葉かび病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)

葉かび病とは、葉の裏面にビロード状の灰色のカビを生やすトマトにのみ発生する病気です。多発すると防除が難しく、治療の困難な病気です。葉かび病を発症させない防除対策と、早期発見して被害を拡大させない対処法を紹介します。


葉かび病

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葉かび病とは、葉の裏面にビロード状の灰色のカビを生やす、トマトにのみ発生する病気です。多発すると防除が難しい、葉かび病の発見のポイントを押さえて予防と早期発見、防除を心がけましょう。

葉かび病の症状は葉裏のビロード状のカビ

葉かび病
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「葉先が黄色くなり、葉の裏に灰色のフワフワとしたカビが生えてきた」「なんとなくトマトの生育が悪い」などの症状が現れたときは葉かび病を疑いましょう。
葉かび病は空気から感染する病気です。主に葉に発病し、はじめは葉の表面に不整形の黄色い病斑を作ります。その後、裏面に灰白色のビロード状のカビが生えて、色は徐々に濃くなっていきます。
病気が進展すると葉先から巻き上がって、葉のほとんどが枯れたり、株が弱りトマトの実や花が着かないこともあります。

葉かび病とすすかび病

葉かび病とよく似た病気に「すすかび病」があります。両者とも葉裏に病斑を作り、外見上はほとんど見分けがつきません。
発生条件もよく似ているため、葉かび対策とすすかび対策を兼ねた防除を行います。

▼トマトやミニトマトの栽培方法ならこちらをご覧ください。

葉かび病病の発症原因

トマト
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葉かび病とはカビ(糸状菌)が原因で発症する病気です。
名前  葉かび病
菌名  Fulvia fulvum
分類  糸状菌/不完全菌類
発生時期  生育中〜後半
発生適温  20~25℃

葉かび病は分生子で感染

葉かび病に感染した前作の残りの葉や植物体、ハウスの内側や骨組みなどに葉かび病の病原菌が付着して伝染源となり(種子の表面にも付着して生き残り種子伝染もする)、潜伏期間2週間ほどで発病します。
風に乗って植物の葉に病原菌が落ちると気孔から侵入して発病し、葉の裏面にビロード状のカビ(分生子)を生やします。これらの分生子がまた風に乗って運ばれていきます。

▼植物の病気や気孔の役割についてはこちらをご覧ください。

施設栽培で葉かび病が発生しやすい条件

葉かび病は、施設栽培のトマト(大玉トマト、中玉トマト、ミニトマト)に多発しますが、トンネル・露地栽培での発生は少なく、発生しても被害が大きくなることはありません。

◆発生温度

発生しやすい温度は20~25℃です。

◆多湿

多湿を好み、特に95%以上の環境下で多発します。
ハウス栽培では、気温が下がり換気が少なくなる晩秋~早春に発生しやすい傾向があります。

◆生育不良

トマトの草勢が落ちて生育不良を起こすと発生しやすい病気です。
果実の成り疲れや肥料切れ、寒さによる根傷みなどに注意しましょう。

◆密植、過繁茂

密植や過繁茂で株周りの風通しが悪くなると、葉かび病が発生しやすくなります。


葉かび病に有効な防除方法

トマト 葉
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葉かび病に有効な防除は圃場の管理で行う方法(耕種的防除方法)と「農薬」の使用で行います。
※圃場(ほじょう)とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

葉かび病を発症させない管理方法

葉かび病は多発してからの防除が難しいため、予防対策をしっかり行いましょう。

1. 植物残渣の処理

前作の枯れた植物の葉や茎に葉かび病が寄生している可能性があります。
残渣(ざんさ)は圃場外に持ち出して処理します。
※残渣とは、枯れた植物や落ち葉のこと。

2. 抵抗性品種の利用

葉かび病の抵抗性品種を利用すると効果的です。
※葉かび病に絶対に感染しないというわけではないので、予防は必要です。
※品種の例:麗妃、麗容など(サカタのタネ) CF桃太郎シリーズ(タキイ種苗)

▼病気に強い接木苗のことならこちらをご覧ください。

3. 湿度対策

葉かび病は多湿を好みます。
ハウスの換気が不足する晩秋〜早春は、暖房機を定期的に稼働させてハウス内湿度を下げるなど、葉の結露を防ぐ取り組みをすると効果があります。
また、株周りの風通しをよくするため、密植は避けて古い葉は取り除きましょう。

▼湿度対策のことならこちらもご覧ください。

4. トマトを弱らせない管理

生育中盤以降のトマトの生育を衰えさせない管理が重要になります。適宜追肥を行って、肥料切れを起こさないようにしましょう。
また、根が弱っている場合には発根促進剤、日照量が不足する時期には葉面散布も行いましょう。
ITEM
ペンタキープ ハイパー Hyper 5000
ペンタキープは、植物の光合成を高める“5-アミノレブリン酸”を世界で初めて配合した液状肥料です。
“5-アミノレブリン酸”は、植物や動物の体内にある大切なアミノ酸で、植物体内ではクロロフィル(葉緑素)の前駆体となる物質です。
バランス型の肥料にアルギニンを加え、不良環境時の窒素の代謝とALAの効果を増強しました。

・内容量:800ml
・肥料成分:窒素(8%)、水溶性リン酸(6.0%)、水溶性カリ(4.0%)、水溶性苦土(4.0%)、水溶性マンガン(0.110%)、水溶性ホウ素(0.170%)、尿素、L-アルギニン、5-アミノレブリン酸塩酸塩


▼葉面散布剤のことならこちらをご覧ください。

葉かび病の防除に効果的な「農薬」

農薬を使用してより効果的に葉かび病を防除しましょう。
農薬は葉の裏面にもかかるように注意して散布します。薬剤耐性菌が発生しないように、ローテーション散布を行いましょう。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

◆すすかび病と同時防除にも

葉かび病と間違えやすい、すすかび病にも効果があります。

ITEM
アフェットフロアブル
分生胞子の発芽阻害に優れるため、発病前から発病初期の予防的散布が効果的です。
胞子形成阻害作用が強くいので、二次感染防止も期待できます。
多くの作物で収穫前日まで使用可能。幅広い時期でご活用いただけます。

・内容量:100ml
・有効成分:ペンチオピラド(20.0%)

◆予防的な散布で効果あり

葉かび病と同時期に発病しやすい灰色かび病や菌核病にも効果があり、同時防除できます。

ITEM
カンタスドライフロアブル
有効成分がスムーズに葉内に浸達し、葉先・葉縁に移行、散布ムラによる感染を防止します。
治療効果だけでなく、胞子発芽阻害に優れているので、発病前から発病初期の予防的な散布が効果的です。

・内容量:100g
・有効成分:ボスカリド(50.0%)


◆発生後に散布

初期発生時の散布で効果があります。
JAS(日本農林規格)が定める有機農産物にも使用することができます。

ITEM
カリグリーン水溶剤
発病初期の散布が効果的です。
効果は速効的で、カリウムイオンが植物病原菌の細胞に入り込み、細胞機能に障害を起こし病斑を消滅させます。
主成分の炭酸水素カリウムは、食品や医薬品に使用されており、人畜に安全性が高く環境にやさしい病害防除剤です。

・内容量:250g
・有効成分:炭酸水素カリウム(80.0%)

葉かび病発症後の対策

葉かび病の発病がみられたら、発病した葉は取り除き、圃場の外に持ち出して処分してください。
被害が拡大しないために農薬を散布する場合は、発病した株の周囲や葉裏までたっぷりとかけるようにします。

葉かび病対策に何より大事なのは湿度対策

トマト
出典:写真AC
葉かび病は多発してからの対策が難しいため、発症させない環境づくりが大切です。
高湿度で発生しやすいため、圃場やハウス内の湿度管理には気をつけます。トマトの生育が衰えると発病しやすいため、生育中盤から追肥や葉面散布を行いましょう。
また、発生した圃場では葉を取り除き、次作に病原菌を残さないようにしましょう。

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rinko
rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。