。

エスマルクDF

BT菌のクルスターキ系統の殺虫力を利用しています。
若齢幼虫に有効なので、予防から発生初期に使用してください。
ITEM
エスマルクDF
鱗翅目害虫に幅広く高い防除効果を有し死菌剤に比べ効果が速く発現します。
ドライフロアブルの採用で高い殺虫活性と使い易さを実現いたしました。
人畜・魚介類・鳥類に対する毒性が低く 天敵・花粉媒介昆虫に対する影響もほとんどありません。

・内容量:100g
・有効成分:バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素(10%)

ゼンターリ顆粒水和剤

BT菌のアイザワイ系統の殺虫力を利用しています。
若齢幼虫に有効なので、予防から発生初期に使用してください。
ITEM
ゼンターリ顆粒水和剤
特に従来のBT剤で効果が低かったヨトウムシや、ほかの殺虫剤に抵抗性のついたコナガに高い効果を発揮します。
顆粒水和剤のため、粉立ちがなく水に溶けやすく扱いやすいです。
散布後、害虫が退治されるまでは時間を要しますが、食害は直ちに止まるため被害防止に役立ちます。効果はハスモンヨトウ(無降雨条件)で約1~2週間持続します。

・内容量:100g
・有効成分:バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素(10%)

フェロモン剤の使用(フェロモントラップ)

フェロモン剤とは、人工的に昆虫の性フェロモンを放出する製剤です。
圃場を偽の雌性フェロモンで満たして、雄が雌に辿り付けなくなり、後尾をさせないことで卵の産卵を防ぐ方法です。
もともと自然界で虫が利用している匂いなので、毒性が低く環境に安全です。

性フェロモン剤、コンフューザーV

タバコガのほか、ハスモンヨトウやコナガ、タマナギンウワバにも効果があります。1aで10〜20個必要です。
※本製品の購入はJAまたは農業資材店でご相談ください。

蛍光灯やLEDで成虫(蛾)の動きを抑制

タバコガ類の成虫(蛾)は夜行性のため、夜に蛍光灯やLEDライトで明るくすると蛾の活動が鈍くなり、交尾や産卵を抑制したり、他所からの飛来を防ぐ効果があります。
※夜蛾類は日光の500〜600nm付近の波長の光(緑から黄色)を昼間と認識します。
※作物によってはライトが生育に影響が出ることがあるため、使用には注意してください。

タバコガ類から作物を守るために

タバコガ類は発生してしまうと発見しにくく、農薬も効きにくい害虫です。作物に潜り込み、新芽や果実、結球内部を食害し作物の商品価値を失わせてしまいます。
日頃から卵や幼虫がいないか、注意して圃場を見回るようにします。また寒冷紗や防虫ネットで成虫の飛来を防ぐとともに、微生物農薬などで大発生を防ぎましょう。

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農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。