葉かび病の症状
「葉先が黄色くなり、葉の裏に灰色のフワフワとしたカビが生えてきた」「なんとなくトマトの生育が悪い」などの症状が現れたときは葉かび病を疑いましょう。葉かび病の主な症状
葉かび病は空気から感染する病気です。主に葉に発病し、はじめは葉の表面に不整形の黄色い病斑をつくります。その後、裏面に灰白色のビロード状のカビが生えて、色は徐々に濃くなっていきます。病気が進展すると葉先から巻き上がって、葉のほとんどが枯れたり、株が弱ったり、トマトの実や花が着かなかったりすることもあります。
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葉かび病とすすかび病
葉かび病とよく似た病気に「すすかび病」があります。両者とも葉裏に病斑を作り、外見上はほとんど見分けがつきません。発生条件もよく似ているため、葉かび対策とすすかび対策を兼ねた防除を行います。
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葉かび病病の発症原因
葉かび病とはカビ(糸状菌)が原因で発症する病気です。名前 | 葉かび病 |
菌名 | Fulvia fulvum |
分類 | 糸状菌/不完全菌類 |
発生時期 | 生育中〜後半 |
発生適温 | 20~25℃ |
葉かび病の伝染源
葉かび病に感染した前作の残りの葉や植物体、ハウスの内側や骨組みなどに葉かび病の病原菌が付着して伝染源となり(種子の表面にも付着して生き残り種子伝染もする)、潜伏期間2週間ほどで発病します。風に乗って植物の葉に病原菌が落ちると気孔から侵入して発病し、葉の裏面にビロード状のカビ(分生子)を生やします。これらの分生子がまた風に乗って運ばれていきます。
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施設栽培で葉かび病が発生しやすい条件
葉かび病は、施設栽培のトマト(大玉トマト、中玉トマト、ミニトマト)に多発しますが、トンネル・露地栽培での発生は少なく、発生しても被害が大きくなることはありません。発生しやすい温度
20~25℃多湿
多湿を好み、特に95%以上の環境下で多発します。ハウス栽培では、気温が下がり換気が少なくなる晩秋~早春に発生しやすい傾向があります。
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生育不良
トマトの草勢が落ちて生育不良を起こすと発生しやすい病気です。果実の成り疲れや肥料切れ、寒さによる根傷みなどに注意しましょう。
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密植、過繁茂
密植や過繁茂で株周りの風通しが悪くなると、葉かび病が発生しやすくなります。葉かび病に有効な防除方法
葉かび病に有効な防除は圃場の管理で行う方法(耕種的防除方法)と農薬の使用で行います。※圃場(ほじょう)とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。
葉かび病を発症させない管理方法
葉かび病は多発してからの防除が難しいため、予防対策をしっかり行いましょう。1. 植物残渣の処理
前作の枯れた植物の葉や茎に葉かび病が寄生している可能性があります。残渣(ざんさ)は圃場外に持ち出して処理します。※残渣とは、枯れた植物や落ち葉のこと。
2. 抵抗性品種の利用
葉かび病の抵抗性品種を利用すると効果的です。※葉かび病に絶対に感染しないというわけではないので、予防は必要です。
※品種の例:麗妃、麗容など(サカタのタネ) CF桃太郎シリーズ(タキイ種苗)
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3. 湿度対策
葉かび病は多湿を好みます。ハウスの換気が不足する晩秋〜早春は、暖房機を定期的に稼働させてハウス内湿度を下げるなど、葉の結露を防ぐ取り組みをすると効果があります。また、株周りの風通しをよくするため、密植は避けて古い葉は取り除きましょう。
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4. トマトを弱らせない管理
生育中盤以降のトマトの生育を衰えさせない管理が重要になります。適宜追肥を行って、肥料切れを起こさないようにしましょう。また、根が弱っている場合には発根促進剤、日照量が不足する時期には葉面散布も行いましょう。
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葉かび病の防除に効果的な「農薬」
農薬(殺菌剤)を使用してより効果的に葉かび病を防除しましょう。農薬は葉の裏面にもかかるように注意して散布します。薬剤耐性菌が発生しないように、ローテーション散布を行いましょう。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。
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▼病気対策に欠かせない農薬散布のタイミングや、選び方・使い方のことならこちらをご覧ください。
すすかび病と同時防除にも
予防的な散布で効果あり
発生後に散布
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▼希釈方法や散布後の処理方法などそのほかの農薬のことなら農薬まとめをご覧ください。
葉かび病発症後の対策
葉かび病の発病がみられたら、発病した葉は取り除き、圃場の外に持ち出して処分してください。被害が拡大しないために農薬を散布する場合は、発病した株の周囲や葉裏までたっぷりとかけるようにします。