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結婚後田舎に移り住み、田んぼや畑に囲まれて暮らしています。旅先では道の駅やスーパーを巡って、地元直産の旬野菜を探すのが好きです。ガーデニングや日曜大工が好きな両親の影響で、ベランダ菜園とDIYに挑戦中。…続きを読む
出典:PIXTA
ジューシーで甘酸っぱい実がたくさんなる柑橘類は、実は手軽に栽培できて、果樹栽培の入門におすすめです。庭で栽培しやすく、食べてもおいしい人気の柑橘類の種類を紹介します!
柑橘類の魅力
出典:写真AC
食べておいしい柑橘類は、育てるうえでも魅力がたくさん!ほかの植物栽培と比較して魅力的に感じるポイントを、三つお伝えします。
一つ目は冬から春にかけて収穫できる点です。柑橘類は、ほかの植物が育ちにくい寒い季節に収穫時期を迎えます。寒さに負けることなく元気に育ち、おいしい果実も食べられますよ。二つ目は
冬でも常緑であることです。柑橘類は寒い冬でも青々とした緑色の葉っぱが生い茂ります。冬に庭の草木が枯れて、寂しくなるのを防ぎたい人にもぴったりですよ。三つ目は
鉢植えでも実がなるところです。果樹は地植えしないと実がならないイメージがありますが、柑橘類は鉢植えでも果実を育てることが可能です。庭がなくても育てられるのがうれしいですね。
自宅で育てられる!おすすめの柑橘類
多田錦(ユズ)
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育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★ | 80~100g前後 | 地植え:200~400cm、鉢植え:100~200cm |
かわいらしい小ぶりサイズのユズで、種が無いのが魅力的。果汁も多いので、料理にも使いやすいですよ。剪定せずに放置してしまうと大きく生長してしまうので、手入れはしっかりと行いましょう。販売されている苗は接木苗なので、結実も早く育てやすいですよ。
多田錦 苗木
・内容:1年生接木苗
・苗の高さ:60cm前後
ぷちまる(キンカン)
育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★ | 10~20g | 地植え:200~250cm、鉢植え:100~200cm |
キンカンの最高級品種で、種が無いのが魅力的なぷちまる。耐寒性、耐病性に優れており、害虫にも強いので初心者でも育てやすいですよ。収穫した果実は皮ごと丸かじりしたり、ジャムや甘露煮などにしたり、さまざまな楽しみ方ができるでしょう。
ぷちまる 苗木
・内容:1年生接木苗
・苗の高さ:約65cm
シシリアン(レモン)
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育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★ | 80〜150g | 150〜200cm |
トゲがなく、お手入れのときに扱いやすいレモンの品種です。香りと酸味が豊かで、バランスもいいですよ。木が若いうちはトゲが発生する場合もあるため、注意して作業するのがおすすめ。真冬には寒風を避けられるような対策をとるのが望ましいでしょう。
シシリアン 苗木
・内容:5号ポット植え接木苗
・苗の高さ:-
璃の香(レモン)
育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★★ | 200g | 地植え:200~250cm、鉢植え:100~200cm |
「リスボンレモン」と「日向夏」の交配種で、まろやかな酸味が特徴のレモンです。通常のレモンよりも大きなサイズで果汁も多く、皮がやわらかいので手で剥くことも可能。レモンがかかりやすい「かいよう病」に強く、トゲも少ないので手入れもしやすいですよ。
璃の香 苗木
・内容:1年生接木苗
・苗の高さ:60cm前後
宮川早生(温州みかん)
育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★★ | 100~120g | 地植え:200~250cm、鉢植え:100~200cm |
早生温州の代表種で、人気の品種です。耐寒性や耐暑性に優れていて初心者でも挑戦しやすく、毎年多くの果実を収穫できるでしょう。酸味と糖度が高く、バランスのよいおいしい実ができるのも魅力的で、果汁たっぷりのジューシーなみかんを楽しめますよ。
宮川早生 苗木
・内容:2年生素掘り接木苗
・苗の高さ:約80~100cm
ゆら早生(温州みかん)
育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★★ | 110g | 地植え:200~250cm、鉢植え:100~200cm |
収穫期の早い極早生種で、糖度が高く甘いみかんが収穫できます。みかんの王様ともいわれる宮川の枝変わりから誕生した、和歌山のブランド品種です。じょうのう膜と呼ばれる内側の皮がやわらかいので食べやすく、果実が完全に黄色くなる前に収穫が可能。
ゆら早生 苗木
・内容:2年生接木大苗
・苗の高さ:70cm前後
寿太郎温州(温州みかん)
育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★★ | 100~120g | 地植え:200~250cm、鉢植え:100~200cm |
収穫時期の遅い晩生品種で、糖度が高く濃厚な甘みが魅力的なみかんです。甘みと酸味のバランスがよく、フレッシュでジューシーな果実を楽しめますよ。収穫してすぐ食べることもできますが、少し時間を置くと適度に酸味が抜け、さらに風味豊かで濃厚な味わいに。
たねなしすだち(スダチ)
育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★★ | 25~30g | 地植え:200~300cm、鉢植え:100~200cm |
果実が従来種より小ぶりながら、種が入っていないのが魅力の品種。完熟する前に収穫し、味や香り、実の付き方は従来種と変わりありません。種がない分果汁が多く、なり始めも早いですよ。料理の香り付けに活躍し、砂糖をたくさん使えばジャムやジュースにもできます。
たねなしすだち 苗木
・内容:1年生接木苗
・苗の高さ:約70~90cm
土佐文旦(ブンタン)
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育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★ | 500g~1kg | 地植え:200~250cm、鉢植え:100~200cm |
グレープフルーツのような爽やかな酸味と甘みが特徴の、おいしい実が収穫できます。土佐分担は文旦の中では小さめの品種ですが、花も実も大きく、最大1kgほどの実を付けることもありますよ。果汁が多くてジューシーで、小玉の物は味が濃厚になりやすいでしょう。
土佐文旦 苗木
・内容:2年生接木大苗
・苗の高さ:70cm前後
農間紅八朔(ハッサク)
育てやすさ | 果実の大きさ | 最大樹高 |
★★★ | 300~400g | 地植え:200~400cm、鉢植え:100~200cm |
通常の八朔よりも果皮が赤いのが特徴で、味は苦みが少なく、糖度が高く甘くておいしい品種です。苦みや酸味が苦手な人でも食べやすいのがうれしいポイント。自家結実性は弱めですが、甘夏などの花粉が多い柑橘類が近くにあると、実が大きく育ちやすいでしょう。
農間紅八朔 苗木
・内容:15cmポット苗 ・苗の高さ:約100cm
柑橘類基本の育て方
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ここからは、柑橘類の基本的な育て方について解説していきます。「土づくり」「植え付け」「水やり」「肥料」「収穫」の段階ごとに詳しく説明しますよ。柑橘類の栽培ではどのような作業をするのか知って、収穫までの流れをイメージしてみましょう!品種ごとの育て方のポイントや注意点などは、「自宅で育てられる!おすすめの柑橘類」で紹介した内容も参考にしてみてくださいね。
栽培カレンダー
まずはどのように柑橘類を育てていくのか、栽培の流れを表にまとめました。何月ごろどのような作業をするかイメージできると、時期を逃すことなく作業ができ、事前に必要な物の準備などもスムーズにできますよ。
3月 | 4~5月 | 10~1月 | 1月~3月 |
土づくり・植え付け | 肥料を与える | 収穫(温州みかん・レモンなど) | 収穫(夏みかんなど) |
それでは次から、詳しい作業内容について解説していきます。
土づくり
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果樹を元気に育てるために重要なのが土づくりです。基本の作業ですが、おいしい果実を収穫できるかどうかにも関わってきますので、しっかり行いましょう。やり方は、用意した堆肥や腐葉土に、油粕・米糠・魚粉・骨粉などの有機肥料を混ぜて、植え床を準備します。有機肥料に土やもみがらを混ぜて発酵させた、ボカシと呼ばれる肥料を使うのもおすすめです。土や肥料の割合は、堆肥または腐葉土が5kgに対して、ボカシ肥料300gを目安にするとよいでしょう。鉢植えの場合は鉢に合わせた土の量を用意してくださいね。
植え付け
土の準備ができたら、購入したポット苗を植え付けます。樹木をしっかり生長させるには、植え付ける場所も重要です。
日当たりがよく、排水のよい場所を選んで植え付けましょう。購入してきたポット苗に根が回っていた場合は、根鉢を崩すようにほぐして植えるのがポイントです。植え付けた土にしっかりと根が張るまでは、樹木が倒れてしまう可能性があるので、支柱などを立てて支えておくのがおすすめですよ。
水やり
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植え付けができたらたっぷりお水を与えます。地植えの場合は水やりをするのは植え付け直後だけで、その後は水を与える必要はありません。鉢植えの場合は、表面の土が乾いたら水を与えるようにしましょう。鉢の底の穴から水が出るくらい、たっぷり水やりするのがポイントです。また、雨の日は水やりをしなくて大丈夫ですよ。
肥料
植え付けをして少ししたら、肥料を与えて樹木の生長を促します。樹木に生えた芽が伸び始める前がベストタイミングなので、4月~5月の間はよく枝をチェックしておきましょう。その後、花が咲き、実が大きくなり、新しい枝が伸びる時期にも肥料を与えるといいですよ。鉢植えの場合は、土の表面に肥料を置く、置き肥という方法がおすすめです。与えた肥料が見えなくなったら追肥をするようにしましょう。
収穫
樹木が順調に育って果実も生長したら、いよいよ収穫です。種類によって時期は変わりますが、10月以降収穫のタイミングには果皮が黄色かオレンジ色に変化してきます。実った果実の色を観察して、成熟した実を収穫してみてくださいね。すだちだけは例外で、果皮がまだ青い状態で収穫するため注意が必要です。収穫した果実を食べるときは、よく洗ってから食べてみてください。
柑橘類の剪定方法
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果樹の剪定は、果実を収穫するために必要な作業です。古い枝を取り除いて若返らせることにより、より立派な果実を収穫できるようになりますよ。こちらでは三つのステップに分けて、選定方法を詳しく解説していきます。
Step1. 必要な道具を準備する
剪定に必要な道具は、剪定ばさみと手袋の二つです。柑橘類の果樹にはトゲがある物が多いため、必ず手袋をしてから作業に入りましょう。
Step2. 古い枝を見分ける
古い枝を見分けるポイントは、枝の分岐が細かくなっているかどうか。1度果実がなった枝には、このような痕跡が見られますよ。放っておくとどんどん育って枝が混み合ってくるので、果実のなった痕跡のある枝は取り除いていきましょう。
Step3. 古い枝を取り除く
古い枝を見つけたら、剪定ばさみを使って間引きをしていきます。柑橘類以外の一般的な果樹とやり方は同じなので、慣れている人は同じ要領で剪定していきましょう。剪定は基本的には切れば切るほど若返り、樹勢が回復します。大きな枝を切り落とす強剪定、樹木の形は変えずに枝を切る弱剪定とありますが、樹勢を見てどれくらい剪定するか判断してみてくださいね。
柑橘類で気を付けるべき病害虫
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果樹を育てるうえで厄介なのが、果実や樹そのものを枯らしてしまう病気・害虫・害獣の存在。柑橘類ではどのようなことを気を付けるべきか事前に知っておけば、病害虫にやられることのないようしっかりと対策できますよ。
病気
柑橘類は比較的病気には強く、育てやすいのが特徴です。柑橘類の樹木を元気に育てるために重要なのが土づくり。土づくりさえしっかりができていれば、病気にかかることもなく育ちやすいでしょう。土づくりの方法は、「柑橘類基本の育て方」を参考にしてみてくださいね。
害虫
柑橘類の果樹の最大の天敵は、アゲハ蝶の幼虫です。アゲハ蝶が産み付けた卵から孵化した幼虫が、葉を食べてしまいます。対策方法は卵や幼虫を早く見つけて取り除くこと。虫が出てくる暖かい時期になったら、こまめにチェックしましょう。
獣害にも気をつけて!
丸々と実ったおいしい果実は、人間だけでなく鳥などの動物も大好き!せっかく育った実を食べられてしまうことのないよう、対策をしておきましょう。手間はかかりますが、紙や布でできた袋を果実にかける「袋がけ」という作業が有効的です。袋がけした果実は鳥に食べられてしまうことはないので、収穫時期まで安心して過ごせますよ。
柑橘類の栽培に関するQ&A
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最後に、柑橘類を育てるうえで出てきがちな疑問や悩みをまとめました。Q&A形式で回答していますので、疑問の解決に役立ててみてくださいね。
庭にある柑橘類の品種が分かりません。見分け方は?
柑橘類のどの種類かは見当が付きやすいと思いますが、詳しい品種までは見分けるのは難しいかもしれません。種類はカタログや図鑑を参考に、果実をよく見れば判断しやすいでしょう。最近ではグーグルレンズなど、スマートフォンをかざせば種類を特定できるアプリも充実していますよ。
収穫した果実がとても酸っぱい!対処法はある?
ミカンなどは、肥料として土に米糠や魚粉を入れて、日当たりをよくすれば甘く育てることができます。早どりは酸っぱいので、しっかり熟してから収穫しましょう。また、ユズやレモンなど、もともと酸っぱい種類は、その酸っぱさを楽しんでみてくださいね。
果実を大きくする方法は?
まずは基本の土づくりをしっかりと行いましょう。また、植える場所も重要で、しっかりと日の当たる場所を選んでみてください。土づくりと日当たりの二つの条件がよければ、大きく立派な果実が育ちますよ!記事内で紹介した土づくりの方法もチェックしてみてくださいね。