コナジラミ類を駆除・防除する方法

植物を吸汁し排泄物ですす病を発症させ、特にタバココナジラミはトマト黄化葉巻病を媒介するコナジラミ類の生態や卵・幼虫・成虫の特徴、早期発見するためのポイントや未然に防ぐ予防方法や有効な農薬など駆除対策をしっかりおさえましょう!


温室コナジラミ
出典:wikimedia
育てている野菜の葉や果実に黒いすす状のものが付着していたり、株が萎縮するなどのウイルス病が発生している場合、コナジラミ類が発生しているかもしれません。
多くの野菜や草花に害を与え夏場に大発生する、コナジラミ類の発見のポイントや予防対策、使用する薬剤について初心者の方にもわかりやすいように紹介します。

コナジラミ類とは

コナジラミ
出典:wikimedia
コナジラミ類は全長1mm程度の小さな純白の昆虫です。
成虫や幼虫が植物に口針を突き刺して吸汁し植物に害を与えます。多くの野菜、花き類、雑草に寄生し、さまざまな植物病原ウイルスを媒介するほか、大量発生すると排泄物(甘露)で葉や果実が黒くすす状に汚れる被害(すす病)が出ます。
日本で農作物に被害を及ぼすのは「オンシツコナジラミ」と「タバココナジラミ」です。
見分け方は、オンシツコナジラミはタバココナジラミと比べてやや丸く、静止時の羽が少し開いた三角形をしているのが特徴です。
名前  コナジラミ類
分類  カメムシ目/コナジラミ科
吸汁部位  葉、果実、花など
1世代日数  約23日(25℃)

コナジラミ類の生態

コナジラミ類は5月ごろから発生がみられ、露地では気温が下がる秋から冬にかけてみられなくなります。
タバココナジラミは暑さに強く、真夏でもみられますが、オンシツコナジラミは減少します。
オンシツコナジラミ  タバココナジラミ
生育適温  20~25℃  25〜30℃
多発時期  6~7月、9~10月  6~9月

コナラジラミ類の越冬

コナジラミ類は主にハウスなどの栽培施設で越冬します。オンシツコナジラミは寒さに強く、関東以西の暖地では,キク科植物などに寄生して露地でも越冬しますが、主な発生源は春先にハウスから野外へ飛び立ったものと考えられています。

タバココナジラミ「バイオタイプB」「バイオタイプQ」

タバココナジラミ
出典:Flickr(photo by Ruokavirasto)
タバココナジラミは遺伝型が異なる種類が存在し、農作物で大きな問題となるのはバイオタイプB(シルバーリーフコナジラミともいわれる)と、バイオタイプQという種類です。これらは日本に昔からいたタバココナジラミとは異なり、近年海外から侵入しました。
トマトの生育を著しく抑制する「黄化葉巻病」ウイルスを媒介するとして、問題となっています。
バイオタイプB
1980年代以降に海外から侵入し、1996年代に国内で初めて観察されました。
バイオタイプQ
2003年ごろに九州で確認され、その後も生息域を拡大しており、それによって黄化葉巻病も九州から東海、東北地方へと感染が広がっています。

卵の特徴

色は、産卵直後は淡黄色でふ化直前で色が変わります。下方の葉の表皮内に、頭を軸にリング状に産み付けられます。
オンシツコナジラミ  タバココナジラミ
淡黄色
 孵化直前に褐色  孵化直前に淡褐色
砲弾型
大きさ 0.2mm
 

幼虫の特徴

幼虫と蛹
コナジラミ 幼虫と蛹
出典:wikimedia
幼虫(オンシツコナラジラミ)
コナジラミ
出典:wikimedia
1齢幼虫には足がありますが、2齢幼虫以降は足が無く移動しません。幼虫期は4齢まであり、終わりごろには成虫の眼が外から透けて見えるようになります。
 オンシツコナジラミ タバココナジラミ
 白色  黄色
小判形
大きさ 約0.3〜0.8mm
3〜4齢  周囲に毛状の突起が目立つ  中央部が少し山型に膨らみ突起物は少ない

蛹の特徴

コナジラミ 蛹
出典:wikimedia
タバココナラジラミの蛹は前方が丸く後方にかけて引き締まるヒラメ型をしており、体の中央部が厚みのある饅頭状に盛り上がっています。
 オンシツコナジラミ タバココナジラミ
 白色  黄色
 コロッケ形  ヒラメ形
大きさ 約0.8mm
特徴  周囲に糸状の突起  突起は目立たない

成虫の特徴

コナジラミ
出典:wikimedia
若い葉の裏に止まって吸汁します。夜になると葉裏に集まって動かなくなります。
オンシツコナジラミ タバココナジラミ
写真 オンシツコナジラミ
出典:Flickr(photo by gbohne)
タバココナジラミ
出典:Flickr(photo by Ruokavirasto)
 色  羽:純白 胴体:淡黄色  羽:純白 胴体:淡黄色
 大きさ  0.8~1.1mm  0.8m
特徴  翅のすそを開いてたたむ  翅を平行にたたむ

作物別コナジラミ類の被害状況

コナジラミ トマト
出典:Flickr(photo by Scot Nelson)
コナラジラミ類の寄主範囲はかなり広く、トマト、ナス、イチゴ、ダイズ、キャベツ、メロン、カボチャなどの野菜類のほか、パンジー、ケイトウなどの花き類などで被害発生がみられます。

一般的なコナジラミ類の被害状況

タバココナジラミ、葉の被害
出典:Flickr(photo by Ruokavirasto)タバココナジラミの食害痕
コナジラミ類の成虫や幼虫に新芽や葉などに口針を突き刺され、吸汁された部分は、白く色抜けします。
大量発生すると葉や花、果実の表面がコナジラミ類の排泄物で黒くすす状に汚れ、その部分にカビが生えたり(すす病)、葉が汚れることで光合成が阻害される、また排泄物に甘みがあるためアブラムシが集まるなどの被害があります。
最も大きな被害をもたらすのはウイルス病です。ウイルスに感染した植物の汁をコナジラミ類が吸汁することで、ウイルスも一緒に虫の体内へ移動します。
体内にウイルスをもつ保菌虫が次の植物を吸汁すると、ウイルスは虫の口針を通って植物へ伝染します。このようにウイルス病がコナジラミ類によって伝播されていきます。

ウリ類

オンシツコナジラミによってキュウリ黄化病が、タバココナジラミによって退緑黄化病が伝播されます。

トマト・ミニトマト

果実を吸汁されると、吸汁点が白く色抜けし商品価値が下がります(白化症状)。
また、タバココナジラミはトマトを萎縮させる黄化葉巻病を伝播します。



コナジラミ類に有効な5つの対策

コナジラミ類の被害が拡大する前に行う対策について説明します。

1. 圃場や菜園周りの除草

コナジラミ類は寄主範囲が広く、圃場や菜園の外の雑草にも寄生しているので除草を徹底しましょう。

2. 植物残渣の処理

圃場内外に放置された植物は、コナジラミ類の温床となりますので適切に処分します。芽かき、葉かき後の植物残渣(ざんさ)も放置せず持ち去りましょう。
※残渣とは圃場などに残った生育(栽培)を終え枯れた植物体。

3. シルバーマルチの利用

コナジラミ類は下から光が当たると、上下の感覚が分からなくなる性質があります。日光を反射させるシルバーマルチを利用することでことで、集団飛来が抑制できます。
ITEM
シルバーマルチ
春、夏、秋栽培の葉菜・根菜果菜の栽培に使用するマルチングフィルムです。
光の反射効果により、コナジラミ類、アブラムシ類への忌避効果、反射光線の確保にも使われます。
また、地中水分の確保や肥料の流亡を抑え、土が固くならない、病気の発生が少なくなるなどの効果が期待できます。

・サイズ:厚さ0.02mm×幅95cm×長さ200m


▼マルチについてはこちらもご覧ください。

4. 防虫ネットの利用

苗床では寒冷紗や防虫ネットを使用し、コナジラミの侵入を防ぎましょう。
施設栽培では、ハウスの開口部(天窓、側窓、出入口)に防虫ネットを張ります。
※目合いのサイズは0.4mmが理想的です。
ITEM
防虫ネット(目合い:0.4mm)
防虫ネットは外敵から大切な農作物を守ります。また、透光性・雨通し・強風暖和に優れます。
縦縞のシルバーが太陽光線の反射で大切な農作物を害虫から守る効果がありますます。
農薬の使用量を減らし、安全安心な野菜を栽培するための代替技術として非常に有効です。

・サイズ 幅1.5m×長さ100m

▼防虫ネット・寒冷紗についてはこちらもご覧ください。

5. 粘着板の設置

コナジラミ類が黄色い色に集まる習性を利用して、黄色い粘着板を設置することも効果的です。
ただし露地栽培で使用すると圃場外のコナジラミ類を誘引してしまうこともあるため、なるべく周囲から離れた圃場内部に設置するなどして注意してください。
ITEM
ホリバー黄色
害虫が好む黄色に着色されたプラスチック製粘着板で、コナジラミ類、アブラムシ類、ハモグリバエ類、アザミウマ類などの害虫全般が好みます。
施設内で害虫の発生予察のためにモニタリング用として使用したり、大量捕獲に使用します。
他社の粘着板に比べ高い誘引力があると国内の試験場から評価を受けています。
定植後より、1アール当り10~40枚程度のホリバーイエローを作物の約10~30cm上に吊り下げます。

・個数:10枚

6. 農薬(殺虫剤)で駆除

農薬を使用してコナジラミ類を防除しましょう。葉裏に潜んでいることが多いため、葉裏までかかるようにたっぷりと散布します。
また、散布は1回だけではなく、定期的に農薬の種類を組み合わせてローテーション散布することがおすすめです。(以下のおすすめする農薬は、強い薬剤抵抗性を持つタバココナジラミバイオタイプQの卵、幼虫、成虫に効果があります)。
※生産者の方は、地域の防除指導機関やJAなどが推奨する効果の高い薬剤を選定し使用基準を守って作物にあった薬剤を使用しましょう。
※家庭菜園の方は、駆除したい虫をしっかり把握したあと、必ず作物にあった薬剤を選びましょう。

◆栽培初期のコナジラミ対策に

苗、定植時の使用で、栽培初期のコナジラミ対策に効果的です。
ITEM
ベストガード粒剤
アブラムシ類やアザミウマ(スリップス)、コナジラミなどの吸汁性害虫に高い効果を発揮します。
定植時植穴処理、育苗期後半株元処理、生育期株元処理にて長期間長期間(約1~2カ月間)効果が持続します。
散粒容器入りで、手軽に使用できます。

・容量:1kg
・有効成分:ニテンピラム(1.0%)

◆生育期にはコレ!葉裏の虫にもよく効く

浸透移行性があり、全身、また葉表から葉裏に薬剤が移行します。
ITEM
ベストガード水溶剤
生育期のアブラムシ・コナジラミ・アザミウマ類の基幹防除剤としてご活用ください。
顆粒水溶剤で、調製しやすく汚れがつきにくいので、収穫直前まで使用できます。
効果が長く持続するので経済性・省力性につながります。
浸透移行性に優れるため、未処理部においても高い防除効果がみられます。

・容量:100g
・有効成分:ニテンピラム(10.0%)

◆食用油脂でコナジラミ類を封じ込める

油を原料とした薬剤で、物理的にコナジラミ類を窒息死させます。
卵、幼虫、蛹に効果があります。
ITEM
サンクリスタル乳剤
薬剤耐性うどんこ病菌、薬剤抵抗性コナジラミ類やハダニ類、アブラムシにも有効です。
有効成分は食用油脂で、収穫前日まで使用できます。
本剤は病害虫の体表面に付着することで効果を発揮します。

・容量:500ml
・有効成分:脂肪酸グリセリド(90.0%)

▼農薬についてはこちらをご覧ください。

自然の力でコナジラミ類を防除

コナジラミ 天敵
出典:wikimedia
コナジラミ類には天敵や微生物農薬の使用も効果的です。

天敵

コナジラミ類の天敵昆虫として、カスミカメ類、ヒメハナカメムシ類や、ツヤコバチ類、カブリダニ類などがいます。
タバコカスミカメは土着天敵で、野外に生存しているためバンカー植物という天敵を誘う植物を圃場内に植え付けます。
オンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチ、スワルスキーカブリダニは製剤化もされています。
天敵の名前   商品名(製薬メーカー)
 オンシツツヤコバチ ・エンストリップ
(アリスタライフサイエンス)
・ツヤトップ
(アグリセクト)
 サバクツヤコバチ ・エルガード
(アリスタライフサイエンス)
・サバクトップ
(アグリセクト)
 スワルスキーカブリダニ ・スワルスキー
(アリスタライフサイエンス)
ITEM
ツヤトップ 50頭×45カード
オンシツコナジラミの捕食寄生性天敵であるオンシツツヤコバチのマミー(蛹)をカードに封入した製剤です。
使い方はオンシツコナジラミの発生初期にカードをつり下げるだけ。長期間にわたり抑制効果を発揮します。
※ハウス等施設内での使用をお勧めいたします。

・個数:45枚(1カードあたり羽化雌成虫50頭)
・使用量:25〜30株当たり1カード

※参考:タバコカスミカメ 利用技術マニュアル – 施設トマト – 静岡県/農林技術研究所

微生物殺虫剤

昆虫に寄生する菌(糸状菌)を主成分しており、コナジラミの増殖を防ぎます。
ITEM
マイコタール
好条件下では、バーティシリウム・レカニはコナジラミが死んだ後、体外で胞子を作ります。
胞子は水滴や徘徊する害虫に付着して広がるので、他の害虫へ二次的に感染が広がります。
薬剤抵抗性コナジラミ類に優れた効果コナジラミ類の昆虫病原性糸状菌を使用した防除の為、薬剤抵抗性コナジラミ類でも防除が可能です。
JAS法に適合し、農薬散布回数にカウントされませんので、有機栽培・特別栽培農産物等でも使用可能です。

・容量:500g
・有効成分:バーティシリウム・レカニ胞子(Verticillium lecanii)

※天敵や農薬のご購入、詳しい使用方法はJAまたは指導機関にご相談ください。

コナジラミ類が発生した後の対策

露地栽培では栽培終了後に、残渣を圃場の一箇所に集めてビニールをかけ太陽光をあてて1週間ほど放置して蒸し込み、卵、幼虫、成虫を殺虫しておくとさらに効果的です(夏期のみ)。
ハウス栽培では、コナジラミが施設外へ大量に逃げ出すことを防ぐために、ハウスを40℃以上(ハウス内温度)になるように密閉し、5〜7日間蒸し込み処理を行って殺虫することをおすすめします。
ウイルス病が発生してしまった株は全身にウイルスが蔓延しています。放置すると伝染源になるためただちに抜き取ります。取り除いた株は圃場内外に放置するとコナジラミ類の温床となるため、埋め込むかビニール袋に入れて処分してください。

コナジラミ類から作物を守るために

コナジラミ類は葉や果実を吸汁し、ウイルス病やすす病を発生させるなどして作物の商品価値を失わせてしまいます。
葉裏に潜み、放置しておくとあっという間に大発生してしまうため、葉裏に卵や幼虫がいないかをよく観察して、作物の生育の様子に注意して圃場を見回るようにし、農薬で効果的に予防しましょう。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。