チャノホコリダニを駆除・防除する方法

ナスやピーマン、イチゴを食害するチャノホコリダニの生態や卵・幼虫・成虫の特徴、早期発見するためのポイントを紹介します。農作物に多大な被害を及ぼさないために未然に防ぐ予防方法や有効な農薬(薬剤)、天敵など駆除対策をしっかりおさえましょう!


チャノホコリダニ コーヒー

出典:Flickr(photo by Scot Nelson)
育てている野菜の葉や果実がかすり状に食害されていたり、新芽やその周辺の葉が縮れてきた場合は、チャノホコリダニが発生しているかもしれません。
ナス、ピーマン、イチゴなど多くの野菜や草花に害を与えるチャノホコリダニの発見のポイントや予防対策、使用する薬剤について初心者の方にもわかりやすいように紹介します。

チャノホコリダニとは

チャノホコリダニ
出典:wikimedia
チャノホコリダニは、ダニ目ホコリダニ科に属するダニの仲間です。
チャノホコリダニの体長は、約0.2mmほどの大きさなので、肉眼で確認することが難しい小さな害虫です。
名前  チャノホコリダニ
学名  Polyphagotarsonemus latus
分類  ダニ目ホコリダニ科
多発時期  8~9月
発生適温  20~30℃
1世代期間  13〜17日(20℃の場合)
食害部  生長点、新葉など

チャノホコリダニの生態

比較的高温を好むため、北海道や東北地方、北陸地方などでは発生が少ない傾向があります。
チャノホコリダニは1世代あたりの発育スピードが早く、次々に増殖するのが特徴です。1回の産卵は50個ほどです。

卵の特徴

ホコリダニ
出典:wikimedia
 黄色〜透明(乳白色)
 扁平、長楕円形
特徴  表面に粟粒状の小突起

成虫の特徴

 色  淡黄緑色
 形  卵形
 大きさ  雌:約0.25mm
 雄:約0.2mm

発生時期

露地では8〜9月に発生が多くなりますが、施設栽培では周年発生します。

チャノホコリダニの越冬

成虫は枯死した植物や雑草などで越冬して、翌春の発生源となりますが、発育限界温度は約7℃なので、冬場気温が低い地方の露地栽培では越冬できません。

チャノホコリダニが発生しやすい条件

チャノホコリダニ被害
出典:Flickr(photo by Scot Nelson)
チャノホコリダニが好む条件について説明します。

高温多湿

気温は高い方を好み、25〜30℃で1世代あたりのスピードが5〜7日と非常に早く増殖します。
また、乾燥しているよりも、湿度が高い方を好みます。

好適植物が存在する

チャノホコリダニが好む、ナスやピーマン、チャなどの作物が植えられていると、発生が多くなります。


作物別チャノホコリダニの被害状況

ホコリダニ
出典:Flickr(photo by Scot Nelson)
チャノホコリダニの寄主範囲はかなり広く、ナスやピーマン、キュウリ、イチゴなどの野菜類のほか、シクラメン、ガーベラなどの花き類、カンキツ(柑橘)、チャ(茶)などで被害発生が見られます。

一般的なチャノホコリダニの被害状況

チャノホコリダニ(成虫・幼虫)は新芽や葉、つぼみや果実などを吸汁し加害します。
最初は葉がねじれるように食害されますが、発生が増加して被害が広がると葉は縮れていきます。
また、生長点が被害に合うと芯(心)止まりとなり、果実ではかすり状に傷ができ、幼果が被害に合うと硬化して肥大しなくなります。
※芯止まりとは、新しい生長点が伸びず、茎の伸長が止まってしまうこと。

野菜類

ナス、ピーマン、トウガラシ、イチゴ、メロン、インゲンなどに被害が発生します。

ナス

葉は萎縮して葉縁が裏側に巻き込み、光沢を生じ淡褐色となります。
生長点や果実のヘタの隙間に寄生することが多く、生長点が被害を受けると芯止まりになります。
果実ではガクの部分は表面が灰褐色になり、果実もサメ肌状となり、肥大せず裂果、奇形果となります。
つぼみに寄生すると、開花せず、花は奇形になることもあります。

ウリ科

キュウリなどのウリ科野菜では若い葉に発生すると葉縁が波打ち縮れるようになり、生長点で多発すると芯止まりになります。
キュウリでは果実がかすり状に褐変して曲がり果となり、スイカでは幼果に発生すると、果実全体が褐変硬化することもあります。

花き類

ダリア、ガーベラ、シクラメンなどに被害が発生します。

ガーベラ

葉、つぼみ、花など株全体に被害が及びます。生長点が被害を受けると被害部が褐変し、萎縮して芯止まりとなります。
つぼみでは、花弁が褐変して縮んで伸びなくなり奇形となります。

果樹・樹木類

カンキツやチャなどに被害が発生します。


チャノホコリダニに有効な5つの対策

チャノホコリダニの被害が拡大する前に行う対策について説明します。

1. 圃場周辺の環境整備

圃場周辺の雑草(スベリヒユ、クローバなど)や樹木(チャ、サザンカなど)がチャノホコリダニの発生源となるので、雑草は除去します。
樹木には薬剤を散布して、チャノホコリダニの発生を予防します。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

2. 好適作物を植え付けない

チャノホコリダニが好む植物を植え付けると増殖して圃場に飛来するので、本圃や育苗場所の周囲にはナスやピーマンといった植物を植え付けないようにしましょう。

3. 人の手による拡大に注意

整枝や収穫作業によって、発生を拡大させることがあります。病気予防の観点からも、1列ごとに手指やはさみは消毒する習慣をつけましょう。

ITEM
ハイアルコールスプレー アルコール除菌剤
表面の汚れや水分を充分に取り除いた後、表面がぬれる程度に噴霧するか、清潔なダスターなどに原液をよくしみこませて拭き取ってください。

・容量:1L

4. 農薬(殺虫剤)で駆除

はじめにチャノホコリダニは一部の株に被害が出て、その後一気に拡大していくので発生初期の防除を徹底します。
新芽や葉柄の付け根、果実の下手部分などに隠れているので、使用する農薬をたっぷり葉裏までムラなく散布します。
※生産者の方は、地域の防除指導機関やJAなどが推奨する効果の高い薬剤を選定し使用基準を守って作物にあった薬剤を使用しましょう。
※家庭菜園の方は、駆除したい虫をしっかり把握したあと、必ず作物にあった薬剤を選びましょう。

食用油脂でチャノホコリダニの気門を封鎖(窒息)

油を原料とした薬剤で、物理的にハダニを窒息死させます。
ITEM
サンクリスタル乳剤
薬剤耐性うどんこ病菌、薬剤抵抗性ハダニ類やアブラムシにも有効です。
有効成分は食用油脂で、収穫前日まで使用できます。
本剤は病害虫の体表面に付着することで効果を発揮します。

・容量:500ml
・有効成分:脂肪酸グリセリド(90.0%)

発生初期に散布

ハダニ類、アザミウマ類などとの同時防除も可能です。
ITEM
アファーム乳剤
作物の生育時期を選ばず、害虫の発生に応じた使用が可能です。
コナガ、アザミウマ類、ダニ類、ハモグリバエ類など、複数の害虫を同時に防除します。
収穫前日数が短く、適用作物も60種類以上と幅広く使えます。
速やかに分解し、長く残りません。

・容量:100ml
・有効成分:エマメクチン安息香酸塩(1.0%)

▼農薬についてはこちらをご覧ください。

5. チャノホコリダニの天敵を放飼

チャノホコリダニを捕食する天敵「スワルスキーカブリダニ」は生物農薬としても商品化されています。
地面に落ちないように葉に生物農薬のスワルスキーカブリダニをまいて放飼します(トマトではうまく定着できないようです)。アザミウマ類やコナジラミ類の天敵でもあるので、同時防除も可能です。
※ご購入、詳しい使用方法はJAまたは指導機関にご相談ください。

チャノホコリダニ対策後の確認と作業

上記の農薬や天敵殺虫剤を使用して防除した後に行う確認と作業について紹介します。

チャノホコリダニ駆除効果の確認

農薬散布後2~3日たったらルーペで確認します。
生きた虫が見当たらなかったら農薬の効果があったと判断しましょう。

蒸し込み

チャノホコリダニの被害にあった作物の栽培を終えたら、圃場の一箇所に集めてビニールをかけ太陽光をあてて1週間ほど放置して蒸し込み、卵、幼虫、成虫を殺虫しておくとさらに効果的です(夏期のみ)。
▼ハウス栽培での蒸し込みについてはこちらをご覧ください。

チャノホコリダニから作物を守るために

チャノホコリダニは葉や果実を食害し、生育を悪くしたり、作物の商品価値を失わせてしまいます。
小さい虫なので肉眼では確認できないため、作物の生育の様子に注意して圃場を見回るようにし、ほかの害虫の対策と合わせて、農薬で効果的に予防しましょう。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。