すすかび病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)

すすかび病は空気から感染する病気で、主にトマト(ミニトマト)とナスで発生しますが、それぞれ病原菌が異なります。潜伏期間が長く、多発すると防除が難しいすすかび病の発見のポイントを押さえて、予防対策や早期発見、農薬などでの防除方法を紹介します。


トマト

出典:Flickr(Photo by Artem Beliaikin)
トマトやナスの葉の裏に「斑点のカビが生えてきた」「葉が枯れ上がり被害が止まらない」などの症状が現れたときは、すすかび病を疑いましょう。
すすかび病は空気から感染する病気で、主にトマトやミニトマト、ナスで発生しますが、それぞれ病原菌が異なります。潜伏期間が長く、多発すると防除が難しいすすかび病を発症させない管理方法や予防対策、効果的な農薬について紹介します。

トマトすすかび病の発症原因と防除方法

トマト葉
出典:写真AC
トマトすすかび病とはカビ(糸状菌)が原因で発症する病気です。
はじめ下葉の葉裏にぼんやりとした淡黄緑色の斑点ができ、やがて灰褐色粉状のカビを生じます。その後拡大して、円形もしくは葉脈に囲まれた不整形の病斑を作り、カビは灰褐色から褐色~黒褐色になります。多発すると上位葉まで進み枯死します。
葉の表面は、裏面よりやや遅れて不明瞭な淡黄褐色の病斑とカビを生じますが、裏面に比べて少ないのが特徴です。
トマトすすかび病の病原菌(Pseudocercospora fuligena)は、ナスに感染すると「すす斑病」という病気を引き起こしますが、下項目のナスすすかび病の病原菌(Mycovellosiella nattrassii)とは異なるので防除対策も違ってきます。
菌名  Pseudocercospora fuligena
分類  糸状菌/不完全菌類
発生適温  26~28℃

トマトすすかび病は分生子で感染

トマトすすかび病の病原菌は、感染した前作の残りの葉や植物体などで越冬して、翌年の伝染源となります。
風に乗って植物の葉に病原菌が落ちると気孔から侵入して発病し、葉の裏面にビロード状のカビ(分生子)を生やします。これらの分生子がまた風に乗って運ばれていきます。
感染後の潜伏期間は10〜20日ほどです。

トマトすすかび病とよく似た病気「葉かび病」

よく似た病気に「葉かび病」があります。両者とも葉裏に病斑を作り、外見上はほとんど見分けがつきません。
発生条件もよく似ているため、葉かび病とすすかび病両方の対策を兼ねた防除を行います。

トマトすすかび病と葉かび病の見分け方
・カビの色はトマトすすかび病の方がやや黒みが強い。
・葉かび病は晩秋~春に発病しやすいので、盛夏期に似たような病気が発生している場合はトマトすすかび病のことが多い。
・葉かび病の抵抗性品種に発生した場合は、トマトすすかび病である可能性が高い。
・分生子の形が特徴的なため、顕微鏡で確認するとすぐに判別することができる。

▼葉かび病のことならこちらをご覧ください。

施設栽培でトマトすすかび病が発生しやすい条件

トマトすすかび病は、施設栽培のトマト(大玉トマト、中玉トマト、ミニトマト)で多発します。

▼トマトの育て方ならこちらをご覧ください。

◆発生時期

発生は真夏から秋にかけてが多く、抑制栽培~促成栽培に被害が多い傾向があります。
収穫前か収穫初期ごろ、または草勢が旺盛な時期に発生します。

◆発生温度

発生しやすい温度は26~28℃。
分生子の形成適温は18~22℃、分生子の発芽適温は26℃前後です。

◆多湿

多湿を好み、湿度85%以上が4時間以上継続するような条件で発生しやすくなります。

トマトすすかび病を発症させない管理方法

トマトすすかび病は多発してからの防除が難しいため、予防対策をしっかり行いましょう。

1. 植物残渣の処理

前作の枯れた植物の葉や茎に病原菌が寄生している可能性があります。
残渣(ざんさ)は圃場外に持ち出して処理します。
※残渣とは枯れた植物や落ち葉のこと。

2. 湿度対策

トマトすすかび病は多湿を好みます。梅雨時期や、葉露(結露)がつく時期などは特に注意して、ハウスの換気に気をつけます。
株周りの風通しをよくするため、密植は避けて古い葉は取り除きましょう。
▼ハウス栽培の湿度管理のことならこちらをご覧ください。

トマトすすかび病の防除に効果的な「農薬」

トマトすすかび病は潜伏期間が長いため、発病してから農薬を散布しても遅いため、予防対策をしっかり行いましょう。病斑は主に葉裏に形成されるので、農薬は葉の裏面にもかかるように丁寧に散布します。薬剤耐性菌が発生しないように、ローテーション散布を行いましょう。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

予防から発生初期に散布

残効性と浸透移行性があるので、予防的から発生初期に使用できます。
葉かび病、疫病、灰色かび病などにも登録があり、同時防除が可能です。
ITEM
アミスターオプティフロアブル
トマトの葉かび病、キュウリの褐斑病、ナスのすすかび病、メロン・スイカのつる枯病などに優れた効果を発揮します。
うどんこ病、褐斑病、灰色かび病など、ほかの病害も同時防除できます。
作物に汚れが残りにくいフロアブル製剤です。  

・内容量:500ml
・有効成分:アゾキシストロビン(4.8%)TPN(40.0%)


▼アミスターオプティフロアブルで「トマトすすかび病」と同時防除が可能な「疫病」「灰色かび病」のことならこちらをご覧ください。

予防的から発生初期に使用します。
葉かび病、うどんこ病や灰色かび病にも登録があり、同時防除が可能です。
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アフェットフロアブル
幅広い植物病原菌に対し、優れた効果を示します。
分生胞子の発芽阻害に優れるため、発病前から発病初期の予防的散布が効果的です。
胞子形成阻害作用が強く、二次感染の防止も期待できます。
多くの種類の作物で、収穫前日まで使用可能。
幅広い時期でご活用いただけます。  

・内容量:100ml
・有効成分:ペンチオピラド(20.0%)


▼アフェットフロアブルでトマトすすかび病と同時防除が可能な「うどんこ病」のことならこちらをご覧ください。


ナスすすかび病の発症原因と防除方法

ナス
出典:写真AC
ナスすすかび病とはカビ(糸状菌)が原因で発症する病気です。ナスの葉だけを侵し、トマトやピーマンといったほかのナス科野菜には感染しません。
はじめ下葉の裏面に白色の小斑点のカビが生じます。後に円形〜不整形の斑点に拡大して、灰褐色のすす状(またはビロード状)に変化します。
葉の表側は淡黄褐色のおぼろげな病斑を生じ、病気が進展すると葉全体が黄化して落葉します。
菌名  Mycovellosiella nattrassii
分類  糸状菌/不完全菌類
発生適温  23~28℃

ナスすすかび病とよく似た病気「すす斑病」「黒枯病」

ナスすすかび病とよく似た病気に「すす斑病」と「黒枯病」があります。

ナスすすかび病とすす斑病の見分け方
・ナスすすかび病の葉裏のカビは灰褐色でビロード状に分生子を密生するのに対して、すす斑病のカビはまばらで、葉表の病斑の黄色味が強い。
ナスすすかび病と黒枯病の見分け方
・ナスすすかび病の病斑は、黒枯病よりも大きく、不明瞭で色も淡く、茎や果実には発病しない。


ナスすすかび病は分生子で感染

ナスすすかび病に感染した前作の残りの葉や植物体、ハウスの骨組みやビニールなどに分生子が付着して、これらが次作の伝染源となります。
風に乗って運ばれた病原菌が植物の葉に落ちると気孔から侵入して発病し、葉の裏面にビロード状のカビ(分生子)が生じます。
感染後の潜伏期間は2〜4週間ほどです。

ナスすすかび病が発生しやすい条件

ナスすすかび病はハウス栽培特有の病害ですが、湿度が高く風通しの悪い露地栽培でも発生が見られます。

◆発生時期

ハウス栽培では、11~4月の湿度が高い条件で発生が多くみられます。
露地では梅雨や秋雨時に発生することが多く、特に夏の気温が低いと多発する傾向があります。

◆発生温度

発生しやすい温度は23~28℃で、30℃を越えると発生が抑制されます。

◆多湿

ナスすすかび病は多湿を好み、高湿度で多発します。

ナスすすかび病を発症させない管理方法

ナスすすかび病は多発してからの防除が難しいため、予防対策をしっかり行いましょう。

1. 植物残渣の処理

前作の枯れた植物の葉や茎に病原菌が寄生している可能性があります。
残渣(ざんさ)は圃場外に持ち出して処理します。また、盛夏期は蒸し込みを行うと、より効果的に病原菌を死滅させることができます。
▼ハウス栽培での蒸し込みについてはこちらをご覧ください。

2. 湿度対策

ナスすすかび病は多湿を好みます。
特にハウスなどの施設栽培で発生しやすいため、暖房機を意識的に稼働するなどして湿度対策を行います。
露地栽培では梅雨時期の発生に注意します。株周りの風通しをよくするために密植は避け、古い葉を取り除きましょう。

ナスすすかび病の防除に効果的な「農薬」

ナスすすかび病も多発すると防除が難しく、潜伏期間が長いため、発生してから農薬散布しても効果が薄いので予防対策に重点をおきます。
農薬は葉の裏面にもかかるように注意して散布します。防除効果があると葉裏のすす状またはビロード状の病斑が消滅して、褐変化します。
薬剤耐性菌が発生しないように、ローテーション散布を心がけましょう。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

予防的散布で効果あり

黒枯病,灰色かび病など幅広い病気に効果があり、耐性菌も発現しにくい特徴があります。
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ダコニール1000
草花、野菜、果樹などさまざまな植物でカビ(糸状菌)によって起こり、特に葉が変色するタイプの広範囲の病気に効果がある優れた総合殺菌剤です。
耐光性、耐雨性に優れ、病気から植物を守る残効性があります。
また各種病原菌に対しても抵抗性がつきにくい、優れた効果の保護殺菌剤です。
計量が手軽に行えるフロアブルタイプで、散布後の葉の汚れも少ないです。

・内容量:250ml
・有効成分:TPN(40.0%)

予防から発生初期に散布

残効性と浸透移行性があるので、予防から発生初期に使用できます。
ナスの果皮は薬害を生じやすいので、単独で使用しましょう。
ITEM
アミスター20フロアブル
各種野菜、畑作物、茶のさまざまな病害に高い効果があり、同時防除にも最適です。
雨に強く、浸透移行性による優れた予防効果があります。
収穫前使用日数が短く、散布適期は幅広く、使い勝手に優れています。
作物の汚れが少なく、使いやすいフロアブル剤です。

・内容量:250ml
・有効成分:アゾキシストロビン(20.0%)

すすかび病対策に何より大事なのは湿度対策

ハウス
出典:写真AC
すすかび病は多発してからの対策が難しいため、発症させない環境づくり、農薬の予防散布を行うことが大切です。
高湿度で発生しやすいため、圃場やハウス内の湿度管理には十分注意します。
また、発生した圃場では残渣を取り除き、蒸し込みを行うなど次作に病原菌を残さないようにしましょう。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。