目次
八重咲きやまん丸い形がかわいらしいポンポン咲きなど、花の咲き方もいろんな種類があります。仕立て方によっては、一つの大きな花を咲かせることもできる日本の環境にも合います。
洋菊・スプレーマムの基本と特徴
スプレーマムの由来
スプレーマムはキク科キク属の多年草です。中国から伝わった菊が江戸時代に庶民の間にも広まり、その後ヨーロッパに渡って品種改良が行われ、よく枝分かれしてたくさんの花を咲かせる明るい花色が特徴のスプレーマムができました。
日本へは1970年代に導入され、菊と並んで秋の代表的な花として親しまれています。
そもそも菊は秋に花を咲かせる草花でしたが、品種改良により咲く時期が多様になりました。咲く時期によって、夏菊、夏秋菊、秋菊、寒菊と呼ばれています。スプレーマムは秋咲の品種が多くあります。
植物名 | スプレーマム |
別名 | スプレー菊 |
学名 | Chrysanthemum morifolium |
英名 | Spray mum |
科名 | キク科 |
属名 | キク属 |
スプレーマムと小菊の違い
スプレーマムも小菊も同じ菊の仲間ですが、スプレーマムは海外で開発された洋菊で、小菊は日本で昔からある和菊です。スプレーマムは、花の大きさが直径3~6㎝ぐらいのものが多くあります。小菊はスプレーマムよりも小さいものが多くあります。スプレーマムの花言葉と由来
スプレーマムは11月1日の誕生花です。花言葉は、「高潔」「清らかな愛」「気持ちの探り合い」。「高潔」は、和菊と同じ花言葉で、菊の気高く気品に満ちた花姿からと言われており、「清らかな愛」は、シンプルな形の花びらがたくさん集まって、美しい花をつくっている花姿からつけられたそうです。スプレーマムを育てる前に
日本で昔から育てられていた菊の性質を受け継ぐスプレーマムは、日本の環境に合っているので育てやすく、ガーデニングを始めたばかりの方にもおすすめしたい草花です。スプレーマムを育てる環境
日当たりと風通し、排水性の良い場所を選びましょう。植え付け時期
スプレーマムは開花期の違いによって植え付ける時期が多少前後します。スプレーマムの品種が多い11月に咲く種類は、苗の出回る4〜6月くらいに植え付け、摘芯を2度ほど行います。
ちなみに、8〜9月に咲く品種は4月、10月に咲く品種は4〜5月ごろまで、12月に咲く品種は4〜6月位までにそれぞれ植え付け、摘芯を1〜2度ほど行うようにします。
スプレーマムの苗の選び方
茎が太くて、葉の色が明るい緑色のものがおすすめです。何本か育てる場合は、同じような大きさの苗を選びましょう。
どんな色がある?
スプレーマムには、さまざまな花形がありますが、色合いもとても豊富。白やピンク、黄色、オレンジ、赤など明るい花色や、上品な落ち着きの薄紫色、薄いピンク色など、いろいろな花色があります。スプレーマムの品種について、もっと知りたい!
スプレーマムの植え付け
鉢植え栽培は、季節ごとスプレーマムの適した環境に場所を移動することができるので、上手に梅雨時期や冬越しをさせることができます。スプレーマムの鉢植え栽培
用土は、水はけの良いものを用意します。市販されている専用の培養土は、スプレーマムの必要とする養分が含まれているので、ガーデニングを始めたばかりの方におすすめです。
苗の植え付け
植え付けたばかりのスプレーマムは、根が活着する前に直射日光が強過ぎると、しおれてしまうことがあります。寒冷紗などで苗を保護しましょう。また、地面の温度が上がりやすい場所は、レンガやブロックなどで棚を作った上に置くなどして土中の温度上昇を防ぎましょう。
▼寒冷紗のことならこちらをご覧ください。
苗の植え付けの手順
スプレーマムの苗の根鉢を崩さないように注意します。根が乾燥しないように苗の上には2〜3cmの土、または腐葉土などの堆肥を被せます。
根が活着するまで水切れしないように気を付けましょう。
▼堆肥についてはこちらをご覧ください。
スプレーマムの地植え栽培
水はけが良く風通しの良い場所を選びます。苗の植え付け
植え付ける2〜3週間前に、緩効性肥料や腐葉土などの堆肥を施しましょう。菊乾燥肥料
容量:1kg
苗の植え付けの手順
鉢植えと同じ手順です。周りの土と苗をしっかり密着させます。株間は10cm以上あけて風通しの良い環境を作ります。
降雨の影響で葉や茎に泥がはね、病気を誘発させることがあります。根元にワラやバーク、腐葉土などの堆肥を敷くと、病気予防に効果的です。
▼バーク堆肥のことならこちらをご覧ください。
スプレーマムの日頃の管理
スプレーマムは日頃の水やり、肥料の与え方が花をきれいに咲かせるポイントとなります。スプレーマムの水やり
過湿には弱いので、表面の土が乾いてから水をたっぷり与えます。真夏は水温が高いと根を傷めてしまいますので、水やりは朝の涼しい時間帯に行いましょう。
鉢植えの水やり
鉢植えの水やりは水を与えるだけじゃない!
鉢底から流れるくらい水をたっぷり与えることは、水分補給以外にも良いことがあります。
それは土中の空気の入れ替えです。
土の中にも酸素が存在しています。私たちの部屋でも時々空気の入れ替えが必要なように、植物も時々空気の入れ替えが必要です。
鉢底から流れてくるくらい水をたっぷり与えることで、土中の水分とともに空気を入れ替え、土中の状態を良く保ちましょう。
地植えの水やり
基本的には雨水で十分補えますが、乾燥が続きスプレーマムの葉がしおれているときは水を与えましょう。スプレーマムの肥料
植え付けてから最初の施肥は、7〜10日後に行います。その後の施肥は、以下をご参考ください。鉢植えの肥料
液体肥料を1週間に1度、蕾ができるころまで与えて花を咲かせるための養分を補います。開花後は生育をみながら、必要なときに与えましょう。地植えの肥料
緩効性の肥料を約15日おきに与えます。生育状況にもよりますが、あまり肥料を与え過ぎると、過繁茂状態になるので注意します。
植え付け後、緩効性肥料なら2週間に1度、液体肥料なら1週間に1度追肥を施します。秋咲のスプレーマムなら、開花期前の9月上旬ごろを目安に追肥をストップします。開花後は、生育をみながら液肥を与えましょう。
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いろいろな植物の花付き、花、葉色を良くします。
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スプレーマムの病害虫
スプレーマムがかかりやすい病害虫を紹介します。病気
白さび病や立枯病、灰色かび病に注意します。害虫
アブラムシやスリップス、ハダニ、ヨトウムシ、キクスイカミキリなどの被害を受けることがあります。スプレーマムの仕立て方
スプレーマムの草姿を整え、たくさんの花を咲かせるために摘芯を行います。スプレーマムの摘芯
摘芯することで、栄養が側枝の付け根から伸びてくるわき芽に向かい、たくさんの花を咲かせてくれます。1回目の摘芯
植え付けから2週間ほどすると、スプレーマムの根が土にしっかり張ります。本葉が7〜8枚くらいまで生長したら、株の頂点にある生長点を指で摘み取ります。
2回目の摘芯
1回目の摘芯後に生長したわき芽が20cmほど伸長したころ、わき芽の頂点にある生長点を指で摘み取りましょう。スプレーマムの摘蕾
植え付けたらそのまま摘芯を行わずに、側枝の付け根から生えてくるわき芽や蕾を摘み取りながら育てていくと、栄養が頂点に集中して大きな花を咲かせる一輪咲きのように仕立てることもできます。花がら摘み
花がしおれたら、その花の付け根から切り取ります。こまめに摘んであげることで病気を防ぐことができます。
支柱立て
草丈が高くなってふらつくようになると株元が傷んでしまうことがあるので、支柱を立ててビニールひもなどで茎全体を囲って支えます。ビニールひもで囲うときには、締め過ぎてしまうと茎を傷めてしまったり、株の中の通気性を悪くする原因になるので、優しく囲うのがポイントです。
スプレーマムの花が終わった後の管理と冬越し
菊と同様にスプレーマムは多年草植物なので、毎年花を楽しむことができます。スプレーマムの花が終わった後の管理
種類によって花の咲く時期が異なります。剪定
花が咲き終わったら、地際から10〜15cmのところで剪定をします。お礼肥
緩効性肥料をお礼肥として与えます。▼お礼肥におすすめ!骨粉のことならこちらをご覧ください。
スプレーマムの冬越し
冬を乗り越えることで来年も花が咲きます。日中陽の当たる場所で管理し、霜に当たらないように根元に腐葉土などの堆肥を敷いて防寒しましょう。
冬の水やり
土が乾ききらない程度に水やりをしますが、霜が降りるような寒い時期の水やりは根を傷めますので控えます。スプレーマムの植え替え
同じ場所で育て続けると連作障害が起こり、株全体の生育や花つきが悪くなってしまいます。春先に別の場所へ植え替えましょう。植え替えの手順は苗の植え付けと同じように行い、なるべく根を傷つけないように新しい鉢や場所へ移し替えて水をたっぷりと与えます。
スプレーマムの花の楽しみ方
スプレーマムの花の楽しみ方を紹介します。切り花
次々に咲く花を切り花にして、花瓶に生けて楽しみましょう。花瓶に生けるときは、余計な下葉を取り除きます。茎の切り口は、手で折り取ることで断面積が大きくなり、水をよく吸い上げることができます。
スプレーマムの花の部分だけ生ける!
花弁が傷みにくいので、花だけ切り取って水に浮かべることもおすすめです。こんもりと丸い形のポンポン咲きなどを浮かべるとかわいいですね。スプレーマムの花を増やして楽しむ
スプレーマムは、2年目以降わき芽を切り取って挿し木にしたり、冬の間に出てくる冬至芽で株を増やすことができます。スプレーマムの花を挿し木で増やす
生育旺盛な茎の先は、挿し穂に適しています。挿し木の時期は植え付けと同じように、品種によって挿し木に適した時期が異なります。
8月に咲く品種は3月、9月に咲く品種は4月、10月に咲く品種は5月、11〜12月に咲く品種は6月ごろまでに挿し木を済ませます。
準備するもの
挿し芽・種まきの土
初期の発根を促すため、肥料成分を加えていません。
病原菌が進入した場合、その繁殖を抑制するためにpHは弱酸性に調節してあります。
発芽や発根の際の根の呼吸に必要な酸素を十分補給できるよう含空気孔隙率を高くなっています。
挿し穂の切り口に土が密着して水揚げを良くするよう土の粒子を考慮してあります。
・容量:5L
・原材料:ピートモス、鹿沼土など
挿し穂の準備
本葉が5〜6枚ついているわき芽を選び、茎のてっぺんから8〜10cm位のところを手で折り取るか、はさみなどでカットします。
生長点と本葉2〜3枚を残して下の葉は取り除き、大きい葉は蒸散のためしおれやすくなるので半分程度にカットします。
2〜3時間給水させたら、育苗ポットへ植え付けます。
このとき、切り口に発根促進剤をつけると発根しやすくなります。
挿し木後はたっぷり水を与え、直射日光を避けた半日陰で管理します。
住友化学園芸 ルートン 15g入
発根が促進されることで、挿し木、挿し苗の活着が良くなります。
・容量:15g
・有効成分:α-ナフチルアセトアミド
根が十分に発根したら
早くて約20日ほど、約1カ月後には定植できる状態にまで生長します。育苗ポット内にしっかり根が張ったことを確認しましょう。
手順は苗の植え付けと同じです。
スプレーマムの冬至芽での増やし方
スプレーマムは冬の間に株元から芽を出します。暖かくなってくる3月ころ、生育の良い芽を切り取って養生することで苗を増やすことができます。冬至芽で増やす時期
3月上旬〜中旬が適期です。
冬至芽での増やし方の手順
株元から離れた場所まで伸びている元気のいい芽を少し掘り起こして根が出ているところで切り取り、ポリポットに植え付けます。土の表面が乾いたら水をあげるように管理をしていくと、1カ月ほどで苗ができあがります。